327
「…ん…」
目が覚めると、覚えのない…だけど見覚えのある天井が目の前に広がった。
ここは…この天井は、どこだっけ…。
すげー見覚えあるのに…なぜか思い出せな……
「倉持先輩!もー朝っすよ!!起きないと遅刻しますよ!!」
「は…?」
起き上がって声がした方を見ると、そこには…どこか幼い顔つきの沢村がいた。青道、とかかれたユニフォーム姿で…
「まだ寝ぼけてるんすか!?遅くまでゲームやってるからっすよ!まったくもう!」
「さ…沢村先輩、そ、その辺にしといたほうが〜…」
懐かしい…浅田もいる。なんだこれ、夢か?
「俺ら先に行きますからね!監督に怒られても知りませんからね!」
「あ?俺を見捨てるとはいい度胸じゃねーか」
「知るか!自業自得だろ!」
「ヒャハハ。タメ口使ったなテメー」
「あっ…!!」
あー、懐かしいな、この感じ。やっぱ高校時代は楽しかった。
俺はベッドから降り、ユニフォームに着替えた。沢村は文句を言いながらまだそこにいる。先に行くんじゃねーのかよ。
「…まったく!キャプテンともあろうものが遅刻なんて許されませんよ!!」
「ヒャハハハ……、…は?」
「急いでください!ホラッ!帽子は持ちやしたか!?忘れもんはないですか!?」
「キャプテンじゃねー…」
「あっ!!ヤベェあと2分!!行きますよ!!ほら!!」
沢村に急かされてグラウンドに行くと、もうみんな集まっていて、監督の隣にはゾノと…小野がいた。
「やっと来たかキャプテン!遅刻ギリギリやぞ!」
ゾノが俺を見て言う。
皆も俺を見ている。
「倉持、始めてくれ。」
監督も俺を見て言う。
え…一也は?
「どうした倉持?」
「えっ…、いや!はい!」
俺がキャプテン…?
この夢にあいつは…御幸一也は…
……どうなってんだ!?
***
朝練を終えると、今日は日曜日でオフの日だと知って安堵した。だけど…誰も御幸のことを話さない。うちの正捕手は小野になっていて、俺が主将、ゾノと小野が副主将になっているらしかった。
御幸の部屋をこっそり見に行ったけど、その部屋の3年は別の奴になっていたし…
「おい倉持!」
と、食堂でお茶を飲んでいると、ゾノが俺の肩を小突いた。
「何?」
「何やない!お前の彼女来とるぞ!門のとこに!」
「……は?」
…彼女!?俺に彼女が!?いったい誰…
ま…、まさか……。
急いで寮の門のところに行くと、なんとそこには…
「洋一先輩!」
にこにこと天使のほほえみを浮かべる、光の姿があった。
…嘘だろ!?俺、光と付き合ってんの!?なんつー都合のいい夢…
「どうしたんですか?」
ぱちくり、あどけない大きな瞳を瞬く、見ているだけで胸が苦しくなるほど可愛い光。一也の奴はこんな良い思いをあの頃…。クッソ、ムカつく。
「いや…、な、なんでもねぇよ。」
「?」
「それで今日…どしたの?」
「え?…昨日メールで、今日学校に用があるって言ったら、会おうって言ったの先輩じゃないですか。」
「え…」
「…忘れてたんだ。」
むす、と拗ねて悲しそうな目をする光…ああぁぁしまった!む、胸が痛い…
「ご、ごめん!マジゴメン!!忘れてたとかじゃ…」
「……。」
「ごめん!ごめんなさい!!」
「何したんだよ倉持〜?」
すぐそこを通りかかった麻生たちがニヤニヤからかうように口をはさんできた。だけど俺にはわかる。麻生たちの顔に嫉妬が混じっていることが…
「玉城さん!こいつになんかされたのか!?」
「大丈夫!?」
「おい!来んなテメェら!」
鬱陶しい、と思いつつ、俺も一也に似たようなことやってたな…、とふと懐かしくなる。
「つーかなんで倉持なんかと付き合ってんの?」
「オイどーいう意味だコラ」
「だって美女と野獣じゃん!なぁ?」
「な!な!」
「倉持のどこが好きなの?」
こいつが付き合えるなら俺だって…、という麻生の下心が垣間見えて気分が悪い。
だけど、光は顔を赤くして俺をちらりと見、ぽそぽそと呟いた。
「…か、かっこいい…所…」
です…、と呟いた光に、こっちまで顔が熱くなる。か、可愛すぎ…
「え〜〜〜!!?どこが…」
「うるせーよ!!さっさと失せろ!!散れ!!」
しっし、と麻生たちを追い払い、やっとまた光と二人きりになった。
「えーと…」
「……。」
「…こ、コンビニでも行く?」
そう言った俺に、光はまだ赤い顔で、こくん、と頷いた。
***
コンビニへの道すがら。
隣を歩く光は静かだ。光、高校生の頃から物静かだったよな…。だけど気まずさを感じないのはなぜだろう。やっぱり、光の傍は…すげえ居心地がいい。
どうせ夢なんだし、と思い切って、俺は光の手をからめとった。途端に俺を見上げ、顔を赤くしてはにかむ光。…ああぁもう可愛い…!!高校の頃…こんなふうに光と付き合ってたら…すげぇ幸せだっただろうな……
