光に解毒剤を投与し始めて1週間。
それは、夕焼けが光の頬を赤く照らし始めた頃だった。

光は昨日から血圧が正常に戻り、脈拍も安定し始めていた。まだ呼吸器は外れていないが、ほんの少し希望が見えていた。
俺は光の手を握り、光の寝顔を見つめていた。洋一も傍で、時折光の髪を撫でていた。

そろそろカーテンを閉めて部屋の明かりをつけよう。
そう思って立ち上がろうとしたときだった。

「……。」

ふっと、光の長いまつげが震えたように見えた。
息をのんで少し身を乗り出すと、洋一も気づいたように体をこちらに向けた。

そして……瞼が、ゆっくりと、ひらいた。

「光…?」

俺は夢でも見ているような気分で、ゆっくりと瞬きをする光の目を見つめた。光の青い瞳は少しだけ動き、俺と、洋一の顔を捉えた。目が…見えてる?いや、それより、意識が戻った……?

「光…」

名前を呼ぶと、また光の目が動き、少し目を細めた。

「……か……やさ……」

ほとんどかすれて声になっていない声が、呼吸器を曇らせて響いた。その瞬間俺はボロボロ涙がこぼれ、椅子から立ち上がって光に顔を近づけた。

「光、気が付いたのか?大丈夫か?苦しくないか…?」
「……。」

曇った呼吸器の中で、わずかに光の口元がほほ笑んだ気がした。

「光……。」

俺は覆いかぶさるように光を抱きしめ、その肩口で泣いた。あたたかい。光が生きている…。
洋一も鼻を啜って、光の手を握りしめていた。

「光…」

俺は何も言葉にならず、ただただ光の名前を繰り返していた。涙が止まらないまま光の顔を見て、薄く瞼が開いているのを見て心から安堵する。小さな頬を呼吸器ごと撫でると、光の目から涙がこぼれた。

「……大丈夫か……?」

震える声で何とかそれだけを聞いた。光は少しだけ頭を動かし、うなずいた。

「ね……の…」
「え…?何…?」

口元に耳を近づけると、光はかすれた声で精いっぱい喋る。

「眠い…の…すご…く…」

俺は頷いて、光の涙をぬぐい、あやすように髪を撫でた。

「いいよ…眠って…安心して眠れよ…。俺…ずっとここにいるから…」
「……。」
「光が起きるまで…ずっといるから…」

光は目を閉じ、俺の手に頬を寄せた。

「一也…」

洋一の声がし、顔を上げると、洋一は涙でぬれた顔に笑顔を浮かべていた。めちゃくちゃな顔で…いや、俺も同じだ。
俺たちはいつまでも、光の寝顔を囲んで、泣きながら笑い続けた。



***



それから光はみるみる回復し、呼吸器も外れ、ベッドの上で体を起こせるまでになった。

「光。おはよう」

目を覚ました光に言うと、光はまだ眠たそうな目を細めてほほ笑み、おはよう、と言う。
光が朝目覚めることがうれしすぎて、俺はずっと光につきっきりだった。

「朝食をお持ちしました。」

周防がやってきて洋一が立ち上がり、光のベッドにテーブルを用意する。
俺は光が起き上がるのを手伝い、髪を後ろに流してやった。

「光。」
「ん…?」

振り向いた光を抱きしめて、そのぬくもりを確かめるのがここ最近の日課だった。

「おい、飯だっつってんだろ」
「わかったわかった…」

洋一が嫉妬交じりに俺を小突いた。だけど気持ちはわかるようでかなり遠慮気味だ。
俺は光を離し、だけどやっぱりもう一回、と光を抱きしめた。

「一也さん」
「うん」
「お腹すいた」

光がちょっと笑いながら俺の背中を撫でた。ごめん、と離しながら、食欲も出てきたらしい光にまた嬉しくなって、胸が熱くなった。
光と一緒に俺と洋一も朝食を済ませ、周防が淹れてくれたお茶で光と洋一と三人で過ごす。光が起きて笑っているのがまだ夢のような気持ちで、俺はひと時も光から離れたくなかった。

