甘い菓子の匂いにつられて目を覚ましてキッチンを見ればこれまた可愛い恋人が楽しそうに鼻歌を歌いながら朝から忙しなく動いていた
「な〜にしとるんじゃ」
「わぁおはよう雄大くん今日はお菓子作りだよ」
「珍しいのそんな大量に」
温度計やら普段見かけない道具を用意していて本格的な菓子作りをしているなまえがレシピ動画を見つつ分量を図り混ぜていく
「バレンタインだから職場の人とか賭郎の人達にも渡さなきゃ」
「楽しんどるねえ」
「そーそ、だから朝ごはんは自分で用意してね」
そう告げられて背中を押されるように追い出されてしまい仕方なくインスタントコーヒーとパンを用意してリビングから彼女を眺める
「なまえちゃんワシのは」
「んーあるよ」
「今作っとるの?」
「うん」
集中したいのか短い返事の彼女にあまり面白くないと言った面持ちで見つめて、昼頃になり漸く終わりの見えきた作業になまえは嬉しそうに声を上げていた、ふと気になりキッチンに行けばそこにはまるでパティシエが作った店に並ぶ程のショコラが並べられておりそれには門倉も感心する
一つ一つ丁寧に箱に入れていくなまえの手から奪って門倉の口の中に消えれば思わず「あ!」と大きな声が広がった
それでも気にせず次々と彼の口の中に消えていく数時間要したチョコレート達に悲鳴をあげて手を拘束しようとしても力は足りず半分近くが消えた
「何するの雄大くん」
あまりにも泣きそうな顔で見つめる彼女にやり過ぎたと思いつつもそれでも門倉にはチョコレーを食べる理由があった
「だってワシにだけくれたらええやん、なまえちゃんのチョコはワシだけのや…ほかのやつなんか市販のチロルでええじゃろ」
ふいっとそっぽを向いた門倉の言葉に目を丸くしたなまえは数秒後言葉の意味を全て理解して顔に熱がこもるのがよく分かった
「でも折角時間かけて作ったから味わって食べてよ」
と拗ねたように零せばそこには否定せずごめんね、と返事がやってくる結果長時間作ったチョコレート達はバレンタイン当日の2人の胃袋に消えてしまい、知人や仕事先など本来渡す予定の場所には市販のチョコレートたちになってしまったのだった。
門倉
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