俺たちはコンビニでアイスを買い、傍のベンチで食べることにした。道行く奴らが光を二度見していく。すげー可愛いもんな…ちょっと鼻が高い。まぁそのすぐあと、品定めるように俺を見て「なんでこいつが?」みたいな顔をされるのは腹が立つけど。きっと一也は…お似合いだ、っつー目で見られてたんだろうな…
「先輩?…疲れてる?」
「…え!?あ、いや!へーきへーき…」
またぼーっとしてしまった。光は心配そうに俺を見上げる。やっぱ優しいなー光は…
「今日この後何か…予定あんの?」
どうせ夢なんだし、このまま一日光と高校生カップルを謳歌したい。現実でできなかった分…
「何も。家帰っても一人だし…先輩も忙しいですよね?図書館でも行こうかな…。」
「え、全然忙しくねーし、一緒にどっか行こうぜ」
「え?…でも、主将になってからずっと忙しいって…」
「全然へーきへーき!」
だってこれは夢だ。3年の夏前みたいだけど、どうせ夢なら野球の練習をしたって意味がない。
「そ…そうですか?」
「おう!どこ行く?」
「……。」
「映画でも見に行く?それかカラオケとか…」
光ははにかんで、嬉しそうに、いいですね、と頷いた。
***
夕方光を家まで送り届ける。家は大きな洋風の家で、さすが金持ちっぽかったけど、あの城や別宅を見た後だとさすがに驚きはしない。
「じゃあ…、」
はにかんで俺を振り返る光。この光は、俺のことが好き…。夢であると分かってはいても嬉しくなってしまう。もう覚めたくないくらいに…
このまま光と青春を過ごして、付き合っていけたら…どんな未来が待ってるんだろう。
「またな」
言いながら、この後寮に帰って、夕飯を食って風呂に入って寝て…いつこの夢が覚めるんだろう、なんて考えていると、門扉に手をかけた光が、くるりと俺を振り返った。
「…上がっていきますか?」
「え…」
え!?い…いいの?
「…ひ、光がいいなら」
「……。…どうぞ」
光は扉を開け、俺の前に開いた。
家に行くって…、つまり、それは…。
つまり…!!
つーか、光と付き合ってる夢だけど、もうそういうことしてるっつう認識でいいのか…?今俺は3年で、光は2年っぽいけど…俺の勘が正しければ、一也は光と、高2の冬には…つまり光が1年の冬には、していたはずで…
…今考えても手ぇ早すぎんだろ。ふざけんなよエロ眼鏡。
「ここ、私の部屋です。お茶、持ってきますね」
「え、あ、おう…」
光は2階の部屋のドアの前まで俺を案内すると、踵を返して階段を下りて行った。…ここが高校生の光の…部屋。…って、俺の夢の中だけど。
ドキドキしながらドアを開けると、そこは、スッキリと片付いた女の子らしい部屋だった。同年代の女子の部屋なんて入ったことねーのに…俺にしては想像力が豊かじゃねーか。すげぇリアル。
適当に、ローテーブルの前に胡坐をかいて座って、部屋の中を見渡した。本棚には小説がたくさん…。コルクボードには牧瀬や奥村との写真…。机の上には参考書…。やっぱ光って…真面目な優等生…
「どうぞ。」
「あ、ありがとな…」
光が部屋に戻ってきて、冷たいお茶を出してくれた。俺の斜め前に座り、クッキーが乗った器を置き、少し赤い顔をごまかすようにグラスに口をつける光。
俺のことが好き…なんだよな。付き合ってるってことは…本当に。
あの頃…光は一也しか…御幸しか、眼中になくて。俺なんて、名前も覚えられてないと思ってた。すげえ可愛いと思ってたし、仲良くなりたかった…、けど、もう、俺ははなから諦めていて、ろくにアプローチもしなくて…
けど、高校生の頃にもっと光にアプローチしてたら…何か違ったのかな。
「…先輩?」
俺をまっすぐに見つめる瞳…。御幸がいない世界なんて、俺にとって都合が良すぎて…卑怯だ。
光に振り向いてもらえなかったことを、御幸がいたせいだと思ってるのか?俺は…
「…光、」
「…?」
「御幸のことだけど…」
「……みゆき?」
少し眉を寄せ、不思議そうに繰り返す光。
「…誰ですか?」
やっぱり…この夢の中では、御幸はいないんだ。
「先輩と…仲良い人ですか?」
「いや…、」
「…女の人、ですよね」
「…え!?いや、違う、一也だよ!御幸一也!」
「みゆき…かずや?……。」
光は首を傾げ、目を伏せて考え込む。
あいつを…知らないのか…本当に…
…って、何ちょっと悲しくなってんだ俺!都合良いじゃねーか、それに、どうせただの夢だし…
「…ま、まあ、知らねーならいいんだけどよ」
「…?」
きょとん、と俺を見つめる光のあどけない顔を見ていたら…やっぱり、よこしまな思いが駆け巡る。
今よりちょっと幼くて…だけどやっぱり、見入ってしまうほど綺麗で…透き通っていて、純粋で、愛らしい光。
「……。」
少し身を乗り出すと、光は俺がしようとしていることに気づいたように顔を赤くして、少し俯いて…だけど赤い唇を結び、ほんの少し、顎を上げた…。
……可愛すぎんだろおおおもおおお!!
