289
「すごい綺麗なところ〜〜〜…」
国王陛下との謁見を終えて、俺たちは国の中を自由に見て回ってもよいことになった。
湖の方面に向かう並木道を抜けて架け橋を渡った時、牧瀬が今日何度目になるかわからないため息をついて、ふと、光臣も遠い目をして似たようなため息をついた。
「ここに別荘が欲しいな…。」
「……。」
相変わらずスケールのデカい奴。まあでも、そんなことを物憂げにつぶやくなんて珍しい。
「建てればいいじゃん。玉城家当主様。」
「…まだ当主じゃない。それに、アンクレー王国ではここに国籍を持つ者でないと、土地も建物も持てないんだ。」
「へー、そうなんだ」
「ここの土地と建造物はすべて王室の所有物だからな。国民もみな、王室から住居を与えられている身分だ。騎士階級制度の名残らしい。」
「ふーん…」
「だから夢の国なのかもな…」
光臣がたそがれている…。そんなに別荘が欲しいかよ。
「じゃあもし光が王室に戻ったら別荘持てるじゃん。」
深く考えず、ほんの思い付きのように倉持が言って、俺は苦笑した。
「おめでてー奴だなお前」
「は!?」
「別荘を建てるための土地を特別に分けてくれだ何て言えるわけないだろう、そんな、光の顔に泥を塗るようなこと。」
「……。」
光臣がぼそりと窘めると、倉持はバツが悪そうに閉口した。
「あ…あそこだな。」
その光臣が見上げた建物。小さな森を抜けた先の、湖のほとりにある棟がくっついた美しい城。先ほどの城よりははるかに小さいが、それでも立派な城で、日本にある光の実家ほどの大きさは軽くある。
「湖の離宮。主に来客用に使われている城だそうだ。」
「ひえ〜私たち今日からここに泊まるの…?」
この国は観光客向けのビジネスがないため、もちろん宿泊施設もない。この国を訪れた外国人は、国王所有の城に滞在するのが一般的らしい。国王は光と配偶者である俺の部屋をあの大きな城に用意してくれていたらしいが、光はそれを断って、皆で一緒にここに泊まることを申し出た。
「すご〜い!光、探検しよ探検!」
「探検?」
「牧瀬、恥ずかしいからやめろよ」
「え〜倉持さんだってわくわくしてるくせに」
「……。」
俺たちは城に入り、使用人の案内で部屋に通された。
光臣と牧瀬が同部屋、俺と光が同部屋で、倉持は一人部屋だ。
「倉持一人で大丈夫かぁ〜?夜怖くて眠れないんじゃねーかぁ〜?」
「チッ…死ね」
「なんてこと言うんだよ、俺が死んだら光が悲しむだろ」
「うるせえデブ」
「ちょっと…その辺歩いてくるね」
「え?光…」
光は言い残すや否や、くるりと踵を返して一人で出て行ってしまった。
「テメーが調子に乗ってるからじゃねーの」
「はぁ?倉持が死ねなんて言うからだろ。光は悪口嫌いなんだぞ」
「あ〜まじくそうぜえお前」
***
夕暮れ時、夕食の前になって、光はやっと部屋に戻ってきた。
「どこ行ってたの?」
そう尋ねると、光は物憂げな顔で話し始めた。
「お母さんのこと、知りたくて…。」
あ…、そうか、そうだよな。俺、浮かれてて光のこと考えてなかったな…。反省。
「壁に飾ってある、肖像画とか…、写真とか、見て回ってたの…。」
「…そっか。」
「でもここは来客用の建物だから、王族の写真や資料は、本殿の方があるってメイド長さんが教えてくれて」
「じゃあ…明日行ってみる?」
「……。」
光はしばらく考えて、首を横に振った。
「…ううん。いい。」
「え、でも…」
「明日は皆と、外を観光しよう。」
まあ、光がそう言うなら…。
「わかった。」
***
夜には豪華な食事を堪能し、俺たちはそれぞれ部屋に戻った。間接照明で薄暗い部屋の中、寝衣の白いワンピース姿の光がベッドの傍らに来て腰掛けた。
「…光。」
その細い肩に触れて、枕に埋もれるように背を持たれた光に覆いかぶさって、キスをした。久しぶりだな…こういう夜。光との甘いキス…。…やばい、ご無沙汰だったし、すげえムラムラしてきた……、
「…一也さん」
キスの合間に俺の名前を呼んで、光は俺の胸を弱く押し返した。
「え…」
拒否されたと思ってショックを受ける俺に、光は言った。
「ちょっと…外の空気吸いに行かない?」
「え…?」
今?
