「なー、木崎さんとはどうなってんだよ。」
「ああ?」

倉持との自主トレの合間、休憩がてらキャッチボールをしながら尋ねると、倉持の機嫌が途端に悪くなった。まあ、そうなるとわかってて聞いたんだけど。

「テメーには関係ねーだろ」
「またそんなこと言って。俺と光のことは根掘り葉掘り聞いてきた癖に」
「……。」

少しバツが悪そうに口を噤む倉持。馬鹿が付くほど素直なのがコイツのいいところだ。

「食事行ったんだろ?それからまた会ったの?」
「うるせー」
「え?まさかもうエッチした?」
「うるせーって!」
「あ、してないんだ〜」
「ぶっ殺すぞ」

はっはっは、と笑い飛ばすと、本当に人を殺しそうな目で睨んでくるからおっかない。木崎さんはほんとにこんな悪人面に憧れているというのか。女の子ってわからない。
スパン、と鋭いボールが飛んでくる。まったく、すぐ物に当たるんだから。

「ははは、ボール強すぎ。ピッチャー転向かぁ?」
「テメー、人をおちょくんのもいいかげんに…」

倉持が大きく振りかぶって、思い切りボールを放った。

「…しろ!!」
「うわっ」

ゴツン、と強い衝撃。倉持の焦った顔が、見えたような気がした。



***



誰かが俺の顔を覗き込んでいる。色白の…綺麗な金色の髪の…大きな薄いブルーの瞳の…。…玉城?

「……!…一也さん…」

玉城はそう呟いて、目に涙を浮かべて俺の胸にうつぶせるように抱き着いてきた。

「良かった…!一也さん…」
「…えっ?ちょっ…、な、何だ!?」

一気に顔が熱くなって慌てて身を起こした。だって、玉城が泣いて抱き着いてくるなんて…。しかも、一也さんって…そんな、夫婦みたいな呼び方…。
戸惑う俺を、玉城はまだ涙にぬれた目で不思議そうに見つめる。…あれ?なんだろう…なんか…玉城、急に大人っぽくなったような…。化粧なんてしてるし…。

「どこか痛むのか?」

顔を上げると、倉持がバツの悪そうな顔で立っていた。

「…わりぃ、カッとなって…でたらめなとこに投げちまった」
「……。」
「…だ、だけど、お前も天才キャッチャーならあのくらい…!」

そう言いかけた倉持を、玉城がきっと睨むと、倉持はうっと口を噤んだ。その頬は赤く痕が付いていて、俺は辞退を飲み込めないまま素朴な疑問を口にする。

「倉持…その顔どしたの?」
「いや…、光に…」
「殴られたんですよね〜。」
「……。」

横からニヤニヤと言った牧瀬に、倉持はまたバツが悪そうに口を噤んだ。…って、光…って。なんで倉持が玉城のこと、そんな風に呼んでんだよ。…いつから?まさか、俺の知らないうちに…ふたりは…。

「…あ、そ。」

無理やり強がって、倉持に笑顔を向ける。

「つかお前、なんかデカくなってね?5センチは伸びたんじゃねーの?」
「は?」
「なぜか昨日まで気付かなかったわ。やっと170超えたな〜よかったじゃん。」
「…お前、何言ってんの?」

倉持は怒りもせず、ごく真剣な顔で言った。

「それ高校ん時の身長だろうが。ボケてんじゃねーよ、歳か?」
「…お前こそ何言ってんの?高校生じゃん」
「……。」

倉持は言葉を失って、牧瀬と顔を見合わせた。

「もしかして…」
「…あ〜…光のときと同じですね。」
「え?」

なんだかよくわからないことを二人で協議し、倉持が俺に尋ねる。

「御幸。今お前、何歳だ?」
「はぁ?誕生日まだだから…16だけど。」
「あ〜…」
「おいなんだよ、そのため息。」

頭を押さえて首を横に振る倉持。疲れたような笑みを浮かべる牧瀬。じっと俺を見つめる玉城。

「…何?玉城。そんなに俺のこと見つめて…」

からかうつもりだったのに、そう言うと玉城はちょっと顔を赤くして、嬉しそうにその頬を両手で抑えてはにかんだ。

「16歳の一也さん…」
「…光?だいじょぶ?」
「可愛い…」
「あらら…だめだこりゃ」

…は?か、かわいい…?
顔が熱くなる俺の手を、玉城が掴んでくる。

「ちょ…!な、なんだよ…」
「一也さん、あのね…」

身を乗り出して何かを話そうとする玉城の後ろに、看護師の女性がやって来た。…あれ?ここ、病院か?なんで俺こんなところに…。

「御幸さん、検査の結果は異常ありませんから、今日は帰られてもいいですよ。後日何か心配がありましたらまたご来院くださいね。」
「あっ、はい。ありがとうございます。」

当然のように返事をする玉城。

「いや…、なんでお前が返事してるんだよ。」

未だ握られたままの手にじわりと汗をかきながら、必死に平静を装って突っ込むと、玉城はまっすぐに澄み切った目で俺を見つめた。

「だって…一也さんの妻だから」
「……は…、はぁ!?」
「あのね、一也さん、頭を打って…ちょっと記憶が混乱してるみたいなの。でも、すぐ思い出すと思うから…安心して。」
「い…、いやいやいや、」

つ、妻って…俺と玉城が結婚!?いや…、嘘だろ、これ夢だろ。

「夢だろこれ…絶対夢だろ」
「…現実だけど」
「いやありえねーって、玉城と結婚とか…」
「…え?」
「そんなの…夢でも都合よすぎ…」
「……。」

一瞬曇った玉城の表情が、はっと嬉しそうに赤く染まる。いや…、だから、俺の妄想もここまで来ると相当ヤバイって。

「あらあら…」

牧瀬がニヤニヤと俺たちを眺めていて、倉持はフンと鼻を鳴らして腕を組んだ。

「お…、目が覚めたのか。」

部屋に新たな人物が入室してきた。金髪に薄いブルーの瞳の男。…ちょっとだけ、玉城と似ている。

「あ、光臣…」

玉城が立ち上がって男を振り返る。…知り合い?もしかして、兄弟…とか?兄弟いるとか、初めて知ったな…。

「大丈夫なのか?」
「それがね〜…光のときと全くおんなじことになって…」
「……。」

光臣、と呼ばれたその男は、牧瀬から話を聞くと、ふうん、とどうでもよさそうに相槌を打った。あまり物事に動じないタイプらしい。

「まあ、大した怪我がないならよかったな。光、ふたりともマンションまで送るよ。」
「あ…うん、ありがとう。一也さん、行こう。立てる?」
「え…」

な…何がどうなってんの?