ごくり、と喉を鳴らし、一思いに…キスをした。
一瞬唇が触れて、すぐに、ますます真っ赤になる光の顔。…あまずっぺえ…。ああもう、こんな青春、謳歌したかった…。だけどこの夢を見ている今、それを実現するまたとないチャンス。
普段はどうしても光に一枚上をとられてしまう俺でも、この夢の中では、光をリードできる…。
「っ…。」
再び唇を塞ぐと、光は肩をこわばらせて、だけど一生懸命にキスに応えた。ぎこちないキス…。光もこんなに初心だった頃があったんだよな…。あ〜…可愛い…
今のキスが上手い光も好きだけど…この、何とも言えないキスが下手でぎこちない光も、どうしようもなく可愛い。
そのうち俺はキスを深くして、光を抱きすくめるように、後ろのベッドに押し倒した。無防備であどけない光はいとも簡単に横たわり、これから起こることを予想はしてもまだ確信は持てないような顔で、窺うように俺を見上げている。
その反応を見て、俺は気づいた。もしかして…この夢の中の光って……未経験?
「…いい?」
夢の中といえど無理やりなんてする気はない。まして高校生の光相手に…。
俺が尋ねると、光は今更顔を赤くして、挙動不審になった。
「え…。」
「……。」
「……。」
少し迷うように目を泳がせて、それから恥ずかしそうにつぶやいた。
「わ…私…。…初めて…で…」
…あーもう…だめだ…理性が…
「優しくする。」
「……。」
経験豊富というわけではないが、少なくともこの光よりは経験がある。それに、光のいいとこは知ってるし…
キスを再開して、光の唇を塞いだままブラウスのボタンを外していく。はだけた胸元はまだあどけなく、今よりも小さな膨らみが白いレースに包まれている。といっても…この頃の同年代の女子の中では、光は大きい方だったと思う。
「……。」
恥ずかしそうに胸を腕で隠す光をそのままに、俺もワイシャツを脱いだ。顔を赤くして戸惑う光にまた覆いかぶさると、光はされるがままになる。いつもは余裕のない俺をからかうように微笑むくせに、今の光は俺よりも余裕がなくて、真っ赤な顔で恥じらっていて…。
「せ、先輩…。」
胸に触れられると、ぴくんと身を縮こませ、緊張してトクトクと鼓動を早くする。光の鼓動が手のひらから伝わってきて、俺はもう、堪らなくなった。
背中に手を回してホックを外し、胸をあらわにさせると、ブラウスのはだけた隙間から桜色の蕾が見え隠れして、俺は本能のままにブラウスを開き蕾を食んだ。
「ふ…っ。」
光は甘い吐息をこぼす。ここが光のイイところだと俺は知っている。しばらく舌で弄ぶと、思った通り、光は体を火照らせて悶え始めた。
「……っ」
蕾の刺激にぴくんと震える光。頬は赤く染まり、吐息は熱く、荒くなる。
「……。」
息を荒げたまま、光は少し潤む瞳で俺を見つめた。
俺は蕾の愛撫から手を下に滑らせ、スカートの中に侵入した。戸惑って閉じる柔らかな太腿に挟まれながら、その秘められた場所に触れると、光はとうとう俺の腕を掴んだ。
「まっ…、待って…」
余裕のない精いっぱいな顔で、光は俺を見上げる。
「先輩…、」
「…どうかした?」
「……。」
光はしばらく言葉に迷い…、というか、言うかどうか迷い、目を泳がせて、そしてためらいがちに呟いた。
「…先輩って…、…前に…その…」
「…?何?」
「…つ、付き合ってた人…とか…いるんですか…?」
「……。」
……え?この状況で何でそんなこと…
と考えつつ、一瞬えみの顔が浮かんだけど、高校時代の俺は女っ気一つなかっただろうと考え直した。
「いないけど?」
「……。」
「何だよその疑いの目…」
「だ…だって…。…な…慣れてる……から……」
「え……」
…あ〜、そういうことか。そりゃ…未経験の光より、何度か女を抱いたことのある今の俺の方が、慣れてるに決まってる…、…けど…
「…俺は光が初めてだから」
「え…?…ほんと…ですか?」
「ほんとだよ。」
「……。」
「…何?」
顔を赤くして黙り込む光。
「……嬉しい」
「……。」
…だから可愛すぎるって…!!!