「い…いいけど…」
光が微笑んで、それで俺はまあいいかという気になってしまうのだから仕方ない。
間接照明のランプの部分を外して持ち、俺たちは上着を羽織って裏口から城の外に出た。
裏口から出るとそこはすぐに湖のほとりだ。俺たちは芝生の上を歩き、湖の縁まで来ると、そこに座った。
…静かだ。すごく静か。海のように大きな湖に波はなく、満月がはっきりと写し出され、たゆたっている。風で時々木々が騒めく以外には音はなく、隣の光の息遣いが聞こえてきそうなほどの静寂だった。
「……。」
光…何か話したいことがあって、外に誘ったのかな?
俺は口を噤んだまま、隣に座っていた。
「……。…泳ぎたい。」
「えっ?」
何を言って…、と俺が考えるよりも前に、光は立ち上がって上着を脱ぎ捨て、ワンピースを脱ぎ捨て、下着も脱ぎ捨てて、そのままざぶんと湖にもぐってしまった。
「ひ、光!」
光が経てた波はすぐに消え、辺りに静寂が戻った。真っ黒い水面の揺らぎに光の居場所を示すものはなく、俺はにわかに心配になって湖を覗き込んだ。
「光……、」
水面を手のひらで撫で、波をかき分ける。
「光!どこに…」
ざぶん、と少し向こうに波しぶきが散って、光が顔を出した。顔を拭ってこっちを見て、心配で間抜け面になって湖に手を突っ込んでいる俺を見て少し笑うと、静かに泳いで近づいてきた。
「驚かせるなよ…。」
「驚いた?」
「驚いたよ、海の泡になっちゃったかと」
「あはは。湖だよここ。意外とロマンチストだね…」
「そりゃロマンチストにもなるよ。」
俺は光の濡れた頬を撫でた。
「こんなに綺麗なんだから…」
「……。」
光ははにかんで、月明かりが映る湖みたいに黒い青色の目をきらきらさせて俺を見上げた。
「一也さんも来て。」
「え…、」
「気持ちいいよ。」
「……。」
水遊びなんて、そんな…。でもまあ…こんな夢みたいな場所で、夢みたいな夜で…水遊びも悪くないかもしれない。
俺はシャツとズボンと下着を脱ぎ、一思いに湖に飛び込んだ。光の笑い声が聞こえる。
「ここの湖の水、飲めるほど綺麗なんだって。」
「へー…うわ、眼鏡…」
「眼鏡外しなよ。」
「何も見えなくなるんだよ」
「大丈夫、私がいるから」
光に眼鏡を取り上げられ、眼鏡を芝生に置いたかと思うと、光の手が俺の身体に伸びてきて両手をつかまえられた。そのまま両手が柔らかな膨らみに導かれ、ぼんやりとした暗い視界の中、光の胸にあてがわれた自分の手を確かめ、にわかに胸の奥が炙られた。
「光…」
「ん?」
「…も〜、ほんと…イケナイ子に育って…」
「ふふ。」
光は俺に抱き着いて、キスをねだるように鼻先を擦りつけた。
「一也さんのせいでしょ…。」
「ん…、」
そんな可愛いことを言う唇を食べてしまうようなキスで塞ぎ、柔らかな胸を揉みしだいて、硬くなる蕾をくすぐった。
「ん…、あ…。」
光は胸の刺激に腰を震わせ、秘部が固くなった肉棒に当たって…。
「ここ…好きだよな。」
「ん、ん…」
肉棒を求めるような腰つきをわかっていながら、わざと焦らして乳首を撫で続けると、光はフルフルと首を横に振った。
「や…。…やだ…、そこ…。」
「嘘吐け。スゲー濡れてるけど…?」
片方の手を秘部にずらして表面を撫でると、水の中でもわかるほどぬるぬるした液が指に絡みついた。
「ん…、だって…、そこ…ばっかりだと…」
「……?」
「奥…、むずむずするのに……物足りない…。」
あ…やばい、理性飛びそう。
「じゃ…奥、挿れてあげる」
「ん、あ…っ、あぁ…。」
肉棒を擦りつけてゆっくりと挿入し始めると、光は体を震わせて声を押し殺すように俺の肩口に顔を伏せた。
「ん、う…。…はぁ……。」
「中ヒクヒクしてる…」
「だ、だって…。…気持ち…いい…。」
光は俺に抱き着く形で肉棒を咥えこみ、気持ちよさそうに震えた。
「光…。」
その、全身で俺を求めて快楽に溺れている光を、たまらなく愛おしく思いながら、俺は熱い肉棒を彼女の中に埋め、腹の底から込み上げる熱を、静寂と水の冷たさと月夜の闇と明かりに包まれながら、全て――すべて光に、注ぎ込んだ。
