262
…静かな部屋。御幸は昼には帰って来るって言ってたけど…時刻はまだ10時前。暇だしジムでも行こうかと思ったけど…具合の悪い光を置いていくのもな。
光…。あんなふうに御幸に甘えるのか。昔は御幸がちょっかいを出して、冷たくあしらわれている印象だった。今はバカップル並みのベタベタ具合だってのは知ってたけど…あんな光は初めて見た。あんなふうに…俺に甘えてくれたら…。そう思わずにはいられない、情けない片思い。
つーか、今光…生理ってこと、だよな。生理って…アレだよな。血が出る…ってことしか知らないけど。生理痛ってあんなになるのか…生理痛っていうくらいだから、ちょっと腹が痛む程度だと思ってた。ほっといても大丈夫なのか…?
ちょっと…様子を見に行こうかな。けど、手ぶらで行くのもなんだから…何か差し入れを持っていこう。えーと…腹が痛いんだから…あったかい飲み物とか?御幸もホットミルク持って行ってたし…。うーん…紅茶でも入れてくか。
お湯を沸かし、ティーバッグで紅茶を淹れた。マグカップに注いだそれを持って、寝室のドアの前に立つ。コン、コン、と控えめに2回ノックしたけど、返事はなかった。
「…光?」
少しドアを開けると、光はベッドで蹲っていた。…辛そうだな。眉を顰めたまま眠っている。長い睫は涙で濡れていて、頬に少し雫が零れていた。俺はマグカップをサイドボードに置いて、そっとベッドに座り、頬に触れるか触れないかというくらいそっと、指先で涙を掬った。
「…ん…」
光が身じろぎをして、手を伸ばしてきた。その手は俺の腰に当たって、服の裾を引っ張るようにして手繰り寄せ、ぎゅっと抱きしめた。…腰に押し付けられる彼女の小さな頭。腰に回り、ぎゅっと抱きしめる細い腕。光が…俺に甘えてる。
「…一也さん…」
…御幸だと思ってるのか。そりゃそうか…。いいなぁ御幸、こんなふうに…光が甘えてくるなんて…。…柔らかい。あたたかい。…愛おしい。
「…いたいよ…。」
震えて掠れた声で甘えるように呟き、俺の腰に頬ずりをするように顔を埋める。…なんか…位置が際どいんだけど。特に手が…ちょっと、動いたら…。
「んう…。」
光が甘えた声で呻いて、ぎゅっと手に力が篭った後、ふっと脱力して、手がぽすん、と落ちてきた。…俺の息子の上に。
「……。」
「…んん…。」
…どうしようこれ。やばい…やばいって。くそ…勃つな…勃つなよ、俺…。
「…う…。」
光はうなされて寝返りを打った。手が俺から離れ、布団の上に投げ出される。た…助かった。安堵して振りむいて、息を飲んだ。無防備な寝顔…真っ白で柔らかそうな首すじと鎖骨、はだけた胸元に覗く、豊満な胸…。やばい…早く部屋を出なきゃ、
俺はすぐに立ち上がり、逃げるように部屋を出た。閉めたドアがバタンと音を立て、しまったと思ったけど、とにかく気付かれないうちに客室に駆け込んだ。ああ…最悪だ。やっぱり思った通りだった。木崎さんの前では、全然ダメだったのに…。…完全に勃起してる…。
マジかよ。ちょっと手がぶつかって…それで、寝顔を見ただけだ。それだけなのに。裸を見たわけでもないのに…。いや、そんなこと考えてる場合じゃない。さっさと抜いて、鎮めないと…。
ベッドに座り、膨れ上がった息子を取り出した。うわ、バッキバキじゃん…。ここの所オナニーもあんまりしてなかったしな…。とりあえずしごき始めて、久々の快楽に頭がぼうっとなった。あー…光に挿れたい…。けど、もうそんなこと、一生無理だ。つーか光でしか抜けないってことは…俺、これから一生、もう二度と女を抱けないってこと?最悪じゃねーか…。
あぁ、光…。前に抱いたとき…最高だったな。可愛くて、綺麗で…。胸はやっぱりデカくて…よがるときの声は、すげーエロくて、可愛くて…。それで、あそこは…すげえ綺麗なピンク色で、柔らかくて、キツくて、あったかくて、絡みついてきて、それで…
…光。もう一度…抱きたい。抱きてえよ…。何かの間違いでもいいから、何かが起こって、また抱けないかな。…無理だよな。ああ…光。光…。
「…光…。」
つい口に出たその名前の響きは、快楽を一層強くさせた。
「…っ、光っ…」
「…はい?」
キィ、とドアが開いた。ぎょっと息を飲んだ俺を、はっと言葉を失って見つめる光。その目が、ちら、と下に動いて――。
