125
「明日の仕事の後、光臣と会ってきますね。」
迎えに行った車の中で、スマホを見ていた光が言った。
「ああ…どこで?」
「別宅に行ってきます。」
「近いのか?」
「うちから車で20分くらいかな…。こうちゃんが迎えに来てくれるみたいです。」
「奥村が?」
「免許取ったみたいですよ。」
うふふ、とまるで自分の弟のことのように誇らしげにする光。
「…大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ。こうちゃん器用だし、自分で車も買ったって。」
「あいつがねえ…」
まあ…沢村よりはしっかりしてると思うけど…。降谷もああ見えて運転上手かったしな。
マンションに着くと、エントランスの前に倉持の姿を見つける。
「げ、あいつ今日も来てるし」
「倉持さんですか?」
倉持が俺の車に気付き、ひらりと手を上げてインターフォンのプレートを指さした。開けろと言うことらしい。
「あいつ今日も入り浸る気かよ…」
倉持を横目に車庫に車を入れる。そろそろ本気で1回キレておくべきだな。いくら光を何度も助けてもらって、光自身倉持に信頼と尊敬を抱いているとしても、新婚カップルの家に連日泊まり込むのは鬼畜の所業だ。
エンジンを止め、シートベルトを外し、ため息交じりに荷物をまとめる。今日こそは倉持を追い出してやる。もしかしたら光は怒るかもしれないけど、多少険悪になってもこの際…
「一也さん。」
「…ん?」
不意に光に呼ばれて、振り返ると、つっと頬に手を添えられて、軽いキスをされた。
「…家に行ったらできないから…キスだけでもと、思って」
言い訳をするように呟いて、光は顔を赤くして離れる。その腕を引き留めて、俺は身を乗り出す。戸惑うような…でも期待をするように少し開いている赤い唇に、自分の唇を合わせた。…久しぶりの感触。やっぱり…光っていつも少し、甘い味がする。唇を押し付けて、舌を押し込んで、小さな口の中を侵す。
「…んっ……、ぁ…」
光が息苦しそうに少し顎を引く。それを追いかけて、俺はさらに身を乗り出す。気づけば助手席側の窓に手をついて、半ば光に覆いかぶさるようにキスをしていた。
「…か、ずやさん…、もう…っん…、行かなきゃ…」
「…車庫には入れねーから、平気だよ。」
そうだよ。マンションの車庫には鍵を持つ住人しか入れない。いっそこのまま車で…。倉持に覚られたって知るもんか。
「だ…だめ……」
弱く拒絶する光の胸に手を重ねる。今日は少し暖かくて、光も薄手のニット1枚だから――硬くなる蕾の感触が布越しにも分かった。蕾を指先で擦ると、びくん、と光の下腹部が跳ねる。
「…ぁ、…んぅ…」
「…前から思ってたけど…」
「…え…?」
「…光、ここ…弱いよな。」
「や…ぁ…」
普段は少し素っ気ないけど、光はシてるときはすごく素直で可愛い。俺を求める目…俺のことが大好きな目。そんな顔で見つめられたら…幸せでおかしくなりそうだ。
「…光。」
「ん…」
頬を撫でると、光は求めるようにキスに応じる。光もノリ気だし…本当にこのままデキそうだな…。あー、でも…ゴムがないんだよなぁ…。手でやってもらうか、もしかしたらフェラしてくれるかな…。
光の口の中を舌で愛撫しながらそんなことを考える。うっとりと目を閉じる光の、耳を撫で、小さな後頭部に手を回し、しっとりと滑らかなうなじを撫でて――
「っひゃ、ぁ…!」
突然光が肩を竦めた。顔を赤らめて、首筋に当たる俺の指をくすぐったそうに悶える。
「…ここも弱いの?」
「ひぁっ…ぁ、」
耳の少し斜め下あたり…うなじよりも少し手前。指先でそっと触れる程度に撫でただけで、光は肩を竦めて悩ましげな声を漏らす。いやー、思いがけぬ収穫…。たまには違うシチュエーションでやるのも大事だな。
その首筋に顔を寄せ、軽いキスをして、徐々に強く吸い付く。マシュマロみたいな柔らかく滑らかな肌が、少し赤く染まる。
「んっ……」
心地よさそうな声を聴きながら、今度はそこにゆっくりと舌を這わせた。
「ひぁ…っ、ぁぁ…」
光はぞくぞくと体を震わせて、俺にしがみついてくる。あー、可愛い…ほんと、おかしくなりそう…
コンコンコン。
