桐椰くん×亜季ちゃん



「あのさぁ、第六西でいちゃつくの、やめてくんない?」


 ん?と私と桐椰くんは揃って顔を上げた。松隆くんは笑顔を浮かべる気もなさそうに私と桐椰くんを見下ろしている。


「いちゃついてなくないですか?」

「いちゃついてるだろ」

「一緒に漫画読んでるだけじゃねーか」

「読み方ってものがあるよな?」


 ひくひくと松隆くんの顔がひきつるので、仕方なく漫画を閉じて机に置く。桐椰くんも漫画を置いた。私は桐椰くんを見上げて、桐椰くんは私を見下ろして、揃って松隆くんを見る。


「何か問題でも……」

「……駿哉、ちょっと言ってやって」


 松隆くんが遂に匙を投げた。第六西に来た時、月影くんは読書を決め込んでいたけれど、今でも同じ姿勢で読んでいるのだろうか、と起き上がる。ソファの背の向こうにいた月影くんは、私と桐椰くんが第六西に来た時と同じ姿勢から本をぱたんと閉じた。


「第六西で膝枕をするな」

「えー?」


 そして、ソファに座った私と桐椰くんは顔を見合わせる。松隆くんは腕を組んで足をトントンと踏み鳴らし、苛立ちを隠さない。


「なんでだめなの?」

「いちゃつくなって言ってるんだ」

「膝枕だろ、いちゃついてないだろ」

「お前が膝枕はいちゃついてるうちに入らないなんて抜かすな、五年早い」

「リアルな数字言うんじゃねーよお前!」

「ていうかいちゃついてちゃダメなんですか?」


 ごろーん、と再びソファで足を投げ出し、桐椰くんの膝に頭を乗せると、その位置から見える松隆くんのこめかみに青筋が浮かんだ。


「ダメです」

「なんで?」

「目障り」

「そんな一言で!」

「自分に彼女いないからって僻《ひが》むなよ」

「僻《ひが》んでない」

「目が本気だぞ」

「……遼、桜坂」


 ひんやりと、松隆くんの目の温度が急激に低下した。


「帰れ」


 見事に廊下に放り出される羽目になり、私と桐椰くんは顔を見合わせる。


「ダメなんですかね、膝枕」

「ダメらしいな」

「最近いつもやってたからかな」

「毎日見せられたら鬱陶しいのかもな」


 「松隆くん、自分に彼女できたら所構わずいちゃつきそうなのにね」「すげぇ分かる。アイツ独占欲強そうだし」なんて呆れながら学校も出る。とはいえ、今日は松隆くんに追い出されてしまったせいでいつもより早い。


「桐椰くんって早く帰る日なにしてるの?」

「ん、まっすぐ帰るけど」

「晩ご飯の支度?」

「あぁ。でも今日は遥が塾で遅いから、そんなに急がない。どっか寄る?」


 少し高いところから首を傾げられ、んー、と考え込む。


「寄るというか」

「うん」

「桐椰くんの家行ってみたい」


 何気なく口にしたのだけれど、桐椰くんはピシッ──と固まった。


 が、桐椰くんが断ることはない。もちろん、最初は言い訳でもするように「えー、いや、今日は遥遅いから……」「遥くんが普通に帰ると晩ご飯の準備しなきゃいけなくなるんじゃ?」「いやそうなんだけど……」「お母さんが帰ってくるから同じこと?」「いや母さんいつも遅いからそれは関係ないんだけど……」「行かないほうがいい?」「いや来ない方がいいとは言わないんだけど……」と歯切れの悪い遣り取りを続け、最終的に「分かった、でもいつも通りの時間には送るからな」と折れてくれた。


 桐椰くんの家はもちろん私の家からはかなり離れてて、一緒に行くだけでも時間を潰せてしまった。桐椰くんが住んでるのは高層マンションで、高級そうなエントランスに立ってわくわくする頃には、お茶でも飲めば帰ることになりそうな時間になっていた。ほほーう、とお上りさんよろしくエントランスできょろきょろする私に、桐椰くんは胡乱な目をむける。


