「ただいま。」

リビングに入ってきた光を振り向くと、目が合って、光はにこにこと頬をほころばせた。

「おかえり。」

つられて微笑みながら、俺はソファから立つ。

「光。」

ちょいちょい、と手招きすると、光はバッグを椅子に置いて俺の前に立った。どこか期待するように輝く瞳で俺を見上げる光と、いつかしばらくの間預かっていたつぶらな瞳の子猫の姿とがちらりと重なって、ちょっと胸の奥がくすぐったくなる。
テーブルの上の箱ふたつのうちひとつをとって、開くと、光の頬に紅色が指した。作り直した結婚指輪。光の柔らかな小さい左手を取って、その薬指に通す。光はぽうっと指輪が嵌められた薬指を眺め、口角を緩めて、俺を見上げた。それからもうひとつの箱を取って、中の一回り大きな指輪を取り、俺の左手を持ち上げて、薬指に指輪を嵌めた。
どちらからともなくはにかみ合って、今ここに光が無事で、幸せそうに立っていることへの安堵を噛み締めながら、白い柔らかな頬に触れ、そっと唇を重ねる。そのキスは、いつもよりも特別な感じがして、なんだか緊張した。結婚式でのキスを思い出しながら、そっと唇を離すと、光は俺の胸元に置いていた手をなでおろして、嬉しそうな微笑を残しながら踵を返した。
寝室で部屋着に着替えて戻ってきた光は、キッチンでオレンジジュースを取ってきてソファに座った。俺も隣に座り、さっきまで読んでいた本をまた手に取る。

「今日、春市君に会ったんですよ。」

そういえば、というようなニュアンスで、光が切り出した。

「…前から思ってたんだけどさ」

相槌でも打つかと思っていた俺が話し始めたからだろう、光はちょっと意外そうに俺を見た。

「お前ら仲良かったっけ?」
「仲…良いっていうか、別に普通ですよ。」
「だって名前で呼び合ってるじゃん。高校の時からそうだっけ?」
「高校のときはあまり話したことなかったですね。クラスも別だったし…。最近、時々沢村君たちと飲むときに会うんですよ。で、春市君はお兄さんがいるし、私はもう玉城じゃないし、御幸さんとも呼びづらいだろうから、名前で呼んでるだけです。」
「……。」

なんだこの、納得せざるを得ないけど不満が残る感じ…。

「やきもちですか?」

にこにこしながら首を傾げて俺を見る光。可愛い…可愛いけど…。

「…嬉しそうだな。」
「えへ…そういうわけじゃないですけど。」

いやめちゃくちゃ嬉しそうだぞ。

「…それで?どこで会ったの?」
「テレビ局です。春市君、インタビュー受けたんだって。いつもお兄さんのこと聞かれるって愚痴ってましたけど、ちょっと嬉しそうでした。仲良いですよね。春市君とお兄さん。」
「そうだなー、亮さんとこは家族皆仲良いし…よく家族旅行とか行ってるよな。」
「家族旅行か…」

多分、今同じこと考えてるな、と光の横顔を眺めながら思う。光はオレンジジュースをちょっと飲んで、俺を振り返った。

「お義父さんは…いつも忙しいんですか?」

…やっぱり。

「そうだなー、ライン止めるわけにはいかねーし。」
「旅行は無理でも…食事とか」
「いいよ、親父も気ぃ遣うだろうし。」
「でも…私たち、ほとんど帰れてないんですよ。」
「いーんだって。正月は帰ってるし十分。あんまり頻繁に帰っても、親父も仕事抜けたりして大変だろうからさ。」

光は考え込むように黙り込んだ。こいつも気ぃ遣うタイプだからなー。

「それより俺たちは、その前に新婚旅行だろ。親父にも言われたよ、早く行かねーと新婚じゃなくなっちまうぞって」
「…ふふ」

ちょっと光が笑いを零して、俺は安堵する。

「…そうですね。」

そして微笑んだ光の肩を抱き寄せた。
あと2か月。2か月後には、俺たちは二人っきりの時間を満喫できる。
抱き寄せた光が、甘えるように頭をもたれてくる。キャミソールの胸元から、豊満な膨らみと柔らかそうな谷間が覗く…。…ノーブラだ。

「どこ見てるんですか?」

からかうように光が小首を傾げ、ぎくりとする。…いやいや、なにも後ろめたいことはないじゃないか。だって、俺たちは夫婦なんだし…。しかしこうおちょくられると、堂々と手を出し辛い…。

「…触りたい?」

ごくり、と喉が鳴る。

「…前もされたな、その質問」

そう答えると、光はちょっとはにかんだ。抱き寄せたままの肩を撫でて、その愛らしい顔を覗き込む。

「…触りたいに決まってるだろ。」

そう言うと、光は顔を赤くして目を逸らした。…勝った。

「昔はもっと可愛かったのに…」
「か…可愛かったって何だよ」
「だってすぐ照れちゃって、キスするときすごい緊張してたし。胸だっていつも、触っていい?って遠慮がちに訊いてきて…」
「…その話やめて」