「あっ、先輩…、や…、」
秘部を撫でられぎゅっと縮こまる光。だけどそのまま光の感じるところを撫で続けると、だんだんと目をとろんとさせて、吐息を乱し始める。
「は…、…はぁ…。」
「…光、気持ちいいか?」
「……。…変…な、感じ…」
まだ何も知らない、初心な光…。俺が与えるものが全てで、光の中にあいつはいなくて、俺しか知らなくて…俺だけを見ていて…
下着をずらして指をソコに滑りこませる。十分に濡れたソコは、それでもキツく、俺の指の侵入を拒むように締まった。
「……ゆ…、ゆび…。」
ぞくぞくと震えて呟く光。そんな姿を見せられたら…俺はもう…。
「……っ、…ん…」
光がたまらずこぼしてしまった甘い声がまた俺を煽情する。
中を指でほぐし、気が急くのを堪え、ちゃんと濡れて…光が感じているのを確かめて、俺は指を引き抜いた。
「……。」
ベルトを外し、そそりたつソレを花弁にあてがう俺を、光は恍惚とした表情で見上げた。
服は乱れ、髪も波打つようにベッドの上に広がり、横たわる無防備な妖艶さを放つ光。
御幸だけを見ていたあの頃の光…。初めての相手があいつだったこと、悔しくないと言えばうそになる。本当は、俺を…もっと、見てほしかった…。
「…いい?」
救いを求める気持ちで聞いた。俺の方がいい、って、光に言ってほしかったのかもしれない。
光は小さく頷いて、呟いた。
「初めては…洋一先輩じゃなきゃ、やだ…。」
その言葉に胸が苦しくなった。だけど、それは、喜びではなかった。
だって…そのセリフには聞き覚えがあった。あいつが…御幸が、初めて光を抱いた時に、そう言われたって…俺は知っていた。
そのセリフを俺に言ってほしかったなんて…俺はどんだけ卑怯なんだ…
光のその言葉にはきっと、想像できないくらい苦しい思いがあって…光には御幸しかいなくて…だって御幸は、あの頃、唯一光の痛みを知っていて…受け入れた存在で…
…そうだ、傷…
俺は思い出して、乱れた光のブラウスの裾を捲った。
「…?…何ですか…?」
不思議そうに俺の公道を見る光の、細く白い腰の、少し上にある赤い傷。何度も見た傷。でも、昔光はこの傷のことを、誰にも見られたくないと泣いていた。…御幸以外には、自分から見せたことは…多分、なかった。
だけど俺の夢の中の光は、この傷のことなんて、なにも気にしてないみたいな顔をしてる。
それはきっと俺が、この傷で受けた光の痛みを、何も理解していないから…。
この傷を御幸に見せて、痛みを打ち明けた光の気持ちを…ちゃんと理解してないから…。
「…洋一…先輩?」
不思議そうに俺を見つめる光を、俺は見つめ返した。
こんな恋を夢見ていた。だけど…これは現実じゃない。
そう思ったとき、だんだん目の前が暗くなってきて、ふわりと浮上感が俺を襲った。
「…洋一さん?」
気が付けば目の前に、大きな青い瞳で俺を見つめる光がいた。さっきよりも少し大人びた、現実の光だと、俺はすぐに分かった。
「大丈夫?」
「すげーうなされてたぞお前。」
向こうには御幸…、いや、一也もいる。ここは…城のいつものリビング。俺はソファに寝転んでいて、どうやらここで昼寝をしていたらしい。
「お水飲む?…ど、どしたの…?」
心配そうに俺を見つめる光に、起き上がってすぐに抱き着くと、驚きながら俺の背中を撫でてくれた。細くてか弱い光の体…あたたかい。やっぱり、本物の光が好きだ。都合のいい虚像なんかじゃなくて…
「怖い夢でも見たのか〜?洋一クン♡」
「……。」
「…おい?」
俺をバカにした一也も、俺が黙って光を抱きしめたまま動かないでいると、不思議そうに真面目な顔になった。それが少しおかしくて、笑いをこらえながら光の肩口に顔を埋める。
「光…」
「な…何?」
「…成長したな」
「え?」
「高校んときに比べて…」
腹の上に押し付けられる柔らかな感触。その弾力とボリュームは、さっきの夢の中のそれよりもはるかに…
「もー…エッチ」
「こんな昼間からセクハラすんなよ」
「ヒャハハ」
やっぱり、今の光が好きだ。一也のことが好きでも…それを踏まえて、俺のことを愛してくれる光が。
今まで乗り越えてきたことがあるから、実感できる。
俺はこの子を一生大切にする。
目が覚めると、覚えのない…だけど見覚えのある天井が目の前に広がった。
ここは…この天井は、どこだっけ…。
すげー見覚えあるのに…なぜか思い出せな……
「倉持先輩!もー朝っすよ!!起きないと遅刻しますよ!!」
「は…?」
起き上がって声がした方を見ると、そこには…どこか幼い顔つきの沢村がいた。青道、とかかれたユニフォーム姿で…
「まだ寝ぼけてるんすか!?遅くまでゲームやってるからっすよ!まったくもう!」
「さ…沢村先輩、そ、その辺にしといたほうが〜…」
懐かしい…浅田もいる。なんだこれ、夢か?