「ふふ…、…っ、げほ、げほっ」
「! 光!」

笑っていた光が急にむせて、俺と洋一に緊張が走る。光は手をかざして「大丈夫だ」というようにうなずき、胸を撫でた。

「光、横になって。少し休めよ」
「うん…」

俺が光のことが心配で心配でたまらなくて見ていられないほど憔悴していたと洋一から聞いた光は、俺の言葉に素直にうなずいて横になった。

「そーそー、そうしないとこいつ、マジで死んじまうんじゃねーかってくらい病んでやがったからな」
「……。」

本当に光にもしものことがあったら自分が何をしていたかわからないため俺は笑えなかった。光はそんな俺の顔を見て少し心配そうに眉を下げ、手を伸ばして俺に頬に触れてきた。

「もう大丈夫だよ…」
「…うん」

俺は光の手を握り、光の目を見つめ返した。

「もうすぐ夏休みだから…光也と星が帰ってくるまでに、もっと元気にならなくちゃ。」
「ああ…。」

気丈にほほ笑む光に、俺も微笑を浮かべて頷いた。




***




光は元気になってきて、時々はベッドから降りてバルコニーでお茶を楽しめる程度にまで回復した。
もう解毒剤を打つ必要はなく、あとは栄養を取ってしっかり休めば大丈夫でしょう、と医者の太鼓判ももらい、来週には夏休みに入る光也と星が帰ってくることもあって、今日の光は一段と機嫌が良かった。

「光、もう休むか?」

今日は三人でバルコニーでお茶をし、食事もおしゃべりをしながら3人で過ごしたから、光も疲れただろうと思ってはやめにベッドに促した。光は布団をかけられると少し寂しそうに俺と洋一を見つめた。

「眠るまでここにいるから。」

ベッドの隣の椅子に腰かけると、光は微笑んで、ちょっと目を瞑ったけど、すぐにまた俺たちを見た。

「何かほしいもんある?」

喉が渇いたとか、暑いから窓を開けてほしいとか、何かあるのかと思って尋ねると、光は頬を染めて口ごもった。

「お願いが…ある…。」

ぽそぽそと遠慮がちに珍しいことをいうものだから、俺と洋一は一度顔を見合わせて目を丸くした。

「え?何、何。何でもどーぞ。」
「……。」

光のお願いだなんて嬉しくて身を乗り出して尋ねると、光は無垢な瞳で俺たちを見つめ、つぶやいた。

「…えっち、したい…」
「え」
「え?」

俺と洋一はしばし固まった。

「えっと…」
「……。」
「…い、いや、だめ…だろ、まだちょっと…なぁ?」
「……まあ……そうだな…」
「大丈夫だよ」
「いや、でも…」
「でも…なぁ…」

俺も洋一も本音ではめちゃくちゃしたいから、ダメだとわかってはいるのに歯切れが悪い。

「できても1回だけ…だよな」
「……。」

俺が呟き、洋一と目が合った。
光に無理をさせたくないから、1回だけ…。でも問題は、どっちがするか、だ。

「…まー俺の方が慣れてるわけだし」
「おい!ふざけんな勝手に決めんじゃねえよ!せめて光に選ばせろ!」
「じゃーお前セーブできんの?ちゃんと光に無理させないようにやさしくできる?」
「テメーこそ何度も光の足腰立たなくしたことあるじゃねーか!俺は一度もそんな失敗はねーぞ」
「それはむしろ成功でしょ。そんだけよがらせたわけだから」
「だから心配なんだっつの!絶対俺の方がいいだろ、大体テメーのデカマラじゃ光に負担しかねーんだよ!」
「ちょ、ちょっと…やめて…」

光は真っ赤な顔で俺たちの口論を止めた。

「光はどっちとしたい?」
「え…。」

こうなったら光に決めてもらうしかない。絶対、きっと、たぶん、ないとは思うけど、洋一さん…って言われたら…さすがに諦める……

「…ど、」
「ど?」
「…どっちも…。」

「……。」
「……。」

俺と洋一の股間がテントを張った。

「いや…でも…負担が…」
「わかった、じゃあこうしようぜ。どっちも挿入はナシ。」
「…そうだな、それしか…」

光の負担を減らすのが最優先だ。悲しいけど今は光に触れられるだけで…感じる光を見れるだけでも幸せだから、二人で光を愛撫して、光を満足させる方向で…

「え〜…」

「……。」
「……。」

光が残念そうに、物欲しそうに、うるんだ瞳の上目遣いで俺たちを見てつぶやき、俺も倉持もぐっと生唾をのんだ。せっかく…せっかく断腸の思いで我慢してるのに…!!

