ほろ酔い果実に手を伸ばす
今となっては出演するのも慣れたバラエティ番組の声が嘘みたいに遠く響いた。
⿴⿻⿸
久々のオフ、彼女と過ごすのも久しぶりでどこか高揚した心を抱えながらその日を迎えた。
炬燵に入ってテレビを見ながら彼女と晩酌をする。そういった小さな楽しみは学生時代から変わらずに続いている。隣を見ればテレビ番組を見ながら楽しそうに笑っている彼女の横顔が見えて、そんな小さなことに思わず心が浮き立った。
空き缶の数が増え、日付が変わりそうになった頃。口数が少なくなってきた彼女の方を見た俺は、彼女にかけようとした言葉の代わりに思わず息を吐いた。
炬燵の熱とお酒のせいか赤く染まった頬、糖蜜に漬けられた果実のようにうるりと蕩けた瞳。思わずごくりと唾を飲み込んだが、許して欲しい。
触れたい、熱を感じたい。ぞわりと鳥肌が立つほどの自分勝手な欲望から彼女の肩に置こうとした手をすんでのところで止める。
酔った相手に手を出すなんて男として、その前に人としてどうなんだ?衣更真緒、お前はそれでいいのか?
自問自答を繰り返してはぐつぐつと煮えたぎる欲望の釜にどうにか蓋をしようとする。しかし理性の箍は簡単に外れそうで、メトロノームのように境界線を何度も彷徨った。
そんな時、不意に顔を上げた彼女がとろりとした瞳でこちらを見つめて小さな唇をそっと開いた。
「……キス、しないの?」
こてん、と小首を傾げると共にさらりと流れた栗色の髪。軽く突き出された唇は桜桃のように魅惑的。
あぁもう全部お前のせいだよ。
ずるい言葉を吐き捨てて君に口付けるまで後少し。
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久々のオフ、彼女と過ごすのも久しぶりでどこか高揚した心を抱えながらその日を迎えた。
炬燵に入ってテレビを見ながら彼女と晩酌をする。そういった小さな楽しみは学生時代から変わらずに続いている。隣を見ればテレビ番組を見ながら楽しそうに笑っている彼女の横顔が見えて、そんな小さなことに思わず心が浮き立った。
空き缶の数が増え、日付が変わりそうになった頃。口数が少なくなってきた彼女の方を見た俺は、彼女にかけようとした言葉の代わりに思わず息を吐いた。
炬燵の熱とお酒のせいか赤く染まった頬、糖蜜に漬けられた果実のようにうるりと蕩けた瞳。思わずごくりと唾を飲み込んだが、許して欲しい。
触れたい、熱を感じたい。ぞわりと鳥肌が立つほどの自分勝手な欲望から彼女の肩に置こうとした手をすんでのところで止める。
酔った相手に手を出すなんて男として、その前に人としてどうなんだ?衣更真緒、お前はそれでいいのか?
自問自答を繰り返してはぐつぐつと煮えたぎる欲望の釜にどうにか蓋をしようとする。しかし理性の箍は簡単に外れそうで、メトロノームのように境界線を何度も彷徨った。
そんな時、不意に顔を上げた彼女がとろりとした瞳でこちらを見つめて小さな唇をそっと開いた。
「……キス、しないの?」
こてん、と小首を傾げると共にさらりと流れた栗色の髪。軽く突き出された唇は桜桃のように魅惑的。
あぁもう全部お前のせいだよ。
ずるい言葉を吐き捨てて君に口付けるまで後少し。