そんな風に思われてたのかよ…俺。超ダセェ。考えたくない。

「……。」

光はちょっと黙り込んで、思い切ったように俺を見上げた。

「…触っていいですよ。一也さんなら…いつでも。」

まるでそう伝えたかったかのように、言葉を終えると光は気が済んだように照れ笑いをした。

「…じゃあ…お言葉に甘えて」

冗談っぽく言って、光をちょっと笑わせる。その頬を撫でて、うなじを撫で、肩を撫で…身を起こして、光に後ろを向かせて背中から抱きこんだ。服の上から大きな膨らみに手を添える。下着に阻まれない柔らかさを堪能し、襟ぐりから覗く谷間が揺れるのを、華奢な肩口から白いうなじと共に眺める。あー、最高の眺め…。

「…光、明日仕事何時から?」

手の中の感触を堪能しながら訊く。光はされるがまま胸を揉みしだかれている。この状況、本当そそる…。

「えっと…8時から。」
「…早いね」

がっくりと落胆したのが思いのほか声色にあらわれて汗をかく。案の定光はからかうような笑みで俺を振り向いた。少し赤いその頬をつついてやりたくなりながら、キャミソールを捲り上げる。すると光はちょっと驚いたように俺の手に触れた。

「えっ…、ちょ…っ」
「ん?」

今度は俺がからかうように微笑って、胸の上までキャミソールを捲り上げた。胸が露わになって、光は大人しく黙り込んだ。手でじかに触れて、その感触を堪能する。やっぱ最高…感触も、景色も。
存分に感触を堪能した後、ちょっと手を離して胸の表面を軽く撫ではじめる。ピクッ、と光の肩が跳ねる。そしてぷっくりと膨らんだ桜色の蕾にそっと指先で触れた。

「んっ…」

光の息が荒くなってきた。両方の蕾を転がし続ける。光の腰が浮いてきて、それまで無防備だった足を閉じた。

「…っ、も…もう、触っちゃだめ。」

光は俺の手から逃れて起き上がり、キャミソールを戻した。

「なんで?」

ソファから立って逃げようとする光の手を引き、また座らせる。

「…したくなっちゃう…から」

その言葉を聞いて、胸の奥がゾクゾクと掻き乱される。頑なに閉じたままの太腿に触れ、光をじっと見つめる。

「…見せて。」
「…や…だ、だめ」

キャミソールの裾を引っ張って下着を隠す光の手を退かし、足を開かせる。すると…藍色の下着の秘部を覆う部分が、ぐっしょりと蜜を溢れさせていた。

「すっげ…」
「や…やだ、やめてよ…」

また足を閉じようとするのを阻み、下着越しに蜜を指先に絡める。ねっとりと糸を引くそれを、光に見せるように指先で弄ぶ。

「ほら…下着越しでもこんな」
「…う、うるさい…」

光は顔を赤くして目を逸らす。

「こんなになってるのに、やめていいの?」
「……。」

意地悪く尋ねると、光は顔を赤らめた涙目で俺をちょっと睨んだ。

「…そっちこそ…」
「……。」

…その通り。俺の方がもう限界。
苦笑いを浮かべると、光は笑みを浮かべて俺に跨ってきた。戸惑う俺の頬を撫で、光は妖艶な笑みを浮かべる。

「1回だけだよ?」
「…はい。」

立場が逆転している…。おかしいなー。こんなはずじゃ…いや、まぁいいか、これはこれで…。
光は俺のズボンをはだけさせ、ソレを取り出す。

「あ…ゴム」
「大丈夫、今海の撮影で…ピル飲んでるから」

そう言いながら光は下着をずらし、ソコへとあてがった。先っぽで溝をなぞり、よく蜜を絡めて、ゆっくりと腰を沈めていく。

「ん…」

光の中へと飲みこまれていくのをぼんやりと眺めながら、俺のモノを包む快楽に俺自身も飲まれていく。あー…、やっぱ生だとヤバイな…。
光は根元まですっかりソレを飲みこむと、俺にキスを始める。俺はそれに応えながら、ふたつの蕾を愛撫する。きゅっ、きゅう、とナカが締まって反応する。締め付けられて、俺も危うく達しそうになる。やばいなこのプレイ…。
もどかしく腰を動かそうとすると、光が唇を離して、ぎゅうっ、とナカを締め付けてきた。思わず顔を顰めてうっと呻く。

「一也さんは動いちゃダメ。」
「…え?」
「また立てなくなっちゃったら…どうするつもりですか?」

からかうように光は言って、俺を困らせるのを楽しむように微笑った。…こいつ、時々とんでもないサドだ。

「…じゃ、光が動いてよ。俺もー限界…」

強請るように言って蕾の愛撫を再開すると、光は恍惚に頬を染めて甘い声を漏らした。腰をくねらせて、熱が擦れるたびに息を荒げ、目を閉じてその熱に酔いしれる光。俺の目の前で…。まるで自慰行為を覗き見てしまったような背徳感と煽情感。やばいな…この光景だけで、もう…。

「…あっ…、もう…」

光は俺の肩口に顔を埋め、しがみつくようにして達した。その震える熱に引き寄せられるように、俺も快楽の波が最高潮に達し、熱を吐き出す。どろりとした熱が、俺と光の間のわずかな隙間を伝い流れ、広がっているのがわかる。やばい…。
光は俺の肩口に顔を埋めたまま、余韻を引き摺りながらなんとか起き上がって、力の入らない腰を持ち上げた。俺のモノがぬるりと引き抜かれると、くたっと俺に跨ったまま、また肩口に頭をもたれてくる。その小さな背中を抱きしめて、俺は深く息を吐き出した。

「…一回じゃ足りない…」

思わず本音がこぼれると、耳元で光が小さく笑った。

 


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