313
【速報】御幸夫妻、昨夜イタリア―フィレンツェ空港からアンクレー王国へ
『画像・報道陣に手を振る御幸一也・光夫妻』
ついに御幸夫妻がアンクレー王国へ。出発前、イタリア・フィレンツェ国際空港には約8か国の記者と空港ロビーを埋め尽くすほどのファンが詰めかけた。ゲートをくぐる際、夫妻は報道陣やファンに向かってお辞儀をし、幸せそうな笑顔で手を振った。その仲睦まじい様子と共に、相変わらずの美男美女っぷりにも注目が集まった。
第二王配として王国に迎えられることが急きょ決まった倉持洋一は現在日本で荷造り中との事。来週にも最愛の人を追いかけて、夢の国へ発つ予定である。
001:御幸光可愛すぎ…
002:行かないでくれよ…
003:人間国宝級の人材を一度に二人も失うとは
004:>003 倉持をのけ者にするな
005:>004 誰も倉持って言ってないのに
006:これから朝から晩まで子作りで忙しいやろなぁ…
007:種が必要ならいつでも呼んでくれや
008:>006>007 通報した
009:実際問題御年90歳を超えて寝込んでる王様が生きてるうちに男産まなあかんからな
010:露出絶やさずその美貌を発信してくれるならええわ インスタ開設してくれ
011:もうストーカーの心配ないんだから御幸インスタ再開してくれないかなぁ
012:王族だし難しいかもな
013:むしろ王室公式インスタ開設してくれ
014:>013 僕はイリシア王女さま!【画像】
015:>014 さすがエルフの国
今日、俺達はとうとうアンクレー王国にやって来た。
イタリアの空港まで押し寄せていたマスコミたちも、アンクレー王国への入国許可は下りなかったらしく、王国の城の裏にある滑走路には王室関係者以外に人の姿はなかった。
マスコミに追いかけまわされる生活ともこれでさよならか、と思うと、少し嬉しい。まあ、王族として過ごすのがどんなものか、まだわからないのだけど…。
俺達は王女たちに歓迎され、一通り使用人たちの紹介をされると、俺達が住むことになる湖のほとりの城へ案内された。同行した周防は熱心に執事長の説明を聞いている。既に仕事モードだ。
「そしてこちらが、王女殿下御専用のキッチンでございます。」
可愛らしくも機能の充実した広いキッチンで、ダイニングテーブルも備えられたその部屋を見て、光は頬を綻ばせた。
「1階には料理人が使う調理場がありますので、通常食事はそこでご用意させていただきますが、食事の用意や内容についてご要望がありましたら使用人にお伝えください。」
「ありがとう。」
光は嬉しそうに調理台を撫でながら部屋の中に入り、俺を振り返ってはにかんだ。
それから他の部屋も見て回り、周防は仕事を覚えるために別行動となり、俺たちは夕食を食べ、それぞれ寝室に入った
寝室は光の個室が最上階に一つ、その一つ下の階には俺と倉持の個室が両端にあり、長い廊下がそれを遮っていた。今俺がいるのは俺の個室だ。
執事長から遠まわしに遠まわしに説明された内容によると、光の部屋には原則光とレディースメイド以外、配偶者であっても立ち入り禁止。夜のご訪問は王女殿下の御心のままにお願い申し上げます、とのこと。
つまり…ヤれるのは光が俺を選んで夜部屋に来てくれた時だけ…!信じられない。
覚悟はしてたけど、倉持を選ぶ日もある…。配偶者として迎えた今、全く寝ないわけにもいかないし。わかってる。わかってるけど…!