少し乱暴な硬い音。驚いて振り返ると、運転席の窓から覗く悪人面…。
「…お前いい加減に…」
「おせーから心配して来てやったんだろーが」
苛立ちを露わにして車から降りると、倉持は悪びれない顔で言い返す。何が心配だ、わざと邪魔したくせに…。
「つーかお前どうやって中に…」
「駐車場の警備のおっちゃんが入れてくれた。」
くっ…そういや野球好きだっつって俺にもやたら絡んでくるおっさんがいたな…。
バタン、と助手席のドアの音がして、俺も倉持も振り返る。光は真っ赤な顔をして目を逸らしたまま、首筋に手を当てて恥ずかしそうに歩いてくると、俺にも倉持にも一瞥もくれずに歩いていく。
「「光っ…」」
倉持と同時に声を上げ、踏みとどまって睨み合う。鳴り響くエレベーターの音。光は一人で部屋へ行ってしまったようだ。
「…お前のせいだぞ」
倉持を睨みながら言うと、倉持はフンと鼻で笑う。
「知るか。こんなとこでサカッてんじゃねーよ、発情期眼鏡。」
「お前がうちに入り浸るからだろーが」
「にしたって恩人待たせといてヤるこたねーだろ。」
「……。」
調子に乗りやがって…。だけど倉持がいなかったら、今回ばかりは光の命さえ危なかったことは確かだし…。…これを言われると弱いことをわかっててコイツは〜〜…。
仏頂面の俺と上機嫌の倉持が部屋へ帰ると、キッチンにはエプロン姿の光がいた。今日はチキンソテーにするって言ってたっけ…。調理台を見ると鶏肉が3つ。しっかり俺が断り切れず倉持が来ることを見越している…。このままじゃやばいよな、やっぱ…。
せめて手伝おうとキッチンに入ると、光は玉ねぎを慣れた手つきで切りながら言った。
「今日は私が作りますよ。」
「いや…俺も一緒に」
「一也さんは先に飲んでてください。倉持さんと」
うっ…な、なんか怒ってるように感じるのは気のせい…じゃないよな。わからねえ…光、あんまり表情に出ないときあるからなぁ…。
不安に胸を冷やしながら手持ち無沙汰にスマホをいじる。ネットニュースの欄外に表示されたコラムのページ。普段は気にも留めないその見出しに、俺は目を奪われた。
『100年の恋も冷める!?離婚経験者100人に聞いた離婚理由ランキングTOP10』
「……。」
いや…別に不安なわけじゃねーけど、一応、一応だ…うん。
そっとコラムのページをタップする。すぐに淡いピンク色のページが表示される。俺をそれを流し読みしつつ、ふと指を止める。
『気になる離婚理由ランキングナンバーワンは“セックスレス”』
――長年付き合ってからの結婚だったので、新婚なのにセックスはすでにマンネリ気味。1か月足らずでレスになり、子供ができる前にと離婚しました(30代事務)
――夫はとにかくセックスが下手で、いつも盛り上がらず気まずい空気に。そのままお互い誘うこともなくなり、気持ちが冷めて離婚となりました(20代営業)
――結婚まもなく夫の友人が我が家に入り浸るようになり、当然夜の方も機会が減って完全レス。結婚した意味も見いだせず、非常識な友人に強く出られない夫にも冷めて離婚しました(20代自営業)
ま…まじかよ…。
いやいや…うちに限ってそんなこと…。……。
……これ…結構ヤバいんじゃ…?
「一也さん、ご飯できましたよ。」
「えっ、ああ、うん。」
不意に呼ばれて、俺は慌ててスマホを仕舞い、光を手伝って食器を並べる。
そのまま食事を済ませ、片付けも終えると、光は風呂に入る準備をして脱衣所に入る。倉持は煙草を吸いにベランダへ出ている。俺は意を決して光の後を追って、後ろ手にドアを閉めた。
「…?どうしたんですか?」
タオルを抱えてきょとんとする光。お…怒ってない?いや…この状況で不満がないわけねーよな…。
「あのさ…」
「……。」
「…ごめん。明日は絶対、あいつ…追い出すから」
「……。」
光は俺をじっと見上げている。…綺麗だなあ、いつ見ても…何年経っても…。俺はこの子を一生大切にするって決めたんだ。倉持に邪魔されたくらいで…手放してたまるか。
「…はい。」
少し恥ずかしそうに顔を赤らめて、光は目を伏せてほほ笑んだ。…ああー、くっっっ…そ可愛い…!明日こそ倉持を追い出したら…明日こそ…
むくむくと熱いものが胸の底から膨れてきて、俺は光の赤い耳元に口を寄せる。
