019
俺たちは走り続けて、初詣で訪れた神社の前を通りかかった。まだちらほらと参拝客のいるそこを横目に、初詣の日のことを思い起こす。
無邪気に笑う光。せっかく、やっと、あんな表情を見せてくれるようになったんだ。手放したら、絶対に後悔する。
俺たちは走るのをやめ歩きながら、うっそうと木の生い茂る畦道の先まで来ていた。半分獣道になっている階段を上っていくと、そこは少しひらけた場所になっていて、小さな神社があった。
正月といえど、こんなひっそりとした神社に参拝する人はいないらしい。人気のないそこは、俺たちがやっと足を休められる場所だった。
「……。」
「……。」
黙って縁側に座る。これからどうしていいか、まるでわからない。アメリカになんて、行ってほしくない。けど…
気付けば、光は静かに涙を流していた。俺は驚きもなく、光を抱き寄せる。
「大丈夫だよ」
根拠もなくそうつぶやく。自分自身に言い聞かせているようだった。腕の中の光は、とても弱弱しかった。
「…わかってるんです」
光は小さな声で話し始めた。
「どうせ…アメリカに行くしかないって。今逃げたって、どうせ…なにもできない。いつもそう」
半ばあきらめたような声で、俺まで胸が苦しくなる。やめろ。そんな風に言うなよ。
「アメリカに連れていかれて、知らないおじさんと結婚させられて、わたし…」
嗚咽がもれる。最近、こいつの泣き顔ばかり見ている気がする。嫌だな。笑ってる顔の方が、好きなのに。
「だから…先輩…お願いします…」
「……?」
「……してください。一生のお願いだから」
「…するって…何を…」
「…初めては…一也先輩じゃなきゃ、嫌…」
その言葉で、俺は理解した。抱いてくれっていうのか。今、ここで?胸を触っただけで、真っ赤になって涙ぐんでいた光が。そんな風に、初めてを捨てるのか。
そんなの、嫌だ。だけど…そうでもしなきゃ、光にとって、もっと辛いことになる。
俺は光を抱きしめた。
「……わかった」
呟くと、光は安堵したように、息を吐いた。
***
俺は上着を脱ぎ、縁側にそれを敷いて、光を座らせる。髪を撫で、いつもの口づけをし、だんだんと深く、舌を絡ませていく。落ち着いて、安心させるように。きっと、こいつは今、ものすごく怖いと思うから。
「ん……ふ…」
声のもれる首筋を撫で、コートのボタンを外す。空気は冷たく、凍えるようだったから、服は脱がさすにそのまま、ブラウスのボタンも外していく。光は抵抗せず、手を握りしめている。俺はいったん服から手を離し、安心させるように握りしめられた手を解き、指を絡ませて繋いでやる。
ゆっくり。ゆっくりでいい。初めての思い出が、こいつにとって、ものすごく優しくて、幸せなものにしてやりたい。
口づけは深く、丁寧に舌を絡ませ、時々離して息継ぎをさせてやって、また優しく唇をなめる。光はキスが好きだから、たくさんしてやりたい。俺も…好きだけど。
「あ…先輩」
下着の上から胸に触れると、少し戸惑うように光が呟いた。白いレースの、かわいらしい下着。こんなふうじゃなくて、もっときれいな場所で、もっとちゃんと、初めてを迎えたかった。きっと、光も同じことを思っているだろう。だけど…だから、今だってちゃんと、大切にしたい。
俺は胸元に顔を近づけ、口づけをした。暖かくて柔らかい肌。下着の下から手を入れてずらすと、綺麗な白いふくらみがあらわれた。恥ずかしそうに顔をそむける光にまたキスをして、手のひらで胸を優しく包む。
前に服の上から触った時とは比べ物にならないくらいそれは柔らかくて、気持ちよくて、ずっと触っていたくなるほどだった。
胸に顔を近づけ、その突起に舌で触れる。
「っ…」
声にならない吐息が光の喉から漏れる。感じているんだ。俺で…ちゃんと。
突起を舌で優しく転がし、口に含んで、離す。光は恥ずかしそうに涙ぐんで目を逸らしている。ちょっとやりすぎたか?いや、だけど、これからもっとすげえことするわけだし…。