「そんな珍しいか?」

「いやぁ、こんな高そうなマンションに住んでる桐椰くんってやっぱり庶民ではないんじゃないだろうかと」

「その代わり、母さんはワークイズライフだけどな。バランスもへったくれもねぇよ」


 なるほど、大変お忙しいということか。それ以上聞くとお父さんの話にも踏み込むことになりそうなので、「遥くん塾から帰るの遅いの?」「九時には帰るだろうよ」と話題を変えておいた。


 そして、桐椰くんが住むマンションの一室はホテルみたいに綺麗だった。部屋の数は多くない、と桐椰くんは言うけれど、リビングにはスクリーンなのかなって思うくらい大きなテレビがあるし、その両脇にはステレオが構えてあるし、掃き出し窓の外にあるベランダからはいい夜景が見れそうだし、対面のキッチンは作業場も含めて理想的な広さだ。おおぉぉ!と一人で感動する。


「高級感……!」

「総の家見た後で見ても大したことねーだろ」

「松隆くんの家は現実離れしすぎて逆に凄さが伝わりきらないみたいなところあった」

「まぁそりゃそうかもな」

「桐椰くんの部屋は?」

「待て」


 見たい、と顔を輝かせると、カバンを下ろしもしない桐椰くんに両肩を掴まれた。ん、と首を傾げると、その顔が下手くそな笑顔を浮かべた。


「お菓子でも出してやるからソファに座ってろ」

「えー、でも桐椰くんの部屋、」

「貰いものがあったからな、ゼリーと最中どっちがいい」

「……ゼリー。桐椰くん、手洗いたいんだけど」

「洗面所は廊下の突き当り。……部屋寄らないで戻って来いよ!」


 桐椰くんはやたら私の行動を警戒し、言い聞かせるように強い口調で言った。私が家探しをするとでも思ってるんだろうか。別に桐椰くんがいかがわしい本を隠しててもなんとも思わないけど、と首を捻りながら言われた通りの場所に向かい、手を洗う。洗面所も、洗面台に寝転ぶことができるんじゃないかと思うくらい広かった。まるで女優部屋みたいに鏡も大きいし、手を洗うだけでも落ち着かなかった。リビングに戻る廊下で扉を観察していると、“RYO”という札がぶら下がった扉と“KANATA”と“HARUKA”という二つの札がぶら下がったものがあった。多分、元々彼方が一人部屋、桐椰くんと遥くんが同じ部屋にいたんだろうけれど、彼方が大学生になったから桐椰くんが一人部屋になって、彼方の部屋を遥くんが貰ったんだろう。扉はしっかり閉まっていたので中は見えなかった。残念だ。


 リビングに戻ると、漸くカバンを下ろした桐椰くんがお湯を沸かしていた。隣に行くと、作業台の上に苺の模様をあしらった小皿が二枚、同じ模様のカップが二つ並んでいる。ゼリーと紅茶を出してくれるのかな。


「紅茶、何がいい?」

「んー、紅茶の種類よくわからないから、桐椰くんの好きなの」


 案の定、桐椰くんは紅茶を淹れてくれる予定らしい。女子力高いな桐椰くん。ふむふむ、とその間にキッチンを物色していると「ソファ座ってていいぞ」と頭をぽんぽんされてしまった。犬のようにあしらわれては仕方がない、言われた通り、シングルベッドより一回り小さい程度の──つまり寛ぐには十分に大きなソファにクッションを抱えて座る。サイドテーブルの上には青色と赤色のクリアファイルが置いてあって、青色のファイルは空だったけど赤色のファイルには“三者面談のお知らせ”とのタイトルのついた紙が挟んであった。もしかして桐椰くんと遥くんからのお知らせ用かな……。