「行くってどこに?」
「マンションだよ。」
「だ…誰の?」
「一也さんと、私の」
「は……」

はあああ!?

「いやいや…いやいやいやいや」
「いやじゃありません。ほら、行くよ。」
「ええええ…?ちょっと…、マジで変な冗談やめて…。え、冗談だろ?コレ。いつまで続けるんだよ。」
「もー、どうせ口で言っても信じないんだから。マンション行くよ。」
「な…、なんだよそれ…」

玉城に連行されるようにして、光臣とやらの車に乗り、病院を出た。俺…どこに連れていかれるんだ?車の外の景色も全然知らないとこだし…。車は10分ほどして、大きな門の前に差し掛かった。警備員に挨拶をして門を開けてもらい、ガレージらしきシャッターの前に停車する。

「着いたぞ。」
「ありがとう。帰り気を付けて。」
「光、またね〜。」
「うん。…一也さん、ほら、降りるよ。」
「え…、え?」

されるがままに車から降りると、光臣と牧瀬はそのまま車で去っていった。あいつは何者なんだ…なんかすげー高級車だったし。

「こっち。」

玉城は俺の腕を引っ張って、ドアの前にやって来た。鍵で扉を開け、中に俺を促す。

「どうぞ。」
「え…。」

なんか…すげえデカいマンション…。高級物件じゃね?ここ…。俺、壷とか売られたらどーしよ。

「どうしたの?」
「いや…、だって、俺こんなとこしらな…」
「行けばわかるから。ほら。」

背中を押されて中に入る。玄関は広く、早くも高級感が漂っている。花瓶に生けられた花、お洒落な間接照明…。玉城に促されるまま廊下を進み、リビングらしき広い部屋にやって来ると、玉城はそこのソファに俺を座らせた。

「ちょっと待ってて。」

玉城はそう言って奥の部屋に入っていった。…え、これ、どうなってんの?つーか玉城、なんか、いつもよりニコニコしてて…可愛い。いつも可愛いけど…でも、なんか…あーもう、俺何考えてんだ。っていうかそれよりも、今、ここ…ふたりっきりじゃね?

「一也さん。」

なんだかうれしそうに写真立てを持ってくる玉城。

「ほらこれ。見て。」
「…え?」

そこに写っていたのは、まぎれもなく…ウエディングドレス姿の玉城と、タキシード姿の俺。

「結婚式の写真だよ。」
「……。」
「もっと見る?司が撮ってくれたのがあるよ。」
「い、いや、いい」

分厚いアルバムを取り出す玉城に手をかざす。マジかよ…。俺、将来玉城と結婚するの?い、いつからそんな雰囲気になれるんだろう…。今のところ、嫌われてる気配しかねーんだけど。
…って!何考えてんだ俺。こんなの現実なわけねーって。夢に決まってる。めちゃくちゃリアルな夢だ。

「……。」
「ん?」

ニコニコと首をかしげる玉城。そうだよ、夢なんだから…いっそ夢なら、好きなことしたって…いいよな?

「……。」
「…どうしたの?」
「いや…、あのさ…」

…だめだ、さすがにいきなりする勇気はない…。けど…。やっぱ玉城、結構…巨乳だな。…触ってみたい。でも…でもな〜…いくら夢と言えど、いきなり玉城の胸に触るなんて…いや!これは夢なんだ。何したって関係ないだろ!うん…、よし…!

「どこ見てるの?」

ぎくり。顔を上げると、玉城がからかうように目を細めて俺を見ていた。

「ふふ…。」

何もかも見透かしているような微笑み。か…からかわれてる。なんか調子狂うな…。

「お腹すいたでしょ?」
「え…、あ、あぁ…」

そういえば…ペコペコだ。

「すぐご飯用意するね。」
「え…」
「アルバムでも見て待ってて。」

はい、と膝の上に置かれる分厚いアルバム。キッチンに入る玉城を見て、まだ信じられないふわふわした気持ちのままアルバムを開く。…ドレス姿の玉城がいっぱい。俺と二人で写っていたり、青道の奴らや、知らない人たちと楽しそうに写っている写真…。…結婚。俺と、玉城が?…廊下で会うたび、ウザそうに眉を顰められるのに?マジなら、いったい何が起こってそんな関係になったんだ?
トントントン、と軽やかな包丁の音が聞こえてくる。オリーブオイルとニンニク、ベーコンが焼ける香ばしい香り。油の跳ねるジューシーな音…。…腹減った。
ちょっと振り向いて玉城をこっそりと眺める。エプロン姿で料理をする玉城は…すごく幸せそうで。俺…こんな妄想するなんて、マジで末期だよな。どんだけ玉城のこと好きなんだよ…。大人になった姿まで想像して。…だけど、あんなに美人な子だから…きっと、こんなふうに綺麗になるんだろうな。

「…あ、先にお風呂入ってきてもいいよ。まだちょっとかかるから…」
「え、あ、」
「お風呂はそこ。着替えは寝室にあるから。」
「あ…、うん。」

確かに座って待っているのも肩身が狭い。言われた通り寝室に入ると、そこにはキングサイズのベッドが一つと、シンプルなチェストや本棚やドレッサー。…ベッドに枕が二つ。まさか…一緒に寝る…なんてことはない、よな。さすがに。
邪な思いを振り払い、クローゼットの扉を開けて、言葉を失う。…ナニコレ。部屋?なんて言うんだっけ、こういうの…そうそう、ウォークインクローゼット。金持ちの家によくある…。…このマンション、高級マンションってやつなんだろうな。これも俺の願望なのか?我ながら強欲。