せめてふたりがヤッてるかどうかは、感知したくない…。
モヤモヤしながら個室についているバスルームで風呂を済ませ、ベッドに入った時、控えめにドアがノックされた。
「…あ…。…寝てた?」
ドアを開けるとネグリジェ姿の光がいて、その姿を見て深い安堵に包まれた。だって今までは、毎晩一緒のベッドで眠っていたんだから…。
「起きてたよ。」
俺は微笑んで光を中に招き入れた。
「なんか、眠れなくて…。」
光はそう呟きながら部屋の中に入ってきた。俺は同意するように頷いた。
「…一緒に寝てもいい?」
強請るような潤んだ目で尋ねる光に、駄目なわけないだろうという気持ちを込めて歩み寄り、抱擁して、ベッドに促した。
並んでベッドに入り、アメリカのマンションとも、日本のマンションとも違う天井から目を逸らし、隣の光を見る。すると光も、寝返りを打って俺を見た。俺は光の頬を撫でて、ゆっくりと起き上がり、覆いかぶさるようにキスをした。光もわかっていたようにそれを受け入れ、俺の首に腕を回して抱き着いてきた。
キスを繰り返しながら光の服のボタンを外し、胸の蕾をそっと撫でると、光は甘い吐息を零した。
この姿を…もうすぐ倉持も…。
…いや、もう倉持じゃなくなる。アンクレーだ。俺も、光も。
光はもう「洋一さん」と呼び始めているし、俺とアイツもお互いのことを名前で呼び捨て合うよう努めている。それはとても奇妙な感覚だった。
「…一也さん…。」
だけど…そうなるように光の背中を押したのは俺だ。もう二度と、光のあんな顔は見たくなくて…。
でもひとつだけ、譲れないことがある…。
「光…。」
最初に産むのは、俺の子であってほしい。それに意味なんてないけど、わがままだけど…俺が先であってほしい。
亡くした子のことを思うと、その思いはさらに強くなる。
「…あっ…」
光の甘い声を聴きながら、目の奥が熱くなりながら、俺は光を抱いた。
何度も、何度も。
光が変わらず俺の腕の中にいることを確かめるように…。
***
翌週洋一が来て、俺と光が来た時と同じように国からの歓待を受け、城やこちらでの王族としての生活について一通り説明をされた後、ようやく解放されて夕食の席に現れた洋一のやつれ具合を見て笑ってやりながら、俺は内心穏やかではなかった。
今夜光と洋一は…きっと…。
考えたくない。
「大丈夫?洋一さん」
光が疲れ切った様子の洋一を見かねて声をかけた。ああ、と疲れたようにうなずきながらも、光に声をかけられたことがうれしいようで、洋一の顔には笑みがにじんだ。
「わかんねーことだらけだし、どこもかしこも豪華で緊張するけど…ここにはお前がいるし、久々にお前の手料理も食べられたしな。」
洋一の言葉を聞いて、光もほほを少し染めて微笑んだ。
「それにここでは少し自由にできるし…」
洋一は呟きながら伸びをした。俺たちが住むことになった城…ノア・クルトゥシュ城…古いアンクレーの言葉で「湖面の月」という意味らしいこの城は、その名の通り荘厳ながら湖のほとりにひっそりと建つ白い城で、周りは森に囲まれている。1階は使用人の部屋や調理場、2階は客室や食堂、3階は俺と倉持の部屋や広いホール、そして光のためのキッチンがあり、最上階である4階には光の部屋とバルコニーがある。他にも使っていない部屋や用途がよくわからない部屋はいくつかあるが、まだ覚えきれない。
光はその3階以上のフロアを、俺たち3人が息抜きできるようにとプライベートスペースに指定し、使用人や客の立ち入りを控えるよう命じた。
そのため今3階のダイニングスペースで3人で食事をしているこの時間は、日本やアメリカで過ごしていた時と同じように、気取らず会話を弾ませていた。
「明日から少し忙しくなるけど…来月のお披露目会が終われば、少し落ち着くはずだから」
光がそう言って、俺と洋一を見た。
「まー俺らはまずイタリア語の勉強だな。」
「……。」
洋一が苦い顔をする。
「大丈夫、私も協力するから。」
「光…。」
天使のような笑顔を浮かべる光に、洋一が救われたように明るさを取り戻したとき。
「明日から私たちもイタリア語で会話しようね。」
「え……」
続いた光の言葉に、洋一は言葉を失った。
「外国語の練習はとにかく話すのが一番だよ。」