「ねー桐椰くん」

「なんだよ」

「桐椰くんのお母さんっていつも何時に帰るの?」

「バラバラだよ。早いときは日付変わらないし、遅いときは朝だし、帰ってこない日もあるし」

「……弁護士って忙しいんですね」

「忙しいタイプの弁護士らしいぞ」


 俺にもよくわからん、と言いながら、桐椰くんは紅茶の入ったポットとカップとゼリーの乗った小皿をお盆に乗せて現れた。桐椰くんは見た目だけは金髪ヤンキーなので絵面が明らかにおかしくてじろじろと見つめてしまった。その片手は器用にテーブルの上を片付け、目だけが「なんだよ」と抗議するので首を横に振った。


「ゼリー二種類しかなかった。どっちがいい? 巨峰とマスカット」

「んー、マスカット」

「ん」


 ひょいと私の前に黄緑色のゼリーが差し出される。紅茶はもう少しだな、なんてポットを見ながらタイミングを見計らう桐椰くん、やはり絵面がおかしい。


 桐椰くんがソファに座ると、少しだけ隣が沈みこむ。すかさずその膝の上に頭を乗せた。


「……その姿勢でゼリーは食えないだろ」

「食べるときは起きる」

「食べないのかよ」

「紅茶が入るの待ってる」

「そうかよ」


 桐椰くんと付き合って、膝枕なんて数えきれないほどしてもらった。外でしてもらうことはないのでいつも第六西だけど、桐椰くんは頭を撫でてくれるし、桐椰くんの膝は高さも丁度いいし、体温も高くて温かいし、桐椰くんの膝枕を私は結構気に入っている。桐椰くんも別に迷惑そうな顔はしないし、適当に構ってくれるので好き勝手に太腿の上でごろごろと身動ぎするのが常なのだけれど──なぜか今日は不満げだ。


「……膝枕嫌?」

「……嫌じゃねぇけど」

「なんか嫌そう」

「……別に嫌じゃねぇけど……」


 桐椰くんの家に行きたい、と強請ったときと同じ歯切れの悪さだ。原因が分からずに眉を顰めてみても「ほら紅茶入ったぞ」と起きるように促されるだけだった。うーん、と首も傾げながら、紅茶の注がれるカップを見つめる。


「……桐椰くんって器用というか、こまめというか」

「ただの慣れだからな」

「んー、私が慣れる気配はないんですよねぇ。でも桐椰くんがしてくれるからいいかー」

「まぁ別にいいけど、俺がいないとき不便だろ」


 いただきまーす、とマスカットゼリーを一口食べる。贈り物御用達のお店っぽい、高級な味がした。桐椰くんが巨峰ゼリーを食べているので、あー、と口を開ける。何も言わないのに桐椰くんは何も言わずに私の口に巨峰味を一口くれた。代わりに私がマスカット味を一口差し出すとぱくっと食べる。


「おいしい」

「フルーツ専門店だからな」

「机の上のファイルってお母さんの連絡用?」

「あぁ、起きてる間に帰ってくるとは限らないから。っていっても、テーブルの上も見ないで寝ること多いんだけどな」


 食べる?とゼリーの中に入ってる巨峰を一つ差し出されたので迷わずもらった。代わりにマスカットも一つ差し出す。桐椰くんも構わず食べる。


「桐椰くん、本日の夕飯の献立は?」

「んー、鮭の塩焼きと肉じゃが」

「家庭の味!」

「……食べて帰る?」


 ぱぁっと顔を輝かせれば、桐椰くんは少し迷った後にそんな提案をしてくれた。私のいう“家庭の味”がイメージに過ぎないと知っているからだろうか。そうだとしたら、そんなリアクションをとった私はちょっとズルいのかもしれない。だから紅茶の湯気で頬を暖めながら、ふふ、と笑う。