「え〜…っと…」

ハンガーにかかっているのはほとんど女物。…玉城の服?だけど、右を向くと男物の服がずらりと並んでいた。…俺のはこっちか。下着はどこだろう。タンスの中かな?適当に目の前の引き出しを開けてみる。

「……え。」

パタン。慌てて閉めた。思わず背後を確認する。…玉城はキッチンだ。大丈夫、気付いてない。
……落ち着け俺。…くそ、動揺してる。だって、引き出しを開けたら…ブラジャーがずらりと並んでいて。
ごくり、と生唾を飲む。…これが夢なら…下着くらい、見ても…。悪魔が囁いて、こっそりと引き出しを開ける。…うわ、やばい。男だらけの寮で生活してる身には刺激が強すぎる…。…って、何してんだ俺!変態じゃねーか…。
引き出しを閉め、深呼吸。こんな下心丸出しの夢見て…今度から玉城の顔が見れない。合わす顔がない。どうしちまったんだ俺…欲求不満なのか?
隣の引き出しを開けると、男物の下着が入っていて思わず安堵した。男のパンツを見てほっとする日が来るとは…。意味わかんねー。
それから適当にTシャツとズボンを取り、寝室に戻る。ベッドを横目に、ドレッサーに並ぶ可愛らしい小瓶やメイク道具を見る。…部屋の中に女性らしいものが溢れていて落ち着かない。しかも、玉城のものだと思うと…。ベッド脇のチェストには時計と読みかけの本。…あれ、これ…俺が読んでる本の第6巻。この間3巻が出たところだったと思うけど…。本当にリアルな夢だな。…夢、なんだよな?
チェストの引き出しを開ける。ほとんど何も入っていない中身は、充電器か何かのコードと、小箱が二つ。一つを手に取って、開けてみて、その中身に思わず声を挙げそうになった。…ろ、ローター。た…玉城とどんなプレイを妄想してるんだよ、俺。もうマジでヤバイ。こんなこと誰にも言えねー…。
箱を戻し、もう一つの箱を手に取る。…コンドーム。だめだ、俺、ここまで玉城のこと、こんな目で…。そんなつもりはなかったんだけど。いや、可愛いなーとか、美人だなーとか…思ってたけど…。でも嫌われてるし、玉城が俺のこと好きになるとか、天地がひっくり返りでもしない限りありえねーだろ。
チェストを閉め、リビングに戻る。料理中の玉城が、脱衣所に入っていく俺をにこにこと見送る。…ほら、こんな風に笑ってくれたこともないし。あいつは俺を見るといつも、げっ、と顔を歪める。
脱衣所に入って洗面台の鏡を見て、俺はまた驚いた。…20代半ば…くらいか?大人になってる。タッパも増えてるし…筋肉も。なかなかいいじゃん。今もこのくらいの体格になりてえな。
ちょっと笑いがこみあげながら服を脱ぎ、風呂に入った。…なんだかいいにおいがする。当たり前だけど、寮の風呂とは全然違う。女物のシャンプーやコンディショナーやボディーソープ。甘い香りがして落ち着かない。さっとシャワーだけ浴びて出ることにする。
10分…20分近く経っただろうか。俺がリビングに戻ると、玉城が待っていたようにソファから立ち上がった。

「ご飯できてるよ。」

にこにこ、嬉しそうに食事を並べていく玉城。どれもすげえ美味そう。

「いただきます。」
「…いただきます。」

なんだか玉城が別人のようで、まだ戸惑いを残しながら手を合わせる。料理を一つ、口に運んで…口の中に広がる旨みに頬がほころぶ。

「美味い…」
「ほんと?よかった。」

…またにこにこ。幸せそうに俺を見る玉城。玉城と、こんなふうになれたらいい…って思うけど、現実は遠い。何と言っても俺は嫌われている。なんでかはわからないけど。

「…あのさ、玉城」

ふふふ、と玉城がおかしそうに笑って、じっと俺を見つめた。

「私、もう玉城じゃなくて、御幸だよ?」
「……。」

な…なんつー破壊力…。顔が熱い…。

「いつも光って呼んでくれるでしょ。」
「え…。」

お…俺の方が、年上なのに。…一応。からかわれてる。完全に。

「それで?」
「え?」
「なあに?」

…そうだ、俺から話を振ったんだった。首を傾げて俺に尋ねる玉城…、…光は、なんだか大人の余裕があって…。年下だけど生意気で、時々ムキになって、そんなところが可愛いと思っていたけど、こういう雰囲気も…いい。

「…結婚って…いつしたの?」
「えっと…1年半前だよ。」

結構経ってんな…。

「じゃあ…付き合い始めたのは?」
「最初に付き合ったのは、私が高1のときの秋ごろだよ。」
「…え、何?最初って」
「結婚前に2回別れたことがあって…」
「え!?な、なんで?」

光はちょっと目を細めて微笑み、俺を見つめる。

「思い出してみて。」
「……。」

…思い出せるわけない。だってこれ、夢…だろ?
だって、光が高1の秋って…もうすぐじゃん。今、全然そんな感じないんだけど。やっぱ夢だよ、夢。

「一也さん、私のこと抱きしめて、好きだよって言ってくれたよね。」
「……。」
「思い出した?」

だ…抱きしめて!?そんなことしたら殴られる…っつーか、下手したら警察に突き出されそう。夢の中じゃ何もかもうまくいってんだなぁ…。

「あ、そうだ。」

光は食事の途中なのに立ち上がって、寝室へ行った。そしてすぐに戻ってくると、小さな袋から大切そうに何かを取り出して、手のひらの上にのせ、俺に見せてきた。

「ほらこれ。一也さんからもらったんだよ。」
「…ボタン?」

制服の…だよな?制服のボタンをもらうって、それはつまり…。

「第2ボタン。3年も取っておいてくれて…すごく嬉しかった。」
「……。」
「…私の宝物。」

幸せそうに微笑む光…。俺にボタンをもらったことで、そんなに喜んでくれる、なんて。この夢…覚めなくてもいいかも…。

「ご飯、食べちゃおうか。」

光は照れたように笑ってはぐらかし、席に戻った。それから食事は進み、完食すると、光はてきぱきと片づけ始める。手伝おうとキッチンに入ろうとした俺を、いいから座ってて、とソファに押しやり、なぜか嬉しそうに洗い物を始めた。
カチャカチャと食器がぶつかる音を聞きながら、光の気配を背中に感じ、ちょっと胸の奥がじんとする。玉城と結婚して、こんなふうに生活できたら…。…って、いやいや、だからこれ夢だって。