国王陛下との謁見を終えて、俺たちは国の中を自由に見て回ってもよいことになった。
湖の方面に向かう並木道を抜けて架け橋を渡った時、牧瀬が今日何度目になるかわからないため息をついて、ふと、光臣も遠い目をして似たようなため息をついた。
「ここに別荘が欲しいな…。」
「……。」
相変わらずスケールのデカい奴。まあでも、そんなことを物憂げにつぶやくなんて珍しい。
「建てればいいじゃん。玉城家当主様。」
「…まだ当主じゃない。それに、アンクレー王国ではここに国籍を持つ者でないと、土地も建物も持てないんだ。」
「へー、そうなんだ」
「ここの土地と建造物はすべて王室の所有物だからな。国民もみな、王室から住居を与えられている身分だ。騎士階級制度の名残らしい。」
「ふーん…」
「だから夢の国なのかもな…」
光臣がたそがれている…。そんなに別荘が欲しいかよ。
「じゃあもし光が王室に戻ったら別荘持てるじゃん。」
深く考えず、ほんの思い付きのように倉持が言って、俺は苦笑した。
「おめでてー奴だなお前」
「は!?」
「別荘を建てるための土地を特別に分けてくれだ何て言えるわけないだろう、そんな、光の顔に泥を塗るようなこと。」
「……。」
光臣がぼそりと窘めると、倉持はバツが悪そうに閉口した。
「あ…あそこだな。」
その光臣が見上げた建物。小さな森を抜けた先の、湖のほとりにある棟がくっついた美しい城。先ほどの城よりははるかに小さいが、それでも立派な城で、日本にある光の実家ほどの大きさは軽くある。
「湖の離宮。主に来客用に使われている城だそうだ。」
「ひえ〜私たち今日からここに泊まるの…?」
この国は観光客向けのビジネスがないため、もちろん宿泊施設もない。この国を訪れた外国人は、国王所有の城に滞在するのが一般的らしい。国王は光と配偶者である俺の部屋をあの大きな城に用意してくれていたらしいが、光はそれを断って、皆で一緒にここに泊まることを申し出た。
「すご〜い!光、探検しよ探検!」
「探検?」
「牧瀬、恥ずかしいからやめろよ」
「え〜倉持さんだってわくわくしてるくせに」
「……。」
俺たちは城に入り、使用人の案内で部屋に通された。
光臣と牧瀬が同部屋、俺と光が同部屋で、倉持は一人部屋だ。
「倉持一人で大丈夫かぁ〜?夜怖くて眠れないんじゃねーかぁ〜?」
「チッ…死ね」
「なんてこと言うんだよ、俺が死んだら光が悲しむだろ」
「うるせえデブ」
「ちょっと…その辺歩いてくるね」
「え?光…」
光は言い残すや否や、くるりと踵を返して一人で出て行ってしまった。
「テメーが調子に乗ってるからじゃねーの」
「はぁ?倉持が死ねなんて言うからだろ。光は悪口嫌いなんだぞ」
「あ〜まじくそうぜえお前」
***
夕暮れ時、夕食の前になって、光はやっと部屋に戻ってきた。
「どこ行ってたの?」
そう尋ねると、光は物憂げな顔で話し始めた。
「お母さんのこと、知りたくて…。」
あ…、そうか、そうだよな。俺、浮かれてて光のこと考えてなかったな…。反省。
「壁に飾ってある、肖像画とか…、写真とか、見て回ってたの…。」
「…そっか。」
「でもここは来客用の建物だから、王族の写真や資料は、本殿の方があるってメイド長さんが教えてくれて」
「じゃあ…明日行ってみる?」
「……。」
光はしばらく考えて、首を横に振った。
「…ううん。いい。」
「え、でも…」
「明日は皆と、外を観光しよう。」
まあ、光がそう言うなら…。
「わかった。」
***
夜には豪華な食事を堪能し、俺たちはそれぞれ部屋に戻った。間接照明で薄暗い部屋の中、寝衣の白いワンピース姿の光がベッドの傍らに来て腰掛けた。
「…光。」
その細い肩に触れて、枕に埋もれるように背を持たれた光に覆いかぶさって、キスをした。久しぶりだな…こういう夜。光との甘いキス…。…やばい、ご無沙汰だったし、すげえムラムラしてきた……、
「…一也さん」
キスの合間に俺の名前を呼んで、光は俺の胸を弱く押し返した。
「え…」
拒否されたと思ってショックを受ける俺に、光は言った。
「ちょっと…外の空気吸いに行かない?」
「え…?」
今?