「大丈夫、帰るよ。連絡するの面倒くさいし」

「……でも帰るのいつもより遅くなるだろ」

「気にされないよ」

「……鮭、三匹ずつしかなかったから、一匹残ってる」

「三匹ならお母さんの分もあるじゃん」

「魚は焼いとくわけにはいかないから。折角来たんだから食べて行け」


 丁度桐椰くんのスマホの電話が鳴ったのもあって、桐椰くんは立ち上がりざま私の頭を乱暴に撫でていった。ふむ、と頭に手を乗せてその感触をちょっとだけ味わう。


「……だったら夕飯要らないって連絡しようかな」


 桐椰くんがキッチンで「あぁ、なんだ、だったら買ってきてほしいもんある」と話しているので、私はこそこそと廊下に向かう。メールだと書き方に困るから電話をかけようとして──やっぱりメールで済ませよう、と「用事があるので夕飯は結構です」と短く打った。もう少し色々謝るべきかもしれないと思ったけど、何を言ってもどうせ気に障ってしまうのは分かっている。


 たったそれだけのことで一仕事終えたような気持ちになって、ふぅ、と息を吐く。どうせ返信はないからスマホを気にする必要がない、というのだけは気が楽だな……、と顔を上げ──不意に桐椰くんの部屋の扉が目に入る。


 ……桐椰くんの部屋。入りたい。というか中を見たい。どうなってるんだろう。片付いてるのかな。ていうか何が置いてあるのかな。趣味料理とか言っちゃうから料理の本とかあるのかな。


 好奇心半分、悪戯心半分。そんな気持ちで扉に手をかけて、音を立てないようにそっと開く。


 ぱっと目に入ったカーテンは白。左手にあるベッドのシーツは紺色。秋だからか、掛布団は少し薄手だった。入って右手には本棚、ベッドの向かい側には学習机。まず本棚の中身を見ると、『満足できるあと一品』『忙しい朝に五分でおかず』と予想通りの主婦っぽい料理本、『Re:loaded』というタイトルのついた文庫本が四冊、よく見るとT〜Wと書いてあるのでシリーズものだ。裏表紙を読む感じSFだ。他にも書店の広告に載っていたことがあるような話題の小説が何冊か、あとは少し皺のできた演習書が数冊。数冊ある赤本の中には彼方の通う大学のものがあったので、どうやら演習書も含めて彼方のものを引き継いでいるらしい。学習机の上は綺麗に片付けられていて、どう見てもジャムの瓶だったのでは、なんてものが鉛筆立てになっていた。旅行のお土産なのか、ピサの斜塔が描かれた置時計、シンプルなデザインの卓上カレンダーも並んでいる。本棚の上を見上げると、盾がいくつか並んで、賞状の入っている筒が無造作に並んでいた。


 ある程度物色できて満足したので、なるほど、とベッドに座り込む。もふ、と体が沈み込んだ。桐椰くんの部屋には怪しいものが何もないことがよく分かった。


「お前何してる!?」


 そして、怪しいものが何もないのに、桐椰くんが血相を変えるほど慌てて部屋に飛び込んできた原因は分からない。ん?とわざとらしく首を傾げた。


「何もしてないよ?」

「人のベッドに勝手に座るな!」

「えー、いいじゃん、桐椰くん潔癖症?」

「そうじゃねーけど!」

「あー桐椰くんの匂いだー」

「やめろ!!」


 嫌がる桐椰くんが楽しくてベッドにダイブするとやっぱり叫び声を上げられた。桐椰くんのベッドの掛布団にうずくまってチラッと見ると、真っ赤になった桐椰くんが頬をひきつらせている。


「おい……今すぐそこをどけ」

「えー、やだ」

「やだじゃない! ほら夕飯作るの手伝え!」

「私、遥くんと同じ時間でいいよ?」

「アイツが今日塾休みだったとか言い出したんだよ! 七時くらいに食べれるように作るから!」

「えー、でも私料理下手だしなー」

「グダグダ言ってないで……!」


 ほら起きろ、と腕を引っ張られたので、仕方なく起き上がり、そのままベッドに座る。ベッドからも降りろ、と催促されるので、ヤダ、と首を横に振って、代わりに座ったまま桐椰くの背中に手を回す。抱き着くのも何度めか分からない。いつも宥めるようによしよしと抱きしめてくれる桐椰くんの腕の中は、心地がいい。