「はい。」

コト、と硬い音を立てて、光が俺の前にコーヒーを置いてくれた。

「あぁ…ありがとう」
「私お風呂入ってくるね。」
「あぁ…。…え」

そ、そんな躊躇いもなく、男に風呂入ってくるとか言うなよ…!って、夫婦なら別に普通のことなのか…。ああもう、落ち着かない。寝室で着替えを取ってきて、脱衣所に入って行く光。数分して、シャワーの音が聞こえてくる。…て、テレビでも見るか…。
…どの番組もくだらないバラエティ番組。それに何より玉城の存在が気になって…集中できない。素振りでもして時間をつぶしたい…けど、バットとかどこにあるんだ?あちこち探しまわるのもなぁ…。

『…甘くほどけるせつなさは、あの日のキスのようでした。』

聞き覚えのある綺麗な声に引かれてテレビを見た。そこに写っていたのは、チョコレートを口の中に含み、せつなげに涙を流す――玉城!?

『切ない恋に、チョコレート。ラルム。ビター新登場』
「……。」

え…あいつ、芸能人なの?マジで…?確かに一般人にしておくにはもったいないくらいの美人だけど…て、テレビに映えすぎていて違和感がない。CMに見惚れるとか初めてだぞ…。
困惑している俺の元に、ふわっ、と甘い香りがまとわりついてきた。

「何ボーっとしてるの?」
「え…、うわっ!」

腕に絡みついてくる玉城。サラサラの髪が俺の腕をくすぐって、柔らかいものの感触も…。

「…あ、ごめんごめん。」

玉城は可笑しそうに笑いながら離れた。

「いつもの癖で抱き着いちゃった。びっくりした?ごめんね。」
「い…、」

いつもの…癖!?いつもこんなことしてんの、俺ら!?

「私もう寝るけど…一也さんはどうする?」
「あ…、じゃあ、俺も…」

答えると、うん、と玉城は頷いて、俺の手を引く。…距離感近いな。まあ…嬉しい、けど。
寝室に入り、突っ立ったままの俺をよそに、玉城は部屋の電気を消して間接照明をつけると、ベッドに入った。

「…どうしたの?」
「は?」

何がだよ。

「早く寝ようよ。」

そう言って玉城は自分の隣をポンポンと叩く。…いや、え?

「いや…、いやいやいや」
「なに?」
「…一緒に寝んの?」

ぱちくり、と大きな目が瞬いた。

「…何か駄目だった?」
「当たり前だろ!」
「え…」

大きな目に悲し気な色が混ざる。

「…嫌だった?」
「い…、嫌、とかじゃ…なくて…」
「じゃあ何?」
「………っ」

くっ…何ていえばいいんだよ…!正直に言えば…ムラムラして寝るどころじゃなくなるから。ってそんなこと言えるか!!つか玉城はなんでナチュラルに一緒に寝ようとしてんだよ。…ああそうか夫婦だからか。…って意味わかんねーよ!そもそもなんだよこの状況。夢だとしたら長すぎんだろ!現実だとしても信じらんねーし…あーもう、誰か助けて…。

「一也さん?」
「……っ、…あー、もう、いい。何でもない」

寝ればいいんだろ寝れば。これが夢なら、目が覚めればすべて終わるはず。ベッドにもぐると、思ったよりも玉城が近くて…。しかも隣のチェストの中には、コンドームとアダルトグッズ…。こんな状況でだれが寝れるっつーんだよ!

「電気消すよ?」
「…うん」

やけくそになって返事をして、玉城に背中を向けて横になった。

「おやすみ。」
「…おやすみ」

俺は眠れねーけどな!



***



……やっぱり眠れなかった。部屋が薄明るくなってきた頃、ちょっと隣の玉城を盗み見た。…天使の寝顔。可愛い…可愛すぎる。っていうか、綺麗すぎる。やっぱ美人だな、こいつ…。目鼻立ちが整っているのはもちろん、ぷっくりとした赤い唇や長い睫はまるでお人形さんのようで。こんな子が俺と結婚って…まじかよ。…本当…だったらいいのに。

「…ん…」

玉城が身じろぎをして、俺はぎくりとしたけど、その表情から目を逸らせなかった。瞼がゆっくりと開く。薄いブルーの瞳が俺を見つけたように動き、ゆっくりと頬がほころんだ。