「俺ら先に行きますからね!監督に怒られても知りませんからね!」
「あ?俺を見捨てるとはいい度胸じゃねーか」
「知るか!自業自得だろ!」
「ヒャハハ。タメ口使ったなテメー」
「あっ…!!」
あー、懐かしいな、この感じ。やっぱ高校時代は楽しかった。
俺はベッドから降り、ユニフォームに着替えた。沢村は文句を言いながらまだそこにいる。先に行くんじゃねーのかよ。
「…まったく!キャプテンともあろうものが遅刻なんて許されませんよ!!」
「ヒャハハハ……、…は?」
「急いでください!ホラッ!帽子は持ちやしたか!?忘れもんはないですか!?」
「キャプテンじゃねー…」
「あっ!!ヤベェあと2分!!行きますよ!!ほら!!」
沢村に急かされてグラウンドに行くと、もうみんな集まっていて、監督の隣にはゾノと…小野がいた。
「やっと来たかキャプテン!遅刻ギリギリやぞ!」
ゾノが俺を見て言う。
皆も俺を見ている。
「倉持、始めてくれ。」
監督も俺を見て言う。
え…一也は?
「どうした倉持?」
「えっ…、いや!はい!」
俺がキャプテン…?
この夢にあいつは…御幸一也は…
……どうなってんだ!?
***
朝練を終えると、今日は日曜日でオフの日だと知って安堵した。だけど…誰も御幸のことを話さない。うちの正捕手は小野になっていて、俺が主将、ゾノと小野が副主将になっているらしかった。
御幸の部屋をこっそり見に行ったけど、その部屋の3年は別の奴になっていたし…
「おい倉持!」
と、食堂でお茶を飲んでいると、ゾノが俺の肩を小突いた。
「何?」
「何やない!お前の彼女来とるぞ!門のとこに!」
「……は?」
…彼女!?俺に彼女が!?いったい誰…
ま…、まさか……。
急いで寮の門のところに行くと、なんとそこには…
「洋一先輩!」
にこにこと天使のほほえみを浮かべる、光の姿があった。
…嘘だろ!?俺、光と付き合ってんの!?なんつー都合のいい夢…
「どうしたんですか?」
ぱちくり、あどけない大きな瞳を瞬く、見ているだけで胸が苦しくなるほど可愛い光。一也の奴はこんな良い思いをあの頃…。クッソ、ムカつく。
「いや…、な、なんでもねぇよ。」
「?」
「それで今日…どしたの?」
「え?…昨日メールで、今日学校に用があるって言ったら、会おうって言ったの先輩じゃないですか。」
「え…」
「…忘れてたんだ。」
むす、と拗ねて悲しそうな目をする光…ああぁぁしまった!む、胸が痛い…
「ご、ごめん!マジゴメン!!忘れてたとかじゃ…」
「……。」
「ごめん!ごめんなさい!!」
「何したんだよ倉持〜?」
すぐそこを通りかかった麻生たちがニヤニヤからかうように口をはさんできた。だけど俺にはわかる。麻生たちの顔に嫉妬が混じっていることが…
「玉城さん!こいつになんかされたのか!?」
「大丈夫!?」
「おい!来んなテメェら!」
鬱陶しい、と思いつつ、俺も一也に似たようなことやってたな…、とふと懐かしくなる。
「つーかなんで倉持なんかと付き合ってんの?」
「オイどーいう意味だコラ」
「だって美女と野獣じゃん!なぁ?」
「な!な!」
「倉持のどこが好きなの?」
こいつが付き合えるなら俺だって…、という麻生の下心が垣間見えて気分が悪い。
だけど、光は顔を赤くして俺をちらりと見、ぽそぽそと呟いた。
「…か、かっこいい…所…」
です…、と呟いた光に、こっちまで顔が熱くなる。か、可愛すぎ…
「え〜〜〜!!?どこが…」
「うるせーよ!!さっさと失せろ!!散れ!!」
しっし、と麻生たちを追い払い、やっとまた光と二人きりになった。
「えーと…」
「……。」
「…こ、コンビニでも行く?」
そう言った俺に、光はまだ赤い顔で、こくん、と頷いた。
***
コンビニへの道すがら。
隣を歩く光は静かだ。光、高校生の頃から物静かだったよな…。だけど気まずさを感じないのはなぜだろう。やっぱり、光の傍は…すげえ居心地がいい。
どうせ夢なんだし、と思い切って、俺は光の手をからめとった。途端に俺を見上げ、顔を赤くしてはにかむ光。…ああぁもう可愛い…!!高校の頃…こんなふうに光と付き合ってたら…すげぇ幸せだっただろうな……
俺たちはコンビニでアイスを買い、傍のベンチで食べることにした。道行く奴らが光を二度見していく。すげー可愛いもんな…ちょっと鼻が高い。まぁそのすぐあと、品定めるように俺を見て「なんでこいつが?」みたいな顔をされるのは腹が立つけど。きっと一也は…お似合いだ、っつー目で見られてたんだろうな…
「先輩?…疲れてる?」