「…可愛い。」
「ひぁ…っ!」
そこで囁いただけなのに、光は反射的に首筋を押さえて声を上げた。見る見るうちに真っ赤になる顔。あ…夕方、俺が舐めたトコ…。光は咄嗟に声を出してしまった口を今さら抑えて、声もなく恥ずかしそうに俯く。…こっちまで恥ずかしくなってきた。あー、倉持がいなければこのままベッドに連れて行くのに…
「……。」
辛抱ならず、一度ぎゅっと抱きしめて、頭をポンと撫でる。
「風呂…入って来いよ。」
そう言って、俺は一人脱衣所を出る。はー…、マジで我慢の限界。
リビングにはいつのまにか倉持が戻っていて、ソファの背からちらりと俺を振り返った。…まさか…さっきの声聞かれたんじゃ…。にわかに不穏な空気を感じつつ、コーヒーを取りにキッチンへ向かう。
「ハァーア…」
「……。」
「かわいー声。」
「おま…っ、さっきの聞いてたのかよ!」
マグカップを握りつぶしそうになりながらキッチンから怒鳴ると、倉持は悪びれず答える。
「聞こえたんだよ。」
「お前なー…光も嫌がってんだよ。いい加減帰れよ」
「光はいつでも来てくださいって言ってたし」
「まさかこんな入り浸るとは思わねーからだよ!つかお前、光のことはもう諦めるつってたじゃん」
「諦める、とは言ってねーけど?」
「はぁ!?もうやれるだけやってフラれたからもういい…って言ってたじゃねーか!始球式の時!」
「そりゃ、もう付き合ってほしいとか…見返りは求めてねーよ。」
「意味わかんねーんだけど。じゃあなんでまだ付きまとうわけ?」
「そりゃ、まだ好きだし…光には俺の助けが必要だと思うぜ?」
「……。」
こいつまた痛いとこを…
「好きな奴のことは助けたいと思うし…また何かあったら、って心配にもなる。」
「……。」
「俺がそうしたいだけで、見返りは求めてねーけど…まぁ、光がそれを望んでくれたら、断る理由はねーけどな。」
「…は!?」
手元が狂ってマグカップが倒れた。
「…あ…ありえねーよ!」
「そうかよ。まぁ俺はどっちでもいいけど?」
こいつ…やっぱり下心あるんじゃねーかよ。
険悪な空気が満ちる中、お互いに黙ってコーヒーを飲む。静まり返るリビングに、やがて、風呂上がりの光がやってくる。スウェットにショートパンツ、カーディガンを羽織った姿で。俺はすぐに立ち上がって、倉持の目にあまり触れないよう彼女の肩を抱いて寝室へ促す。
「倉持と二人っきりになるなよ。危ないからな。」
光をベッドに座らせてそう言い聞かせ、こくりと頷いたのを確認してリビングへ戻ると、倉持の前に立つ。
「寝室に入るなよ。」
「へーへー」
「開けるのもダメだからな」
「わかってるよ」
早く行け、とでも言うかのように手で追い払う仕草をする倉持を睨み、素早くシャワーを浴びに行く。くそ…落ち着いて風呂にも入れねぇ…。
烏の行水並みに素早く風呂を済まし、髪を拭くのももどかしくタオルを引っ掴んでリビングに戻る。倉持はのんびりとソファに腰掛けたままそこにいて、物音で俺を振り向くと、暢気に立ち上がった。
「風呂あいた?」
「おう…」
「じゃ、借りるぜ」
ゆったりと風呂へ向かう倉持。…こっちの苦労を知っててあの態度、腹立つな…。
寝室へ入ると、鏡台の前に光が座り、髪を梳かしていた。
「倉持来た?」
「来てませんよ。」
少し苦笑しながら言って、光は立ち上がる。そして俺の胸元に手を置いて、少し背伸びして、口の端にキスをした。
「倉持さんは…私が本当に嫌がることをするわけないですから。」
そう言って、光はベッドに入る。その言葉には確かに説得力があったけど…同時に光の倉持に対する特別な信頼感も感じて、俺は複雑な心境だった。
そのうち倉持も風呂から上がり、それぞれ布団に入る。…と言っても倉持はリビングのソファだけど。
ちらりと視線を動かすと、光が背を向けて横たわっている。ここ最近ずっと…すぐ隣に光がいるのにお預け状態。ドア一枚隔てた向こうに倉持がいるし、倉持の光に対する気持ちを知った今、光のそういう声を万が一聞かれたらと思うとすごく嫌だった…、けど…
「…光。」
いっそ聞かせてやろうか…。そうしたら、あいつの方が耐えられなくて出て行くんじゃないか?
