【超衝撃】倉持洋一、王室入り

001:倉持おめでとう!!!!!!!!!!!

002:ファッ!?フェイクニュースやないんか

003:うせやろ?

004:【速報】倉持洋一、電撃引退『契約書にサインせず監督「未来ある選手、非常に残念」』ガチやで

005:御幸光みたいな美女が倉持の事好きだったの?

006:御幸一也はどんな心境なんや

007:>006 『御幸一也、親友と妻の結婚に「これからはふたりで妻を支えていけたら」』器のデカさ太平洋やん…

008:倉持のおかげで目が見えるようになったんやししゃーない

009:【奇跡】御幸光、現役最後のステージで光を取り戻す『ファン「誰かが光頑張れと叫んで、彼女が歌い始めた。あれは倉持選手の声だった」』映画化不可避

010:コンサート見に行きたかった

011:>010 BD化したら買うは

012:御幸光と御幸一也の出会いから王室入りまでで映画何本撮れるんや

013:御幸一也×御幸光←倉持・成宮・結城兄弟・美馬・真田・降谷・東条・蒼井・葉山

014:>013 氷山の一角やろなぁ

015:コンサート後から視力が劇的に回復して今では眼鏡かければ問題なく見えるとかこれもう倉持王子様やろ

016:【朗報】倉持、ストーカーじゃなかった

017:王室入りってことは御幸光から話したんやろうし満更じゃなかったんやな





「これは?」

眼鏡をかけて振り向く光。銀縁で大ぶりの、今流行りのデザインだそうだ。

「似合う。」
「…もー、ちゃんと見てる?さっきからそれしか言ってないじゃん」
「だってなんでも似合うから。」
「……。」

にこりと笑って言うと、隣の倉持がうへぇと顔をゆがめて俺を睨んだ。

「そういうのいいから、真面目に答えて。」
「じゃーわかったよ。これは?俺とお揃い♪」
「……。」
「え?ダメ?」

手元の黒縁眼鏡を差し出すと、光までもがムッと目を細めて俺を睨んだ。

「もーいい、これにする。」

今掛けていた銀縁の眼鏡を持って店員に手渡す光。続いて視力検査の為、奥の部屋に行ってしまった。
倉持は舌打を俺にぶつけ、廊下のソファに座った。

「デレデレしやがって…」
「いーじゃん、デレデレしたって。」
「鬱陶しい。」
「お前にデレデレしてるわけじゃないのに?」
「あたりめーだろ!!気持ち悪ぃこと言うな」

はいはい、と相槌を打ち、時計を確認しながら倉持の隣に座った。

「お前何時の飛行機だっけ?」
「えーと…午後8時半」
「じゃまだ平気か」

倉持は今日いったん日本に戻り、マンションの手続きや荷造りを済ませて、俺達とは別便でアンクレー王国へ来ることになっている。俺と光は倉持が日本に帰っている間に、一足早く引越しを済ませる予定だ。

10分ほど待っていると光が検査室から出てきた。

「終わったよ。眼鏡できたら届けてくれるって。」
「じゃ、買い物行くか。」
「うん。」

引っ越しに向けてやることは山ほどある。引っ越しは来週に迫っていて、必要最低限のもの以外は既に王国に送ってあるし、あとはさまざまな手続きばかりが残っている。マンションの契約とか、水道光熱とか、インターネットやスマホの契約の切り替え、それに仕事関係のあいさつ回りに、お世話になった人たちへのお礼など。
俺達は今日の夕食を買い、ほとんど荷物が残っていないマンションに帰った。

「じゃあ、俺そろそろ空港行くわ」

夕方6時ごろ、倉持はそう言って帰って行った。次に会うのは来月…年明けだ。
光はスーツケースに荷物を仕舞い、段ボール箱の山を見渡した。

「夕食できたぞ。」
「はぁい」

とことこと俺に駆け寄ってくる光を見るだけで嬉しい。光も人の手を借りずに動けることが嬉しそうだ。
買ってきた出来合いのものを並べたテーブルを囲み、いただきます、と手を合わせた。

「う…」

サラダを口にして顔を顰めて硬直した俺を見て、光はけらけら笑い始めた。

「美味しくない?」
「すげぇ酸っぱい。なんだこれ」
「“イタリアンサラダ”。」
「お酢サラダだろ」
「適当なお店で買っちゃったからねぇ。こっちのソーセージは美味しいよ。」
「光の飯が恋しい…」
「ふふふ。引っ越しが終わったらたくさん作るね。」

にっこり、微笑んで言う光に胸がキュンとした。料理が好きでレシピ本まで出していたことを知った王室が、光の為に俺たちが住む予定の城に専用のキッチンを備えてくれたらしい。光はそれを聞いた時、王室入りすることでは初めて嬉しそうにした。

