朝目が覚めれば隣には一輪の薔薇があった、隣の温もりは少しだけ残っており、それを片手にドアを開けば身支度を整えた貘が椅子に座ってテレビを眺めていた

「ハッピーバレンタインなまえちゃん、ほら着替えて出かけるよ」

朝起きるのは得意じゃないのに彼は少し早く起きて今日のデートのための服も全部渡してくれる、赤いワンピースを身にまとっていつもと違う赤いリップを引いてダークブラウンの髪の毛は彼の手でいつも通り巻かれていく
最後に赤いハイヒールを履けば珍しいダークグレーのスーツ姿の貘に手を引かれてホテル前に来ていたリムジンに乗り込んだ

「〇〇ホテルのアフターヌーンティー行きたいって言ってたでしょ、そこいって前から気になってた洋服買いに行ってなまえちゃん好きそうなネックレスあったからそれも買おうそれから」

「ねぇ貘くん、バレンタインだよ」

「うん、バレンタインだね」

リムジン内にあるシャンパンを昼から開けて2人で飲みながら、これまた有名な超高級チョコレートを口の中に放り込まれてなまえはようやく落ち着いてきた頭で伝えた
バレンタインとは通常チョコレートを男性に渡すような日にはなってるがなまえは用意しておらず普段通りの日を過ごす予定だった、後の2人には伝えているのか貘と二人きりの時間は嬉しい限りだ

「俺がなまえちゃんに沢山愛してるって伝える日だよ」

「いつも聞いてるけど」

「チョコレートみたいに甘く溶かして固めてさ、俺の愛を教えたいんだいいでしょ」

ようやく目的地について到着すれば手を取られて甘いものを食べて、欲しいものを買って、好きなものを見て、普段の血生臭い世界など忘れそうな程だった
カフェに入り、両手に大量の荷物を抱えていたが直ぐに連絡をして荷物はホテルに運ぶように伝えられて消えていく、その合間になまえは少しだけ御手洗だと貘に告げて離れていく

「ハッピーバレンタイン貘くん」

「え、まさかのくれるんだ」

「バレンタインは女の子から渡すものだから」

「あーやばいかも、普通に嬉しいから俺の顔見ないでよ」

戻ってきた彼女はそう伝えて1つの小さな箱を渡した、カフェの椅子に座っていた貘の白い肌は赤くなれば直ぐに分かってしまう、御手洗だと告げて言ったが近くにあった有名パティシエのチョコレートを買って渡した程度だが喜ぶ彼につられて微笑む

「私の愛も伝わったかな」

「うん、これ以上ないくらい」

まるで一生の宝物のようにその箱を抱きしめた彼をみてバレンタインに感謝するのだった、例えたった一つのチョコレートごときだとしても




/top