朝、日課のコーヒーを淹れていると、寝室のドアが開くのが視界の端に見えて、顔を上げた。
まだ眠たそうな顔をした光が、Tシャツにショートパンツ姿の無防備な姿で歩いてくる。少し乱れた髪も、開いた襟ぐりから覗く鎖骨も、ゆるいTシャツ越しにもわかる躰の凹凸も、すらりと伸びる柔らかそうな長い脚も…見るたびに胸の奥がくすぐられる。

「おはよ。」
「おはようございます…」

小さく欠伸をしながらキッチンにやってくる光の為に、俺は後ろの食器棚からマグカップをとろうと手を伸ばす。すると――その隙にとばかりに、光が後ろから抱きついてきた。背中には柔らかい感触と、伝わる鼓動。一瞬動揺しつつもマグカップを取り、コーヒーを注ぎに調理台へ向かう。

「どうしたんだよ、いきなり。」

笑い交じりに聞きながらコーヒーを注ぐ。光は俺の背中にくっついたまま、甘えるように頬ずりをする。

「べつに。」

態度と合わないそっけない返事に小さく笑いがこぼれる。まだ酔ってるのかよ、なんてからかおうと思いついた時、すぅ、とわずかに深い呼吸を感じた。え…まさか……俺のにおい、嗅いでる?
…いやそんなまさか、こいつがそんなこと…。つーか恥ずかしすぎる。…はっ、まさか…俺臭うのか?

「……何してんの?」

恐る恐る問う。

「におい嗅いでます」
「えっ……」

なんてことないように返ってくる答え。ほ…本当に嗅いでた…

「…なんで?」
「なんでって…」

光は、ぎゅう、と背中に顔を埋めた。

「安心するから…」
「……。」

………やべぇー。ティースプーン折りそうだった。
あぁ抱きしめたい。キスしたい。それでそのまま…光、今日仕事何時からだろう。1回くらいならできるかな…つーか式のあとしてから1回もしてねーんだぞ。もうそろそろ我慢の限界…

「光…」
「あ、メール。」

ポコン、という間抜けな音が俺の声に被さり、光は呆気なく俺から離れてソファに向かう。…ハァー。
バッグからスマホを取り出す彼女の姿を名残惜しく眺め、コーヒーを淹れ終えて、ソファへ持って行った。

「ほい、砂糖少なめミルク多め。」
「あ…いただきます」

光はどこかスマホに気を取られたままマグカップを受け取り、またメールに視線を移す。その顔が不思議そうに…それから訝しげに顰められ、首を傾げた。

「どしたの?」
「いや…これ、宛先間違いかなぁ…」

これ、と見せてきた画面に映っているのは、マネージャーとのメッセージ画面。ついさっき来たメッセージは、『箱は第2会議室に置きました。光さんは今日も第1を使うので大丈夫です!』とあった。

「箱って?」
「さあ…?」

光は首をかしげながらスマホを閉じ、バッグの中に放り入れると、マグカップに口をつける。

「まぁいいや。事務所に行ったら聞いてみます」

ふうん、と相槌を打って、光の横顔を眺める。…綺麗な目。可愛い鼻。甘そうな赤い唇…。あー、キスしてぇ…

「…光、今日仕事何時から?」
「え?えっと…10時から……って、ちょっと」

その時刻を聞くなり胸に喜びが湧き、衝動のままに後ろから手を回し、彼女の腰を撫でる。

「いいじゃん。時間はあるし…最近俺、ずっと我慢してたんだけど…」
「…でも…こんな朝から…」
「夜は疲れて寝ちゃうだろ、お前」

耳元で強請るように囁きながら、服の中に手を滑り込ませ、わき腹を撫でる。滑らかな肌を横切る、ざらりとした一筋の線。そこを優しく撫でると――光は大人しく口を噤む。この傷は光のいちばん弱いところだ。だから、そこを愛おしく撫でられたりすると…どうしても、弱いらしい。それから――
手を上の方に滑らせ、何にも覆われていない柔らかな膨らみを優しく掴む。…はぁ、何度触ってもたまらない、この柔らかさと重量感。感触を堪能しながら、先端の蕾を探し当て、指先で優しくなぞる。

「…っ」

光の身体が小さくはねる。そう、ここも光の弱いところ。
ふたつの蕾を細かく撫で続け、うなじにキスをする。蕾がだんだん硬くなり、光は息を荒げ、だんだん前かがみになってへたりこむように膝をつき、手をついたコーヒーテーブルにマグカップを載せた。

「…っん…」

恍惚と漏れた、もどかしげな甘い声。快楽を求めるように胸を突き出して腰をくねらせる。
四つん這いになった彼女のショートパンツを膝まで降ろすと、光はこっちを振り向いて、膝を立ててショートパンツを脱ぎ捨て、俺がTシャツを捲り上げると従うように腕を上げる。俺も服を脱いで、下着一枚になった彼女をソファに座らせて、膝を立てて足を開かせる。桜色の下着ははっきりと濡れていて、そこにぴったりと張り付いている。