「…おはよ。」

玉城はそう呟いて、ちょっと身を起こし、そっと顔を近づけてきて…、ちゅっ、と俺の唇を啄んだ。

「……!!?…なっ…なにして…」
「え?」

まだ寝ぼけ眼の玉城は、目を擦りながら不思議そうに俺を見て、あ、と声を漏らした。

「そっか…、記憶が…。ごめん、いつもの癖で…」

だ…、だから、いつもの癖って何だよ!?玉城はとくに慌てた様子もなく、頬杖をついて寝転んで、じっと俺を見つめた。

「まだ思い出せない?」
「…つーか、夢じゃないの?これ…」

へらりと笑ってそう言うと、玉城はじっと俺を見つめたまま手を伸ばしてきて…、ぎゅっ、と俺の頬をつねった。

「いっ…て!」
「夢じゃないってわかった?」
「……。」

もっと他にやりようがあるだろ…。

「はあ…。」

なんだか切なげに俺を見つめてため息を吐く玉城。…なんか、エロいんだけど。

「…何?そのため息。」
「一也さんが早く思い出してくれないかなーと思って…。」
「…そりゃすいませんね。」
「うん。早く思い出してよ。」

こいつ…言うようになったな。…いや、もともとだな。

「ふう…。」

なんだか頬を赤くして、じっと俺を見つめて、また小さなため息を吐く玉城…。

「…だから、何なんだよ、そのため息!」
「…だって」

口をとがらせて、もどかしそうに…玉城は呟く。

「一也さんに触れなくて…寂しいんだもん」
「…は…」

はあ…?…これも俺の妄想?やべえよ…俺、末期だよ…。

「ねえ、一回ぎゅってしてもいい?」
「は…、はあ!?なんでだよ…」
「何か思い出すかもしれないし…。」
「そんなんで思い出すかよ…!」
「一回だけだから…。ね…お願い。」

お願いって…お願いって…!こっちからお願いしたいことなんですけど!!いや、でも、理性がヤバい。

「…駄目?」

…あーもう!その目、反則…。

「…勝手にすれば?」
「えっ、ほんとに?」

素っ気なく言ったのに、玉城はなぜか嬉しそうに顔をほころばせ、身を乗り出してきた。

「えへへ」

ぎゅうっ、と抱き着いてくる玉城。…胸、当たってんだけど…!つーか何この香り、すげーいいニオイ…。…ヤバイって、もう、勃っ…

「…ちょ…、もうやめ…!玉城!」

突き放した体は、柔らかくて軽くて、細くて、華奢で…その感触にも、驚きと悲しさをにじませた玉城の表情にも、俺は動揺した。

「…ごめんなさい。」
「え…」
「そうだよね…。一也さんの中では、まだ、付き合ってないから…こういうこと、したくないよね…。」
「……。」

いや…したいけど…。って、そうじゃなくて…。

「……。」

玉城は目を伏せて落ち込むと、その目に段々涙が滲んできた。

「え…!な…、泣くなよ…!ご、ごめんって…俺、ちょっとびっくりして…」
「う…っ」

玉城は涙をぬぐいながら首を横に振った。

「はやく…元に戻って…。」
「え…?」
「私…ばっかり…、キスしたり…えっち……したくて…、…さびしい」
「……。」

……え…。い、いまなんつった?

「…う…。」
「……。」

しくしくと涙を流す玉城を、俺は慰めることもできずに眺める。え…どうしたらいいのこれ?っていうか…玉城が…、玉城が、えっち…したいって言った…。…俺、相当溜まってんのかな…。これ…夢…じゃないの?本当に?信じらんないんだけど…。

「いや…あのさ…」
「……?」
「俺…嫌なわけじゃ、なくて…」
「……。」
「…その…」

い…言えるか!経験ないから恥ずかしくてびびってる、なんて…!
玉城は俺を見つめて、涙を拭って、呟いた。

「…やっぱり…優しいね、一也さんって…」
「え…」

な…なんか、勘違いされてる。気ぃ使ったとでも思われてる…っぽいな…。

「あのな…俺はほんとに…」
「もう…いいよ。無理しなくても…。私…一也さんに思い出してもらえるように頑張るから…。」
「…だから!違うんだって!」

そんな悲しそうに…俺とキスできないからって、そんな悲しそうにされたら…!

「きっ…キス…とか…!えっ…ち…とか…、お、俺だって…その……したい…し…。」
「……。」
「玉城に…触り……たい…」

は…っ、恥ずかしい…!!死ぬ…。

「……ほんとに?」

玉城は顔を赤くして…潤んだ目で俺を見上げた。

「う…うん」
「……。」

俺が頷くと、恥ずかしそうに目を逸らす玉城。え…これって…。…してもいい、のか…?

「……。」
「……。」

お互いに黙り込んで沈黙が流れる。や…やっぱりこういうときは、男の俺が…しなきゃいけないんだろう、けど…。…ど、どうしたらいいんだ…!?

「……。」
「……。」
「…ねぇ…。」

玉城がもどかしげに身を起こし、少し身を乗り出してきて、布団がはだけてキャミソールしか着ていない柔らかそうな肌が露わになった。

「…しないの?」

…え!?

「な…。…なにを…?」
「……。」

もじもじする玉城…。む…胸の谷間が…。い、いいのか…!?胸、とか…触っても…。

「…キス。」
「……。」

な…、なんだ、キスか…!俺、今すげえ先走るところだった…!あぶねー…。…って、キスも相当だけど…。

「…し、していいの?」

まだ戸惑う童貞の俺…。情けないが仕方ない。玉城はそんな俺を見つめ、待ちきれないように呟いた。

「…私…一也さんの、奥さんなんだよ?」
「……。」

そ…そんなこと、言われたら…!!やばい、おかしくなりそう…。

「…じゃあ…。」

心臓がばっくばくに跳ね、痛いほどその音を感じながら、玉城の頬に手を添える。うわ…肌、すべっすべ。やわらけぇ…。けど…今から俺、もっと柔らかいこの赤い唇に…キスするんだ…。
ぎこちなく顔を近づけて、ごくり、と生唾を飲む。玉城は目を瞑ってじっと待っている。い…いいんだな!?キス…するぞ…!?

ふに…、と唇が柔らかいものに触れた。や…やわらけえぇ〜…。なんだこれ…気持ちいい…。ちょっと甘くて…いいにおいがする…。玉城のにおい。花みたいな…爽やかな、何とも言えない甘い香り。ずっと感じていたい…。…あ、やべ、キス…長すぎたか?引かれてないかな…。

唇を離すと、玉城は目を開けて、ちょっと赤い顔で俺を見つめた。

「…かわいい…。」
「…へ?」

玉城が俺の頬を両手で包んできて、顔を近づけてきた。な…なんだよ、かわいいって…。からかわれてんのか?