「いくつか考えてるレシピがあるんだ〜。あっちは魚介も新鮮で美味しいし、色んなフルーツもあるし、乳製品も有名なんだよ。チーズとかバターとか…」
「…腹減ってきた。」
「目の前にご飯があるじゃん。」
「食いもんと思えない…光のせいで舌が肥えちゃって」
「あはは。」

ほんと…光の作る料理はどれも美味くて、懐かしい。
あっちに行ったら俺、太りそうだな…運動量も減るし。

「あ、そうだ。光臣を通じて王室から手紙が来ててね、これの他に必要な物があったら、入居前に揃えておくから、教えてくれって。」
「どれ?」

光がバッグの中から書類を持って来て俺に差し出した。ご丁寧に英語で書かれている。俺にも読めるようにか…有難い。

「えーと…執事1名、レディースメイド1名、従者が2名、家政婦長が1名、メイドが3名、庭師が1名、運転手が1名…」
「フットマンは候補を揃えておくからあっちに行ったときに決めてほしいって。」
「…フットマンて何?他もこんな種類あるけど、俺よくわかんねーんだけど…」
「フットマンはディナーの給仕とか、外出のお供とか…雇用主の近くでいろいろお世話をする男性の使用人。ステータスのひとつでもあって、昔から容姿のいい人とか…背が高くて見栄えがいい人が選ばれるの。でも最近は、フットマンを雇ってる人はほとんどいないけどね。アンクレー王国はまだ昔の名残があるから。」

それから光は使用人の職種について一通り説明して、この人数で問題ないと思う、と言った。

「多分、従者が2人なのは、一也さんと洋一さんそれぞれにつけてくれたんだと思うよ。」
「俺らに従者…?」
「最初は慣れないかもしれないけど、王室に入るんだし、ある程度不自由なのは仕方ないよ。」
「そっかぁ…」

知らない奴に世話されんのか…面倒臭そうだな〜…とも言ってられないか。小さくても、一国を背負うんだもんな…。

「あとこっちが家具家財類で、こっちは車とか…」
「……。」

いよいよ規模のデカさが笑えなくなってきた…。




***




「光から使用人の事は聞いたか?」

翌日、光と約束していた牧瀬を送って来たついでに、光臣がうちに寄った。光たちが出かけると、光臣は買ってきたコーヒーを俺の分まで用意してそう言った。

「ああ…従者が何人とかそういうやつ?よくわかんないから光に任せた。」
「そのことなんだが、提案があるんだ」
「提案?」
「フットマンはまだ決まってないんだろう?」

フットマン…ああ、ステータスになる男の使用人とか何とか…。

「それはあっちの候補から決めてくれって言われたと思うけど」
「考えてみてくれ。フットマンはステータスのひとつではあるが、無能には務まらない。ただのお飾りじゃないんだ。見た目も頭もよくなければ。ただ、見た目が良くてずるがしこい奴が光の傍に仕えたらどうなると思う?」
「……。」
「第3王配の座を目論見そうじゃないか?」

ひ…否定できない…

「そこで適任がいると思うんだが」
「誰?」
「あいつしかいないだろ。護だよ。」
「…ああ!周防?」

確かにあいつなら気も利くし、光に手を出す心配もない…

「でも…知り合いを使用人として雇うなんてなんかなぁ…」
「今も似たようなものじゃないか。」
「お前…一応同級生で友達なんだろ?」
「別に気にならない。あいつも気にしないさ。」
「光は気にすると思う。」
「だが、護なら光も安心すると思うけどな。」

まあ…それは確かに。こっちにきてずっと問題なくマネージャーを務めて、世話にもなったし…

「それに護はイタリア語も堪能だぞ。お前、イタリア語話せるのか?」
「……。」
「ずっと光に通訳してもらうわけにはいかないだろ。」
「べ…勉強中だし」
『それで、今どのくらい話せるんだ?』
「おい!意地悪するな」

わざとイタリア語で話す光臣に言い返すと、光臣はニヤニヤ笑った。相変わらずいい性格だ。

「でも、周防って今何してんの?」
「短期契約でうちの運転手をしてる。」
「…は!?」
「あれだけの人材を放流するのはもったいないからな。光との契約が切れた後誰かにとられる前に、確保しておいた。」
「確保ってお前…」
「アンクレー王室たっての希望なら、譲ってやってもいいんだが。」
「譲るとかお前…」
「護ほど仕事ができて信頼も置ける人物を見つけるのは難しいと思うぞ。」
「……。」

それは…たしかに…。

「…光に聞いてみるよ」
「そうしろ。」



***



「…って光臣に言われたんだけど」
「え!周防君、今光臣の所にいるんだ」

光は目を丸くして驚いて、すぐに柔らかく笑った。

「確かに、周防君が来てくれたら安心だけど…あっちに行ったらなかなか帰れないし、周防君にも生活があるだろうから…」
「光が言えば来てくれそうだけどな。」
「だから言えないんじゃない。」