俺自身初めてのことで、いくら精いっぱいやっても、きっと最善とは程遠い。どうすればいいかなんて全然わからないし、光の震える手を、繋いでやることしかできない。
それでも光は一生懸命に堪えて、怖いのも我慢して、俺を受け入れようとしている。
…全部夢だったらいいのに。
光がアメリカに行くのも。父親が帰ってきたことも。母親が死んだことも。このわき腹の傷も。光のことを見ようともしない、酷い両親のことだって。
こいつが明日目覚めたら、全部夢だったらいいのに。
俺はわき腹の傷跡を撫で、舌を這わせた。滑らかな肌の感触と、ざらついた傷の感触が舌の上で混ざって、少し鉄のような味がする。けど傷はとっくにふさがっていて、引きつれた痕が残るばかりだから、味はきっと俺の気のせいだ。
「……。」
傷痕をなめる俺を、光は涙ぐんだまま見つめていた。今、何を考えているんだろう。少しでも、嬉しく思ってたらいいけど…
スカートの中に手を滑り込ませると、さすがに光は不安そうに目をつぶった。一旦中断して、またキスをする。手を絡めて、繋いで、安心させてやる。
「…大丈夫か?」
そう小声で訊くと、こくこくと小さく頷く光。
後ろを向かせて座らせて、背中を俺に寄りかからせる。後ろからすっぽりと抱きかかえるようにして、手をつないでキスをしながら、反対の手で髪を撫でる。
大丈夫。お前が嫌がるなら、すぐにでも辞める。怖いことなんてしない。そう言い聞かせるように、優しくキスをする。
落ち着いてきたのを見て、またゆっくりと胸を撫でる。体が少し反応する。腹を撫でて、足を撫でて、スカートの裾を少しだけ捲って、太ももに触れる。少しずつ、少しずつ近づいていく。光は抵抗しない。
「嫌だったら言って。」
そう囁きながら、下着越しに秘部に触れる。あたたかい。少し湿っている。指を滑らせると、ぬる、と下着と肌が滑らかに擦れた。感じてる。光が…こんなに。
繋いでいる手に力がこもる。恥ずかしいと言わんばかりに顔をそむけた光のこめかみにキスをする。
可愛い。すごく、可愛い。恥ずかしがるなよ。こんなに綺麗なのに。
下着越しに秘部をなぞって、閉じた足が時々ピクリと跳ねるのを眺める。こんな姿、俺にしか見せないんだ。そう思うと好きで好きでたまらなくなる。どうして俺だったんだろう。俺、ちゃんと応えられてんのかな。
手を離し、身を起こさせて、また向かい合わせになる。俺の上着の上に仰向けに寝かせ、上に覆いかぶさる。少し不安そうな光は、それでもキスをすると精一杯応えてくれる。俺は片手で手をつなぎ、もう片方の手で秘部に触れる。
下着を脱がそうとすると、光は小さく声を漏らしたが、抵抗をぐっとこらえるように口元を抑えた。
露わになった秘部に、俺は生唾を飲み込んだ。これが、光の…。
釘付けになっていると、光は恥ずかしそうに足を閉じ、手でそこを隠そうとする。
「…見せて。すっげえ綺麗だから」
「……やだ……」
そうつぶやきながらも、俺が手に触れると、大した抵抗もなく光はてをどかした。足を広げようとすると、ほんのすこし抵抗したけど、ゆっくりと、開いてくれた。
桃色の、濡れて光るそこを、俺は改めて凝視した。目が離せなかった。こんなにきれいだとは、思ってなかったから。
「……恥ずかしい…」
そうつぶやく光は耳まで真っ赤にして顔をそむけてしまう。その顔を隠す髪を撫でながらどかし、宥めるようにキスをする。
直接秘部に触れると、トロトロした蜜が指に絡みついた。溝をなぞりながら、肝心の場所を指先の感触だけを頼りに探す。…どこだ?くそ、もたつくとかっこわりい…。
少し深く指を曲げてなぞると、ぬる、と指先が入る場所があった。…ここか。
「……ぁ」
滑り込んでいく指を感じたのか、光が口元を抑える。俺は中指をゆっくりと差し込んでいく。中はものすごく狭くて、指がぎゅうぎゅうに締め付けられている。…こんな狭いところに、ほんとうに入るのか?