「…え!?あ、いや!へーきへーき…」
またぼーっとしてしまった。光は心配そうに俺を見上げる。やっぱ優しいなー光は…
「今日この後何か…予定あんの?」
どうせ夢なんだし、このまま一日光と高校生カップルを謳歌したい。現実でできなかった分…
「何も。家帰っても一人だし…先輩も忙しいですよね?図書館でも行こうかな…。」
「え、全然忙しくねーし、一緒にどっか行こうぜ」
「え?…でも、主将になってからずっと忙しいって…」
「全然へーきへーき!」
だってこれは夢だ。3年の夏前みたいだけど、どうせ夢なら野球の練習をしたって意味がない。
「そ…そうですか?」
「おう!どこ行く?」
「……。」
「映画でも見に行く?それかカラオケとか…」
光ははにかんで、嬉しそうに、いいですね、と頷いた。
***
夕方光を家まで送り届ける。家は大きな洋風の家で、さすが金持ちっぽかったけど、あの城や別宅を見た後だとさすがに驚きはしない。
「じゃあ…、」
はにかんで俺を振り返る光。この光は、俺のことが好き…。夢であると分かってはいても嬉しくなってしまう。もう覚めたくないくらいに…
このまま光と青春を過ごして、付き合っていけたら…どんな未来が待ってるんだろう。
「またな」
言いながら、この後寮に帰って、夕飯を食って風呂に入って寝て…いつこの夢が覚めるんだろう、なんて考えていると、門扉に手をかけた光が、くるりと俺を振り返った。
「…上がっていきますか?」
「え…」
え!?い…いいの?
「…ひ、光がいいなら」
「……。…どうぞ」
光は扉を開け、俺の前に開いた。
家に行くって…、つまり、それは…。
つまり…!!
つーか、光と付き合ってる夢だけど、もうそういうことしてるっつう認識でいいのか…?今俺は3年で、光は2年っぽいけど…俺の勘が正しければ、一也は光と、高2の冬には…つまり光が1年の冬には、していたはずで…
…今考えても手ぇ早すぎんだろ。ふざけんなよエロ眼鏡。
「ここ、私の部屋です。お茶、持ってきますね」
「え、あ、おう…」
光は2階の部屋のドアの前まで俺を案内すると、踵を返して階段を下りて行った。…ここが高校生の光の…部屋。…って、俺の夢の中だけど。
ドキドキしながらドアを開けると、そこは、スッキリと片付いた女の子らしい部屋だった。同年代の女子の部屋なんて入ったことねーのに…俺にしては想像力が豊かじゃねーか。すげぇリアル。
適当に、ローテーブルの前に胡坐をかいて座って、部屋の中を見渡した。本棚には小説がたくさん…。コルクボードには牧瀬や奥村との写真…。机の上には参考書…。やっぱ光って…真面目な優等生…
「どうぞ。」
「あ、ありがとな…」
光が部屋に戻ってきて、冷たいお茶を出してくれた。俺の斜め前に座り、クッキーが乗った器を置き、少し赤い顔をごまかすようにグラスに口をつける光。
俺のことが好き…なんだよな。付き合ってるってことは…本当に。
あの頃…光は一也しか…御幸しか、眼中になくて。俺なんて、名前も覚えられてないと思ってた。すげえ可愛いと思ってたし、仲良くなりたかった…、けど、もう、俺ははなから諦めていて、ろくにアプローチもしなくて…
けど、高校生の頃にもっと光にアプローチしてたら…何か違ったのかな。
「…先輩?」
俺をまっすぐに見つめる瞳…。御幸がいない世界なんて、俺にとって都合が良すぎて…卑怯だ。
光に振り向いてもらえなかったことを、御幸がいたせいだと思ってるのか?俺は…
「…光、」
「…?」
「御幸のことだけど…」
「……みゆき?」
少し眉を寄せ、不思議そうに繰り返す光。
「…誰ですか?」
やっぱり…この夢の中では、御幸はいないんだ。
「先輩と…仲良い人ですか?」
「いや…、」
「…女の人、ですよね」
「…え!?いや、違う、一也だよ!御幸一也!」
「みゆき…かずや?……。」
光は首を傾げ、目を伏せて考え込む。
あいつを…知らないのか…本当に…
…って、何ちょっと悲しくなってんだ俺!都合良いじゃねーか、それに、どうせただの夢だし…
「…ま、まあ、知らねーならいいんだけどよ」
「…?」
きょとん、と俺を見つめる光のあどけない顔を見ていたら…やっぱり、よこしまな思いが駆け巡る。
今よりちょっと幼くて…だけどやっぱり、見入ってしまうほど綺麗で…透き通っていて、純粋で、愛らしい光。
「……。」
少し身を乗り出すと、光は俺がしようとしていることに気づいたように顔を赤くして、少し俯いて…だけど赤い唇を結び、ほんの少し、顎を上げた…。
……可愛すぎんだろおおおもおおお!!
