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菊がスティーブンの家に泊まるようになったのはいつからか自然となり忘れるような程の付き合いになり、互いに信じ合い嘘を見破れるほどにになった
HLのスティーブンの家の中は無駄なものは一切ない、大方何処かに必要な物は隠しているのだと菊は察しながらも仕事の事は何も言わないことにした、そうしなければ互いに余計な苦労をするからだ。
そんなある日のことだった
家政婦のヴェデットが夕飯を作り帰る時間と同時に珍しく入れ替わりで2人は家に帰ってきた、労いの言葉を告げておやすみ。と残して家に入り夕飯を共にした
「じゃあお先いただくよ」
「はい、どうぞ」
食器を洗う菊にそう告げたスティーブンは面倒くさそうな足取りなのはココ最近特に忙しかったからだろう、血界の眷属の出現、薬物の売人達の確保、スポンサーへのご機嫌取りも言葉にすれば止まることが無いほどのものだろう
菊もライブラ所属故に疲れない訳では無いが仕事量はスティーブンだけでもメンバーの6倍くらいはあるだろう、胃を痛め頭を痛める彼を癒すのも菊の役だ
風呂に入るスティーブンを待ちながら今日はなんの映画を見ようと思いテレビの横に置いてある本棚の中のDVDを選んだ
「こんなものありましたっけ」
ふと菊は気になって手に取ったのは小さなアルバムのようだった
何かと思いながら見て見ればスティーブンの幼い姿があった、まだ5.6歳くらいの頃の写真の彼はやはり裕福な家庭の出身らしい身嗜みをしていた、可愛らしい…だなんて思いながら微笑ましくなってページを捲ればその成長が見られる
「何見てるの」
「スティーブンさんのアルバムです」
「そんなのあったっけか…?」
頭を拭きながら近づいてくるスティーブンに返事をしながらページを捲る、次は高校生くらいだろうかと言うような年齢でしっかりと制服に身を包んでいる
鍛錬もしつつ教養も忘れずにと言う考えは貴族ならではなのだろう、菊は鍛錬のみであった幼い自分を思い出す
スリッパの音がゆっくりと近づきページを捲れば成人を超えたスティーブンが現れる、ここ10年ほどの最近といえどこんなに美青年なら今もだが昔も女性からは引く手あまただったろうに。と考える
「君のアルバムじゃないか」
「え?スティーブンさんのですよ」
「は?」
隣から覗き見たスティーブンの言葉に菊はもう一度アルバムを初めから開くもやはりそこにはスティーブンの幼い頃の写真だけだ
「してやられた、直ぐにそれから離れっ」
『気づかれたのなら仕方ねぇ、予想外なのが1匹だが貰ってくぜ』
「スティーブンさん離れてください」
小さなアルバムから飛び出した異界人に菊は腕を取られ、部屋には眩しい光が輝き目を刺激する
スティーブンは目くらましをくらいながら攻撃をしようとしかけたがそこにはもう誰もいなかった
アルバムさえ、どこかに消えていた