「…んん…、…倉持さんが…」
「いいよ、気にしなくて」
やんわりと拒否する光の手を絡めとって、滑らかなわき腹を撫でる。服の中に手を滑り込ませ、胸の膨らみを撫で、彼女の弱いところ…二つの蕾を摘まんで転がす。
「あっ…、ぁ…。」
光は腰をくねらせて悶える。びくりと体が跳ねるたび、大きな胸が俺の手に柔らかく押し付けられる。息が荒くなっていって、俺も煽られるように彼女の首筋に舌を這わせる。
「ひぁ…!」
ひときわ大きな喘ぎ声が一瞬響いて、光は咄嗟に口をおさえる。だけど俺は不思議なほど落ち着いた気持ちで、むしろ…もっと倉持に聞かせてやりたいとすら思った。
「はっ…、んんっ…」
蕾を転がしながら首筋を舐める。光の足がもどかしげに縮まる。
「…あっ……、…ん」
どうだ倉持…お前としたとき、光は…こんなによがらなかっただろ。
「あっ…あぁ…っ」
だって…彼女が求めてるのは、俺なんだから。
ガチャン!と、ガラスのぶつかる音がリビングの方から聞こえて、光が肩を竦めた。
「…大丈夫だよ」
「でも…」
俺は気にせず続けようとしたけど、光は身をよじって俺の手から逃れ、身を起こす。
「やっぱり…今日は…」
腕を抱えて俯く彼女を見つめ、俺は――布団を押しのけベッドから降り、寝室を出た。
リビングには――いや、その奥のキッチンに、倉持はいた。グラスに水を汲んで気持ちよさそうに飲んでいる。
「倉持。」
呼びかけると、倉持は俺を見る。
「お前、今すぐ帰れ。」
「…はぁ?」
倉持は動じず、グラスをコツンと台に置く。
「もう終電もねーし、タクシー代もねーんだけど」
「知るか。いい加減帰れ」
「徒歩じゃ何時間かかると思ってんだよ。」
「じゃあタクシー代は貸してやるから、今すぐ部屋から出ていけ。」
「……。」
倉持はふと俺を睨んでにやりと笑った。
「何急に必死になっちゃってんの?そんなに欲求不満か?」
「お前に言われる筋合いはない。」
「じゃあ俺ももう寝かせてもらうぜ」
「ここは俺の家だ」
「おう。俺は客だけど」
「…お前、光に好かれてると思って、んな態度デケェんだろうけどさ」
「あ?」
「現実見せてやるよ」
俺はキッチンへ行ってワインボトルとグラスを取り、一杯注いだ。
「光!ちょっと来て」
「…?」
寝室から光がおずおずとやってくる。本当はこの手は使いたくなかったが…。
「お前…まさか…」
倉持はワイングラスを見て焦ったようにたじろぐ。ふん…光は酔うと思ったことが全部口に出る。そして光の本心は揺らぐことなくたった一つ。「一也さん大好き」。
「光、これ飲んで。」
「え…?」
渡されたワイングラスと俺の顔を訝し気に見る光。
「お酒飲んだら私…寝ちゃいますけど…」
どうして?と言いたげな瞳。俺はその小さな肩に手を置いて、瞳を見つめ返して言い聞かせる。
「いいから…俺を信じて飲んで。」
「……。」
光は少し頬を赤くして、こくりと頷いた。そして…ワイングラスに口をつけ、ゆっくりと飲み干す。…飲みっぷりは良いんだよなー。弱いのに…。
「……。」
ほどなくして、光はぽーっと頬を赤くして少し眠たげな目で俺を見る。よし…酔っぱらったな。
「光。」
両肩に手を置いて、その顔を覗き込む。
「今何がしたい?」
「……。」
光は俺の顔をじっと見つめ、ふにゃりと笑う。か…可愛い…。
「一也さん…。」
「うん」
俺の両頬を両手で包み、うっとりと見つめると、ぽそりと呟いた。
「…つづき…したい」
思わずにやける顔で倉持を見る。どうだ、参ったか。倉持は俺をちらりと睨み、息を吐いた。
「光。」
倉持が声をかけると、光ははっとして振りむく。
「俺…いなくなってもいいか?」
「え…」
ふっと光の手が離れ、彼女は倉持に向き直る。お…おい、待て待て…
「…なんでそんなこと…言うんですか?」
ぽろぽろと涙を流して呟く光。勝ち誇ったように俺を見る倉持。
「お前…それはなんかズルいだろ!」
「何がー?これが光の本音なんだっつーの。」
「いなくなるなんて言ったら誰だって…それこそ牧瀬が言ったってこんな反応するだろ!ズルい!」
「ズルくねーっつの」
「……んー…」
ふらりと光がよろけて、俺も倉持も同時に腕を伸ばして支える。半ば奪い取るようにして光を抱き上げ、寝室に運んで、ドアを閉める直前、倉持に言い捨てる。
「この続きはまた明日な」
「おう、オヤスミ」