ごくり、と喉を鳴らし、一思いに…キスをした。
一瞬唇が触れて、すぐに、ますます真っ赤になる光の顔。…あまずっぺえ…。ああもう、こんな青春、謳歌したかった…。だけどこの夢を見ている今、それを実現するまたとないチャンス。
普段はどうしても光に一枚上をとられてしまう俺でも、この夢の中では、光をリードできる…。
「っ…。」
再び唇を塞ぐと、光は肩をこわばらせて、だけど一生懸命にキスに応えた。ぎこちないキス…。光もこんなに初心だった頃があったんだよな…。あ〜…可愛い…
今のキスが上手い光も好きだけど…この、何とも言えないキスが下手でぎこちない光も、どうしようもなく可愛い。
そのうち俺はキスを深くして、光を抱きすくめるように、後ろのベッドに押し倒した。無防備であどけない光はいとも簡単に横たわり、これから起こることを予想はしてもまだ確信は持てないような顔で、窺うように俺を見上げている。
その反応を見て、俺は気づいた。もしかして…この夢の中の光って……未経験?
「…いい?」
夢の中といえど無理やりなんてする気はない。まして高校生の光相手に…。
俺が尋ねると、光は今更顔を赤くして、挙動不審になった。
「え…。」
「……。」
「……。」
少し迷うように目を泳がせて、それから恥ずかしそうにつぶやいた。
「わ…私…。…初めて…で…」
…あーもう…だめだ…理性が…
「優しくする。」
「……。」
経験豊富というわけではないが、少なくともこの光よりは経験がある。それに、光のいいとこは知ってるし…
キスを再開して、光の唇を塞いだままブラウスのボタンを外していく。はだけた胸元はまだあどけなく、今よりも小さな膨らみが白いレースに包まれている。といっても…この頃の同年代の女子の中では、光は大きい方だったと思う。
「……。」
恥ずかしそうに胸を腕で隠す光をそのままに、俺もワイシャツを脱いだ。顔を赤くして戸惑う光にまた覆いかぶさると、光はされるがままになる。いつもは余裕のない俺をからかうように微笑むくせに、今の光は俺よりも余裕がなくて、真っ赤な顔で恥じらっていて…。
「せ、先輩…。」
胸に触れられると、ぴくんと身を縮こませ、緊張してトクトクと鼓動を早くする。光の鼓動が手のひらから伝わってきて、俺はもう、堪らなくなった。
背中に手を回してホックを外し、胸をあらわにさせると、ブラウスのはだけた隙間から桜色の蕾が見え隠れして、俺は本能のままにブラウスを開き蕾を食んだ。
「ふ…っ。」
光は甘い吐息をこぼす。ここが光のイイところだと俺は知っている。しばらく舌で弄ぶと、思った通り、光は体を火照らせて悶え始めた。
「……っ」
蕾の刺激にぴくんと震える光。頬は赤く染まり、吐息は熱く、荒くなる。
「……。」
息を荒げたまま、光は少し潤む瞳で俺を見つめた。
俺は蕾の愛撫から手を下に滑らせ、スカートの中に侵入した。戸惑って閉じる柔らかな太腿に挟まれながら、その秘められた場所に触れると、光はとうとう俺の腕を掴んだ。
「まっ…、待って…」
余裕のない精いっぱいな顔で、光は俺を見上げる。
「先輩…、」
「…どうかした?」
「……。」
光はしばらく言葉に迷い…、というか、言うかどうか迷い、目を泳がせて、そしてためらいがちに呟いた。
「…先輩って…、…前に…その…」
「…?何?」
「…つ、付き合ってた人…とか…いるんですか…?」
「……。」
……え?この状況で何でそんなこと…
と考えつつ、一瞬えみの顔が浮かんだけど、高校時代の俺は女っ気一つなかっただろうと考え直した。
「いないけど?」
「……。」
「何だよその疑いの目…」
「だ…だって…。…な…慣れてる……から……」
「え……」
…あ〜、そういうことか。そりゃ…未経験の光より、何度か女を抱いたことのある今の俺の方が、慣れてるに決まってる…、…けど…
「…俺は光が初めてだから」
「え…?…ほんと…ですか?」
「ほんとだよ。」
「……。」
「…何?」
顔を赤くして黙り込む光。
「……嬉しい」
「……。」
…だから可愛すぎるって…!!!