「…痛い?」
心配になって、訊いてみる。光は小さく首を横に振る。
「痛くはないけど…なんか…変な感じです…」
気持ちよくはないんだな…。仕方ないのかもしれないけど。
指を少し曲げたり、横方向に動かしたりして、少しずつそこをほぐしていく。挿れる前に指でほぐすって聞いたことあるけど、これ、2本目の指を入れるのも楽じゃねーぞ…。
それでも不安が伝わらないように、光の頬を撫で、振り向いた隙に、またキスをする。
…これが最初で最後かもしれないんだ。そう思うと、胸の奥からもやもやしたものがこみあげて、泣きそうになった。なんで。なんでこいつなんだよ。なんでこいつがこんな辛い思いしなきゃならないんだ。
俺たちはこんなに離れがたいのに。一緒にいたいのに。どうして離れなきゃならないんだ。
ゆっくり、指を引き抜いて、今度は薬指もそろえて、またゆっくりと押し込んでいく。
「…っ」
光の顔が少しゆがんだ。
「痛いか?」
「少し…」
しまった、まだ早かったか?
「でも…大丈夫です。」
「いや…無理すんなよ」
「やだ…」
光は俺の手に自分の手を添えた。
「やめないで…」
涙を一粒こぼしながら、光は呟いた。
頼むから、泣くなよ。辛い思い出にしたくないんだよ。頼むから…
「…んっ」
少し強引にキスをした。舌を絡ませ、そっちに意識を持っていきながら、ゆっくりと指の挿入を再開する。時々足が閉じるのは、痛みを堪えているんだろう。くそ、もっとちゃんと調べておけばよかった。
それでも丁寧に指を出し入れしていると、だんだんとスムーズに動くようになってきた。俺は特にきつい入り口付近を指先で丹念にほぐす。少しでも痛くないように。できる限り優しくしてやれるように。
俺自身、もうとっくに限界だった。さっきから下腹部が痛いくらいだし、ムズムズモヤモヤして、たまらない。
「…悪い、ちょっと一旦、待って」
「…?」
指を引き抜き、体を離してベルトを外す。はちきれんばかりに膨らんだそれを、光は息をのんで見つめた。
「ごめん、もう限界だから、一回…」
めちゃくちゃダサいけど、挿れた瞬間出てしまった、なんてことになったらそれこそシャレにならない。光には顔を背けていてもらうつもりでそう言うと、光は頷いた。
「…わかりました」
そして俺のそばに来て、そこに手を伸ばす。
「!? おいっ…」
止める間もなく、光はそれをまじまじと見つめる。うわ、恥ずかしい…
「…そんなこと、しなくていいって」
「…したいんです。」
光はそう言って、俺を見上げた。
「どうすれば…いいですか?」
俺は生唾を飲み込む。
「…じゃあ…手で、こうやって」
光の小さな手が俺のものを包み込む。柔らかい。自分でするのと全然違う。視覚的にも…これならすぐに出てしまいそうだ。
光は一生懸命手を動かして、よく観察している。そんなにみられると恥ずかしいんだけど…お互い様だな。
しばらくして、俺は光の手を掴んだ。
「――ヤバイ、出る…」
「えっ…」
間一髪、光にかけずに済んだ。ぽかんとしている光をよそに、俺はそこをティッシュで拭いて、財布からゴムを取り出す。…持っててよかった。
ゴムを取り付ける俺を、光は不安そうな目で見つめる。俺はキスをしながら光を上着の上に横たわらせる。
「…挿れるぞ」
「…はい。」
はっきりと、光は頷いた。俺はそこに自身をあてがい、ゆっくりと押し込む。
「…っ…!…ぃっ…」
かなり辛そうに顔を顰める光。俺はいったん動きを止めて額を撫でた。
「大丈夫か?」
「は…い」
「ゆっくり…するから」
「…はい」
今にも泣きだしそうな光の頬を撫で、手を繋いで落ち着かせると、またゆっくりと自身を沈みこませる。ゆっくりと。ゆっくりと。
「…もう少しだから」
「……っ」
少し足を広げさせ、最後まで押し込んだ。
「よし…全部、入った」
そうつぶやくと、光の目から、ぽろぽろと涙がこぼれた。俺は覆いかぶさって、またキスをする。
「……光」
「……ん…」
「……行くなよ…アメリカ、なんて…」
「……っ」
「俺と…結婚、してくれるんだろ」