「一也さんのキス…可愛い」
「な…なんでだよ…。」
「高校生の時みたい…。」

…高校生なんですけど。

「初々しくて…こんなに顔、赤くして…」
「…おい、先輩をからかっ…」

ぷに…、と唇がくっついた。た…、玉城が俺にキスしてる…!?俺の唇を優しく撫でるように挟んで、もぞ…、と唇をこすりつける。それから、舌が…唇の間を舐めて、その間に入ってきて…。た、玉城の舌が、俺の舌を舐めて…口の中を優しく撫でて…。な、なんだこれ…。気持ち…よすぎる…。つーか、やばい…た、勃ってる。

「ん…。」

ちゅ、と音を立てて、唇を離す玉城。ま、まさかディープキス…されるとは…。やばい…やばいやばいやばい。顔が熱い…。下半身が…切ない。

「…勃っちゃったの?」

な…!何言ってんだ、玉城…!?

「…うわ…っ!?」

た…、玉城の手…!?俺の…股間を撫でて…。

「…する?」

俺を見つめてそう問う玉城。そんな…これ、マジで俺の妄想じゃないのか…!?

「…す、する…」

もうどうにでもなれという気持ちで頷くと、玉城は微笑んで起き上がった。キャミソールの肩ひもを外し、胸が現れる…。で、でかい…。形も綺麗で…乳首も…綺麗な桜色だ…。

「…触って…。」

自分の胸元に手を当てて胸を突き出してくる玉城…。俺の手が戸惑うように空をさ迷うのを、玉城は絡めとって、自分から胸に押し当ててくる。ああもう…!俺、AVの見すぎ…!?
っていうか…。胸…柔らかい…。この世にこんなに気持ちのいいさわり心地のものが存在していたとは…。柔らかくて、すべすべで、たぶんいいにおい。顔を埋めたいくらいだけど…さすがに勇気がない。だけど、気付けば俺は両手で胸を揉みしだいていた。最高…。夢でもいいから、まだ覚めないでくれ…。
玉城は息を荒げて胸を突き出し、やがて、俺の手に自分の手を重ねてくる。

「ここ…、弄って…。」

そう言って俺の指先を誘導して…。ここ…って…。…乳首…。ここ、弄られるのが好きなのか…?くるくる、指でなぞるように弄ってみると、急に玉城の胸がぴくんと反応した。

「んっ…。」

な…、なんだ!?喘ぎ声…?そ、そんなに気持ちいいのか、ここ…?

「…もうちょっと…はやく…。」
「う…うん」

くりくり、乳首をいじると、ぴくぴくと体を震わせて目を瞑る玉城。

「…は…。…あっ…。」

…気持ち…いいんだ…。ここ…。やべえ…めちゃくちゃ興奮する…。

「あっ…。あ…。」

玉城はもじもじと下半身を悶えさせ始める。ああもう…俺、股間が痛い…。

「ん…っ、…待って…。ちょっと…。」

玉城が俺の手を離させ、少し腰を浮かして、ショートパンツを脱ぎ始めた。そ…そんな、ためらいもなく…。すると藍色のそのショーツの、秘部を覆っている辺りに濡れたような染みが広がっていて…。玉城はそこに自ら指先で触れ、呟いた。

「あ…、もうこんなに…濡れちゃった…。」
「……。」

い…いちいちエロい…。
よいしょ…、と玉城は下着を脱ぎ始め…え!?ぬ…脱いだ…。下着が降ろされたとき、白い糸がつうっと伸びて…玉城の白い太ももに滴った。
玉城は膝を立てて座ると、足を少し開いて秘部を見せてきて…。

「…見たい?」

…と、聞いてきた…。

「……。」

頷きたくなるのを必死で堪えて、俺は生唾をごっくんと飲み込む。焦るな…。焦って引かれたくない…。

「一也さん…ここ、いつも見たがるんだもん…。」
「え…。」

ま…マジで…?俺、そんなこといつも玉城に言ってるの…?

「はずかしいけど…。」
「……。」
「でも…いいよ。見て…」

玉城は指をそこに添え、足を開いて…そこを、指で広げて見せた。桜色の花弁のようなそこは、ひろげられたところがヒクヒクと震え、ずっと見つめていると…トロ、と蜜が流れてきた…。

「…あ…。…見られてると…出てきちゃう…。」

た…っ、玉城…っ!!エロい…可愛い…!!…舐めても…いいかな…。クンニ…とか、普段してんのかな。引かれないかな…。

「…ね、」

玉城が俺を見上げる…。

「好きに…して、いいんだよ?私…一也さんの、奥さん…なんだから…。」

…またそんな悩殺台詞を…!!!わざとか…?わざとなのか!?
ちょっと手を伸ばして、玉城の顔を窺うと…玉城は、いいよ、とでも言うかのように、赤く染まった顔で小さく頷き、俯いた。い…いいんだな?ほんとに…?
指先でそっと…花弁に触れた。ぷにぷに…ぬるぬるしてる。あたたかい…。興奮がヤバい…。だけど…どう弄ればいいんだ?AVではどうやってるっけ…。

「…ここ…。」

玉城が自身の指でそっと、花弁の上の方にある小さな突起を撫でる。じ…自分で…。ごくり、と喉が鳴る。

「指で…触ってみて。」
「え…ここ?」

思えば…AVではモザイクかかってるし、よくわからないんだよな…。こんなふうにちゃんと見るの、初めてだし…。…俺の妄想じゃなければ。
突起を指で撫でると、玉城の足がピクリと反応した。気持ちいいのかな…。

「ん…。…気持ちいい」

そ…そうなんだ…。…感じてる顔、可愛いな…。

「あ…。」

ぞくぞくと下半身を震わせ、腰がだんだん浮いてくる…。

「…ん…、…そう…。…上手…」

なんか…年上のお姉さんに筆おろしされてるみてーな気分…。正直最高…。

「…っあ…。あ…、そのまま…。」

このまま…?くりくりと突起を撫で続けてみる。

「…あ…。…あっ」

声…可愛い…。擦ってるところ、どんどん、ぬるぬるしてきて…。溢れてくる…。
少し身をかがめると、玉城は俺のやろうとしていることを受け入れるように、少し足を開いた。差し出されたその蜜まみれの花弁に、顔を近づける。うわ…、こんな、近くで…。花弁を少し引っ張り、開いてみると、綺麗なピンク色の中がヒクヒクと震えていて。