なるほど。そういうもんか。

「じゃ、俺が聞いてみようか?」
「一也さんが聞いたら、私の意見でもあるってわかっちゃうでしょ。周防君が本当にいいと思ってるなら来てほしいけど、無理に来てもらうのは…。」
「わかんないように聞くよ。」
「どうやって?」
「まぁまぁ、任せろって。」
「うーん…」

光は曖昧な苦笑を浮かべ、頷いた。



***




翌日早速光臣に事情を話し、光臣たちが滞在しているホテルを訪れた。

「こんにちは〜。」

牧瀬は俺を見てそう言いつつも視線が俺から逸れている。

「あれ?今日光一緒じゃないんですか?」

やっぱり光を探してたか…。

「今日は俺だけ〜」
「え〜、珍しいですね」
「俺が呼んだんだ。」

光臣は悠々とソファに座り、紅茶を飲んでいる。

「ふーん?じゃあ今日光一人で家にいるんですか?」
「そうだと思うけど。」
「え〜じゃ電話してみよ〜!」

牧瀬は嬉々としてスマホを持って奥の部屋に入って行った。

「護。紅茶を淹れてやってくれないか。」
「……。」

部屋の入り口に銅像のように立っていた周防は小さく頷き、紅茶を淹れ始めた。光臣に使われるなんて癪に障るだろうに、仕事だから割り切っているんだろうか。やっぱり変わってる、けど、やっぱり真面目だ。

「どうぞ。」
「ああ、悪い…。」

周防が紅茶を置いて、下がろうとした。

「元気にしてたか?」

そこへそう声をかけて呼び止めると、周防は虚を突かれたように俺を見た。

「…ええ。」
「光が世話になったな。お前がマネージャーでよかったよ。」
「…恐れ入ります。」
「しっかし…光臣の運転手やってるとは驚いたぜ。」
「条件が良かったので。」

せめてもの嫌味なのか、周防がそう答えると、光臣は口元を少しニヤつかせた。

「光臣!私光のとこ行ってくるね」
「ああ、気を付けて」
「あ!タクシーで行くから大丈夫。」

顔を上げた周防に牧瀬はそう言って、ガールズトークするから!と笑いながら出かけて行った。

「周防って、どこに住んでるんだ?」
「……。」

まだ自分に何か聞くのかと、周防は訝し気にしながら憮然と答えた。

「今は…ホテルに。」
「実家はどこ?」
「ありません。」
「え?」
「孤児院で育ったので。」
「そ…うだったのか。ごめん。」
「いえ。」

まさかそんなこととは知らず…。光臣は知っていたのかいなかったのか、顔色一つ変えず腕を組んだまま俺たちの話を聞いている。
しかし…聞いても聞いても、周防の人となりが全然わからないな…。

「護。今、恋人はいるのか?」

光臣が尋ねると、周防は少し眉を寄せた。

「いない。」
「なぜ?誘いはあるだろ?」
「必要ないから。」
「恋人は必要に応じて作るものじゃないぞ。」
「向いてないんだ。」
「向いてない?何が?」
「他人と、特別な関係を築くことが」
「……。」
「……。」

…やっぱ変わってんな…。

「つまり…今お前は自由の身なんだな。」
「…?お前の運転手が自由の身?」
「それは置いておけ。」

光臣はふっと笑い、俺に言葉を促すようにちらりと見上げた。

「…実はさ、周防に聞きたいことがあって、今日来たんだけど…」
「?」

引き締まった顔で窺うように俺を見る周防。

「アンクレー王国に一緒に来てくれって言ったら、困る?」
「フットマンの枠が空いてるんだそうだ。」

光臣がそう付け足すと、周防はきょとんとした。

「フットマンに…俺を?」
「右も左もわからない異国の地だし、周防みたいなしっかりした信頼できる人がついてきてくれると嬉しいんだけど…。」
「……。」

周防は少し考えるように俺と光臣の顔を見て、口を開いた。

「ありがたいお話です。」

それから嫌そうな目で光臣を見た。

「光臣を『旦那様』と呼ぶことに精神的に参っていたところです。」
「ははは!」

光臣は心底おかしそうに手を叩いて笑った。

「俺は楽しかったぞ。」
「お前ほど性根が腐っていればそうだろうな。」
「何を言ってるんだ、仕事を失くして困ってるところを助けた恩人に向かって。」
「わざわざ仕事を断らせて引き留めたくせに…」

なんだかこの二人、案外いいコンビのようだ。見ていておかしくて、俺はこっそりと笑いを堪えた。

 


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