344
「おおーーし!!」
「うおーーー倉持罰ゲームじゃん!」
コントローラーを投げ出してガッツポーズをする沢村と、隣で唖然とする倉持。いつものごとく罰ゲームをかけて勝負していたのだが、途中から沢村が倉持を笑わせて妨害するという作戦に出て、沢村が初めて連日の罰ゲームから抜け出した瞬間だった。
「めっずらし〜〜」
「ふざけんな今のは沢村が!」
「あれ〜?負け惜しみかな〜?」
「ダセェぞ〜!1年に負けたからって!」
「ぐっ…!!」
「じゃ、はい。罰ゲーム選べ。」
ニコニコ楽しそうな亮さんが、ご機嫌に箱を差し出す。倉持は亮さんにめっぽう弱い。1年の頃からしつけられているから。倉持が悔しそうに箱に手を入れ、一枚の紙を抜き取った。亮さんはそれを奪い、皆の前で開いて見せる。
「あ〜これか…」
「な…なんスか?」
亮さんは倉持の前に紙を広げて見せた。
『最初に出会った人物のおっぱいを10秒揉む』
「……。」
倉持は微妙な、だけどちょっと安堵したような顔になった。だってここは寮だし、最初に会うのはほぼ間違いなく野球部員。今日はマネージャーたちももう帰ったし、万が一の確立で礼ちゃんに会うかもしれないけど、礼ちゃんは寮の方には来ないから可能性はほとんどない。倉持は安心したのか、余裕の笑みで立ち上がった。
「なんだ楽勝じゃねぇか。こんなのさっさと終わらせてやらぁ!」
「言っとくけど俺らは最初からいるから除外ね。」
「ヒャハハ、わかってますよ!」
「外行こうぜ外ー」
と、いうわけで、俺たちはぞろぞろと外に出た。だけど雨が降っているせいか皆誰かの部屋にいるようで、外に人の姿はなかった。
「誰もいねぇなー」
「じゃあ監督の部屋行こうぜ!」
「なんでだよ!!ざけんな!」
「いやどうせなら校舎の方行こうよ」
亮さんがそう提案した。校舎の方と言っても、途中には練習室も自販機もあるからどこかで寮生に会うだろう。倉持もそう思ったのか、いいっすよ、と軽く頷いた。
しかし行けども行けども、人っ子一人いない。倉持の顔に不安がにじんできたけど、亮さんはちょっと飽きてきた様子で欠伸をした。
「…こっから校舎っすよ!もう戻りましょうよ」
倉持が言った。
「何言ってんの?戻ったら野球部員しかいないじゃん」
「……。」
しかし鬼畜な亮さんに言い返されて、倉持は青ざめた。
そしてそこへ、足音が近づいてきた。
ざり、ざり、と濡れた砂利を踏んで歩いて来る軽い足音。多分、こっちの方向だと…図書室から来た生徒だろう。男子か、女子か…息をのんで見守る俺たちの前に、校舎の角から水色の傘が現れた。そして――
「…!」
びくっ、と肩を竦めて足を止めたのは、玉城だった。
校舎の角を曲がったら10人近いジャージ姿の男たちが息を潜めていたのだ、驚いて当然だろう。
「……。」
玉城は見知った俺を見上げ、周りの野郎どもを見渡し、また俺を見た。両者固まっている中、俺は皆を振り返った。
「やばい、よりによってシャレにならない可愛い女子が来た。」皆の顔はそう物語っていた。だけど同時に少し期待したような顔をしている奴もいて、倉持なんて顔を真っ赤にしていた。
「…いや!ダメですよさすがに!!」
俺はたまらず玉城の前に手を広げて立ち、野郎どもをいさめた。玉城は訝しげに俺を見上げてきょとんとする。
「でも…なぁ?」
「クジで引いたし…な。」
「罰ゲームだし…」
「え!?いやいや…無理だろ…!」
さすがに倉持も必死に首を横に振った。
「亮さん!これはナシですよね!?」
この場で実権を握っている亮さんに必死に取り入る倉持。亮さんは苦笑いを浮かべ、うーん、と首をかしげる。
「ダメ!絶対ダメ!玉城なんて絶対ダメに決まってんだろ!!」
「ちょっと…何なんですか?」
夢中になって叫ぶと玉城が呟き、振り向くと俺を睨んでいる青い瞳。
「なんでもないから」
「一方的にダメ呼ばわりしておいてなんでもないじゃないでしょ。」
「そういう意味じゃないって!」
「じゃあどういう意味なんですか。」
「お前は関係ないから黙ってろ!」
「はぁ!?先輩がダメダメ言ったんでしょ!」
「……。」
「……。」
「……。」
言い争いになる俺と玉城を見守る倉持達。
「なんでいきなりバカにされなきゃいけないの!」
「してねえって…!もういいから早く帰れよお前!」
「……。」
うるっ、と突然玉城の目が潤んで、ぎくっとした。う、うそだろ、こんなことで泣くなんて…!