「そ…、そんなに…見ないで…。」

恥ずかしがる玉城は、すげえ可愛くて…。さっき玉城に言われた、花弁の上の突起を少し親指で擦ると、中がキュッと動いて、蜜が流れてきた。

「あっ…、あ…っ」

見られている羞恥と快楽に悶える玉城。俺…、玉城と結婚して…いつもこんなことしてんの…?
もう…股間が…痛い。ギンギンに膨れ上がって、破裂しそう。触らなくても射精してしまいそうだ…。俺は花弁にもっと顔を近づけ、舐め始めた。ヒクヒクと震えるぬるぬるした花弁。柔らかくて…熱い。俺の頭を挟みこむ太腿も、ふっくらすべすべしていて…堪らない。

「あ…、あっ、ん…」

ぴちゃぴちゃ、蜜の音を響かせる。どんどん溢れてくる…。玉城が俺に秘部を舐められて、こんなに乱れてる…。

「あっ…。…イッちゃいそう…」

え…?

「い、イッちゃう…っ、あ…っ、ん、…っ」

びくん、と腰が跳ね、ヒクヒクと下半身を痙攣させて、俺の顔を柔らかな太腿がきゅっと挟みんで、玉城は脱力し、呼吸を乱した。い…イッたんだ…。玉城は、はぁ、はぁ…、と肩で息をして俺を見つめた。

「いつも…一也さんが、こうやって弄ってくれるの…。」
「……。」
「…思い出して…くれた…?」

いや…興奮してそれどころじゃないんですけど…。いちいちセリフがエロいし…!

「あ…っ!?」

きゅうっ、と下半身に込み上げる快楽と、むっと広がる不快感…。え…、ウソだろ、おい…ちょっと待て。俺…射精しちゃった…?下半身を見ると、スウェットのズボンの股間に染みが広がっていて…なのに、まだそれはギンギンにズボンを押し上げて主張していて…。うわ、ちょっと待て、最悪すぎる!こんなの、玉城の前で…!ダセェ…消えてしまいたい。

「あ…、ごめんね…」
「え…?えっ…!?ちょ…っ」

玉城が急に思い出したように俺の下半身に触れる。戸惑う俺をよそに、あっけなくズボンがずり降ろされ、そそり立った肉棒が曝け出された。出たばかりだというのに、もう我慢汁がにじみ、痛いくらい膨れ上がっている…。

「これ…脱いじゃおうか?」
「……。」

…うぅ…はずい…。ズボンを脱がされて、下着も脱がされ…玉城が俺の精液で汚れた肉棒を、白魚のように白く綺麗な手で撫でる。

「ごめんね…痛くない?」
「…いや…、」
「今…出してあげるから…。」

玉城はそう言うと、俺の肉棒を…愛おしそうに口に咥えた。な…!!た、玉城が…フェラ…してる…!!こんなこと…い、いつもやってるのか…?なんか…すげぇ、慣れてる感じ…。ウソだろ…あの清楚な玉城が…。

「ん…、う…。ん…っ」
「…っ…」
「…ん…、…っぷは…、っん…」

じゅぷ…、じゅぷ…、と蜜が絡み合う音が響き、玉城の口の中の柔らかさと窮屈さ、あたたかさに酔いしれる。つーか…玉城が俺のを咥えてる光景がすでに…やばい…。

「…なんか…」
「…ん…っ…、…んう…?」
「…上手い…な、お前…」
「……。」

玉城は動きを止め、俺を見上げて、ちゅぽん、と肉棒から口を離した。

「…自分で教えたくせに…。」
「…え!?」

お…俺が!?マジで…?

「全部…一也さんが、教えてくれたんだよ?」
「え…。」

全部…。…ってことは…初めての相手も、俺…!?
動揺する俺の肉棒を、玉城はまたゆっくりと食む。あぁ…気持ち良すぎる…。舌が吸い付いて…先っぽとか、裏のスジとか…的確にイイところばっかり…。

「…っ、は…っ、ヤバイ…玉城…。」
「ん…。」

玉城は咥えたまま、熱を口の中で受け止めた。そして余韻をくすぐるように丁寧に舐めとりながら、ちゅっと吸い上げて口を離した。白濁した蜜が赤い唇の端から垂れて、赤い小さな舌がぺろりとそれを舐めとり、こくん…、と白い喉が震えた。…の…飲んだ…!?

「…え…。」
「ん?」
「いや…、な…、なんで…飲ん…」
「…そのほうが、一也さんが…エッチな気分になってくれるでしょ?」

………。…だめだ…。俺はもう、駄目だ。玉城でこんな…こんな妄想をしてしまうなんて…!!

「玉城…っ」
「きゃ…」

堪らず抱き着くように押し倒し、肉棒を花弁にこすりつける。

「あ…っ、待って…、まだ…だめだよ…」
「ここまでしておいて…だめってなんだよ。なぁ…いいだろ?俺…玉城に、挿れたい…」

もう切なくて切なくて、快楽を求めてむずむずとくすぐられる下半身を花弁に押し当てる。挿れたい…。もう…そうしないと収まらない。

「だめ…もうちょっと、我慢して。」
「なんで…」
「一也さんの…おっきいから、慣らさないと痛いの。」
「……。」

…え?

