ローズシロップを一匙
「父が送ってくれたんだ」
そう言って彼が取り出したのは、うっとりするほど綺麗な薔薇色のシロップ。例える色の名もそのままに、それは薔薇の香り漂うローズシロップだった。
するんと細長いガラス瓶の中に満ちたシロップは、とろりと鈍い光を閉じ込めている。
フランスにある薔薇の名産地でお土産としてよく売られているのだ、と嬉しそうに告げる彼はシロップと同じ色をした瞳を細めて笑った。
そして綺麗なグラスを二つ取り出すと、隣り合わせるようにそっとテーブルの上に並べる。炭酸水にマドラー、そしてシロップをその横に広げていった。
細身の瓶を持つ手は細い割にもがっしりとしており、傾国の美女とも噂されそうなそのかんばせにはいささかそぐわぬようにも、はたまたしっくりと似合うようにも思われる。
見慣れているはずなのにそのことに少しだけどきりとして、誤魔化すように私は近くに置かれたシロップ入りの瓶をつるりと撫でた。
彼は並べたグラスに薄くシロップを入れると、泡が消えぬよう炭酸水を静かに注いだ。
しゅわしゅわ、ぱちぱちと炭酸が弾ける音が耳の奥でそっと鳴り響く。
くるりくるりとマドラーで軽くかき混ぜられるたび、透明な泡が薔薇色に染められていった。
じっとそれを見つめていた私は、思わずほぅと息を吐いた。
「はい、どうぞ召し上がれ」
そう言って差し出された飲み物は夢見るように美しい色をしていた。
口をつけようとグラスを口元に運べば弾ける炭酸によってその優雅な香りがふわりと鼻腔をくすぐる。口に含めば、まるで薔薇園にいるかのように薔薇の香りに包まれた。
美味しい!
そう告げようと顔を上げた瞬間、カウンター越しに甘いシロップみたいに熱っぽく蕩けた瞳がこちらを見つめた。
あぁ甘い。薔薇の香りが一際強く香り、柔い熱と共にシロップよりも甘いくちづけが降り注ぐ。
後の話は薔薇の下に隠して。
そう言って彼が取り出したのは、うっとりするほど綺麗な薔薇色のシロップ。例える色の名もそのままに、それは薔薇の香り漂うローズシロップだった。
するんと細長いガラス瓶の中に満ちたシロップは、とろりと鈍い光を閉じ込めている。
フランスにある薔薇の名産地でお土産としてよく売られているのだ、と嬉しそうに告げる彼はシロップと同じ色をした瞳を細めて笑った。
そして綺麗なグラスを二つ取り出すと、隣り合わせるようにそっとテーブルの上に並べる。炭酸水にマドラー、そしてシロップをその横に広げていった。
細身の瓶を持つ手は細い割にもがっしりとしており、傾国の美女とも噂されそうなそのかんばせにはいささかそぐわぬようにも、はたまたしっくりと似合うようにも思われる。
見慣れているはずなのにそのことに少しだけどきりとして、誤魔化すように私は近くに置かれたシロップ入りの瓶をつるりと撫でた。
彼は並べたグラスに薄くシロップを入れると、泡が消えぬよう炭酸水を静かに注いだ。
しゅわしゅわ、ぱちぱちと炭酸が弾ける音が耳の奥でそっと鳴り響く。
くるりくるりとマドラーで軽くかき混ぜられるたび、透明な泡が薔薇色に染められていった。
じっとそれを見つめていた私は、思わずほぅと息を吐いた。
「はい、どうぞ召し上がれ」
そう言って差し出された飲み物は夢見るように美しい色をしていた。
口をつけようとグラスを口元に運べば弾ける炭酸によってその優雅な香りがふわりと鼻腔をくすぐる。口に含めば、まるで薔薇園にいるかのように薔薇の香りに包まれた。
美味しい!
そう告げようと顔を上げた瞬間、カウンター越しに甘いシロップみたいに熱っぽく蕩けた瞳がこちらを見つめた。
あぁ甘い。薔薇の香りが一際強く香り、柔い熱と共にシロップよりも甘いくちづけが降り注ぐ。
後の話は薔薇の下に隠して。