「ちょ…、玉城…」
伸ばした手を玉城は払いのけ、目元を拭った。
「…あ〜あ、御幸が泣かしたぁ〜」
「は!?お前らな…!!」
俺が玉城を庇ったことを知っててこいつら…!!
「…あ!おい玉城!」
「ついてこないでよ!ばかぁ!」
急に踵を返して立ち去ろうとする玉城を追いかけるも、泣き声交じりにそう怒鳴られると、ひるんで躊躇ってしまう。いや、でも、ここでほうっておいたら長引くぞ…。早く謝って誤解を解いておいた方がいいに決まってる!
「いや違うんだって!ちょっと待ってって!」
「触らないで!バカ!」
「ちょっと…いいから聞いてくれって…!」
「帰るの!離してよ!」
「お前のために言ったんだって!!」
「意味わかんない…どういう意味?」
「だから罰ゲームでお前のお…」
「…?」
「お…、…いやだから…」
い…言えねえ…!!
俺の後ろで倉持達が腹を抱えて笑いをこらえている。殺意が湧く。
「お?」
玉城が首をかしげる。
そのすぐ下には…なかなか立派な、いい形の二つの膨らみがあって…
「何?」
「あ、いや、違…」
「?」
俺の視線を追って下を見た玉城は、意味が分からないといったように眉を寄せてまた俺を見た。
「…ば、罰ゲームしてたんだよ」
「罰ゲームって?」
「その…、」
…なんで俺がこんなこと説明してんだ…。
「…最初に会った…人に…する罰ゲーム」
「最初に会った人に?何をするんですか?」
「…そこまで聞く?」
「私がそんなにダメな理由を言ってください。」
「……。」
く…頑固…。
「…最初に言っとくけど!俺はお前が嫌がると思ってああ言ったんだからな!?」
「私がダメだって?」
「いや言ったけど…お前が思ってるような意味じゃねーんだって!」
「じゃあどういう意味なんですか。」
「あーもー頑固だな!!お前も嫌だろ!?あいつに胸揉まれたら!!」
あいつ、と指さした倉持が、おい!と抗議の眼差しで俺を睨んだけどどうでもいい。
それよりも玉城の顔が赤くなり、不審者を見るような目で俺を睨んだことの方が効いた…
「…はぁ…?」
玉城は少し肩を丸めて胸を隠すように体を背けた。
「最低…」
そしてそう呟き、軽蔑の眼差しを俺に向けた。
「いや俺じゃねぇって!罰ゲームは倉持!罰ゲーム考えたのも別の奴だし、まさか女子と会うとは思わなかったんだよ!」
「あっそ…」
「ちょっとマジで待って!俺は違うから!お前のこと助けたんじゃん!」
「わかりましたよ…」
「わかってないじゃん絶対!!」
玉城はくるりと踵を返した。
「…もう帰ります」
「おい玉城!俺は違うからな!」
「もーわかりましたよ、変態…」
「わかってないじゃん!!!」
***
「…なんてこともあったよな〜」
夜、ひと時の休息の時間。ハーブティーを飲みながら光と洋一と過ごしている時、時々こうして高校時代の懐かしい話をする。光は目を瞬き、首を傾げたけど。
「そうだっけ?」
「…覚えてないの?」
「ん〜…」
光はちょっと考え、えへへ、と笑った。覚えてないらしい。
「まー俺はそうしていつも光のことを守ってたわけよ。」
「何言ってんだか…」
「洋一はあわよくば揉もうとしてたくせに。」
「してねぇよ!」
言い合う俺と洋一を、光は楽しそうに笑って見ている。
「つーかそんなこと言ったらテメーこそ学校で光の胸揉んでたじゃねーか!」
「えっ…」