「あっ、先輩…、や…、」
秘部を撫でられぎゅっと縮こまる光。だけどそのまま光の感じるところを撫で続けると、だんだんと目をとろんとさせて、吐息を乱し始める。
「は…、…はぁ…。」
「…光、気持ちいいか?」
「……。…変…な、感じ…」
まだ何も知らない、初心な光…。俺が与えるものが全てで、光の中にあいつはいなくて、俺しか知らなくて…俺だけを見ていて…
下着をずらして指をソコに滑りこませる。十分に濡れたソコは、それでもキツく、俺の指の侵入を拒むように締まった。
「……ゆ…、ゆび…。」
ぞくぞくと震えて呟く光。そんな姿を見せられたら…俺はもう…。
「……っ、…ん…」
光がたまらずこぼしてしまった甘い声がまた俺を煽情する。
中を指でほぐし、気が急くのを堪え、ちゃんと濡れて…光が感じているのを確かめて、俺は指を引き抜いた。
「……。」
ベルトを外し、そそりたつソレを花弁にあてがう俺を、光は恍惚とした表情で見上げた。
服は乱れ、髪も波打つようにベッドの上に広がり、横たわる無防備な妖艶さを放つ光。
御幸だけを見ていたあの頃の光…。初めての相手があいつだったこと、悔しくないと言えばうそになる。本当は、俺を…もっと、見てほしかった…。
「…いい?」
救いを求める気持ちで聞いた。俺の方がいい、って、光に言ってほしかったのかもしれない。
光は小さく頷いて、呟いた。
「初めては…洋一先輩じゃなきゃ、やだ…。」
その言葉に胸が苦しくなった。だけど、それは、喜びではなかった。
だって…そのセリフには聞き覚えがあった。あいつが…御幸が、初めて光を抱いた時に、そう言われたって…俺は知っていた。
そのセリフを俺に言ってほしかったなんて…俺はどんだけ卑怯なんだ…
光のその言葉にはきっと、想像できないくらい苦しい思いがあって…光には御幸しかいなくて…だって御幸は、あの頃、唯一光の痛みを知っていて…受け入れた存在で…
…そうだ、傷…
俺は思い出して、乱れた光のブラウスの裾を捲った。
「…?…何ですか…?」
不思議そうに俺の公道を見る光の、細く白い腰の、少し上にある赤い傷。何度も見た傷。でも、昔光はこの傷のことを、誰にも見られたくないと泣いていた。…御幸以外には、自分から見せたことは…多分、なかった。
だけど俺の夢の中の光は、この傷のことなんて、なにも気にしてないみたいな顔をしてる。
それはきっと俺が、この傷で受けた光の痛みを、何も理解していないから…。
この傷を御幸に見せて、痛みを打ち明けた光の気持ちを…ちゃんと理解してないから…。
「…洋一…先輩?」
不思議そうに俺を見つめる光を、俺は見つめ返した。
こんな恋を夢見ていた。だけど…これは現実じゃない。
そう思ったとき、だんだん目の前が暗くなってきて、ふわりと浮上感が俺を襲った。
「…洋一さん?」
気が付けば目の前に、大きな青い瞳で俺を見つめる光がいた。さっきよりも少し大人びた、現実の光だと、俺はすぐに分かった。
「大丈夫?」
「すげーうなされてたぞお前。」
向こうには御幸…、いや、一也もいる。ここは…城のいつものリビング。俺はソファに寝転んでいて、どうやらここで昼寝をしていたらしい。
「お水飲む?…ど、どしたの…?」
心配そうに俺を見つめる光に、起き上がってすぐに抱き着くと、驚きながら俺の背中を撫でてくれた。細くてか弱い光の体…あたたかい。やっぱり、本物の光が好きだ。都合のいい虚像なんかじゃなくて…
「怖い夢でも見たのか〜?洋一クン♡」
「……。」
「…おい?」
俺をバカにした一也も、俺が黙って光を抱きしめたまま動かないでいると、不思議そうに真面目な顔になった。それが少しおかしくて、笑いをこらえながら光の肩口に顔を埋める。
「光…」
「な…何?」
「…成長したな」
「え?」
「高校んときに比べて…」
腹の上に押し付けられる柔らかな感触。その弾力とボリュームは、さっきの夢の中のそれよりもはるかに…
「もー…エッチ」
「こんな昼間からセクハラすんなよ」
「ヒャハハ」
やっぱり、今の光が好きだ。一也のことが好きでも…それを踏まえて、俺のことを愛してくれる光が。
今まで乗り越えてきたことがあるから、実感できる。
俺はこの子を一生大切にする。