「ごっ…ごめんなさい!」
光の顔が真っ赤に染まり、勢い良くドアが閉まった。
サッと血の気が引いて、手の中の熱は急に冷め、萎えた。み…見られた。光に、オナニーを…。しかも、光をおかずにしてるとこ…。最悪だ。嫌われた…いや、軽蔑された…。もう合わせる顔がない…。
俺はしばらく呆然として、萎えた息子を仕舞い、文字通り頭を抱えて深いため息をついた。…どうしよう。どうしよう、どうしよう、どうしよう…!!今からホテル探してここを出て行くか…うん、それしかねぇな…。あー…やばい、泣きそう。記憶を消したい…時間を戻したい…。
荷物をバッグに詰め込んで、俯き気味にそっとドアを開けた。おそるおそる、リビングの様子を窺う。…光はキッチンに立っていて、俺を見ると顔を赤くして俯いた。ああ…消えてしまいたい。
「…あのさ…」
少しだけ近づいて声をかけると、光は遠慮がちに顔を上げた。…顔は赤いままだ。
「…ごめん。」
「……。」
光は不思議そうに俺を見つめる。
「俺…どっかのホテル行くから…」
「…え?」
光は戸惑ったように声を上げて、俺の顔と荷物を交互に見た。
「どうしてですか…?」
「…え、いや、どうしてって…。」
居づらいし…今こうやって話してんのもキツいんだけど…。
「…あの…さっきの…ことなら…気にしないでください」
「……。」
いや…気にしないとか無理…。
「お、男の人が、ああいうことしなきゃいけないって…あの…わかってますから…。」
もしかして俺、慰められてる?よけい惨めだ…。
「それに私の方こそ…いきなり、ドア開けちゃって…あの、ごめんなさい。」
「いや…それは…俺が…」
…光の名前を呼んだから。…思い出して顔が熱くなる。おかずにしてたこと、バレバレだよな…。
「……。」
光の顔がまた赤くなってきた。さっきのことを思い出してんのか…あの情けない俺を。ああああ、もう、早く忘れてくれ…!!
「…あの…」
「……。」
「…一也さんが、言ってました。男の人は、その…だ、出さないと、いけないって…」
…アイツ…何てこと吹き込んでんだ。
「だから…あの…本当に、気にしないでください。」
「…本当に?」
「え…?は、はい。」
「俺…お前のこと、考えながらしてたんだぞ。」
「……。」
「気持ち悪くないのかよ?嫌だろ、普通…」
光の顔に戸惑いが混じった。だけどちょっと俯いて、首を横に振る。
「気持ち悪くなんか…。」
「…気ぃつかわなくていいって。ごめん、ほんと…俺、出て行くから」
「ほ、本当です!」
光の声に引き留められて、俺は踵を返しかけたところで立ち止まった。
「…好きだった人、だから…」
「…え…」
「……。」
「……。」
好きだった人…だから?おかずにされても気持ち悪くないって?なんだよ、それ…。
「…だから、その…」
「……。」
「私…で、しても…いいです…」
「……。」
え…。…やばい。また勃ちそう…
「…光。」
「は…はい。」
「そんなこと…言われると、…俺」
「……。」
「…我慢できなくなりそうなんだけど」
「……。」
光は顔を赤くして俯いた。俺は荷物を下ろし、光に近づいて、腰を抱き寄せた。急に縮まる距離。胸が押しあてられて、その感触に腹の底がくすぐられる。柔らかな頬を撫でて、赤い唇を親指で撫でた。
「…あの…。」
光がやんわりと顔を背け、俺の身体を押し返す。そのまま強引にキスをすることも考えたけど…。
「…しねえよ、何も」
「え…。」
俺は光を解放し、荷物を拾い上げて客室の方に踵を返した。
「御幸に宣戦布告してからにする。」
「……。」
顔を赤くして息を飲んだ光に背を向けて、俺は部屋に戻った。
光…。あんなふうに御幸に甘えるのか。昔は御幸がちょっかいを出して、冷たくあしらわれている印象だった。今はバカップル並みのベタベタ具合だってのは知ってたけど…あんな光は初めて見た。あんなふうに…俺に甘えてくれたら…。そう思わずにはいられない、情けない片思い。
つーか、今光…生理ってこと、だよな。生理って…アレだよな。血が出る…ってことしか知らないけど。生理痛ってあんなになるのか…生理痛っていうくらいだから、ちょっと腹が痛む程度だと思ってた。ほっといても大丈夫なのか…?