洋一の言葉に顔を赤くしたのは光で、まさか、と俺を振り返った。
「一也さん…したこと…皆に話してたの…?」
「え!?まさか!話してないって!こいつはたまたま…ちょっと胸触ってるトコ見られたことあったけど…」
「…オイちょっと待て、お前ら学校でどこまでしてたんだよ?」
洋一の言葉で、光はまた顔を赤くし、今度は俺も赤くなった。
「……。」
「……。」
黙り込んだ俺たちを見て、洋一は呆れたように顔をひきつらせて俺を睨んだ。
「お前…純粋な後輩を誑し込みやがって…」
「……。」
…それは…まぁ…言われると良心が痛い。あの背徳感もちょっとクセになってたなんて言えない。
「…納得いかねぇ!今日から1週間俺光と寝る!」
「はぁ!?ちょっと待てよ交代って言っただろ!」
「知るか!高校2年間ヤリまくってたんだろ!同棲だってしてたし、俺に1週間くらいくれてもいいだろ!」
「…!」
そ、それを言われると…。だけど交代って約束したから、と一抹の期待を込めて光を見ると、光までちょっと申し訳なさそうな顔をしていた。
「そう…だよね…」
ほら見ろ!とばかりに俺を見てにやりと笑う洋一。クソ…こんなことになるなんて。
「じゃあ…今日から1週間、洋一さんのところで寝ようかな…」
「マジ!?よっしゃあ!!」
「そ…、そんな喜ぶ?」
「当たり前だろ、すげー嬉しい!」
屈託のないヤンキー特有のまっすぐな笑顔に、光は頬を赤く染める。…面白くねー!!
「うおーーー倉持罰ゲームじゃん!」
コントローラーを投げ出してガッツポーズをする沢村と、隣で唖然とする倉持。いつものごとく罰ゲームをかけて勝負していたのだが、途中から沢村が倉持を笑わせて妨害するという作戦に出て、沢村が初めて連日の罰ゲームから抜け出した瞬間だった。
「めっずらし〜〜」
「ふざけんな今のは沢村が!」
「あれ〜?負け惜しみかな〜?」
「ダセェぞ〜!1年に負けたからって!」
「ぐっ…!!」
「じゃ、はい。罰ゲーム選べ。」
ニコニコ楽しそうな亮さんが、ご機嫌に箱を差し出す。倉持は亮さんにめっぽう弱い。1年の頃からしつけられているから。倉持が悔しそうに箱に手を入れ、一枚の紙を抜き取った。亮さんはそれを奪い、皆の前で開いて見せる。
「あ〜これか…」
「な…なんスか?」
亮さんは倉持の前に紙を広げて見せた。
『最初に出会った人物のおっぱいを10秒揉む』
「……。」
倉持は微妙な、だけどちょっと安堵したような顔になった。だってここは寮だし、最初に会うのはほぼ間違いなく野球部員。今日はマネージャーたちももう帰ったし、万が一の確立で礼ちゃんに会うかもしれないけど、礼ちゃんは寮の方には来ないから可能性はほとんどない。倉持は安心したのか、余裕の笑みで立ち上がった。
「なんだ楽勝じゃねぇか。こんなのさっさと終わらせてやらぁ!」
「言っとくけど俺らは最初からいるから除外ね。」
「ヒャハハ、わかってますよ!」
「外行こうぜ外ー」
と、いうわけで、俺たちはぞろぞろと外に出た。だけど雨が降っているせいか皆誰かの部屋にいるようで、外に人の姿はなかった。
「誰もいねぇなー」
「じゃあ監督の部屋行こうぜ!」
「なんでだよ!!ざけんな!」
「いやどうせなら校舎の方行こうよ」
亮さんがそう提案した。校舎の方と言っても、途中には練習室も自販機もあるからどこかで寮生に会うだろう。倉持もそう思ったのか、いいっすよ、と軽く頷いた。
