haco

明日は明日の風が吹く

虹に色がもどってから暫く時間がたった
騒然とした雰囲気だったこの国も落ち着きを取り戻し
カービィの名前が知れ渡るには十分な時間が過ぎた。

何があったかは嫌でも耳に入る
虹が消えた元凶はマターさんで大王様にとり憑いた事
カービィがマターさんを倒した事も

それでも私は友人のカービィを責めるなんて出来ない
彼はプププランドを救ったヒーローで悪者はきっとマターさんの方だ
マターさんを知らない人にとっては彼は得体の知れない恐ろしい侵略者

侵略者である彼への嘲りと貶しの心無い言葉は
シュリルの心を深く抉り 渦巻き
蟠る形容しがたい感情がぐるぐると掻き乱れている

マターさんはそれだけの事をしてしまったこと
人々から非難されても仕方のない事なんだ、と
でも自分にとっては彼は大切な友人だからこそ
彼が悪者だと罵られ決めつけられるのはとても悲しかった

常闇が漂うなか、ふらりふらりと帰宅路を歩いた。
道行くすれ違う人々の表情は平和になったおかげか明るい
空に瞬く宵の明星をみつけてふと足を踏み出すと
後ろから久しぶりだが聞きなれた友人の声で呼び止められた

「シュリル?」
「あれ、カービィ?」
「やっぱりシュリルだ!お久しぶり!」
「久し振りだね…!遅くなったけどお疲れ様」
「・・・うん、有難う!」
シュリルのもとに友人であるプププランドのヒーローが手を振りながらこちらに歩み寄ってきた

「…シュリル、誰か待っているの?」

一瞬その言葉にカービィの姿に待ち人が重なるく

「うん。…友達を待ってるの」
「その友達は?」
「来なかったんだ」

大切な友達だから待ってるんだ。
と微笑を浮かべて言葉にした。
日が落ちたせいか暗くカービィの表情は詳しくは見えない

「帰ってきたら一緒にいろんなことをしようって約束したんだけどね」
「ならきっとその友達は帰ってくるよ」
「カービィ…」
「だってシュリルと約束したからね!…きっとその人は守れない約束はしない筈だよ」
「…ねぇ、カービィ」

なに?と言いながらシュリルを見るカービィに
シュリルはカービィへのお礼を込めた笑みを浮かべながら

「ありがとうね、励ましてくれて」

「あははっ…うん、どういたしまして」
「そろそろ遅いしカービィ、気をつけて帰ってね」
「…うん、じゃあね」

そう言いながら少しだけ急いだ様子のカービィとお互い手を振りながら道を別れた
一人になった事でまた静寂に包まれる

シュリルは夜空を見上げた。星を散りばめたその夜空は、
先ほどよりも鮮明に。そしてあの時友人とみたのと何ら変わらない美しさを誇っていた

そうしてまた新しい朝がやってくる。


「………、」


2020.05.05 加筆修正
2021.01.23 加筆修正

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