ちょっと…様子を見に行こうかな。けど、手ぶらで行くのもなんだから…何か差し入れを持っていこう。えーと…腹が痛いんだから…あったかい飲み物とか?御幸もホットミルク持って行ってたし…。うーん…紅茶でも入れてくか。
お湯を沸かし、ティーバッグで紅茶を淹れた。マグカップに注いだそれを持って、寝室のドアの前に立つ。コン、コン、と控えめに2回ノックしたけど、返事はなかった。
「…光?」
少しドアを開けると、光はベッドで蹲っていた。…辛そうだな。眉を顰めたまま眠っている。長い睫は涙で濡れていて、頬に少し雫が零れていた。俺はマグカップをサイドボードに置いて、そっとベッドに座り、頬に触れるか触れないかというくらいそっと、指先で涙を掬った。
「…ん…」
光が身じろぎをして、手を伸ばしてきた。その手は俺の腰に当たって、服の裾を引っ張るようにして手繰り寄せ、ぎゅっと抱きしめた。…腰に押し付けられる彼女の小さな頭。腰に回り、ぎゅっと抱きしめる細い腕。光が…俺に甘えてる。
「…一也さん…」
…御幸だと思ってるのか。そりゃそうか…。いいなぁ御幸、こんなふうに…光が甘えてくるなんて…。…柔らかい。あたたかい。…愛おしい。
「…いたいよ…。」
震えて掠れた声で甘えるように呟き、俺の腰に頬ずりをするように顔を埋める。…なんか…位置が際どいんだけど。特に手が…ちょっと、動いたら…。
「んう…。」
光が甘えた声で呻いて、ぎゅっと手に力が篭った後、ふっと脱力して、手がぽすん、と落ちてきた。…俺の息子の上に。
「……。」
「…んん…。」
…どうしようこれ。やばい…やばいって。くそ…勃つな…勃つなよ、俺…。
「…う…。」
光はうなされて寝返りを打った。手が俺から離れ、布団の上に投げ出される。た…助かった。安堵して振りむいて、息を飲んだ。無防備な寝顔…真っ白で柔らかそうな首すじと鎖骨、はだけた胸元に覗く、豊満な胸…。やばい…早く部屋を出なきゃ、
俺はすぐに立ち上がり、逃げるように部屋を出た。閉めたドアがバタンと音を立て、しまったと思ったけど、とにかく気付かれないうちに客室に駆け込んだ。ああ…最悪だ。やっぱり思った通りだった。木崎さんの前では、全然ダメだったのに…。…完全に勃起してる…。
マジかよ。ちょっと手がぶつかって…それで、寝顔を見ただけだ。それだけなのに。裸を見たわけでもないのに…。いや、そんなこと考えてる場合じゃない。さっさと抜いて、鎮めないと…。
ベッドに座り、膨れ上がった息子を取り出した。うわ、バッキバキじゃん…。ここの所オナニーもあんまりしてなかったしな…。とりあえずしごき始めて、久々の快楽に頭がぼうっとなった。あー…光に挿れたい…。けど、もうそんなこと、一生無理だ。つーか光でしか抜けないってことは…俺、これから一生、もう二度と女を抱けないってこと?最悪じゃねーか…。
あぁ、光…。前に抱いたとき…最高だったな。可愛くて、綺麗で…。胸はやっぱりデカくて…よがるときの声は、すげーエロくて、可愛くて…。それで、あそこは…すげえ綺麗なピンク色で、柔らかくて、キツくて、あったかくて、絡みついてきて、それで…
…光。もう一度…抱きたい。抱きてえよ…。何かの間違いでもいいから、何かが起こって、また抱けないかな。…無理だよな。ああ…光。光…。
「…光…。」
つい口に出たその名前の響きは、快楽を一層強くさせた。
「…っ、光っ…」
「…はい?」
キィ、とドアが開いた。ぎょっと息を飲んだ俺を、はっと言葉を失って見つめる光。その目が、ちら、と下に動いて――。
「ごっ…ごめんなさい!」