しかし行けども行けども、人っ子一人いない。倉持の顔に不安がにじんできたけど、亮さんはちょっと飽きてきた様子で欠伸をした。
「…こっから校舎っすよ!もう戻りましょうよ」
倉持が言った。
「何言ってんの?戻ったら野球部員しかいないじゃん」
「……。」
しかし鬼畜な亮さんに言い返されて、倉持は青ざめた。
そしてそこへ、足音が近づいてきた。
ざり、ざり、と濡れた砂利を踏んで歩いて来る軽い足音。多分、こっちの方向だと…図書室から来た生徒だろう。男子か、女子か…息をのんで見守る俺たちの前に、校舎の角から水色の傘が現れた。そして――
「…!」
びくっ、と肩を竦めて足を止めたのは、玉城だった。
校舎の角を曲がったら10人近いジャージ姿の男たちが息を潜めていたのだ、驚いて当然だろう。
「……。」
玉城は見知った俺を見上げ、周りの野郎どもを見渡し、また俺を見た。両者固まっている中、俺は皆を振り返った。
「やばい、よりによってシャレにならない可愛い女子が来た。」皆の顔はそう物語っていた。だけど同時に少し期待したような顔をしている奴もいて、倉持なんて顔を真っ赤にしていた。
「…いや!ダメですよさすがに!!」
俺はたまらず玉城の前に手を広げて立ち、野郎どもをいさめた。玉城は訝しげに俺を見上げてきょとんとする。
「でも…なぁ?」
「クジで引いたし…な。」
「罰ゲームだし…」
「え!?いやいや…無理だろ…!」
さすがに倉持も必死に首を横に振った。
「亮さん!これはナシですよね!?」
この場で実権を握っている亮さんに必死に取り入る倉持。亮さんは苦笑いを浮かべ、うーん、と首をかしげる。
「ダメ!絶対ダメ!玉城なんて絶対ダメに決まってんだろ!!」
「ちょっと…何なんですか?」
夢中になって叫ぶと玉城が呟き、振り向くと俺を睨んでいる青い瞳。
「なんでもないから」
「一方的にダメ呼ばわりしておいてなんでもないじゃないでしょ。」
「そういう意味じゃないって!」
「じゃあどういう意味なんですか。」
「お前は関係ないから黙ってろ!」
「はぁ!?先輩がダメダメ言ったんでしょ!」
「……。」
「……。」
「……。」
言い争いになる俺と玉城を見守る倉持達。
「なんでいきなりバカにされなきゃいけないの!」
「してねえって…!もういいから早く帰れよお前!」
「……。」
うるっ、と突然玉城の目が潤んで、ぎくっとした。う、うそだろ、こんなことで泣くなんて…!
「ちょ…、玉城…」
伸ばした手を玉城は払いのけ、目元を拭った。
「…あ〜あ、御幸が泣かしたぁ〜」
「は!?お前らな…!!」
俺が玉城を庇ったことを知っててこいつら…!!
「…あ!おい玉城!」
「ついてこないでよ!ばかぁ!」
急に踵を返して立ち去ろうとする玉城を追いかけるも、泣き声交じりにそう怒鳴られると、ひるんで躊躇ってしまう。いや、でも、ここでほうっておいたら長引くぞ…。早く謝って誤解を解いておいた方がいいに決まってる!
「いや違うんだって!ちょっと待ってって!」
「触らないで!バカ!」
「ちょっと…いいから聞いてくれって…!」
「帰るの!離してよ!」
「お前のために言ったんだって!!」
「意味わかんない…どういう意味?」
「だから罰ゲームでお前のお…」
「…?」
「お…、…いやだから…」
い…言えねえ…!!
