綺麗にラッピングされた箱が山ほど入った木箱を台車に乗せて廊下を歩く。ゴロゴロと響く音にすれ違う者は皆その姿を目で追っていた。


「失礼しまーす」

「ナマエ、てめぇノックぐらいしろ」

「兵長もしたこと無いでしょ。それよりこれ、今年の分ですよっ、と」


どさ、と木箱を降ろすとリヴァイは嫌そうに顔を歪めた。舌打ちをするといらねぇ、と一言。


「そんなこと言わないで貰ってあげたら良いじゃないですか。これなんてシーナの有名店のチョコですよ」

「いらねぇって言ってんだろ。送れば食うとでも思ってんのか」

「皆もしかしたら、って思いながら小さな可能性にかけて送ってくるんですよきっと。それほど兵長が好きだってことじゃないですか」

「好きだってんなら相手の好むもん送ってこい」

「そんなの私に言われても」


本日はバレンタインだ。毎年兵団宛に届くリヴァイへの大量のチョコレートは大きな木箱にひとまとめにされ部下が直接本人に届けることになっている。そして今年はナマエがその役割を担うことになったのだ。


「たぶんまだ届くと思うので、残りは夕方にでも持ってきますね」

「おい」

「あ、いらないっていうのは無しですよ。処分するにしてもきちんと受けとるのだけはしてあげてください」

「お前からのはどれだ」

「あ、部下一同からはあとで直接持ってきます」

「違う。お前個人からのは無いのか」

「え…ありません…けど、」

「……」


リヴァイはおもむろに自分のデスクまで歩くと引き出しを開け取り出したものをナマエに向かって投げた。受け取ったそれは今ナマエが運んできた物と同じように綺麗にラッピングされている。


「やる」

「え?」

「今日はバレンタインなんだろ。だからやる」

「え、あの…」

「お返しはそうだな…お前自身なんてどうだ」

「え!?へ、兵長…?」


リヴァイはゆっくりナマエに近づくとじりじりと追い詰める。後ずさるその背中が壁につくとそこに手をついて赤く染まるナマエの顔に自分のそれを寄せた。


「来年はお前からしか貰わねぇからな。ちゃんと用意しとけ」

「そ、れって…あの、」

「察しろグズが…好きだって言ってんだよ」


言葉とは裏腹に優しい手つきで頬を撫でるとリヴァイはそっと触れるだけのキスをした。


Happy Valentine