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 レギュラス・A・ブラック様

 スリザリン寮に組分けされました。
 先輩方はいい人そうだし、ルームメイトも顔見知りだったので安心しました。ただ組分け前に親しくなった三人とは違う寮になってしまったので少し残念です。三人のうち二人は双子だったので、彼等はきっと同じ寮になってるんだと思います。
 朝にこの手紙を書いていますが、窓から見える湖に太陽の光が差し込んでいて、とても綺麗です。スリザリンの特権ですね。父上もこの景色を見てきたんだなと思うと、何だか感慨深いです。

#プロキオン#より  

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 グラハムとマイルズを連れ立って朝食の席につきながら、#プロキオン#はフレッドやジョージ、セドリックの姿を探したが見つけることはできなかった。フレッドとジョージの目立つ赤毛を見逃すことはなさそうだし、食事の時間がズレていたのかもしれない。
 しかし、セドリックに関してはその日のうちに会うことができた。魔法薬学はハッフルパフとの合同授業だったのだ。#プロキオン#はセドリックと話をしたいと思ったが、教室が緑と黄色のネクタイで綺麗に分かれていたものだからタイミングを掴むことができ無かった。
「このクラスでは魔法薬調剤の微妙な科学と厳密な芸術を学ぶ」
 魔法薬学の教授でありスリザリンの寮監でもあるスネイプの授業は上級生の間でもすこぶる評判が良かったので#プロキオン#は楽しみだった。
「今日はおでき治療の簡単な薬を調合してもらう」
 二人一組でペアを作らされたので、#プロキオン#は誰からも誘われなさそうなジェームズと組んでやったが、これは正解だった。ジェームズはかなり手際がよく#プロキオン#の指示にも素直に従ってくれた。二人の鍋はクラスで最も早く完成し、教科書通りの綺麗なエメラルドグリーンに染めることが出来た。満足そうなスネイプに十点加点してもらえたので、#プロキオン#はいい気分で紫色の鍋を前に頭を抱えるモンタギューにアドバイスしてやった。その次に薬を完成させたのはセドリックのペアだったが、スネイプはそちらをチラリと見下ろして頷くだけだった。そう言えばスリザリン生へのスネイプの指摘は的確だったが、ハッフルパフへの態度は随分と冷たい。#プロキオン#はスネイプが自寮を贔屓する教師であることを理解して、スリザリンで良かったとは思いつつ理不尽な待遇を受けるハッフルパフ生に対して居心地の悪さを感じた。

「先に行っててくれ」
 #プロキオン#は態とモタモタ片付けをしていたが、ジェームズはそれでも#プロキオン#を待つ様子だったのではっきりと言葉で告げた。追求することなく教室を後にしてくれたのが有り難い。
 鞄を抱えた#プロキオン#は一人、ハッフルパフ生の集まる場所へと向かった。#プロキオン#が近寄るとハッフルパフ生が緊張したように体を固くするのが#プロキオン#の矜持を満たした。
「セドリック、昨日ぶりだな」
 今にも教室を出ようとしていたセドリック・ディゴリーの肩を叩くと、彼はかなり驚いた様子で#プロキオン#を振り返った。
「やあ……#プロキオン#、だよね?」
「ああ。改めて、#プロキオン#・ブラックだ」
 他のハッフルパフ生のようにセドリックもまた#プロキオン#を前に緊張した様子だった。#プロキオン#はあのブラック家なのだから無理もないだろう。その上セドリックはハッフルパフなのだから気後れしているのかもしれない。#プロキオン#はセドリックが自分より劣っているからと突然冷たす突き放すつもりはなかったので、安心させるように微笑んだ。
「少し話さないか? 寮が違うとなかなか会えないだろ?」
「あー、うん、そうだね……」
 セドリックと#プロキオン#が会話するのを見守っていた生徒にセドリックは「先に行ってて」と促したが、その生徒は#プロキオン#を警戒するように睨みつけている。#プロキオン#は反射的に睨み返したが「大丈夫だから」と説得するセドリックにその生徒は渋々と教室を後にした。
「何だあいつは」
 #プロキオン#はポツリと愚痴を溢す。
「まるで僕が君を虐めるみたいだ」
「あはは……ごめん、後でちゃんと言っておくよ」
 この後は昼食の時間だったので、二人は共に大広間を目指して歩き出した。
「それにしても、驚いたな……君が、その……ブラック家の人だったなんて」
「まあな」
 #プロキオン#はセドリックが先程からずっと困ったような顔をしていることを疑問に感じたが、取り敢えずは黙っておいた。
「フレッドとジョージはどこの寮に行ったか知ってるか?」
「グリフィンドールだよ」
「グリフィンドールだって?」
 #プロキオン#は顔を歪ませた。二人は純血、それも聖二十八に数えられるほどの。それなのにスリザリンに入れなかったなんて……。「可哀想に」
 思わず漏れた#プロキオン#の言葉にセドリックは素早く反応した。
「可哀想? 二人が? どうして?」
「純血なのによりによってグリフィンドールに入ったんだぞ?」
「僕も純血だけど、ハッフルパフだ」
 #プロキオン#の胸中は複雑だった。まず、結果的にセドリックの目の前でセドリックすらも可哀想な存在だと貶めてしまったことに罪悪感を抱いた。そしてセドリックが純血であることを喜び、同時に落胆した。セドリックが純血なら、彼は#プロキオン#にとってレギュラスに恥じない友人になれる権利を持っていた。なのに……セドリックも、スリザリンではない。#プロキオン#にとってマグル生まれがスリザリンに入れないのは当然だが、純血がスリザリンに入れないのは恥ずべきことだった。友人になりたいと思った三人が三人とも“落ちこぼれ”だったなんて。
「ああ、残念だよ。君たちがスリザリンに入れなくて……」
「僕たちはスリザリンに入れなかったんじゃない、入らなかったんだ!」
 セドリックは何やら怒っている様子だ。自分がハッフルパフで#プロキオン#がスリザリンだから嫉妬しているのかと一瞬思ったが、そうでないことはセドリックの台詞から明らかだった。“スリザリンに入れなかった・・・・・・んじゃない、入らなかった・・・・・・んだ”……それは、つまり……今、#プロキオン#が考えているような意味なのだろうか……? #プロキオン#は何も言えなかった。尋ねたいことがあったけれど、その答えを聞きたくなかった。
 いつの間にか辿り着いた大広間の入り口で、二人はどちらからともなく立ち止まった。人の出入りの多いその場所で向き合う二人を生徒が訝しげだったり煩わしげに横目で見ていたが、その真剣な雰囲気を邪魔する者はいなかった。二人は責めるような目で互いを見つめている。
「僕……君は、違うんだと思ってた。そりゃあ君がブラック家の子だって知って驚いたけど、でももしかしたらって…………だけど、そうじゃなかったんだね」
 そう残してハッフルパフのテーブルへと向かったセドリックを、#プロキオン#は黙って見送った。
――血を裏切る者。
 昨日初めて聞いたその言葉が、#プロキオン#の脳内にこびり付いている。

▼ホソク



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