俺の後ろで倉持達が腹を抱えて笑いをこらえている。殺意が湧く。
「お?」
玉城が首をかしげる。
そのすぐ下には…なかなか立派な、いい形の二つの膨らみがあって…
「何?」
「あ、いや、違…」
「?」
俺の視線を追って下を見た玉城は、意味が分からないといったように眉を寄せてまた俺を見た。
「…ば、罰ゲームしてたんだよ」
「罰ゲームって?」
「その…、」
…なんで俺がこんなこと説明してんだ…。
「…最初に会った…人に…する罰ゲーム」
「最初に会った人に?何をするんですか?」
「…そこまで聞く?」
「私がそんなにダメな理由を言ってください。」
「……。」
く…頑固…。
「…最初に言っとくけど!俺はお前が嫌がると思ってああ言ったんだからな!?」
「私がダメだって?」
「いや言ったけど…お前が思ってるような意味じゃねーんだって!」
「じゃあどういう意味なんですか。」
「あーもー頑固だな!!お前も嫌だろ!?あいつに胸揉まれたら!!」
あいつ、と指さした倉持が、おい!と抗議の眼差しで俺を睨んだけどどうでもいい。
それよりも玉城の顔が赤くなり、不審者を見るような目で俺を睨んだことの方が効いた…
「…はぁ…?」
玉城は少し肩を丸めて胸を隠すように体を背けた。
「最低…」
そしてそう呟き、軽蔑の眼差しを俺に向けた。
「いや俺じゃねぇって!罰ゲームは倉持!罰ゲーム考えたのも別の奴だし、まさか女子と会うとは思わなかったんだよ!」
「あっそ…」
「ちょっとマジで待って!俺は違うから!お前のこと助けたんじゃん!」
「わかりましたよ…」
「わかってないじゃん絶対!!」
玉城はくるりと踵を返した。
「…もう帰ります」
「おい玉城!俺は違うからな!」
「もーわかりましたよ、変態…」
「わかってないじゃん!!!」
***
「…なんてこともあったよな〜」
夜、ひと時の休息の時間。ハーブティーを飲みながら光と洋一と過ごしている時、時々こうして高校時代の懐かしい話をする。光は目を瞬き、首を傾げたけど。
「そうだっけ?」
「…覚えてないの?」
「ん〜…」
光はちょっと考え、えへへ、と笑った。覚えてないらしい。
「まー俺はそうしていつも光のことを守ってたわけよ。」
「何言ってんだか…」
「洋一はあわよくば揉もうとしてたくせに。」
「してねぇよ!」
言い合う俺と洋一を、光は楽しそうに笑って見ている。
「つーかそんなこと言ったらテメーこそ学校で光の胸揉んでたじゃねーか!」
「えっ…」
洋一の言葉に顔を赤くしたのは光で、まさか、と俺を振り返った。
「一也さん…したこと…皆に話してたの…?」
「え!?まさか!話してないって!こいつはたまたま…ちょっと胸触ってるトコ見られたことあったけど…」
「…オイちょっと待て、お前ら学校でどこまでしてたんだよ?」
洋一の言葉で、光はまた顔を赤くし、今度は俺も赤くなった。
「……。」
「……。」
黙り込んだ俺たちを見て、洋一は呆れたように顔をひきつらせて俺を睨んだ。
「お前…純粋な後輩を誑し込みやがって…」
「……。」
…それは…まぁ…言われると良心が痛い。あの背徳感もちょっとクセになってたなんて言えない。
「…納得いかねぇ!今日から1週間俺光と寝る!」
「はぁ!?ちょっと待てよ交代って言っただろ!」
「知るか!高校2年間ヤリまくってたんだろ!同棲だってしてたし、俺に1週間くらいくれてもいいだろ!」
「…!」
そ、それを言われると…。だけど交代って約束したから、と一抹の期待を込めて光を見ると、光までちょっと申し訳なさそうな顔をしていた。
「そう…だよね…」
ほら見ろ!とばかりに俺を見てにやりと笑う洋一。クソ…こんなことになるなんて。
「じゃあ…今日から1週間、洋一さんのところで寝ようかな…」
「マジ!?よっしゃあ!!」
「そ…、そんな喜ぶ?」
「当たり前だろ、すげー嬉しい!」
屈託のないヤンキー特有のまっすぐな笑顔に、光は頬を赤く染める。…面白くねー!!