「御幸!」

ぐっと肩を組んでくる、上機嫌なチームメイト。嫌な予感しかしねえ…。

「お前も今日コレ行く?」

コレ、と酒を飲むような仕草をしながら言うチームメイト。周りの奴らとニヤニヤ目配せして、その視線にはなんだか含みがあった。

「あー…飲みは今日はちょっと…。」

今日は夕飯家で食うって光に言ってあるし、もう作り始めてるだろうし…、と時計を見上げて考える。
しかしチームメイトは笑い出し、俺の背中をバシバシ叩きながら言った。

「バッカちげぇよ!キャバだよキャバ!」
「キャバ?」

…思いっきり顔が歪んでしまった。まぁいいか。

「そんな嫌そうな顔すんなって!お前のこと紹介する代わりにデートしてくれるんだよ〜」
「なんだそれ。行かねーよ俺」
「そう言わずにさ!今日だけ!な?可愛い子いるから!」

必死に俺の機嫌を取るチームメイトの言葉に、思わずふっと小さく噴出した。

「可愛い子?俺の奥さんより?」
「……。」

チームメイトが硬直したところでさっさと荷物をまとめてロッカールームを出る。

「お先〜」

チームメイトたちの視線を背中に感じながら。ああ、気分がいい。



***


「ただいまー」

玄関に入ると、ぱたぱたと駆け足で駆けよって来る光。

「おかえりなさい」

ぎゅうっと俺に抱き着いて、幸せそうにキスをする。家に帰ればこんなに可愛い奥さんがいるのに、キャバなんて行くわけねーだろ。
帰宅そうそう幸福感に胸を満たされて、二人で食事をとり、コーヒーを飲み、俺は素振りをして、風呂に入って寝る。…今日はオッケーの日かな。ベッドに入ったら誘ってみよう…。そう考えていると、光が寝室にやってきて、ドレッサーで髪を梳かし始めた。俺は済ました顔でベッドの枕に寄りかかって横になり、本を読む。
コトン、と音がして、光が櫛を置いて立ち上がった。…なんか緊張する。光はカーディガンを脱ぎ、ベッドに上がり、俺の腕に触れた。…え?

「一也さん。」
「ん?」

何か話があるのか?本を置き、光を見る。…顔が赤い。

「あのね…」
「どした?」
「……。」

言いづらそうにもじもじと、顔を赤くして言いよどむ光。な…なんだろう。…あ、まさか、また…妊娠した、とか?最近たまに、ゴム無しですることもあるし…あのことがあってから、改めてさあ作ろう、と言う気にはなれず、自然に任せようという事になって。でも…それにしてはなんだか様子がおかしい。

「光?」
「……。」
「なんだよ?」
「……あの…。」

優しく髪を撫でて尋ねると、光は口元に手を当てて呟いた。

「……し、したい。」
「……。」

え……。したいって…セックスを?…ってこと、だよな?これは…。
光の顔がみるみる赤くなって、俯く。そ、そんなに勇気を振り絞って…。そういや、流れで光の方からすることはあっても、光から「したい」って言われたのは初めてかも…。
…俺とするの、好きなんだ…。うわ、なんか…嬉しい。

「…だ…だめ?」

…光から、だめ?なんて聞かれる日が来るとは…。これ夢じゃないよな?

「だめなわけないだろ。」

むしろ、俺から誘おうと思ってたし…。緩む口元で囁いて、頭を引き寄せてキスをする。そのまま組み敷き、愛撫を始めた。光も欲求不満になるのか…。なんかすげー可愛い。今日…したいって、ずっと考えてたのかな。俺とすることを、想像したりするんだろうか。

 


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