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駅前の商店街の七夕祭り。
夏大前ということもあり、野球部員は息抜きと称して遊びに行くやつが多い。
俺も今年は麻生やゾノたちと一緒に遊びに来ていた。
「御幸は声かけたんか?」
たこ焼きの屋台の前でゾノが思い出したように言った。
「部屋にいなかったから探すのもめんどくせーし置いてきた。」
「そうなんか」
「どーせ誘っても来ないだろ」
俺の言葉にゾノが相槌を打つと、麻生が刺々しく言った。確かに御幸は基本付き合いが悪い。普段カラオケとか買い食いに誘ってもめんどくさいだの忙しいだのなんだかんだ理由をつけて来ないことが多い。それに加えて普段の行いから、御幸を積極的に遊びに誘おうとするやつもあまりいない。
「そうやなぁ」
ゾノも納得して頷いた。俺はたこ焼きを買って中田とつついた。
「チッ…カップルウゼー」
麻生がたこ焼きに青のりをかけながらぼやいた。七夕まつりというだけあって、ここらの中高生が集まっているらしく同世代のカップルがちらほらいる。そういや寮にも今日彼女と祭りに行くって言ってたやつがいたっけ…
「…えっ!?」
と、突然麻生が目を丸くして声を上げた。どうしたなんだと俺たちが注目すると、麻生は道の反対側の方を指さした。
「アレ御幸じゃね!?」
「え?」
麻生が指さす先を見ると…確かに御幸の身荒れた後ろ姿。しかもその隣には…まさかと思ったけど…玉城さん!!
アイツこっそり彼女と祭りに来てやがった!!しかも玉城さんは、綺麗な綺麗な浴衣姿…。めちゃくちゃ可愛い。
「行こうぜ!!」
麻生が先陣を切って、俺たちは御幸たちの方へ近づいて行った。
「オイ!!コラクソ眼鏡!!」
「!?」
俺が怒鳴りつけると、聞きなれた悪口に反応した御幸と、大声に驚いた玉城さんが同時に振り返り、御幸はゲッと顔をゆがめた。
「あっ…」
「あっ…じゃねーよ!!このリア充が!!」
「死ね!!テメーを主将とは認めねー!!」
「この裏切り者!!」
くちぐち思い思いに罵倒する俺たちを見て、御幸はうんざりとした顔で「なんなんだよ」とぼやいた。
「ちゃっかり彼女と祭りなんて青春満喫してんじゃねーよ!!」
「うるせーなー…あっちいこーぜ」
「待って、まだこれ…」
玉城さんは食べかけのクレープを頑張って食べ進めているところだった。すぐそこにゴミ箱があるから、ここで食べ終えてごみを捨てていきたいのだろう。
「食べれんの?お前もうお腹いっぱいだろ」
「……。」
御幸が言うと玉城さんは図星をつかれたように苦笑いを浮かべた。
「だと思った。ちょうだい」
御幸はからかうように微笑んで玉城さんの手からクレープをとり、あっという間にたいらげて、包み紙をゴミ箱に放り込んだ。
「ありがとう」
玉城さんは安どしたような照れ笑いを浮かべて言い、御幸も笑みを返した。
突然イチャイチャを目の前で見せつけられた俺たちは御幸を殴りたくなった。
「じゃあ俺ら行くから、ついてくんなよ」
「あっ先輩!」
御幸が玉城さんを促して俺たちから離れようとしたとき、玉城さんが御幸の服を引っ張って留まった。
「アレやりたい。」
見たこともないような無邪気な笑顔で言う玉城さんに見惚れる俺たちの前で、御幸は玉城さんが指さしたものを見て「えー?」と顔を渋くする。玉城さんが指さしたのは七夕まつりの出し物の一つ、無料で入れるお化け屋敷だった。
「えーじゃねぇーよ!!玉城さんがやりたいっつってんだろ!!」
「お前ら何なんだよ」
「玉城さんコイツ行かねーみたいだから俺らと行く?」
「何でだよ行かねーよ」
「御幸に聞いてねーよ!」
「いやいや見てこの顔。お前らのこと怖がってるから」
御幸が示した玉城さんの美しいお顔は澄み切った瞳をきょとんとさせていた。か、可愛すぎる…
「つーか行かねーなんて言ってねーし。じゃ光行こ」
「あっ…。うん…」
御幸に手を掴まれて引かれると、玉城さんはほのかに頬を赤く染めた。
「……。」
俺たちは無言で顔を見合わせて頷き合った。
「2名様ご入場されますかー?」
お化け屋敷の受付でスタッフに聞かれ、はいと頷く御幸の後ろからにゅっと顔を出す。
「イヤ7名で」
「は?」
「かしこまりました〜。こちら懐中電灯です」
「あざっす」
「いやあざっすじゃねえよ。なんでついてくるんだよ」
「ほな行くで!!お前らついてこいや!」
「おいマジ邪魔なんだけどお前ら」
