一人歩くシュリルの背を太陽がぽかぽかと照らし色濃く影を作る 昨日のマターさんの言葉がどうか夢でありますように、 そう胸裏では密かに願いながら何時もの場所へ足は向かう が、しかしシュリルの思いは虚しくその場所にマターさんの姿はない 昨日の彼の言葉は決して夢ではない、という事が私は嫌でも思い知らされた マターさん、 声にならないそのつぶやきに小さくため息が漏れる 何時ならこの場所で私を出迎えてくれるはずの彼の姿はない、 周りを見ても痕跡も見つけることができず、 子供のようにただ膝を抱えるようにして座り込んだ なにやっているんだろう、彼に会ったとしても何を言えばいいのだろう そんなことも考えずにただ無意識にここに来てしまった自分を自嘲する ------------------------------------------------ 途中、様々なこのプププランドの住人が通りかかるが 見知らぬ人も不思議そうに見たり その中には見知った顔も友人もいたりしたが私の様子を察してくれたようで 何も聞かずただ安心するように、にっこりと笑いかけて通り過ぎてくれた 何人かは心配してくれたが大丈夫だと断ってお礼を述べるが それでも心配してくれた 「マターさん、」 ああ、どうして彼はあの時謝ったんだろう、 私を悲しませたから?、約束を守れなかったから?、それとも何に、 考えれば考えるほど分からなくなる答えを出そうと錯乱する思考に眩暈さえ覚える でも、そんな状況の中で私は通り過ぎる住人の中に確かに彼がいないか1人1人を確認した ひどく未練がましいな、とやはり自分のしていることに酷く自嘲して 一人、緩んだ涙腺から溢れる水に膝を抱えた腕の中にただ人に見られまいと顔を埋めた 2020.05.05 加筆修正 /lain0x2/novel/1/?index=1 |