顔合わせ

『荒覇吐事件』が解決し、組織に太宰くんが正式加入してから1ヶ月。そして其処から更に、何日か経過した。
「ねえ。暇なのだけど」
「待って。森先生の宿題やってる」
「君は僕の世話役だろ?だったら主人の要求に応えたまえよ」
「そういうのは中也くんじゃないの?」
森先生が新しい子を引き抜いたと云ってた。中原中也くん。太宰くん曰く、下僕。
「犬と世話人は違うよ。主人と衣食住を共にし、仕えるのが世話人。犬は外で番をし、主人の命令にはイエスでしか応えない」
少し誇らしそうに解説された。
「あ、そろそろ巻き直ししないと。太宰くん、そこ座って脚乗せて」
半日毎に石膏帯とその下の緩衝材の巻き直しをする。発疹とかの皮膚障害を予防するために。この間は腕だったけど、今回は左下肢。長椅子にちょっと偉そうに座る。似合うのが何か悔しい。
「太宰くん何時も骨折してるね」
「森さんの人使いが荒いんだ」
「この後、森先生に呼ばれてなかった?」
「そ。なんでも新しい子を引き取ったらしいよ」
「ふうん」
見に行くかい?と誘われて、付いてくと答えた。
 その先で、姉さんと母様に会った。
「あ」
すれ違い様に太宰くんと、もう一人の子が叫んだ。そして言い合いを始める。森先生と母様は顔をしかめながら何か話してる。私と姉さんは言い争う少年二人を眺めた。
「ねえ、この子が噂の中也くん?」
「そうだよ!なんか私と組むらしいよ」
「そうなんだ。太宰くんが下僕だって云ってたよ?」
「下僕とか太宰治怖すぎ。ねー!中也さんうるさい!」
「太宰くんもそんなに叫べるなら私戻ってるよ?」
「叫べるのと怪我は関係ないだろ?腹や喉を怪我してる訳じゃあるまいし」
「じゃあ俺がここで切ってやろうか?」
「はーん?そうやって直ぐ手を出す。吠えることしか知らない犬は躾なきゃ」
売り言葉に買い言葉。言い合いをする二人は楽しそうだった。太宰くんも心なしか、歳よりも少し幼い姿に見えた。
「ほら、太宰くんも中也くんも止めなさい。女の子の居る前でそんな事するもんじゃないよ?」
森先生が間に入って二人を止めた。太宰くんはニヤニヤしながら、中也くんは牽制を振り切ろうと騒いでる。
「……本当に此れで善いのか?新首領殿」
「善いんだよ、紅葉さん。此の四人だから佳いんだ」

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