文句を言う御幸と大人しい玉城さんと俺たちはお化け屋敷に入った。
夏大前ということもあり、野球部員は息抜きと称して遊びに行くやつが多い。
俺も今年は麻生やゾノたちと一緒に遊びに来ていた。
「御幸は声かけたんか?」
たこ焼きの屋台の前でゾノが思い出したように言った。
「部屋にいなかったから探すのもめんどくせーし置いてきた。」
「そうなんか」
「どーせ誘っても来ないだろ」
俺の言葉にゾノが相槌を打つと、麻生が刺々しく言った。確かに御幸は基本付き合いが悪い。普段カラオケとか買い食いに誘ってもめんどくさいだの忙しいだのなんだかんだ理由をつけて来ないことが多い。それに加えて普段の行いから、御幸を積極的に遊びに誘おうとするやつもあまりいない。
「そうやなぁ」
ゾノも納得して頷いた。俺はたこ焼きを買って中田とつついた。
「チッ…カップルウゼー」
麻生がたこ焼きに青のりをかけながらぼやいた。七夕まつりというだけあって、ここらの中高生が集まっているらしく同世代のカップルがちらほらいる。そういや寮にも今日彼女と祭りに行くって言ってたやつがいたっけ…
「…えっ!?」
と、突然麻生が目を丸くして声を上げた。どうしたなんだと俺たちが注目すると、麻生は道の反対側の方を指さした。
「アレ御幸じゃね!?」
「え?」
麻生が指さす先を見ると…確かに御幸の身荒れた後ろ姿。しかもその隣には…まさかと思ったけど…玉城さん!!
アイツこっそり彼女と祭りに来てやがった!!しかも玉城さんは、綺麗な綺麗な浴衣姿…。めちゃくちゃ可愛い。
「行こうぜ!!」
麻生が先陣を切って、俺たちは御幸たちの方へ近づいて行った。
「オイ!!コラクソ眼鏡!!」
「!?」
俺が怒鳴りつけると、聞きなれた悪口に反応した御幸と、大声に驚いた玉城さんが同時に振り返り、御幸はゲッと顔をゆがめた。
「あっ…」
「あっ…じゃねーよ!!このリア充が!!」
「死ね!!テメーを主将とは認めねー!!」
「この裏切り者!!」
くちぐち思い思いに罵倒する俺たちを見て、御幸はうんざりとした顔で「なんなんだよ」とぼやいた。
「ちゃっかり彼女と祭りなんて青春満喫してんじゃねーよ!!」
「うるせーなー…あっちいこーぜ」
「待って、まだこれ…」
玉城さんは食べかけのクレープを頑張って食べ進めているところだった。すぐそこにゴミ箱があるから、ここで食べ終えてごみを捨てていきたいのだろう。
「食べれんの?お前もうお腹いっぱいだろ」
「……。」
御幸が言うと玉城さんは図星をつかれたように苦笑いを浮かべた。
「だと思った。ちょうだい」
御幸はからかうように微笑んで玉城さんの手からクレープをとり、あっという間にたいらげて、包み紙をゴミ箱に放り込んだ。
「ありがとう」
玉城さんは安どしたような照れ笑いを浮かべて言い、御幸も笑みを返した。
突然イチャイチャを目の前で見せつけられた俺たちは御幸を殴りたくなった。
「じゃあ俺ら行くから、ついてくんなよ」
「あっ先輩!」
御幸が玉城さんを促して俺たちから離れようとしたとき、玉城さんが御幸の服を引っ張って留まった。
「アレやりたい。」
見たこともないような無邪気な笑顔で言う玉城さんに見惚れる俺たちの前で、御幸は玉城さんが指さしたものを見て「えー?」と顔を渋くする。玉城さんが指さしたのは七夕まつりの出し物の一つ、無料で入れるお化け屋敷だった。
「えーじゃねぇーよ!!玉城さんがやりたいっつってんだろ!!」
「お前ら何なんだよ」
「玉城さんコイツ行かねーみたいだから俺らと行く?」
「何でだよ行かねーよ」
「御幸に聞いてねーよ!」
「いやいや見てこの顔。お前らのこと怖がってるから」
御幸が示した玉城さんの美しいお顔は澄み切った瞳をきょとんとさせていた。か、可愛すぎる…
「つーか行かねーなんて言ってねーし。じゃ光行こ」
「あっ…。うん…」
御幸に手を掴まれて引かれると、玉城さんはほのかに頬を赤く染めた。
「……。」
俺たちは無言で顔を見合わせて頷き合った。
「2名様ご入場されますかー?」
お化け屋敷の受付でスタッフに聞かれ、はいと頷く御幸の後ろからにゅっと顔を出す。
「イヤ7名で」
「は?」
「かしこまりました〜。こちら懐中電灯です」
「あざっす」
「いやあざっすじゃねえよ。なんでついてくるんだよ」
「ほな行くで!!お前らついてこいや!」
「おいマジ邪魔なんだけどお前ら」
文句を言う御幸と大人しい玉城さんと俺たちはお化け屋敷に入った。