「だから…指、挿れて…」
「…ここ?…あれ?」
「…もうちょっと…下…。…こっち…。」

玉城が俺の手を導いて、指をくっと押し込み、俺の人差し指が、つぷ…、と花弁の割れ目に入っていく。うわ…、すげぇ、ぬるぬるして…熱い。それに…キツい。たしかに、俺の…いきなりは挿入らないかも…。

「…ん…。…そう、もうちょっと…奥…入れても、大丈夫…。」
「…このへん?」
「うん…。…あ…。…気持ち…い」

ここ…か。玉城の反応を見ながら中を擦る。もうすぐ…。もうすぐ、ここに…。

「…指、増やしても大丈夫…だと思う…」
「…え、あ…。お、おう…」
「…ん…っ」

指を二本に増やし、また奥まで入れてみる。そのまま前後に擦ったり、関節を少し曲げてみたりする。

「もうちょっと…このへん、押すみたいに…してみて」

このへん、と玉城がお腹の少し下あたりを擦って言う。その近くには薄紅色の切り傷の痕みたいなものがふたつあって、そのことを訊こうかどうか一瞬迷った。どっちも…手術痕、みたいな…。怪我だとしたら結構大きな傷だ。何の傷だろう…。未来の俺は…知ってるのかな…?玉城のこと、今の俺よりもっと…。

「…あっ…。そこ…。」
「あ…、…ここ?」
「あ…っ、あ…。はぁ…、っん…、気持ち、いい…」
「ここか…」

その場所を脳裏に刻み込むようによく指で位置を探った。玉城の感じるところ…覚えておきたい。

「あっ…、んん…。…はぁ…、…ねぇ、もう…挿れて…いいよ」

…!…つ、ついに…。

「う…うん」

指を引き抜き、玉城に促されるように、肉棒を花弁にこすりつけ…、ゆっくりと腰を沈めた。
先っぽから少しずつ、飲み込まれていく感覚…。うわ…、なんだこれ…。意識飛びそう…気持ち良すぎる…。

「ん…、う…。…ゆ、ゆっくり…ね」

玉城は少し眉を顰めて俺を受け入れる。まだ…痛いのかな。無理してるのか…。俺の、ために…。

「…っ、あ、や、やばい…っ」

急に快楽が溢れだしそうになって、俺は慌てて引き抜こうとした。それを、玉城が俺の手を掴んで引き留める。

「き、急に動かないで…。…もう、出そう?」
「…やばい。今…動いたら、出る…」
「大丈夫だから…。ゆっくり、挿れて。」
「いや、でも…っ、生…だし…」
「大丈夫…。中で、出しても大丈夫だから…。」

玉城は微笑んで、俺の手を引いた。

「ね…、挿れて…」
「……っ、あ、やっぱ…、もうヤバい…」
「いいよ…一回、出しちゃおう?」
「は…、っ」

玉城の言葉で頭が真っ白になって…俺は、熱があふれ出てしまった。まだ半分くらいしか入ってないのに…。ダセェ…。

「いっぱい出たね…」

玉城は嬉しそうにはにかむ。

「私で…そんなふうに、なってくれて…嬉しい」
「玉城…。」

くそ…、どこまでも…可愛い…。

「ねぇ…、もっと奥、きて…」
「…っ」

まだ硬いままの肉棒の挿入を再開する。ようやく根元まで入ると、しばらく深呼吸して頭を整理した。とにかく…落ち着け、俺。またちょっと出そうだけど…我慢だ。

「…大丈夫?」

玉城が心配そうに俺を見つめる。…完全にリードされてる…。

「……ヤバい…かも」

恥ずかしいけど…言葉を絞り出した。気持ち良すぎて、うかつに動くとまた出てしまいそうで…それは避けたい。俺がリードしたいのに…。

「また…出ちゃいそう?」
「……。」

あぁ…恥ずかしい…。くそ…無だ、心を無にしろ…俺…。
玉城がこんな…こんな姿で目の前にいるけど…心を無に…。…いや無理!!

「出してもいいよ?」
「……!」

ぶんぶん、と首を横に振って断固拒否した。…ものの、今だ動けずに堪え続けている俺…。な、情けね〜…。

「もう…頑固…。」

玉城が身を起こして、俺を抱きしめてきた。そしてそのまま、腰を動かし始めて…。…って、ちょっと…ヤバいって…!!

「ちょ…、待て、玉城、ヤバい!ヤバいから…!!」
「うん…いいよ…出して」
「だ…、だめだって…!…っ…あ…!…うあ…っ」

だめだ…もう、限界…っ
熱が一気にこみあげて――下半身に解放感が広がる。あぁ…もう、全部どうでもよくなるくらい気持ちいい…。

「出た…?」

玉城がからかうように訊いてきて、俺の頬を撫でる…。玉城にリードされっぱなし…。めちゃくちゃ興奮するけど…ちょっと凹む…。

「ふふ…。」
「…笑うのやめて」

俺の威厳が…。いや、もう威厳なんてとっくにないな…。

「違うよ、からかってるわけじゃなくて」
「……。」
「なんか…一也さんが昔言ってたことの意味が、なんとなくわかったっていうか…」
「…俺が言ってたことの意味…?」

玉城は俺の肩に手を置いて、よいしょ、とちょっと腰を動かして座りなおした。まだ入ったままの下半身が刺激され、うっ、と声を漏らしそうになり、堪える。

「うん。付き合い始めて…1ヶ月くらいの時かな…。」
「……。」
「はじめて…一也さんとこういうことして…」
「…え!?」

たった…1ヶ月で!?俺、手ぇ早すぎ…。

「ふふ。それでね、一也さんが…その…。…私、でしか、ムラムラできないって言うから…」
「……えぇ…?」

俺…玉城になんてこと言っちゃってんの…?

「…それで、その…。…胸、見せたりとか…するようになって」
「……。」
「そしたら一也さん…自分じゃなくて、私ばっかり…触るから…」
「……。」
「私…恥ずかしくて…。しなくていいって言ったの…。でも、そしたら一也さんが…私が感じてるのを、見ながらしたい…って言って…。」
「……。」

俺…何言っちゃってんの…!?恥ずかしくて死にそう…。

「その時は、なんで?って思ったけど…なんか…わかっちゃった。」
「え…?」
「感じてる一也さん…可愛くて、私まで…気持ちいいの」

胸の奥から何かが込み上げてくる…。こんな気分、初めてだ…。羞恥と、喜びと、快楽と…それからなんだろう…愛おしさ?玉城が可愛くて…息苦しい…。

 


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