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俺は今スマホを睨んでいた
こんな小さな機械を両手で握って真剣な目でみつめた
画面には「マリィ 通話 ビデオ通話」の二択が出されていた、今までメッセージのみのやりとはいくらでもあった
だがしかし電話をしたことがなく、中々恥ずかしく言い出せず時間だけが過ぎていった
いや現に今も時間は過ぎている、朝から決めてバイトが終わったら…夕飯を食べたら…風呂はいったら…歯を磨いたら…とウジウジとらしくもなく悩み続けて今に至る

時刻はもう23:05になっており寝ている可能性もある
いややっぱり明日にするか?とスマホを片手にウロウロと部屋の中をさまよっていればドアが突然開く

「エース!水着貸してくれ!!俺の穴空いてた!!」

「あっっ!!」

手から放れ床に落ちたスマホがトゥルルンと電子音が鳴った
ドキドキと画面を覗き見ればルフィも覗いた、3.4度目のコール目だった

『はあい?』

少し掠れた声のマリィ、うわまじか寝てたかな?なんておもわず思ってれば隣のルフィが「マリィだ!マリィ!」と大声を上げるものだから慌てて水着を投げつけて部屋から追い出す

「あ、お、俺だけど」

『新しいオレオレ詐欺かな?』

「エースだよ」

『ふふ分かってるよ、ついいじめたくなったの』

マリィのこういう所は結構好きだ、年上っぽいわりに少し茶目っ気があって子供っぽくて、相手を不快にさせない柔らかいからかい方は見習いたいものだ
少し寝惚けたマリィがガサゴソと動く音が聞こえて、あぁやはり寝てたのかと音で察する

「寝てたんだろ、悪い」

『いいよ、それよりも電話なんて珍しいねどうしたの?』

「声聞きたくなって」

そういえばマリィの返事が無くなった、あっ俺もしかしてめんどくさい事言ったかな?なんて思って少しだけ冷や汗が額に現れるがそんなこととは裏腹にマリィは柔らかい声でいった

『嬉しい』

その柔らかい声が聞けただけでもう十分だと思えてしまうがもう少しだけど求めてしまう、目が冴えてきたのか声に眠気は消えていつものハッキリしたような声になっていく
夏休みの宿題は?バイトは?歯を磨いた?遊びすぎてない?
なんて親みたいな心配事ばかりをいってくるマリィが面白おかしかった

「そういえば明後日祭りがあるんだ」

『バイトじゃなかった?』

「そう…一緒に周りたかった」

『私もだよ、同じ気持ちだからバイト頑張って』

俺って本当に単純だなと心底思えた
たった一言でもう機嫌は戻ってあぁ焼きそばなんていくらでも焼いてやろう、まぁ特別手当も出るしちょっとはいいとこにデートなんてのもありかもしれない

『屋台見に行くね』

「まじ?!あっサボと2人は止めろよ」

『えー折角の私の相談役なのに』

知ってるけどやっぱりなんか2人が並んでるの見てるとなんか嫉妬しちまうから勘弁して欲しい
サボだっていい加減彼女作っていい感じにいったらいいのにマリィにちょっかいかけるから目が離せない
もちろん悪い事はサボに限ってないことは分かってるがそれを理解し納得できるかはまた別なのだから仕方ない

『じゃあ1人で行くしかないなぁ』

「焼きそばくらいいくらでも焼いてやるのに」

『バイト中のエースくんに会うってことが大事なんだよ、わかっちゃないな』

そう言われて少し考えたら確かに仕事中のマリィは特別感があったし、言わんとすることは何となくわかったかもしれない
話をすること1時間ほどしていればマリィの側から男の声が聞こえてその後すぐに「ごめんね、もう寝ろって怒られたから寝るね」と言われた、お父さんだったのか…いつか会う時とかあるのかな?娘さんを俺に…いやまだ早いか、取り敢えず俺も寝よう