(現パロ)


顎に生やした髭を指先で撫でながらミケはキッチンへと熱い視線を注ぐ。その先ではひとりの女性がせわしなく動いていて、先程から飽きることなくそれを見つめていた。


「ナマエ、手伝おうか」

「大丈夫!今日はミケが主役なんだから、おとなしく待ってなさい」

「あぁ、わかった」


ミケはくつくつと肩で笑いながら目を細める。普段ほとんどキッチンに立たないナマエが珍しく腕を振るっているのは、今日がミケの誕生日だからだ。ナマエとは学生の頃からの付き合いで同棲するようになってからはミケが料理をすることが多くなっていた。というのも、ミケはカメラマンなどという不安定な職に就いているためそれを支えるためにナマエが努力に努力を重ね大企業へと就職し毎日遅くまで働いているためだ。本来なら休みを取ることも難しいのだが、ナマエはしっかりとミケの誕生日を覚えていて何ヶ月も前からこの日だけはと上司に掛け合っていたらしい。


「…ナマエ」

「んー?」

「貴重な休みを俺の誕生日に使ってよかったのか」

「えー、当たり前でしょ?ていうかミケの誕生日をお祝いするために休んだのに、それ以外のことするの?」


ナマエは変なの、と可笑しそうに笑った。ミケは何故だかその笑顔に年甲斐もなく胸が高鳴る。椅子から立ち上がり料理をしているナマエの背中に歩み寄るとそっと腹に腕を回し抱き締めた。


「お腹減っちゃった?ごめんね、やっぱり久しぶりだと手間取っちゃって」

「………」

「…ミケ、服に手を入れないで。危ないよ」

「料理は後で一緒に作ろう」

「……わ、私が全部やってあげたかったのに」

「また来年頼む」


ミケはコンロの火を消すとエプロンの紐を解いた。ナマエの体を反転させて拗ねたようにつんと上を向く唇にキスを落とす。顔を赤くしながら睨んでくる彼女が酷く愛しかった。