044
俺の部屋に、少しずつ光の物が増えてきた。
朝起きると、隣に光がいて。いつも、手を伸ばせば届く距離にいて。幸せな毎日。やっぱり、間違ってなかった、と思う。
今日は二人でカフェに行き、ブランチをして、満開の桜の木が並ぶ川沿いを散歩した。今日の俺たちには、ひとつ計画があった。俺たちはキャップを目深にかぶったまま連れ立って川沿いを歩き、桜の木の下で立ち止まって、向かい合った。
「…いいか?」
確かめると、光は微笑んで頷く。
そして俺たちは、目深にかぶっていたキャップを外した。
まぶしいほどの白い日差しに目を細め、はにかむ光を見て俺も微笑む。
「…撮られたかな?」
どこかわくわくした様子で光が言う。
「…たぶん。そこの角に、記者っぽい奴がいる。」
「…ふふ。」
俺たちは両手を繋ぎあい、お互いを見つめあう。
「…社長に怒られるかも。」
「挨拶に行くよ。」
「…お願いしますね。」
光は冗談っぽく笑ったが、俺は本気だった。
光と結婚したい。世間に認めさせたい。堂々と愛したい。
ふわりと春風が足元をさらって、白い花びらが舞い上がった。
「…きれい」
そうつぶやく光が、あまりに綺麗で、愛おしくて。俺はなんだか、泣きそうになった。
***
――奇跡の美少女と天才イケメンプロ野球選手、衝撃の密会デート!!
その記事が世間に報じられるのはあっという間だった。俺たちが計画を実行した二日後には週刊誌で報じられ、朝のニュースを騒がせた。
『なんと、驚きのニュースが報じられました!現在公開中の映画、“あの夏を君と”でヒロインを演じた玉城光さんの初の熱愛報道です!』
『こちら、先日週刊青空で報じられた記事となっております。こちらの写真をご覧ください。桜の木の下で、男性と手を取り合っている玉城さんの姿が捉えられています。』
『実はこちらのお相手も、超大物プロ野球選手ということで話題を呼んでいます。それがこちら!』
『なんと、あの天才イケメン捕手として3年前の甲子園をにぎわせ、現在もプロとして活躍している、御幸一也選手なんです!』
コーヒーを飲みながらテレビを見つめる光の隣に座り、肩に腕を回す。
「すげー騒がれようだな、覚悟はしてたけど」
「はい…」
さすがに少し不安そうな顔の光。俺が髪を撫でると、少し微笑んだけれど。でも、俺たちだって、リスクは承知の上だ。
そのとき光の携帯が鳴って、光はそれを手に取った。
「マネージャーです。」
そう短く言ってから、意を決したように通話ボタンを押す。
「…はい、もしも…」
『光、今朝のニュースどういうこと!?』
隣にいる俺にまで、取り乱した大声が漏れ聞こえてくる。光はひととおりマネージャーにわめかせたあと、静かに話し始めた。
「…全部本当です。一也さんと付き合っています。」
『い、いつから!?』
「…先週からです。今、一緒に暮らしてます。」
『ええ!?ど、どうして!だ、だって今まで、そんなこと、一言も…』
「…あの歌」
はっ、と息をのんだように、マネージャーの声が途切れた。
「あの、主題歌の歌詞は…一也さんを想って、書きました。」
しばらくの沈黙が流れる。それから、先ほどよりも落ち着いたマネージャーの声が響いた。
『…とにかく、社長と話しましょう。社長は明日までパリだから…明後日。予定を入れておくから、事務所へ来て。』
「はい。…じゃあ。」
電話を切り、深く息を吐く光。
「明後日、俺も一緒に行く。」
そう声をかけると、光は安堵したように微笑んだ。
朝起きると、隣に光がいて。いつも、手を伸ばせば届く距離にいて。幸せな毎日。やっぱり、間違ってなかった、と思う。
今日は二人でカフェに行き、ブランチをして、満開の桜の木が並ぶ川沿いを散歩した。今日の俺たちには、ひとつ計画があった。俺たちはキャップを目深にかぶったまま連れ立って川沿いを歩き、桜の木の下で立ち止まって、向かい合った。
「…いいか?」
確かめると、光は微笑んで頷く。
そして俺たちは、目深にかぶっていたキャップを外した。
まぶしいほどの白い日差しに目を細め、はにかむ光を見て俺も微笑む。
「…撮られたかな?」
どこかわくわくした様子で光が言う。
「…たぶん。そこの角に、記者っぽい奴がいる。」
「…ふふ。」
俺たちは両手を繋ぎあい、お互いを見つめあう。
「…社長に怒られるかも。」
「挨拶に行くよ。」
「…お願いしますね。」
光は冗談っぽく笑ったが、俺は本気だった。
光と結婚したい。世間に認めさせたい。堂々と愛したい。
ふわりと春風が足元をさらって、白い花びらが舞い上がった。
「…きれい」
そうつぶやく光が、あまりに綺麗で、愛おしくて。俺はなんだか、泣きそうになった。
***
――奇跡の美少女と天才イケメンプロ野球選手、衝撃の密会デート!!
その記事が世間に報じられるのはあっという間だった。俺たちが計画を実行した二日後には週刊誌で報じられ、朝のニュースを騒がせた。
『なんと、驚きのニュースが報じられました!現在公開中の映画、“あの夏を君と”でヒロインを演じた玉城光さんの初の熱愛報道です!』
『こちら、先日週刊青空で報じられた記事となっております。こちらの写真をご覧ください。桜の木の下で、男性と手を取り合っている玉城さんの姿が捉えられています。』
『実はこちらのお相手も、超大物プロ野球選手ということで話題を呼んでいます。それがこちら!』
『なんと、あの天才イケメン捕手として3年前の甲子園をにぎわせ、現在もプロとして活躍している、御幸一也選手なんです!』
コーヒーを飲みながらテレビを見つめる光の隣に座り、肩に腕を回す。
「すげー騒がれようだな、覚悟はしてたけど」
「はい…」
さすがに少し不安そうな顔の光。俺が髪を撫でると、少し微笑んだけれど。でも、俺たちだって、リスクは承知の上だ。
そのとき光の携帯が鳴って、光はそれを手に取った。
「マネージャーです。」
そう短く言ってから、意を決したように通話ボタンを押す。
「…はい、もしも…」
『光、今朝のニュースどういうこと!?』
隣にいる俺にまで、取り乱した大声が漏れ聞こえてくる。光はひととおりマネージャーにわめかせたあと、静かに話し始めた。
「…全部本当です。一也さんと付き合っています。」
『い、いつから!?』
「…先週からです。今、一緒に暮らしてます。」
『ええ!?ど、どうして!だ、だって今まで、そんなこと、一言も…』
「…あの歌」
はっ、と息をのんだように、マネージャーの声が途切れた。
「あの、主題歌の歌詞は…一也さんを想って、書きました。」
しばらくの沈黙が流れる。それから、先ほどよりも落ち着いたマネージャーの声が響いた。
『…とにかく、社長と話しましょう。社長は明日までパリだから…明後日。予定を入れておくから、事務所へ来て。』
「はい。…じゃあ。」
電話を切り、深く息を吐く光。
「明後日、俺も一緒に行く。」
そう声をかけると、光は安堵したように微笑んだ。