気付けば、俺も泣いていた。
行くな。行かないで。頼むから。何でもするからさ。
そんな、意味のない言葉を何度も胸の奥で呟いて。
ああ、かっこわりい。こんな、光に縋るようなこと言って。俺が助けてやらなきゃいけないのに。
「…先輩…」
「行くなよ」
「行きたくない…」
「うん…」
「先輩と、一緒にいたい」
「俺もだよ…」
「三学期も…2年生になっても、」
「うん」
「夏も…先輩が、甲子園に行くのを…見たい」
「見ててくれよ…ずっと」
「見たい……。」
「絶対、すげえ夏にするから」
「……。」
「あの夏を…」
歓声の中。炎天下で湧きたつ俺たち。優勝のトロフィーを持って、泣き合って抱き合って…その先にお前が見えるんだよ。嬉し涙を流す光が。一緒に夏を迎える光が。絶対に、一緒に…
「…動くぞ」
光が頷いたのを確認して、俺はゆっくりと腰を沈ませる。…ヤバイ。気持ちよすぎる。でも、光は…。
光を見ると、顔を手で覆って必死に堪えるように唇を噛みしめていた。俺はその手を解き、自分の手と繋いで、赤く腫れた唇を舐める。今度ははっきりと鉄の味がした。こんなに痛みに耐えて、俺を受け入れてくれたのか。
光が愛おしくてたまらない。…二人で消えてしまいたい。
どうすればいいんだろう。どうすれば…
「……っ、…ぁ…」
光が息を荒げ、顔を背ける。余裕がなさそうだ。繋いだ手に力が入る。こめかみに、首筋に、胸元に、できるだけやさしく、できるだけたくさんキスをする。俺の…俺の光。大切な光。やっと思いを伝えたのに。
…俺ももう限界だ。
「…っ、ごめん」
「……ぁ」
動きを止めた俺に、光は不思議そうな視線を向ける。きっと俺、今、ものすごく余裕のない顔をしてる。…ダセェ。
自身をゆっくりと引き抜き、ゴムを外した。光も起き上がって、その様子を見守っている。
もっとちゃんと、してやりたかったな…。押し寄せる後悔と悔しさ。もどかしさ。…悲しさ。それでも光は、迷わず俺に抱き着いてきた。
「…ありがとう…ございました。最後に、先輩と…できて、よかった…。」
涙ぐんだ声でそんなことを言う。
…最後なんて。最後になんて、したくない。
俺は光を抱きしめ、涙を飲み込んだ。
無邪気に笑う光。せっかく、やっと、あんな表情を見せてくれるようになったんだ。手放したら、絶対に後悔する。
俺たちは走るのをやめ歩きながら、うっそうと木の生い茂る畦道の先まで来ていた。半分獣道になっている階段を上っていくと、そこは少しひらけた場所になっていて、小さな神社があった。
正月といえど、こんなひっそりとした神社に参拝する人はいないらしい。人気のないそこは、俺たちがやっと足を休められる場所だった。
「……。」
「……。」
黙って縁側に座る。これからどうしていいか、まるでわからない。アメリカになんて、行ってほしくない。けど…
気付けば、光は静かに涙を流していた。俺は驚きもなく、光を抱き寄せる。
「大丈夫だよ」
根拠もなくそうつぶやく。自分自身に言い聞かせているようだった。腕の中の光は、とても弱弱しかった。
「…わかってるんです」
光は小さな声で話し始めた。
「どうせ…アメリカに行くしかないって。今逃げたって、どうせ…なにもできない。いつもそう」
半ばあきらめたような声で、俺まで胸が苦しくなる。やめろ。そんな風に言うなよ。
「アメリカに連れていかれて、知らないおじさんと結婚させられて、わたし…」
嗚咽がもれる。最近、こいつの泣き顔ばかり見ている気がする。嫌だな。笑ってる顔の方が、好きなのに。
「だから…先輩…お願いします…」
「……?」
「……してください。一生のお願いだから」
「…するって…何を…」
「…初めては…一也先輩じゃなきゃ、嫌…」
その言葉で、俺は理解した。抱いてくれっていうのか。今、ここで?胸を触っただけで、真っ赤になって涙ぐんでいた光が。そんな風に、初めてを捨てるのか。
そんなの、嫌だ。だけど…そうでもしなきゃ、光にとって、もっと辛いことになる。
俺は光を抱きしめた。
「……わかった」
