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パーシヴァル・光也・アンクレー。
パーシヴァルとは古いアンクレーの言葉で「幸せ」という意味。
御幸、っていう苗字が好きだったの、という光が考えた名前だ。日本語のミドルネームは、俺と光の名前から一文字ずつ。息子が生まれてから三日目となる今日、城下町ではまだお祭り騒ぎが続いていた。もともと人口のもイベントも少ない国で、こんなお祝い事は珍しいことなのだ。
窓辺のベッドで息子に母乳をあげている光。赤ん坊を愛おしそうに抱く姿を見るだけで、泣きそうになる。
目じりをムズムズさせながら歩み寄ると、光は俺を見上げて、また息子に視線を落とした。息子は蜂蜜色のふわふわした髪の毛を撫でられ、光に似た青い瞳を細めた。
「よく飲むなぁ〜」
「うん。出生体重もね、普通より重めだったみたい。」
「へー…デカくなりそうだな」
息子の話をしていると自然に頬が緩んでしまう。大きくなってほしい。でも、ゆっくりでいい。今のこの時間が幸せで、ゆっくりじっくり、かみしめたいから。
「光は大丈夫?」
「うん。」
「何か欲しいもんある?」
「んー…ううん。」
ありがと、と呟いて、光は息子を見つめる。息子は可愛い。可愛いけど、その可愛い唇が光の胸に吸い付いて、真っ白で豊かな谷間が揺れているのを見ると…。
「光也、今は貸してやるけど、ママのおっぱいは本当はパパのだからな〜」
「…何言ってるの?」
光があきれたように少し赤い顔で俺を睨んだ。
***
ミルクの時間以外は息子はベビーシッターが見ることになっているが、光も俺もずっと息子の傍にいた。あやすのもおむつを替えるのもミルクを上げるのも楽しいし、幸せで。光也はよく寝る子らしく、夜泣きは少ない方だとベビーシッターが言っていた。それでも夜に2,3回は起きてミルクをやっていた。
「いや〜〜〜〜!!!可愛い〜〜〜!!!!!」
悲鳴が部屋に響き渡り、俺も洋一もなんだなんだと振り向く。それは光がテレビ電話をつなげている牧瀬の声だった。
「いや〜〜〜ん天使…天使だぁ…可愛すぎる…」
「…赤ん坊がいるんだからあまり大きい声を出すなよ」
光臣の冷静な突っ込みも聞こえた。どうやら光が息子を二人に紹介してるらしい。
光は息子を膝に抱き、パソコンに向かっていた。
「それにしてもパパそっくり!あははは」
「そうかな?でも確かに一也さんに似てるってよく言われるんだよね」
「目元とかそっくりだよーいたずら好きそうなとこが…」
「俺っていたずら好きそうってこと?」
ひょいと顔を出すと、あっ、と牧瀬が苦笑した。
「褒めてるんですよぉ〜」
「それはちょっとムリない?」
「いや〜将来イケメンになりそうですね!」
「はっはっはアリガトウ」
「っていうか周防君がとりあげたって本当なんですかぁ〜!?」
牧瀬が興味津々に尋ねると、パタン、とドアが閉まる音がした。俺と光と洋一が一斉に振り向き、牧瀬が「どうしたんですか?」と目を瞬く。俺たちの視線の先には、ついさっきまで周防が傍に立っていた、今は誰もいないサービングカートがあった。周防…逃げた?
