今日は休日。光に電話をしたら、倉持さんが家に来ていて、御幸さんと仕事の話をしていてふたりとも忙しそうだと聞いて、私の家に誘った。光は1時間後に私の家へ来て、今に至る。

「なんだかんださぁ、私たち、腐れ縁ってやつなのかな〜。」
「んん?」

マイペースに相槌を打ちながら、買ってきたジュースを並べて写真を撮っている光。…マンゴーカフェオレ、小豆メロンラテ、ほうじ茶スイートポテト風味、バニラブレンドティーはちみつレモネード入り…。相変わらずだなぁ。

「だからぁ〜、私と光と、御幸さんと倉持さんだよ。なんだかんだもう高校からの付き合いじゃん?」
「そうだねぇ。」
「…ねえそれ撮ってどうするの?」
「東条に送るの。情報交換。」
「ふーん…あんまり他の男と仲良くしてたら、御幸さんが嫉妬するよ〜?」
「……。」

光はきょとんと私を見て、にこりと微笑んだ。

「大丈夫大丈夫。」
「なにが大丈夫なのよ〜」
「一也さんにも送ってるから。」

…それはそれでどうなんだろう。御幸さんは別にこういうのは興味ないでしょうに…。

「…そう言えばこの前、光の家に行ったときさあ…」
「うん?」
「御幸さんがさ…ほら、してたじゃない」
「何?」
「セクハラ」
「……。」

光は顔を赤くして、ジュースを並べ直すふりをする。

「ふたりっきりのときいつもあんな感じなの?」
「や……そんな話…やめようよ」
「え〜いいじゃん、たまには女子っぽい話しようよ〜」
「……。」

光はジュースを積み上げはじめる。

「べつに…いつもあんなことするわけじゃ…」
「そうなの?せっかく一緒に住んでるのに?」
「……胸は…たまに…触ってくるけど」
「へぇー、どんなふうに?」
「どんなって…」

ゴトゴトとジュースのタワーが崩れ、光はそれをまた並べ始める。

「…う 後ろから…とか」
「ほぉー」
「胸…好きみたい。いつも見たがるし…」
「ふぁ〜贅沢者〜」

お菓子の袋を開け、テーブルの上に広げると、光はやっとこっちを向いてお菓子を摘まんだ。

「…ねぇ、御幸さんってアレはどうなの?」
「アレ…?」
「エッチ。上手い?」
「え……。」

光は顔を真っ赤にしてお菓子を指先で弄ぶ。

「…う うん……。」

へぇー、そうなんだ。

「まぁなんか器用そうだよね、あの人。」
「そうかな……そうかも……」
「でもさぁなんだかんだ、もう高校からの付き合いじゃん?途中3年間別れてたとは言っても、もうそれなりにエッチしたでしょ?マンネリとか、ない?」
「な、ないよ」
「ほんとにぃ?攻め方とか、流れとかさぁ。ワンパターンだと飽きちゃうじゃん。」
「…でも…気持ち、いいし…。それに…一也さんが…」
「?」
「なんか…夢中で、一生懸命になってる顔が、すごく…可愛くて」
「……なるほどぉ」

ベタ惚れじゃん…。あぁ、なんか、くすぐったい。

「でもさ、光はよくても、御幸さんもそうとは限らないよ。光、恥ずかしがって拒んだりしてない?」
「……。」
「たまには光から誘ったり、積極的になったりしてさぁ。刺激を与えないと。」
「…そ…そっか…そうだよね…。」

光は真剣に、覚悟するように頷いた。
光、こう見えて自分からあまりぐいぐい行くタイプじゃないからなぁ。御幸さん、感謝してよね。

「よし!!そうと決まったらお買い物行こう!!」
「何買うの?」
「そんなの決まってるじゃん、勝負下着だよ!!」
「え…」
「ちなみに普段どんなのつけてるの?」

ぽかんとする光の、ニットの襟を指で引っ張る。光はされるがままになっている。

「…あ〜、なるほどなるほど」
「え…何?」
「うん。可愛いけど…普通すぎるかなぁ」
「…だめってこと?」
「だめってわけじゃないけど…御幸さんの好みはどんなタイプ?」
「……。」

光は何かを思い出すように天井を眺める。

「……わかんない」

愕然と、ショックを受けたように呟く光。…そ、そんなに凹まなくても。

「ま、まぁほら、光自身はもちろん当然好みとして、セクシー系とか可愛い系とかいろいろあるじゃん。そういう参考にしたいだけだからさ。」
「……うん。」

納得したのかしてないのかあいまいに頷く光。

「うーん誰か知ってそうな人…倉持さん…に聞くのは残酷すぎるか」
「?」
「…よし、沢村君に聞いてみよう!」
「沢村君?」

なんで?と聞きたそうにきょとんとする光に、私はスマホで電話帳を開きながら言う。

「沢村君、私たちの学年の中では一番御幸さんと仲良さそうじゃん。」
「そうなの?」
「高校時代バッテリー組んでたしさ……あ、もしもし沢村君?」

数回のコールの後、沢村君はすぐに電話に出た。

『おー牧瀬!どしたんだよ?あっ、つーか今暇?』
「え、何いきなり?」
『今から鍋パするんだけど、降谷が実家から届いた蟹大量に持ってきてよー!食おうと思えば食えないこともないけど、まさかの鍋が足りないという非常事態に…』
「あははは!なにそれ!わかった、うちの鍋持っていくよ」
『まじで!たすかるわー!じゃあ待ってるな!!』

電話を切る。目を瞬く光を見て、しまった、と思う。

「…今から沢村くんちに鍋パしに行くことになった」
「なんでそうなるの」

あきれる光を説得し、鍋を持って家を出る。

「私も行っていいのかな?」
「大丈夫大丈夫!沢村くんち、いっつも突然誰かくるから」

車に乗って、沢村君の家を目指す。控えめにしながらも、光はこうやって誰かと集まることはほとんどないからか、どこか嬉しそうに窓の外を眺めていた。

 


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