呟くと、光は安堵したように、息を吐いた。
***
俺は上着を脱ぎ、縁側にそれを敷いて、光を座らせる。髪を撫で、いつもの口づけをし、だんだんと深く、舌を絡ませていく。落ち着いて、安心させるように。きっと、こいつは今、ものすごく怖いと思うから。
「ん……ふ…」
声のもれる首筋を撫で、コートのボタンを外す。空気は冷たく、凍えるようだったから、服は脱がさすにそのまま、ブラウスのボタンも外していく。光は抵抗せず、手を握りしめている。俺はいったん服から手を離し、安心させるように握りしめられた手を解き、指を絡ませて繋いでやる。
ゆっくり。ゆっくりでいい。初めての思い出が、こいつにとって、ものすごく優しくて、幸せなものにしてやりたい。
口づけは深く、丁寧に舌を絡ませ、時々離して息継ぎをさせてやって、また優しく唇をなめる。光はキスが好きだから、たくさんしてやりたい。俺も…好きだけど。
「あ…先輩」
下着の上から胸に触れると、少し戸惑うように光が呟いた。白いレースの、かわいらしい下着。こんなふうじゃなくて、もっときれいな場所で、もっとちゃんと、初めてを迎えたかった。きっと、光も同じことを思っているだろう。だけど…だから、今だってちゃんと、大切にしたい。
俺は胸元に顔を近づけ、口づけをした。暖かくて柔らかい肌。下着の下から手を入れてずらすと、綺麗な白いふくらみがあらわれた。恥ずかしそうに顔をそむける光にまたキスをして、手のひらで胸を優しく包む。
前に服の上から触った時とは比べ物にならないくらいそれは柔らかくて、気持ちよくて、ずっと触っていたくなるほどだった。
胸に顔を近づけ、その突起に舌で触れる。
「っ…」
声にならない吐息が光の喉から漏れる。感じているんだ。俺で…ちゃんと。
突起を舌で優しく転がし、口に含んで、離す。光は恥ずかしそうに涙ぐんで目を逸らしている。ちょっとやりすぎたか?いや、だけど、これからもっとすげえことするわけだし…。
俺自身初めてのことで、いくら精いっぱいやっても、きっと最善とは程遠い。どうすればいいかなんて全然わからないし、光の震える手を、繋いでやることしかできない。
それでも光は一生懸命に堪えて、怖いのも我慢して、俺を受け入れようとしている。
…全部夢だったらいいのに。
光がアメリカに行くのも。父親が帰ってきたことも。母親が死んだことも。このわき腹の傷も。光のことを見ようともしない、酷い両親のことだって。
こいつが明日目覚めたら、全部夢だったらいいのに。
俺はわき腹の傷跡を撫で、舌を這わせた。滑らかな肌の感触と、ざらついた傷の感触が舌の上で混ざって、少し鉄のような味がする。けど傷はとっくにふさがっていて、引きつれた痕が残るばかりだから、味はきっと俺の気のせいだ。
「……。」
傷痕をなめる俺を、光は涙ぐんだまま見つめていた。今、何を考えているんだろう。少しでも、嬉しく思ってたらいいけど…
スカートの中に手を滑り込ませると、さすがに光は不安そうに目をつぶった。一旦中断して、またキスをする。手を絡めて、繋いで、安心させてやる。
「…大丈夫か?」
そう小声で訊くと、こくこくと小さく頷く光。
後ろを向かせて座らせて、背中を俺に寄りかからせる。後ろからすっぽりと抱きかかえるようにして、手をつないでキスをしながら、反対の手で髪を撫でる。
大丈夫。お前が嫌がるなら、すぐにでも辞める。怖いことなんてしない。そう言い聞かせるように、優しくキスをする。
落ち着いてきたのを見て、またゆっくりと胸を撫でる。体が少し反応する。腹を撫でて、足を撫でて、スカートの裾を少しだけ捲って、太ももに触れる。少しずつ、少しずつ近づいていく。光は抵抗しない。
「嫌だったら言って。」
そう囁きながら、下着越しに秘部に触れる。あたたかい。少し湿っている。指を滑らせると、ぬる、と下着と肌が滑らかに擦れた。感じてる。光が…こんなに。
繋いでいる手に力がこもる。恥ずかしいと言わんばかりに顔をそむけた光のこめかみにキスをする。
可愛い。すごく、可愛い。恥ずかしがるなよ。こんなに綺麗なのに。