光の顔が真っ赤に染まり、勢い良くドアが閉まった。
サッと血の気が引いて、手の中の熱は急に冷め、萎えた。み…見られた。光に、オナニーを…。しかも、光をおかずにしてるとこ…。最悪だ。嫌われた…いや、軽蔑された…。もう合わせる顔がない…。
俺はしばらく呆然として、萎えた息子を仕舞い、文字通り頭を抱えて深いため息をついた。…どうしよう。どうしよう、どうしよう、どうしよう…!!今からホテル探してここを出て行くか…うん、それしかねぇな…。あー…やばい、泣きそう。記憶を消したい…時間を戻したい…。
荷物をバッグに詰め込んで、俯き気味にそっとドアを開けた。おそるおそる、リビングの様子を窺う。…光はキッチンに立っていて、俺を見ると顔を赤くして俯いた。ああ…消えてしまいたい。
「…あのさ…」
少しだけ近づいて声をかけると、光は遠慮がちに顔を上げた。…顔は赤いままだ。
「…ごめん。」
「……。」
光は不思議そうに俺を見つめる。
「俺…どっかのホテル行くから…」
「…え?」
光は戸惑ったように声を上げて、俺の顔と荷物を交互に見た。
「どうしてですか…?」
「…え、いや、どうしてって…。」
居づらいし…今こうやって話してんのもキツいんだけど…。
「…あの…さっきの…ことなら…気にしないでください」
「……。」
いや…気にしないとか無理…。
「お、男の人が、ああいうことしなきゃいけないって…あの…わかってますから…。」
もしかして俺、慰められてる?よけい惨めだ…。
「それに私の方こそ…いきなり、ドア開けちゃって…あの、ごめんなさい。」
「いや…それは…俺が…」
…光の名前を呼んだから。…思い出して顔が熱くなる。おかずにしてたこと、バレバレだよな…。
「……。」
光の顔がまた赤くなってきた。さっきのことを思い出してんのか…あの情けない俺を。ああああ、もう、早く忘れてくれ…!!
「…あの…」
「……。」
「…一也さんが、言ってました。男の人は、その…だ、出さないと、いけないって…」
…アイツ…何てこと吹き込んでんだ。
「だから…あの…本当に、気にしないでください。」
「…本当に?」
「え…?は、はい。」
「俺…お前のこと、考えながらしてたんだぞ。」
「……。」
「気持ち悪くないのかよ?嫌だろ、普通…」
光の顔に戸惑いが混じった。だけどちょっと俯いて、首を横に振る。
「気持ち悪くなんか…。」
「…気ぃつかわなくていいって。ごめん、ほんと…俺、出て行くから」
「ほ、本当です!」
光の声に引き留められて、俺は踵を返しかけたところで立ち止まった。
「…好きだった人、だから…」
「…え…」
「……。」
「……。」
好きだった人…だから?おかずにされても気持ち悪くないって?なんだよ、それ…。
「…だから、その…」
「……。」
「私…で、しても…いいです…」
「……。」
え…。…やばい。また勃ちそう…
「…光。」
「は…はい。」
「そんなこと…言われると、…俺」
「……。」
「…我慢できなくなりそうなんだけど」
「……。」
光は顔を赤くして俯いた。俺は荷物を下ろし、光に近づいて、腰を抱き寄せた。急に縮まる距離。胸が押しあてられて、その感触に腹の底がくすぐられる。柔らかな頬を撫でて、赤い唇を親指で撫でた。
「…あの…。」
光がやんわりと顔を背け、俺の身体を押し返す。そのまま強引にキスをすることも考えたけど…。
「…しねえよ、何も」
「え…。」
俺は光を解放し、荷物を拾い上げて客室の方に踵を返した。
「御幸に宣戦布告してからにする。」
「……。」
顔を赤くして息を飲んだ光に背を向けて、俺は部屋に戻った。