ふかふかのソファーに腰掛けて本を読む休日はなんて素晴らしいんだろう。
休日バンザイ。心の中でそう叫んで、私はぐいっと伸びをした。

隣に座る彼をちらり覗くと、最近図書館に新しく入荷した本を幸せそうな顔で読んでいるのが見える。好きな作家さんの新刊らしく、ページをめくる音すら軽快だ。
私自身目の前の本に夢中になることは多く、彼が幸せそうなのは何よりなのだが、ここまで一緒にいるのに言葉を交わすことがないのはほんの少し、寂しくなる。
かと言って折角夢中になっているのを邪魔するのも心苦しい。

ふぅ、と息を吐いた私はお茶でも淹れてこようとソファから立ち上がろうとした。

すると、突然読みかけの本をパタンと閉じる音が耳に届いた。欲しい飲み物はあるか、尋ねようと彼の方に視線を向けると、ぐいと手首を引かれ私はその勢いでストンと再びソファに座り込む。ポスンとクッションに沈み込み、思わず目を白黒させた次の瞬間、亜麻色の瞳がふうわりとこちらに近づいた。ぎゅっと目を瞑ると、頬に触れる少しひんやりとした大きな手のひら。添えられた手はそのままに、そっとくちびるを寄せられた。

口づけするたびにカツン、カツンとフレーム同士がぶつかって軽い音が鳴る。その存在が邪魔に感じるようになると、彼はそっと顔を離して眼鏡を外す。そしてその端正な顔がさらりと現れる瞬間をぼんやりとしながら眺めているうちに、私の眼鏡もすっと外してしまうのだ。
爪の先までうつくしい、その大きなその手で優しくフレームに触れる瞬間がとてつもなく好きだ。頬に触れるか触れないか、の距離でそっと私の輪郭をなぞるように空気を撫ぜていく。
はっきりと見えていた彼の顔が少しぼんやりとしか見えなくなってしまうのがとても残念だけれど、眼鏡を外すという行為自体がお互いの夢中になっている様を表すかのようでドキドキしてしまうのだ。

あぁ溺れる。ふかくふかく。
絡んだ指が、触れる熱が、途方もなく愛おしくて切なく胸を締め付けた。