憎々しい思いを抱えたまま寝室へ戻る。光はすやすやと深い眠りに落ちている。はぁ…なんでこんなに綺麗なんだ、コイツ。こんなに…綺麗じゃなくてもいいのに。おかげで俺はいつ奪われるか心配で心配で…。
いや…でも、それだけじゃねえよな。光は…その芯の強さでも人を惹きつけ、輝いて見える。だからこそ俺も、強く惹かれたんだ。
とにかく…何とかしなければ。俺は決意をさらに強め、眠りにつくのだった。
迎えに行った車の中で、スマホを見ていた光が言った。
「ああ…どこで?」
「別宅に行ってきます。」
「近いのか?」
「うちから車で20分くらいかな…。こうちゃんが迎えに来てくれるみたいです。」
「奥村が?」
「免許取ったみたいですよ。」
うふふ、とまるで自分の弟のことのように誇らしげにする光。
「…大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ。こうちゃん器用だし、自分で車も買ったって。」
「あいつがねえ…」
まあ…沢村よりはしっかりしてると思うけど…。降谷もああ見えて運転上手かったしな。
マンションに着くと、エントランスの前に倉持の姿を見つける。
「げ、あいつ今日も来てるし」
「倉持さんですか?」
倉持が俺の車に気付き、ひらりと手を上げてインターフォンのプレートを指さした。開けろと言うことらしい。
「あいつ今日も入り浸る気かよ…」
倉持を横目に車庫に車を入れる。そろそろ本気で1回キレておくべきだな。いくら光を何度も助けてもらって、光自身倉持に信頼と尊敬を抱いているとしても、新婚カップルの家に連日泊まり込むのは鬼畜の所業だ。
エンジンを止め、シートベルトを外し、ため息交じりに荷物をまとめる。今日こそは倉持を追い出してやる。もしかしたら光は怒るかもしれないけど、多少険悪になってもこの際…
「一也さん。」
「…ん?」
不意に光に呼ばれて、振り返ると、つっと頬に手を添えられて、軽いキスをされた。
「…家に行ったらできないから…キスだけでもと、思って」
言い訳をするように呟いて、光は顔を赤くして離れる。その腕を引き留めて、俺は身を乗り出す。戸惑うような…でも期待をするように少し開いている赤い唇に、自分の唇を合わせた。…久しぶりの感触。やっぱり…光っていつも少し、甘い味がする。唇を押し付けて、舌を押し込んで、小さな口の中を侵す。
「…んっ……、ぁ…」
光が息苦しそうに少し顎を引く。それを追いかけて、俺はさらに身を乗り出す。気づけば助手席側の窓に手をついて、半ば光に覆いかぶさるようにキスをしていた。
「…か、ずやさん…、もう…っん…、行かなきゃ…」
「…車庫には入れねーから、平気だよ。」
そうだよ。マンションの車庫には鍵を持つ住人しか入れない。いっそこのまま車で…。倉持に覚られたって知るもんか。
「だ…だめ……」
弱く拒絶する光の胸に手を重ねる。今日は少し暖かくて、光も薄手のニット1枚だから――硬くなる蕾の感触が布越しにも分かった。蕾を指先で擦ると、びくん、と光の下腹部が跳ねる。
「…ぁ、…んぅ…」
「…前から思ってたけど…」
「…え…?」
「…光、ここ…弱いよな。」
「や…ぁ…」
普段は少し素っ気ないけど、光はシてるときはすごく素直で可愛い。俺を求める目…俺のことが大好きな目。そんな顔で見つめられたら…幸せでおかしくなりそうだ。
「…光。」
「ん…」
頬を撫でると、光は求めるようにキスに応じる。光もノリ気だし…本当にこのままデキそうだな…。あー、でも…ゴムがないんだよなぁ…。手でやってもらうか、もしかしたらフェラしてくれるかな…。
光の口の中を舌で愛撫しながらそんなことを考える。うっとりと目を閉じる光の、耳を撫で、小さな後頭部に手を回し、しっとりと滑らかなうなじを撫でて――
「っひゃ、ぁ…!」
突然光が肩を竦めた。顔を赤らめて、首筋に当たる俺の指をくすぐったそうに悶える。
「…ここも弱いの?」
「ひぁっ…ぁ、」
耳の少し斜め下あたり…うなじよりも少し手前。指先でそっと触れる程度に撫でただけで、光は肩を竦めて悩ましげな声を漏らす。いやー、思いがけぬ収穫…。たまには違うシチュエーションでやるのも大事だな。
その首筋に顔を寄せ、軽いキスをして、徐々に強く吸い付く。マシュマロみたいな柔らかく滑らかな肌が、少し赤く染まる。