「さすが、何か国語もペラペラの光が言うと説得力あるな〜。」
「私は小さい頃にいろんな国に行ってたから、自然と覚えられただけだけど…」
光は少し照れたように言い、スープを飲んだ。
「じゃあ、明日からはなるべくイタリア語で話そうね。」
光は照れを隠すように俺と洋一…とくに洋一を見て言った。俺は一応、簡単な会話くらいなら話せるし聞き取れるからだ。しかし洋一は挨拶もままならない。英語ならともかく、イタリア語は今まで縁もなかったし、仕方ないことだけど。
「周防君も、明日から二人とイタリア語で話してね。」
「はい。」
そこにひっそりと立っていた周防は静かに頷いた。周防は一応使用人の中で唯一3階への立ち入りを自由に許されている存在だが、光は今までと変わらず友人のように接していて、周防も相変わらずかしこまった態度で対応している。
『画像・報道陣に手を振る御幸一也・光夫妻』
ついに御幸夫妻がアンクレー王国へ。出発前、イタリア・フィレンツェ国際空港には約8か国の記者と空港ロビーを埋め尽くすほどのファンが詰めかけた。ゲートをくぐる際、夫妻は報道陣やファンに向かってお辞儀をし、幸せそうな笑顔で手を振った。その仲睦まじい様子と共に、相変わらずの美男美女っぷりにも注目が集まった。
第二王配として王国に迎えられることが急きょ決まった倉持洋一は現在日本で荷造り中との事。来週にも最愛の人を追いかけて、夢の国へ発つ予定である。
001:御幸光可愛すぎ…
002:行かないでくれよ…
003:人間国宝級の人材を一度に二人も失うとは
004:>003 倉持をのけ者にするな
005:>004 誰も倉持って言ってないのに
006:これから朝から晩まで子作りで忙しいやろなぁ…
007:種が必要ならいつでも呼んでくれや
008:>006>007 通報した
009:実際問題御年90歳を超えて寝込んでる王様が生きてるうちに男産まなあかんからな
010:露出絶やさずその美貌を発信してくれるならええわ インスタ開設してくれ
011:もうストーカーの心配ないんだから御幸インスタ再開してくれないかなぁ
012:王族だし難しいかもな
013:むしろ王室公式インスタ開設してくれ
014:>013 僕はイリシア王女さま!【画像】
015:>014 さすがエルフの国
今日、俺達はとうとうアンクレー王国にやって来た。
イタリアの空港まで押し寄せていたマスコミたちも、アンクレー王国への入国許可は下りなかったらしく、王国の城の裏にある滑走路には王室関係者以外に人の姿はなかった。
マスコミに追いかけまわされる生活ともこれでさよならか、と思うと、少し嬉しい。まあ、王族として過ごすのがどんなものか、まだわからないのだけど…。
俺達は王女たちに歓迎され、一通り使用人たちの紹介をされると、俺達が住むことになる湖のほとりの城へ案内された。同行した周防は熱心に執事長の説明を聞いている。既に仕事モードだ。
「そしてこちらが、王女殿下御専用のキッチンでございます。」
可愛らしくも機能の充実した広いキッチンで、ダイニングテーブルも備えられたその部屋を見て、光は頬を綻ばせた。
「1階には料理人が使う調理場がありますので、通常食事はそこでご用意させていただきますが、食事の用意や内容についてご要望がありましたら使用人にお伝えください。」
「ありがとう。」
光は嬉しそうに調理台を撫でながら部屋の中に入り、俺を振り返ってはにかんだ。
それから他の部屋も見て回り、周防は仕事を覚えるために別行動となり、俺たちは夕食を食べ、それぞれ寝室に入った
寝室は光の個室が最上階に一つ、その一つ下の階には俺と倉持の個室が両端にあり、長い廊下がそれを遮っていた。今俺がいるのは俺の個室だ。
執事長から遠まわしに遠まわしに説明された内容によると、光の部屋には原則光とレディースメイド以外、配偶者であっても立ち入り禁止。夜のご訪問は王女殿下の御心のままにお願い申し上げます、とのこと。
つまり…ヤれるのは光が俺を選んで夜部屋に来てくれた時だけ…!信じられない。
覚悟はしてたけど、倉持を選ぶ日もある…。配偶者として迎えた今、全く寝ないわけにもいかないし。わかってる。わかってるけど…!