「…恥ずかしい…」

足を閉じようとするのを阻むために、両手で彼女の両腿の内側を撫でる。膝のあたりから、内腿、足の付け根、秘部にギリギリ触れないところまで。秘部の近くを指先が通るたび、光は甘い吐息を漏らしてもどかしそうに眉を寄せる。
腿を撫でる流れにあわせて下着と肌の間に手を差し込むと、そのまま捲り上げるように脱がせる。光はされるがままになって…快楽を待ちわびるように自ら足を開く。…綺麗な桜色の花びら。トロトロの蜜を流しながら、ヒクヒクと脈を打っている。俺はそこに顔を近づけ、舌を這わせる。

「あ……」

心地よさそうな光の声を聞きながら、ふるえる花弁に何度も舌を這わせる。時々吸い、突起を転がしたりすると、光は足をヒクつかせて声を零す。
そこがじゅうぶんにほぐれて、俺は口を離すと、光の顔を見上げた。物欲しそうに俺を見る目…半開きの赤い唇…荒い呼吸で上下する白い胸…。

「…一也さん?」

動きを止めた俺に、縋るような声。
あー…、可愛い。

「ごめん…ゴム、寝室…」

取ってくる…、と苦笑して立ち上がる俺を、光はうるんだ目で見上げる。

「…はやく…」

はやく…って!そんなこと言われたら、ほんとヤバいって…。
急いでゴムを取ってきて、光のところへ戻ってきて装着すると、光はまた自分から足を開く。…こんなに欲しがるようになるとは…。初めての時は、ただただ痛そうで…見ていて辛かった。だけど光も気持ちいいと思ってくれるようになったなら…もっとシたいって思えるようになったなら…嬉しい。
光のそこに俺のものをあてがい、ゆっくりと挿入する。徐々に熱に飲み込まれる感覚。つーかやべえ、このかっこ…入ってるのが丸見え。

「…ん…っ」

光は今でも挿れた時は少し苦しそうにする。おかしーな、ちゃんと毎回解してるつもりなんだけど…足りないのか?動かしてるとだんだん良くはなってくるみたいだけど…ちゃんと最初から最後まで、痛くせずにしてやりたいのに…。

「…光、いつも…挿れるとき、痛い?」

奥まで挿ったところで尋ねると、光はきょとんとして俺を見た。

「え…?」
「いや…いつも挿れるとき、痛そうだから」
「そういうものじゃないんですか?」
「え?」

ま…マジかよ。痛かっただけじゃなく…そういうものだと認識されてる…。かなりショックなんだけど…。

「…ごめん。痛いときはちゃんと言って。…なんとかするから」
「…はい…」

光は戸惑った顔のまま頷く。ちゃんとわかってんのかなー…。
とりあえず動くけど…、と断りを入れようとしたとき、光は少し考えこむようにして、はっとして俺を見上げた。

「あっ…でも、あの……」
「…何?」
「……あ、いえ…やっぱりあとで」
「ちょっと待て、気になるんだけど」
「……今は言わない方がいい気がするから…」
「何だよそれ。気になりすぎて集中できねーよ、いいから言って。」
「でも…やっぱり…」
「いいから。怒らないから言って。」
「……。」

光はしばらく言葉に迷って、おずおずと口を開いた。

「…その……一也さんのって、あの…おっきいから……」
「……。」
「あの……しょうがないのかなって…」

…それって…まさか……倉持のと比べた?
これ…俺、喜ぶところ?めちゃくちゃ複雑だわ…反応しづれぇー…

「ご…ごめんなさい」

俺の反応を窺うように呟く光。

「よくわかってないのにとりあえず謝るのやめろ。」
「う…」

頬をむにむに摘まみながら言うと、光は顔を赤くした。俺はため息をひとつ吐き、光の両手を絡めとって繋ぐ。

「で…どっちのがよかった?」
「え…?」
「だから…デカいのと、その」
「……。」

光が困ったように顔を真っ赤にしたから、俺も思わず口を噤む。…直球過ぎたか。質問を後悔し始めていると、光が口を開いた。

「…そんなの……一也さんのほうが…いい、」

…に、きまってる…、と、ほとんど消え入りそうな声で、俺と繋いだ手をにぎにぎと弄んで誤魔化しながら、光は真っ赤な声で言った。やばい…叫びそうなほど可愛い。

「…あ、…っん」

ゆっくりと腰を動かし始めると、光の唇から声が漏れる。揺れる胸。縋るように繋がれた手。溢れる蜜が絡み合い、結合部分をなまめかしく濡らしている秘部。可愛い、愛おしい光。息を荒げ、いっぱいいっぱいの顔で…それでもまだ、俺を求める目で見つめてくる。俺は繋ぐ手に力を籠め、光の赤い唇に、唇を這わせた。

 


ALICE+