下着越しに秘部をなぞって、閉じた足が時々ピクリと跳ねるのを眺める。こんな姿、俺にしか見せないんだ。そう思うと好きで好きでたまらなくなる。どうして俺だったんだろう。俺、ちゃんと応えられてんのかな。
手を離し、身を起こさせて、また向かい合わせになる。俺の上着の上に仰向けに寝かせ、上に覆いかぶさる。少し不安そうな光は、それでもキスをすると精一杯応えてくれる。俺は片手で手をつなぎ、もう片方の手で秘部に触れる。
下着を脱がそうとすると、光は小さく声を漏らしたが、抵抗をぐっとこらえるように口元を抑えた。
露わになった秘部に、俺は生唾を飲み込んだ。これが、光の…。
釘付けになっていると、光は恥ずかしそうに足を閉じ、手でそこを隠そうとする。
「…見せて。すっげえ綺麗だから」
「……やだ……」
そうつぶやきながらも、俺が手に触れると、大した抵抗もなく光はてをどかした。足を広げようとすると、ほんのすこし抵抗したけど、ゆっくりと、開いてくれた。
桃色の、濡れて光るそこを、俺は改めて凝視した。目が離せなかった。こんなにきれいだとは、思ってなかったから。
「……恥ずかしい…」
そうつぶやく光は耳まで真っ赤にして顔をそむけてしまう。その顔を隠す髪を撫でながらどかし、宥めるようにキスをする。
直接秘部に触れると、トロトロした蜜が指に絡みついた。溝をなぞりながら、肝心の場所を指先の感触だけを頼りに探す。…どこだ?くそ、もたつくとかっこわりい…。
少し深く指を曲げてなぞると、ぬる、と指先が入る場所があった。…ここか。
「……ぁ」
滑り込んでいく指を感じたのか、光が口元を抑える。俺は中指をゆっくりと差し込んでいく。中はものすごく狭くて、指がぎゅうぎゅうに締め付けられている。…こんな狭いところに、ほんとうに入るのか?
「…痛い?」
心配になって、訊いてみる。光は小さく首を横に振る。
「痛くはないけど…なんか…変な感じです…」
気持ちよくはないんだな…。仕方ないのかもしれないけど。
指を少し曲げたり、横方向に動かしたりして、少しずつそこをほぐしていく。挿れる前に指でほぐすって聞いたことあるけど、これ、2本目の指を入れるのも楽じゃねーぞ…。
それでも不安が伝わらないように、光の頬を撫で、振り向いた隙に、またキスをする。
…これが最初で最後かもしれないんだ。そう思うと、胸の奥からもやもやしたものがこみあげて、泣きそうになった。なんで。なんでこいつなんだよ。なんでこいつがこんな辛い思いしなきゃならないんだ。
俺たちはこんなに離れがたいのに。一緒にいたいのに。どうして離れなきゃならないんだ。
ゆっくり、指を引き抜いて、今度は薬指もそろえて、またゆっくりと押し込んでいく。
「…っ」
光の顔が少しゆがんだ。
「痛いか?」
「少し…」
しまった、まだ早かったか?
「でも…大丈夫です。」
「いや…無理すんなよ」
「やだ…」
光は俺の手に自分の手を添えた。
「やめないで…」
涙を一粒こぼしながら、光は呟いた。
頼むから、泣くなよ。辛い思い出にしたくないんだよ。頼むから…
「…んっ」
少し強引にキスをした。舌を絡ませ、そっちに意識を持っていきながら、ゆっくりと指の挿入を再開する。時々足が閉じるのは、痛みを堪えているんだろう。くそ、もっとちゃんと調べておけばよかった。
それでも丁寧に指を出し入れしていると、だんだんとスムーズに動くようになってきた。俺は特にきつい入り口付近を指先で丹念にほぐす。少しでも痛くないように。できる限り優しくしてやれるように。
俺自身、もうとっくに限界だった。さっきから下腹部が痛いくらいだし、ムズムズモヤモヤして、たまらない。
「…悪い、ちょっと一旦、待って」
「…?」
指を引き抜き、体を離してベルトを外す。はちきれんばかりに膨らんだそれを、光は息をのんで見つめた。
「ごめん、もう限界だから、一回…」
めちゃくちゃダサいけど、挿れた瞬間出てしまった、なんてことになったらそれこそシャレにならない。光には顔を背けていてもらうつもりでそう言うと、光は頷いた。
