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2019/03/24

diary

マシュマロ

 いつも御三家を読んでくださってありがとうございます! 御三家シリーズも試行錯誤しながら書いておりますが、素晴らしい作品とまで言っていただけて嬉しいです……。ご自身も小説を執筆されているということで、お互いがんばりましょうね!

 さて、質問に対するお返事ですが、長くなりそうなのでこちらでお答えします。ただ、私自身小説を書きながら悩んでいたり疑問に思っていたりするところなので、あくまでも私の書き方として参考にする程度にお願いします。




新横浜駅ていう名前は出しても大丈夫でしょうか


 著作権との関係では出しても構わないと思っています。



「不安なら表紙に"作品内に登場するものがたとえ実在していたとしても、関係ありません"とか、"この物語はフィクションです"って書けばどうでしょう」と答えられていました。…(略)…フィクションじゃないのでフィクションって書くのもなあと思っています。


 私もそう記載するのが無難だと思います。

 必ず記載しなければならないものではないですが、固有名詞の使い方次第では予防線的に「フィクションです」と断っておくほうがいいかとは思うんですね。新横浜駅を例に用いますと

@平日だというのに、新横浜駅はサラリーマンから子供まで、とにかく人が多くて賑やかだ。新幹線が止まるから当然だけれど。
A新横浜駅には決まってガラの悪い大人がいる。構内は煙草の吸殻だらけで汚いし、嫌煙家の私には臭いも辛い。

 とても極端なですけれど、実際の新横浜駅がどうであれ、知らない人はAを読むと新横浜駅に悪いイメージを抱きますよね。更に、新横浜駅をよく利用する人や、愛着がある人は不快な思いをすると思います。

 著作権のないものについては、夏目漱石や東野圭吾という作家名を作中でそのまま用いてますが、いずれも「登場人物の好きな作家」として出しています。もちろん、現実的に特定の作家に賛否両論あるのは、それは当たり前だと思っているのですけれど、そう思わない人もいますよね。更に、作中の登場人物の思想思考を作者の思想思考そのものだと思っている方もいるかもしれません。そういった誤解を避けるために、作中で登場人物がマイナスイメージを持っている人・物については私は固有名詞は遣わないようにしていますし、連想したとしてもあくまで現実に即した描写でないと断るために「この物語はフィクションです〜」と記載しています。

 著作権・商標権のあるものについては更に複雑な点があるので注意が必要な気もしています。商用に出版されていなければそれほど問題になることはないと思いますが、一応法律で権利として保護されているものなので慎重にならざるを得ませんよね。一方で、固有名詞を用いることでできる描写もあります。たとえば、御三家シリーズでいえば、アンティプリマとDiorをもじって使っていますが、両方とも「高校生が持つには高価なもの」とすぐに認識できるので、このようなブランド名を出すことに描写としての意味がありますよね。そこで、私の中での折衷案として、

・両者の名称をもじる(あくまでそのままは使わない)
・使う場面でも、希望役員で美人な飯田さんが使うなど、その固有名詞のイメージを壊さない使い方にする

というのがあります。後者に関して具体的にいえば、生徒会希望役員の飯田さんと赤井くん。作中での2人の立ち位置は、飯田さんは素直で美人でお金持ち、赤井くんはなんだかイキッてる嫌な男子、といった感じです。このとき、飯田さんがDiorとかアンティプリマを使っても、よほど深読みしなければアクセサリーにマイナスのイメージを抱くことにはならないと思います。ただ、赤井くんに有名ブランドを使わせると、あたかもそのブランドが「イキった高校生男子が使うもの」かのようなイメージを抱かれる危険があります。そこで、赤井くんの持ち物に関しては「ブランド名は分からないけど高そう」くらいにしています。特に亜季ちゃんは女子なので「男物はよく分かんない」とフォローを入れても不自然ではありませんしね。

 これは私の炎上予防措置てきなものなので、新横浜駅のAのような極端な描写でなければそういった断りを入れなくてもいいかもしれません。



表紙にフィクションです。って書いておいて、あとがきで、実体験をもとに作成しました。って書いたら嘘つきですかね!?


 嘘ではないと思いますよ。おっしゃる通り、アレンジしてあれば実体験をもとでもフィクションともいえると思います。

 ノンフィクションとフィクションの違いはいまいちわかっていないのですが、ノンフィクションとは現実に起こったことを、時・場所・態様など全て現実に即して記したものかなと考えております。この考え方ですと歴史や伝記くらいしかノンフィクションに当たるものはありませんが……。

 一方フィクションとは、現実に起こったことをモデルにしているか否かに関わらず、創作部分が一割以上含まれていることを私の中で基準にしています。例えば山崎豊子さんの作品は現実にあった事件をモデルにしているものが多いですけど、人物名や固有名詞は別ですし、山崎豊子さんなりの主張も反映されていますよね。ですからあくまで現実をモデルにフィクション小説という形にしたと言えるのではないかと。
 
 私自身、短編集は大体実体験をベースにしたものなのですけれど、伝えたいことを主軸に据えるためにアレンジを加えて「フィクション」としていますよ。


フィクションって言っておいて、実在する横浜駅っていう言葉を使うのはよくないですか??


 よくないことはないと思います。あくまで横浜駅を舞台にした物語としてありだと思いますよ。御三家は現在本町→心斎橋→難波と旅していることを明記していますしね!(笑)


***

 ご質問いただいたのはこのくらいでよろしかったでしょうか? 著作権は難しい問題ですから、私自身頭を悩ませていますし、間違っている答えもあるとは思いますが、ご参考になれば幸いです。