せめてふたりがヤッてるかどうかは、感知したくない…。
モヤモヤしながら個室についているバスルームで風呂を済ませ、ベッドに入った時、控えめにドアがノックされた。
「…あ…。…寝てた?」
ドアを開けるとネグリジェ姿の光がいて、その姿を見て深い安堵に包まれた。だって今までは、毎晩一緒のベッドで眠っていたんだから…。
「起きてたよ。」
俺は微笑んで光を中に招き入れた。
「なんか、眠れなくて…。」
光はそう呟きながら部屋の中に入ってきた。俺は同意するように頷いた。
「…一緒に寝てもいい?」
強請るような潤んだ目で尋ねる光に、駄目なわけないだろうという気持ちを込めて歩み寄り、抱擁して、ベッドに促した。
並んでベッドに入り、アメリカのマンションとも、日本のマンションとも違う天井から目を逸らし、隣の光を見る。すると光も、寝返りを打って俺を見た。俺は光の頬を撫でて、ゆっくりと起き上がり、覆いかぶさるようにキスをした。光もわかっていたようにそれを受け入れ、俺の首に腕を回して抱き着いてきた。
キスを繰り返しながら光の服のボタンを外し、胸の蕾をそっと撫でると、光は甘い吐息を零した。
この姿を…もうすぐ倉持も…。
…いや、もう倉持じゃなくなる。アンクレーだ。俺も、光も。
光はもう「洋一さん」と呼び始めているし、俺とアイツもお互いのことを名前で呼び捨て合うよう努めている。それはとても奇妙な感覚だった。
「…一也さん…。」
だけど…そうなるように光の背中を押したのは俺だ。もう二度と、光のあんな顔は見たくなくて…。
でもひとつだけ、譲れないことがある…。
「光…。」
最初に産むのは、俺の子であってほしい。それに意味なんてないけど、わがままだけど…俺が先であってほしい。
亡くした子のことを思うと、その思いはさらに強くなる。
「…あっ…」
光の甘い声を聴きながら、目の奥が熱くなりながら、俺は光を抱いた。
何度も、何度も。
光が変わらず俺の腕の中にいることを確かめるように…。
***
翌週洋一が来て、俺と光が来た時と同じように国からの歓待を受け、城やこちらでの王族としての生活について一通り説明をされた後、ようやく解放されて夕食の席に現れた洋一のやつれ具合を見て笑ってやりながら、俺は内心穏やかではなかった。
今夜光と洋一は…きっと…。
考えたくない。
「大丈夫?洋一さん」
光が疲れ切った様子の洋一を見かねて声をかけた。ああ、と疲れたようにうなずきながらも、光に声をかけられたことがうれしいようで、洋一の顔には笑みがにじんだ。
「わかんねーことだらけだし、どこもかしこも豪華で緊張するけど…ここにはお前がいるし、久々にお前の手料理も食べられたしな。」
洋一の言葉を聞いて、光もほほを少し染めて微笑んだ。
「それにここでは少し自由にできるし…」
洋一は呟きながら伸びをした。俺たちが住むことになった城…ノア・クルトゥシュ城…古いアンクレーの言葉で「湖面の月」という意味らしいこの城は、その名の通り荘厳ながら湖のほとりにひっそりと建つ白い城で、周りは森に囲まれている。1階は使用人の部屋や調理場、2階は客室や食堂、3階は俺と倉持の部屋や広いホール、そして光のためのキッチンがあり、最上階である4階には光の部屋とバルコニーがある。他にも使っていない部屋や用途がよくわからない部屋はいくつかあるが、まだ覚えきれない。
光はその3階以上のフロアを、俺たち3人が息抜きできるようにとプライベートスペースに指定し、使用人や客の立ち入りを控えるよう命じた。
そのため今3階のダイニングスペースで3人で食事をしているこの時間は、日本やアメリカで過ごしていた時と同じように、気取らず会話を弾ませていた。
「明日から少し忙しくなるけど…来月のお披露目会が終われば、少し落ち着くはずだから」
光がそう言って、俺と洋一を見た。
「まー俺らはまずイタリア語の勉強だな。」
「……。」
洋一が苦い顔をする。
「大丈夫、私も協力するから。」
「光…。」
天使のような笑顔を浮かべる光に、洋一が救われたように明るさを取り戻したとき。
「明日から私たちもイタリア語で会話しようね。」
「え……」
続いた光の言葉に、洋一は言葉を失った。
「外国語の練習はとにかく話すのが一番だよ。」
「さすが、何か国語もペラペラの光が言うと説得力あるな〜。」
「私は小さい頃にいろんな国に行ってたから、自然と覚えられただけだけど…」
光は少し照れたように言い、スープを飲んだ。
「じゃあ、明日からはなるべくイタリア語で話そうね。」
光は照れを隠すように俺と洋一…とくに洋一を見て言った。俺は一応、簡単な会話くらいなら話せるし聞き取れるからだ。しかし洋一は挨拶もままならない。英語ならともかく、イタリア語は今まで縁もなかったし、仕方ないことだけど。
「周防君も、明日から二人とイタリア語で話してね。」
「はい。」
そこにひっそりと立っていた周防は静かに頷いた。周防は一応使用人の中で唯一3階への立ち入りを自由に許されている存在だが、光は今までと変わらず友人のように接していて、周防も相変わらずかしこまった態度で対応している。