前略 異なる世界に住んでいるであろうお母様。
貴女の娘である私はハイラルということなる世界で、図太く逞しく元気に過ごしています。またこの世界の英傑と言われる方と旅をしており、たった今最終局面とも言える場所に立っております。何故最終局面にいるかと疑問に思うと思います。それもこれも並々ならぬ事情で英傑、若しくは勇者と呼ばれる彼と旅をしていたからに過ぎません。私としては森の中で優雅に過ごす予定だったの他ですが、本当に何故ここにいるのか勇者様しか存じ上げないでしょう。
それに此処に来るまでに色々な出来事に遭遇し、私なりに昔の面影もないような成長をしていると認めざるを得ません。是非とも見てもらいたいものですが、住んでいるであろう場所が異なるので、それは叶わぬ事だと理解しております。
成長の一例としてイノシシの解体や、ロッククライミングが出来るようになったと報告だけでもしたいのですが、たった今青い光が駆け抜け、伸びた髪が塵一つ無く消え去ったので安全な場所に移動しようかと思います。
きっと目の前で厄災とやらと共に穴に落ちた英傑様が死闘を繰り広げ、青いひかりは援護だと勝手に解釈をしてこの場から去ります。
穴に落ちる勇気も無謀もないので、英傑様が綺麗に掃除したこの城を散歩しながら逃げようと思います。

では、お体に気を付けてなるべく長生きをしてください。

草々 カナデ


追伸。
最近気がついたのですが色々足していくと目出度く130歳を軽くこえてました。
そちらでは何年たってますか……?









「コログちゃぁぁぁぁん!今のうちになるべく遠くに、この場からダッシュで去るよぉぉぉ!」

『勇者様は?』

「しるか!私はコログの森に帰る!なんで一般人が最終決戦に立ち会わなけりゃいけないんだ!」


私は勇者でも特別なものを持つ人間でもないんだ!
旅にでるよりも森でコログたちに囲まれてむにゃむにゃゴロゴロして過ごしたかった!
弓の腕前が無駄にあがったり普通の人より戦えたりするが、共に旅した英傑兼勇者様には到底叶わない。旅の中頃から本来の調子を取り戻し、嬉々として敵に飛び込んでいく戦闘狂についていける自信はない。
そしてこの大事な場面で逃げれば地のそこまで追ってくることも承知の上で私は逃げる。
大丈夫。絶対に勇者は姫様と呼ばれる人を見捨てない。私、暫く平和に森で震えながら暮らせる。
そう、あの日 あの時あの場所で神の演説に根負けしなければこんなことにならなかった。
約100年まえの私は本当にバカだったと言える。



そう、この勇者から逃げなければならなくなったのは、100年の私の選択ミスによるものだ。





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