 ……はずなのだけれど、今日はどうも違和感がある。むっと顔を上げるけれど、桐椰くんは私の肩に顔を埋めるだけだ。


「……桐椰くん?」

「……俺の部屋入るな。頼むから」

「なんで? 見られて困るものないでしょ?」

「ないわけじゃ……いや言わせるな。そうじゃなくて、入るなって……つかベッドはやめろ……」

「でもこうしてるだけでも桐椰くんの匂いするから同じことだよ」

「こら」


 スンスン、とその首筋に顔を埋めて匂いをかぐと、くすぐったそうに引きはがされた。仕方なく、ん、と手を伸ばすと、桐椰くんは恥ずかしそうに唇を引き結びながら、私の背中を抱えるように抱きしめながらキスをしてくれる。


 キスも、何回かした。でも、一度松隆くんに見られてめちゃくちゃに怒られたことがあるので、その時以来第六西ではしていない。大体、人に見られないように、裏庭で一瞬とか、その程度だ。


 要は、邪魔が入らないと確信できてるキスは今日が久しぶり──というか初めてのようなものだ。ちゅ、ちゅ、と何度か唇を触れ合わせ、「ん……」と少し長めに重ねる。それだけで力が抜けてしまうほど恥ずかしくて、桐椰くんの腕を掴む手からは力が抜けていた。


 気づいたら、座っていたときの姿勢からそのまま桐椰くんのベッドに寝転ぶ態勢になって、そのままひたすらにキスを繰り返していた。


「亜季……」


 はっ、と吐息が唇と唇の隙間から零れた。


 その瞬間、ふっと唇が離れた。ぱちっと開いた目に入ってきたのは、学習机に手をつく桐椰くんだ。


「……桐椰くん、ちゅー……」

「終わり」

「えー」

「夕飯の準備するからリビング行け」

「えー」

「不満そうに言うな今日は終わり!」

「ケチ」

「ケチじゃねーだろ! お前ッ……米研ぐくらいできるだろ! ほら行くぞ!」


 背中を向け続けていたと思ったら突然腕を掴んで部屋から連れ出された。あー、桐椰くんの部屋が、と名残惜しく振り向く私の鼻の先で扉が閉められてしまった。そしてそのまま腕を引っ張られてリビングに戻される。桐椰くんは終始私に背中を向けたままだ。


「ねー、桐椰くん、なんでちゅーやめるの?」

「うるさい黙れ」

「ケチ」

「だからケチじゃねーだろ! 俺もやめたくてやめたんじゃないんだよ!!」

「でもやめたじゃん?」

「色々あるんだよ男には!!」


 頬を膨らませる私に、桐椰くんは真っ赤になって怒鳴った。なるほど。


「確かに、ベッドに座れば桐椰くんは狼狽えるというのは月影くんの情報通りでした」

「……は」

「ちゅーを強請り続ければ最後は起こるだろうという松隆くんの入れ知恵も正しかった」

「……お前ら……」


 今度こそ、桐椰くんの額には青筋が浮かんだ。


「俺で遊ぼうとするなって何回言えば分かるんだ!」

「遊んでないよー、松隆くんが試してみろって言うからー」

「それを遊んでるって言うんだよ!」

「あ、でも桐椰くんの部屋を覗きたかったのは私の個人的な興味です!」

「知らねーし要らねーよそんな興味! お前二度と家に呼ばねぇからな! 夕飯食べたらさっさと帰れよ!!」

「えー、ケチ。ちゅーも途中でやめるし」

「キスに途中も何もあるか! いいから手伝え!!」






「って感じで、桐椰くんと付き合ったらほのぼのだよねぇ」

「夫婦みたいで腹が立つからやめてこれ」

「松隆くんはそうやっていつもあたしの小説に文句を言う」

「あと俺が桜坂と遼が付き合ってるのを認めてるみたいな描写も気に食わない」

「認めないと付き合えるわけがないと思って」

「それはそう」

「それはそう、じゃないですよリーダー。なんでリーダーの許可がいるんですか。まぁ別に桐椰くんと付き合いませんけど」

「おい流れ弾はやめろ」