「…本当だよ。夜破水しちゃって、お医者さんがすぐに来れなくて…」
「えぇ〜!大丈夫だったの?」
「周防君のおかげでね。」
「それってすごくない?周防君肝据わりすぎ!」
「……。」
「……。」
何もできなかった男二人…俺と洋一は大人しく口を噤む。
「…なんか、経験あるとか言ってたけど。周防って医学部とかだったの?」
俺が光臣に尋ねると、いや、と光臣は頭を振った。そーだよな、アメリカの有名大学で、しかも医学部なんて桁違いのエリートはそうそう…
「あいつも俺も法学部だ。」
「……へー」
…桁違いのエリートだった。
「そういえば…1年の夏休みにボランティアでカンボジアへ行って、そこのスラム街で産気づいた女性の介抱を手伝ったと言ってたな。そのことを言ってるのかはわからんが。」
「え!?…壮絶な経験してんなあいつ…」
肝が据わってるわけだ…。それを「そういえば」で済ましてしまう光臣もすごいけど。
「そういえば護は忙しいのか?」
「…そうみたい」
影のように部屋を出て行った周防に何を思ったか、光はちょっとドアの方を見て光臣に頷いた。
パーシヴァルとは古いアンクレーの言葉で「幸せ」という意味。
御幸、っていう苗字が好きだったの、という光が考えた名前だ。日本語のミドルネームは、俺と光の名前から一文字ずつ。息子が生まれてから三日目となる今日、城下町ではまだお祭り騒ぎが続いていた。もともと人口のもイベントも少ない国で、こんなお祝い事は珍しいことなのだ。
窓辺のベッドで息子に母乳をあげている光。赤ん坊を愛おしそうに抱く姿を見るだけで、泣きそうになる。
目じりをムズムズさせながら歩み寄ると、光は俺を見上げて、また息子に視線を落とした。息子は蜂蜜色のふわふわした髪の毛を撫でられ、光に似た青い瞳を細めた。
「よく飲むなぁ〜」
「うん。出生体重もね、普通より重めだったみたい。」
「へー…デカくなりそうだな」
息子の話をしていると自然に頬が緩んでしまう。大きくなってほしい。でも、ゆっくりでいい。今のこの時間が幸せで、ゆっくりじっくり、かみしめたいから。
「光は大丈夫?」
「うん。」
「何か欲しいもんある?」
「んー…ううん。」
ありがと、と呟いて、光は息子を見つめる。息子は可愛い。可愛いけど、その可愛い唇が光の胸に吸い付いて、真っ白で豊かな谷間が揺れているのを見ると…。
「光也、今は貸してやるけど、ママのおっぱいは本当はパパのだからな〜」
「…何言ってるの?」
光があきれたように少し赤い顔で俺を睨んだ。
***
ミルクの時間以外は息子はベビーシッターが見ることになっているが、光も俺もずっと息子の傍にいた。あやすのもおむつを替えるのもミルクを上げるのも楽しいし、幸せで。光也はよく寝る子らしく、夜泣きは少ない方だとベビーシッターが言っていた。それでも夜に2,3回は起きてミルクをやっていた。
「いや〜〜〜〜!!!可愛い〜〜〜!!!!!」
悲鳴が部屋に響き渡り、俺も洋一もなんだなんだと振り向く。それは光がテレビ電話をつなげている牧瀬の声だった。
「いや〜〜〜ん天使…天使だぁ…可愛すぎる…」
「…赤ん坊がいるんだからあまり大きい声を出すなよ」
光臣の冷静な突っ込みも聞こえた。どうやら光が息子を二人に紹介してるらしい。
光は息子を膝に抱き、パソコンに向かっていた。
「それにしてもパパそっくり!あははは」
「そうかな?でも確かに一也さんに似てるってよく言われるんだよね」
「目元とかそっくりだよーいたずら好きそうなとこが…」
「俺っていたずら好きそうってこと?」
ひょいと顔を出すと、あっ、と牧瀬が苦笑した。
「褒めてるんですよぉ〜」
「それはちょっとムリない?」
「いや〜将来イケメンになりそうですね!」
「はっはっはアリガトウ」
「っていうか周防君がとりあげたって本当なんですかぁ〜!?」
牧瀬が興味津々に尋ねると、パタン、とドアが閉まる音がした。俺と光と洋一が一斉に振り向き、牧瀬が「どうしたんですか?」と目を瞬く。俺たちの視線の先には、ついさっきまで周防が傍に立っていた、今は誰もいないサービングカートがあった。周防…逃げた?
「…本当だよ。夜破水しちゃって、お医者さんがすぐに来れなくて…」
「えぇ〜!大丈夫だったの?」
「周防君のおかげでね。」
「それってすごくない?周防君肝据わりすぎ!」
「……。」
「……。」
何もできなかった男二人…俺と洋一は大人しく口を噤む。
「…なんか、経験あるとか言ってたけど。周防って医学部とかだったの?」
俺が光臣に尋ねると、いや、と光臣は頭を振った。そーだよな、アメリカの有名大学で、しかも医学部なんて桁違いのエリートはそうそう…
「あいつも俺も法学部だ。」
「……へー」
…桁違いのエリートだった。
「そういえば…1年の夏休みにボランティアでカンボジアへ行って、そこのスラム街で産気づいた女性の介抱を手伝ったと言ってたな。そのことを言ってるのかはわからんが。」
「え!?…壮絶な経験してんなあいつ…」
肝が据わってるわけだ…。それを「そういえば」で済ましてしまう光臣もすごいけど。
「そういえば護は忙しいのか?」
「…そうみたい」
影のように部屋を出て行った周防に何を思ったか、光はちょっとドアの方を見て光臣に頷いた。