「…わかりました」
そして俺のそばに来て、そこに手を伸ばす。
「!? おいっ…」
止める間もなく、光はそれをまじまじと見つめる。うわ、恥ずかしい…
「…そんなこと、しなくていいって」
「…したいんです。」
光はそう言って、俺を見上げた。
「どうすれば…いいですか?」
俺は生唾を飲み込む。
「…じゃあ…手で、こうやって」
光の小さな手が俺のものを包み込む。柔らかい。自分でするのと全然違う。視覚的にも…これならすぐに出てしまいそうだ。
光は一生懸命手を動かして、よく観察している。そんなにみられると恥ずかしいんだけど…お互い様だな。
しばらくして、俺は光の手を掴んだ。
「――ヤバイ、出る…」
「えっ…」
間一髪、光にかけずに済んだ。ぽかんとしている光をよそに、俺はそこをティッシュで拭いて、財布からゴムを取り出す。…持っててよかった。
ゴムを取り付ける俺を、光は不安そうな目で見つめる。俺はキスをしながら光を上着の上に横たわらせる。
「…挿れるぞ」
「…はい。」
はっきりと、光は頷いた。俺はそこに自身をあてがい、ゆっくりと押し込む。
「…っ…!…ぃっ…」
かなり辛そうに顔を顰める光。俺はいったん動きを止めて額を撫でた。
「大丈夫か?」
「は…い」
「ゆっくり…するから」
「…はい」
今にも泣きだしそうな光の頬を撫で、手を繋いで落ち着かせると、またゆっくりと自身を沈みこませる。ゆっくりと。ゆっくりと。
「…もう少しだから」
「……っ」
少し足を広げさせ、最後まで押し込んだ。
「よし…全部、入った」
そうつぶやくと、光の目から、ぽろぽろと涙がこぼれた。俺は覆いかぶさって、またキスをする。
「……光」
「……ん…」
「……行くなよ…アメリカ、なんて…」
「……っ」
「俺と…結婚、してくれるんだろ」
気付けば、俺も泣いていた。
行くな。行かないで。頼むから。何でもするからさ。
そんな、意味のない言葉を何度も胸の奥で呟いて。
ああ、かっこわりい。こんな、光に縋るようなこと言って。俺が助けてやらなきゃいけないのに。
「…先輩…」
「行くなよ」
「行きたくない…」
「うん…」
「先輩と、一緒にいたい」
「俺もだよ…」
「三学期も…2年生になっても、」
「うん」
「夏も…先輩が、甲子園に行くのを…見たい」
「見ててくれよ…ずっと」
「見たい……。」
「絶対、すげえ夏にするから」
「……。」
「あの夏を…」
歓声の中。炎天下で湧きたつ俺たち。優勝のトロフィーを持って、泣き合って抱き合って…その先にお前が見えるんだよ。嬉し涙を流す光が。一緒に夏を迎える光が。絶対に、一緒に…
「…動くぞ」
光が頷いたのを確認して、俺はゆっくりと腰を沈ませる。…ヤバイ。気持ちよすぎる。でも、光は…。
光を見ると、顔を手で覆って必死に堪えるように唇を噛みしめていた。俺はその手を解き、自分の手と繋いで、赤く腫れた唇を舐める。今度ははっきりと鉄の味がした。こんなに痛みに耐えて、俺を受け入れてくれたのか。
光が愛おしくてたまらない。…二人で消えてしまいたい。
どうすればいいんだろう。どうすれば…
「……っ、…ぁ…」
光が息を荒げ、顔を背ける。余裕がなさそうだ。繋いだ手に力が入る。こめかみに、首筋に、胸元に、できるだけやさしく、できるだけたくさんキスをする。俺の…俺の光。大切な光。やっと思いを伝えたのに。
…俺ももう限界だ。
「…っ、ごめん」
「……ぁ」
動きを止めた俺に、光は不思議そうな視線を向ける。きっと俺、今、ものすごく余裕のない顔をしてる。…ダセェ。
自身をゆっくりと引き抜き、ゴムを外した。光も起き上がって、その様子を見守っている。
もっとちゃんと、してやりたかったな…。押し寄せる後悔と悔しさ。もどかしさ。…悲しさ。それでも光は、迷わず俺に抱き着いてきた。
「…ありがとう…ございました。最後に、先輩と…できて、よかった…。」
涙ぐんだ声でそんなことを言う。
…最後なんて。最後になんて、したくない。
俺は光を抱きしめ、涙を飲み込んだ。