「んっ……」
心地よさそうな声を聴きながら、今度はそこにゆっくりと舌を這わせた。
「ひぁ…っ、ぁぁ…」
光はぞくぞくと体を震わせて、俺にしがみついてくる。あー、可愛い…ほんと、おかしくなりそう…
コンコンコン。
少し乱暴な硬い音。驚いて振り返ると、運転席の窓から覗く悪人面…。
「…お前いい加減に…」
「おせーから心配して来てやったんだろーが」
苛立ちを露わにして車から降りると、倉持は悪びれない顔で言い返す。何が心配だ、わざと邪魔したくせに…。
「つーかお前どうやって中に…」
「駐車場の警備のおっちゃんが入れてくれた。」
くっ…そういや野球好きだっつって俺にもやたら絡んでくるおっさんがいたな…。
バタン、と助手席のドアの音がして、俺も倉持も振り返る。光は真っ赤な顔をして目を逸らしたまま、首筋に手を当てて恥ずかしそうに歩いてくると、俺にも倉持にも一瞥もくれずに歩いていく。
「「光っ…」」
倉持と同時に声を上げ、踏みとどまって睨み合う。鳴り響くエレベーターの音。光は一人で部屋へ行ってしまったようだ。
「…お前のせいだぞ」
倉持を睨みながら言うと、倉持はフンと鼻で笑う。
「知るか。こんなとこでサカッてんじゃねーよ、発情期眼鏡。」
「お前がうちに入り浸るからだろーが」
「にしたって恩人待たせといてヤるこたねーだろ。」
「……。」
調子に乗りやがって…。だけど倉持がいなかったら、今回ばかりは光の命さえ危なかったことは確かだし…。…これを言われると弱いことをわかっててコイツは〜〜…。
仏頂面の俺と上機嫌の倉持が部屋へ帰ると、キッチンにはエプロン姿の光がいた。今日はチキンソテーにするって言ってたっけ…。調理台を見ると鶏肉が3つ。しっかり俺が断り切れず倉持が来ることを見越している…。このままじゃやばいよな、やっぱ…。
せめて手伝おうとキッチンに入ると、光は玉ねぎを慣れた手つきで切りながら言った。
「今日は私が作りますよ。」
「いや…俺も一緒に」
「一也さんは先に飲んでてください。倉持さんと」
うっ…な、なんか怒ってるように感じるのは気のせい…じゃないよな。わからねえ…光、あんまり表情に出ないときあるからなぁ…。
不安に胸を冷やしながら手持ち無沙汰にスマホをいじる。ネットニュースの欄外に表示されたコラムのページ。普段は気にも留めないその見出しに、俺は目を奪われた。
『100年の恋も冷める!?離婚経験者100人に聞いた離婚理由ランキングTOP10』
「……。」
いや…別に不安なわけじゃねーけど、一応、一応だ…うん。
そっとコラムのページをタップする。すぐに淡いピンク色のページが表示される。俺をそれを流し読みしつつ、ふと指を止める。
『気になる離婚理由ランキングナンバーワンは“セックスレス”』
――長年付き合ってからの結婚だったので、新婚なのにセックスはすでにマンネリ気味。1か月足らずでレスになり、子供ができる前にと離婚しました(30代事務)
――夫はとにかくセックスが下手で、いつも盛り上がらず気まずい空気に。そのままお互い誘うこともなくなり、気持ちが冷めて離婚となりました(20代営業)
――結婚まもなく夫の友人が我が家に入り浸るようになり、当然夜の方も機会が減って完全レス。結婚した意味も見いだせず、非常識な友人に強く出られない夫にも冷めて離婚しました(20代自営業)
ま…まじかよ…。
いやいや…うちに限ってそんなこと…。……。
……これ…結構ヤバいんじゃ…?
「一也さん、ご飯できましたよ。」
「えっ、ああ、うん。」
不意に呼ばれて、俺は慌ててスマホを仕舞い、光を手伝って食器を並べる。
そのまま食事を済ませ、片付けも終えると、光は風呂に入る準備をして脱衣所に入る。倉持は煙草を吸いにベランダへ出ている。俺は意を決して光の後を追って、後ろ手にドアを閉めた。
「…?どうしたんですか?」
タオルを抱えてきょとんとする光。お…怒ってない?いや…この状況で不満がないわけねーよな…。
「あのさ…」
「……。」
「…ごめん。明日は絶対、あいつ…追い出すから」
「……。」
光は俺をじっと見上げている。…綺麗だなあ、いつ見ても…何年経っても…。俺はこの子を一生大切にするって決めたんだ。倉持に邪魔されたくらいで…手放してたまるか。
「…はい。」
