大人になれないぼくら



いつからだったか、好きという単純な言葉でさえ言いづらいような関係になってしまったのは。

私と茅ヶ崎至はまだ学生の頃、お互いに付き合っているふりをしていた。

お互い実家が近く学校も同じで、最初は最初はたんなる気の許せる幼馴染というものだったはずなのに、年を重ねていくと周りがカップルだなんだとよく騒ぎ立てていた。

幼馴染という関係は同級生達にとって特別なもののようにみえたのだろう。

高校に入学して暫くすると彼に気を持つ女子生徒が増え始めた。

そして私は女子生徒にとって気になる彼の邪魔な幼馴染みという位置付けになり、放課後に呼び出しだの、これを渡して欲しいだの頼まれごとを押し付けられる日々が続いた。

そして高校に入っても周りによく囃し立てられる日々が続き、お互いもう面倒だったのだろう、放課後に彼の家でぼんやりと二人でゲームをしている時に唐突に彼が、俺達もう付き合っちゃわない?と言ったのだ。



耳を疑った。 面倒くさがりでも、表面は社交性のあるような男だ、そういった女子などの扱いや躱し方などに慣れていると思っていた。

女子を避けるのも面倒くさくなって私と付き合おうというのかこの男。

「それ私にメリットなくない??」

「えぇ、そうかな?あると思うけど」

「むしろもっと他に囃し立てられそう」

「う~ん」

ゲームのコントローラーの音が響く部屋でのんびりと現実味がないような話をしていた。

だが彼にいきなり付き合おうと言われたのだ、驚かない方がおかしい。

しかしそういった意味ではなく彼は、女子避けのため、面倒ごとを避けるために私を使おうというのだ、それの行き着くところはつまり、彼のゲームをする時間を確保したいという事だろう。


「あっ、おい何死んでんだよ~」

そして私は何度も何度もゲームのキャラクターを死なせてしまっていた。

だが私はこの男のそんな面倒くさがりな性格を利用しようと考えていた。



つまるところ私はこの男、茅ヶ崎至が好きだったのだ。



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