「しょーがないじゃん光のためなんだから…!!」
「だから、大丈夫だってば」
「…っ、でも…そんなこと言って、もしまた、光が…」
「……。」

もうあんな思いはしたくないし、あんな光は見たくない。目を覚まさない、真っ青な顔の光…。思い出しただけで背筋が凍る。

「でも…優しくしてくれるでしょ?」
「……。」
「……。」

ああ…もうだめだ…

「もちろん」
「おい…」

洋一が呆れた目で俺をにらんだ。


「じゃー俺も洋一も挿れるのは1回ずつな」
「おう」
「やさーしく、ゆっくりな」
「わーってるよ」

「……。」



「じゃあ…光」

ゴムを持ってきて、俺と洋一がベッドに上がり、光の服を脱がせていく。

「うわ…、」

真っ白な肌…。久々に目にする光の体を前に、俺も洋一もこれ以上ないくらい興奮していた。

「あ〜…もう…光ぃ…」
「な、なに?」
「感動して泣いてやがる、コイツ」

だってやっと光に触れられるんだ。どんだけ我慢してたか。それに、もう二度と触れられなくなるかと思った…でも今光は、一糸まとわぬ姿で俺の前にいる。

「光…」
「ん…」

光にキスをして、徐々に押し倒し、枕に背を預けさせる。無防備にさらけ出された胸に手を伸ばし、蕾の周りを優しくじらすように愛撫すると、光はムズムズ身をよじらせた。
洋一が光とキスをし、俺は相変わらず蕾の周りを焦らす。激しくできない分、光の好きなところに触れそうで触れない、ギリギリを責め続けて…触れたとき、光がいつもより感じるように。

「ん…うう、一也さん…」

光が身をよじり、切なげに俺を見た。

「じ、じらさないで…。」

もう我慢できないといった様子の光に、俺も我慢の限界だった。

「あっ…!」

片方の蕾を指で、もう片方を舌で転がすと、光は胸を突き出してよがった。

「あ…あっ…。あぁ…、」

気持ちいい、と光が呟いてあえいだ。洋一がもう片方の蕾を口に含み、俺たちの舌で二つの蕾が弄ばれる。俺はじんわりと濡れ始めた光の下着を見、焦らすように内ももを撫で始めた。スルと洋一も反対側の内ももをじっくりと愛撫し始め、光はふるふると身もだえた。

「やだぁ、お願い、ふたりとも…」

じらさないで、と光の潤んだ目が訴える。早くその蜜を溢れさせる花弁に触れてほしいというように、光の腰がわずかに浮く。
洋一が身を起こして光の足の間に入り、すっかり濡れた下着を足から抜き取った。無防備に空気にさらされた桃色の花弁を俺と洋一に見られながら、光は恥ずかしそうに、だけど期待するような息遣いで暑い吐息をこぼす。
洋一は一息にその花弁にむしゃぶりついた。

「あっ…!」

もだえる光の胸の蕾を捕まえて、少し強く摘まんだ。びくびくと光は震え、早くも軽く達してしまったらしい。
光の太腿に挟まれて洋一はちゅうちゅう音を立てながら花弁を舐めたり吸ったりし、そのたびに光は甘い声をこぼした。

「あっ、あっ…あ…。」

光はトロンとしてよがりながら、俺のシャツに手を絡ませた。

「ふ、ふたりも…ぬいで…。」

光が言って、俺と洋一はごくりとつばを飲み込み、シャツとズボンと下着をすべて脱ぎ捨てた。
光の花弁を撫で、慎重に指を入れると、ん、と光はくぐもった声をこぼした。
少しずつ中をほぐし、指を増やしてじっくりと愛撫し、光の体がすっかり火照り、俺は光の足の間に移動して足を開かせた。

