かわいいっていって!

「なにその服」
「新しく買ったんだよ!これ、かわいくない?」

そういってその場でくるりとまわる。
大好きなブランドからでたとってもかわいい新作の冬用ワンピースだ。細くて綺麗なシルエットで、これならきっとお気に入りのロングコートにも合うだろう。
どうどう?かわいいでしょ?


「エッロい」
「…はぁぁ?」

突然なにを言い出すんだ、この男。
冬服なので当然肩は出てないし、このワンピースは膝丈だ、つまり際立った露出はない。

「えっ、どこが?」
「どこがって、そんなん…」

彼は一歩下がって少し熱っぽい目で全身をじっと見つめてきた。

「服がタイトだから身体のライン丸わかりじゃん、胸とかおしりとか」
「そんなとこ見てんの…」
「見るだろ、こんなん。はぁー、エッロ。絶対外に着ていくなよ」

聖臣くんはつーっと腰のラインを撫でる。
いかにも性的な目で見られています、という感じでかなり居心地が悪い。別にそんなに良い身体でもないんだけどな…

「べつにそんなつもりじゃないし、エロくないから!今日の優里ちゃんとのデートに着ていくの!」
「はぁ?ダメに決まってんだろ、こんなセックスアピールすごい服。」
「せっ…⁈」
「とにかくダメだから。大人しく違う服選んで。」

聖臣くんはそう言ってうなじにちゅっとキスを落としてさっさと部屋から出て行ってしまった。
珍しくあそこまで口出ししてきたし、別に私も彼以外の男の人に性的な目で見られるのは望むところではないので違う服に着替えることにした。
あーあ、かわいいと思ったんだけどなぁ。


後日、聖臣くんにこの服を着るようにせがまれ、おいしくいただかれたのはまた別のお話。

Serenissima