少し恥ずかしそうに顔を赤らめて、光は目を伏せてほほ笑んだ。…ああー、くっっっ…そ可愛い…!明日こそ倉持を追い出したら…明日こそ…
むくむくと熱いものが胸の底から膨れてきて、俺は光の赤い耳元に口を寄せる。
「…可愛い。」
「ひぁ…っ!」
そこで囁いただけなのに、光は反射的に首筋を押さえて声を上げた。見る見るうちに真っ赤になる顔。あ…夕方、俺が舐めたトコ…。光は咄嗟に声を出してしまった口を今さら抑えて、声もなく恥ずかしそうに俯く。…こっちまで恥ずかしくなってきた。あー、倉持がいなければこのままベッドに連れて行くのに…
「……。」
辛抱ならず、一度ぎゅっと抱きしめて、頭をポンと撫でる。
「風呂…入って来いよ。」
そう言って、俺は一人脱衣所を出る。はー…、マジで我慢の限界。
リビングにはいつのまにか倉持が戻っていて、ソファの背からちらりと俺を振り返った。…まさか…さっきの声聞かれたんじゃ…。にわかに不穏な空気を感じつつ、コーヒーを取りにキッチンへ向かう。
「ハァーア…」
「……。」
「かわいー声。」
「おま…っ、さっきの聞いてたのかよ!」
マグカップを握りつぶしそうになりながらキッチンから怒鳴ると、倉持は悪びれず答える。
「聞こえたんだよ。」
「お前なー…光も嫌がってんだよ。いい加減帰れよ」
「光はいつでも来てくださいって言ってたし」
「まさかこんな入り浸るとは思わねーからだよ!つかお前、光のことはもう諦めるつってたじゃん」
「諦める、とは言ってねーけど?」
「はぁ!?もうやれるだけやってフラれたからもういい…って言ってたじゃねーか!始球式の時!」
「そりゃ、もう付き合ってほしいとか…見返りは求めてねーよ。」
「意味わかんねーんだけど。じゃあなんでまだ付きまとうわけ?」
「そりゃ、まだ好きだし…光には俺の助けが必要だと思うぜ?」
「……。」
こいつまた痛いとこを…
「好きな奴のことは助けたいと思うし…また何かあったら、って心配にもなる。」
「……。」
「俺がそうしたいだけで、見返りは求めてねーけど…まぁ、光がそれを望んでくれたら、断る理由はねーけどな。」
「…は!?」
手元が狂ってマグカップが倒れた。
「…あ…ありえねーよ!」
「そうかよ。まぁ俺はどっちでもいいけど?」
こいつ…やっぱり下心あるんじゃねーかよ。
険悪な空気が満ちる中、お互いに黙ってコーヒーを飲む。静まり返るリビングに、やがて、風呂上がりの光がやってくる。スウェットにショートパンツ、カーディガンを羽織った姿で。俺はすぐに立ち上がって、倉持の目にあまり触れないよう彼女の肩を抱いて寝室へ促す。
「倉持と二人っきりになるなよ。危ないからな。」
光をベッドに座らせてそう言い聞かせ、こくりと頷いたのを確認してリビングへ戻ると、倉持の前に立つ。
「寝室に入るなよ。」
「へーへー」
「開けるのもダメだからな」
「わかってるよ」
早く行け、とでも言うかのように手で追い払う仕草をする倉持を睨み、素早くシャワーを浴びに行く。くそ…落ち着いて風呂にも入れねぇ…。
烏の行水並みに素早く風呂を済まし、髪を拭くのももどかしくタオルを引っ掴んでリビングに戻る。倉持はのんびりとソファに腰掛けたままそこにいて、物音で俺を振り向くと、暢気に立ち上がった。
「風呂あいた?」
「おう…」
「じゃ、借りるぜ」
ゆったりと風呂へ向かう倉持。…こっちの苦労を知っててあの態度、腹立つな…。
寝室へ入ると、鏡台の前に光が座り、髪を梳かしていた。
「倉持来た?」
「来てませんよ。」
少し苦笑しながら言って、光は立ち上がる。そして俺の胸元に手を置いて、少し背伸びして、口の端にキスをした。
「倉持さんは…私が本当に嫌がることをするわけないですから。」
そう言って、光はベッドに入る。その言葉には確かに説得力があったけど…同時に光の倉持に対する特別な信頼感も感じて、俺は複雑な心境だった。
そのうち倉持も風呂から上がり、それぞれ布団に入る。…と言っても倉持はリビングのソファだけど。
ちらりと視線を動かすと、光が背を向けて横たわっている。ここ最近ずっと…すぐ隣に光がいるのにお預け状態。ドア一枚隔てた向こうに倉持がいるし、倉持の光に対する気持ちを知った今、光のそういう声を万が一聞かれたらと思うとすごく嫌だった…、けど…
「…光。」
いっそ聞かせてやろうか…。そうしたら、あいつの方が耐えられなくて出て行くんじゃないか?