「……。」

どきどきいう光の胸の音が聞こえてきそうだ。洋一は光の胸を柔らかく揉み、時々蕾に触れて愛撫し続けている。

「入れるよ…?」
「うん…」

こくん、と光が頷く。
少しずつ押し込んでいく…締め付けられる感覚。柔らかく、だけどきつく、包み込まれるような…。

「あ…。」

先っぽが奥の壁を押し上げ、光がキュンと締め付ける。
俺はそのまま奥を優しくぐいぐい押すように律動を始めた。出し入れするよりこっちの方が光が疲れないだろうし、それに…。

「あ、あっ、あっ…それ、だめ…」

…光はこっちの方が感じる。
洋一の指による胸への愛撫も相まって、光はよがってすぐに腰を浮かせ始めた。久しぶりなのもあるだろうけど、もう達してしまいそうだ。

「光、イくとき言って…」
「あっ…あ、あ…」
「…一緒に…」

光が俺に抱き着いてきて、足を絡ませてきた。

「あっあっ…もうだめ、もう…っ」
「いいよ、イって…俺ももう…」
「あっ…!」

ぎゅうっ、と光に抱きしめられながら、俺は奥で達した。光の震えが伝わってきて、俺もしばらくその余韻に浸って、ゆっくりと自身を引き抜いた。

「早くね?お前」
「…長引かせたら光が辛いだろ」

倉持にからかわれて俺は眉を寄せた。確かに久しぶりだったしずっと溜まってたからすぐ…イっちゃったけど。
でも光もイけたし、それになにより、今日はまだ長く激しくはできない。これでいいんだ。

「じゃー次は俺が…」

洋一は待ちきれない様子で光のソコにゴムをつけた自身をあてがって、いい?と光に尋ねた。光が頷くと、洋一はゆっくりと挿入していく。
俺は光の胸の愛撫を始め、光にキスをした。

「……っ…あ〜…」

洋一は感動をかみしめるように、奥まで挿入したところで嬉しそうに深く息を吐いた。そして小さな律動で奥をつき始めた。経験が浅いこいつにしては気遣いができている。光も気持ちよさそうだし…俺の時ほどじゃないけど。

「光、気持ちいい?」
「うん…」
「だってさ、よかったな」
「なんか腹立つから黙ってろ」

洋一ににらまれ、光の胸の愛撫に集中すると、光は悩まし気な声をこぼした。
そしてまたすぐに、光は洋一に抱き着いて腰を浮かせた。

「や…。もう…、」
「何だよ…光?」
「…い、いっちゃ…う…」

洋一はまた嬉しそうにして少し動きを速めた。光の声が上ずって大きくなっていき、びくん、と跳ねた。ほとんど同時に洋一も熱い吐息を吐き、腰を震わせて動きを緩めた。
ゆっくりと肉棒を引き抜いた洋一は名残惜しそうに、だけど満たされた様子で息を吐いた。

「俺より早くない?(笑)」
「いちいちうるせーな!久しぶりだったんだからしょーがねーだろ…!」

わかるけど。
光はさすがに疲れたのか、横たわったまま動かなくて、一瞬ドキリとしたけどよく見ると寝息を立て、胸が静かに上下していた。したあとに眠ってしまうのは、光は昔からよくあることだ。俺も洋一も安どの息を吐き、光は寝かせたまま後片付けを始めた。
光の体を拭き、自分たちのソコも拭いて、シーツをどけて、光に服を着せる。

「お前、いつも服も着せてんのか?」

寝間着のボタンを閉めてやる俺を洋一は感心したように見た。

「まあね。」
「相変わらず光にだけは尽くすな。光にだけは。」
「当たり前じゃん。光はか弱いんだから風邪ひいちゃうだろ。」
「それはわかるけどよ…」

洋一はちょっと冷やかすように俺を見て、光に布団をかけてやった。

 


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