「い…いいけど…」
光が微笑んで、それで俺はまあいいかという気になってしまうのだから仕方ない。
間接照明のランプの部分を外して持ち、俺たちは上着を羽織って裏口から城の外に出た。
裏口から出るとそこはすぐに湖のほとりだ。俺たちは芝生の上を歩き、湖の縁まで来ると、そこに座った。
…静かだ。すごく静か。海のように大きな湖に波はなく、満月がはっきりと写し出され、たゆたっている。風で時々木々が騒めく以外には音はなく、隣の光の息遣いが聞こえてきそうなほどの静寂だった。
「……。」
光…何か話したいことがあって、外に誘ったのかな?
俺は口を噤んだまま、隣に座っていた。
「……。…泳ぎたい。」
「えっ?」
何を言って…、と俺が考えるよりも前に、光は立ち上がって上着を脱ぎ捨て、ワンピースを脱ぎ捨て、下着も脱ぎ捨てて、そのままざぶんと湖にもぐってしまった。
「ひ、光!」
光が経てた波はすぐに消え、辺りに静寂が戻った。真っ黒い水面の揺らぎに光の居場所を示すものはなく、俺はにわかに心配になって湖を覗き込んだ。
「光……、」
水面を手のひらで撫で、波をかき分ける。
「光!どこに…」
ざぶん、と少し向こうに波しぶきが散って、光が顔を出した。顔を拭ってこっちを見て、心配で間抜け面になって湖に手を突っ込んでいる俺を見て少し笑うと、静かに泳いで近づいてきた。
「驚かせるなよ…。」
「驚いた?」
「驚いたよ、海の泡になっちゃったかと」
「あはは。湖だよここ。意外とロマンチストだね…」
「そりゃロマンチストにもなるよ。」
俺は光の濡れた頬を撫でた。
「こんなに綺麗なんだから…」
「……。」
光ははにかんで、月明かりが映る湖みたいに黒い青色の目をきらきらさせて俺を見上げた。
「一也さんも来て。」
「え…、」
「気持ちいいよ。」
「……。」
水遊びなんて、そんな…。でもまあ…こんな夢みたいな場所で、夢みたいな夜で…水遊びも悪くないかもしれない。
俺はシャツとズボンと下着を脱ぎ、一思いに湖に飛び込んだ。光の笑い声が聞こえる。
「ここの湖の水、飲めるほど綺麗なんだって。」
「へー…うわ、眼鏡…」
「眼鏡外しなよ。」
「何も見えなくなるんだよ」
「大丈夫、私がいるから」
光に眼鏡を取り上げられ、眼鏡を芝生に置いたかと思うと、光の手が俺の身体に伸びてきて両手をつかまえられた。そのまま両手が柔らかな膨らみに導かれ、ぼんやりとした暗い視界の中、光の胸にあてがわれた自分の手を確かめ、にわかに胸の奥が炙られた。
「光…」
「ん?」
「…も〜、ほんと…イケナイ子に育って…」
「ふふ。」
光は俺に抱き着いて、キスをねだるように鼻先を擦りつけた。
「一也さんのせいでしょ…。」
「ん…、」
そんな可愛いことを言う唇を食べてしまうようなキスで塞ぎ、柔らかな胸を揉みしだいて、硬くなる蕾をくすぐった。
「ん…、あ…。」
光は胸の刺激に腰を震わせ、秘部が固くなった肉棒に当たって…。
「ここ…好きだよな。」
「ん、ん…」
肉棒を求めるような腰つきをわかっていながら、わざと焦らして乳首を撫で続けると、光はフルフルと首を横に振った。
「や…。…やだ…、そこ…。」
「嘘吐け。スゲー濡れてるけど…?」
片方の手を秘部にずらして表面を撫でると、水の中でもわかるほどぬるぬるした液が指に絡みついた。
「ん…、だって…、そこ…ばっかりだと…」
「……?」
「奥…、むずむずするのに……物足りない…。」
あ…やばい、理性飛びそう。
「じゃ…奥、挿れてあげる」
「ん、あ…っ、あぁ…。」
肉棒を擦りつけてゆっくりと挿入し始めると、光は体を震わせて声を押し殺すように俺の肩口に顔を伏せた。
「ん、う…。…はぁ……。」
「中ヒクヒクしてる…」
「だ、だって…。…気持ち…いい…。」
光は俺に抱き着く形で肉棒を咥えこみ、気持ちよさそうに震えた。
「光…。」
その、全身で俺を求めて快楽に溺れている光を、たまらなく愛おしく思いながら、俺は熱い肉棒を彼女の中に埋め、腹の底から込み上げる熱を、静寂と水の冷たさと月夜の闇と明かりに包まれながら、全て――すべて光に、注ぎ込んだ。