「…んん…、…倉持さんが…」
「いいよ、気にしなくて」
やんわりと拒否する光の手を絡めとって、滑らかなわき腹を撫でる。服の中に手を滑り込ませ、胸の膨らみを撫で、彼女の弱いところ…二つの蕾を摘まんで転がす。
「あっ…、ぁ…。」
光は腰をくねらせて悶える。びくりと体が跳ねるたび、大きな胸が俺の手に柔らかく押し付けられる。息が荒くなっていって、俺も煽られるように彼女の首筋に舌を這わせる。
「ひぁ…!」
ひときわ大きな喘ぎ声が一瞬響いて、光は咄嗟に口をおさえる。だけど俺は不思議なほど落ち着いた気持ちで、むしろ…もっと倉持に聞かせてやりたいとすら思った。
「はっ…、んんっ…」
蕾を転がしながら首筋を舐める。光の足がもどかしげに縮まる。
「…あっ……、…ん」
どうだ倉持…お前としたとき、光は…こんなによがらなかっただろ。
「あっ…あぁ…っ」
だって…彼女が求めてるのは、俺なんだから。
ガチャン!と、ガラスのぶつかる音がリビングの方から聞こえて、光が肩を竦めた。
「…大丈夫だよ」
「でも…」
俺は気にせず続けようとしたけど、光は身をよじって俺の手から逃れ、身を起こす。
「やっぱり…今日は…」
腕を抱えて俯く彼女を見つめ、俺は――布団を押しのけベッドから降り、寝室を出た。
リビングには――いや、その奥のキッチンに、倉持はいた。グラスに水を汲んで気持ちよさそうに飲んでいる。
「倉持。」
呼びかけると、倉持は俺を見る。
「お前、今すぐ帰れ。」
「…はぁ?」
倉持は動じず、グラスをコツンと台に置く。
「もう終電もねーし、タクシー代もねーんだけど」
「知るか。いい加減帰れ」
「徒歩じゃ何時間かかると思ってんだよ。」
「じゃあタクシー代は貸してやるから、今すぐ部屋から出ていけ。」
「……。」
倉持はふと俺を睨んでにやりと笑った。
「何急に必死になっちゃってんの?そんなに欲求不満か?」
「お前に言われる筋合いはない。」
「じゃあ俺ももう寝かせてもらうぜ」
「ここは俺の家だ」
「おう。俺は客だけど」
「…お前、光に好かれてると思って、んな態度デケェんだろうけどさ」
「あ?」
「現実見せてやるよ」
俺はキッチンへ行ってワインボトルとグラスを取り、一杯注いだ。
「光!ちょっと来て」
「…?」
寝室から光がおずおずとやってくる。本当はこの手は使いたくなかったが…。
「お前…まさか…」
倉持はワイングラスを見て焦ったようにたじろぐ。ふん…光は酔うと思ったことが全部口に出る。そして光の本心は揺らぐことなくたった一つ。「一也さん大好き」。
「光、これ飲んで。」
「え…?」
渡されたワイングラスと俺の顔を訝し気に見る光。
「お酒飲んだら私…寝ちゃいますけど…」
どうして?と言いたげな瞳。俺はその小さな肩に手を置いて、瞳を見つめ返して言い聞かせる。
「いいから…俺を信じて飲んで。」
「……。」
光は少し頬を赤くして、こくりと頷いた。そして…ワイングラスに口をつけ、ゆっくりと飲み干す。…飲みっぷりは良いんだよなー。弱いのに…。
「……。」
ほどなくして、光はぽーっと頬を赤くして少し眠たげな目で俺を見る。よし…酔っぱらったな。
「光。」
両肩に手を置いて、その顔を覗き込む。
「今何がしたい?」
「……。」
光は俺の顔をじっと見つめ、ふにゃりと笑う。か…可愛い…。
「一也さん…。」
「うん」
俺の両頬を両手で包み、うっとりと見つめると、ぽそりと呟いた。
「…つづき…したい」
思わずにやける顔で倉持を見る。どうだ、参ったか。倉持は俺をちらりと睨み、息を吐いた。
「光。」
倉持が声をかけると、光ははっとして振りむく。
「俺…いなくなってもいいか?」
「え…」
ふっと光の手が離れ、彼女は倉持に向き直る。お…おい、待て待て…
「…なんでそんなこと…言うんですか?」
ぽろぽろと涙を流して呟く光。勝ち誇ったように俺を見る倉持。
「お前…それはなんかズルいだろ!」
「何がー?これが光の本音なんだっつーの。」
「いなくなるなんて言ったら誰だって…それこそ牧瀬が言ったってこんな反応するだろ!ズルい!」
「ズルくねーっつの」
「……んー…」
ふらりと光がよろけて、俺も倉持も同時に腕を伸ばして支える。半ば奪い取るようにして光を抱き上げ、寝室に運んで、ドアを閉める直前、倉持に言い捨てる。
「この続きはまた明日な」
「おう、オヤスミ」
憎々しい思いを抱えたまま寝室へ戻る。光はすやすやと深い眠りに落ちている。はぁ…なんでこんなに綺麗なんだ、コイツ。こんなに…綺麗じゃなくてもいいのに。おかげで俺はいつ奪われるか心配で心配で…。
いや…でも、それだけじゃねえよな。光は…その芯の強さでも人を惹きつけ、輝いて見える。だからこそ俺も、強く惹かれたんだ。
とにかく…何とかしなければ。俺は決意をさらに強め、眠りにつくのだった。