030
「あの女子アナ、パンツ透けてね?」
天気予報を伝える夜のニュース番組。誰かが呟いて、ちらほらと男共が頭を上げる。
「え?そう?」
「白いスカートの方。」
「よくわかんねぇ」
「後ろ向いた時わかるよ」
くだらねー…。パンツだったら、俺なんて…。
…いや、今思い出すとヤバイからやめとこ。
「あ〜〜…ヤりてえ〜」
「……。」
「……。」
「……。」
麻生が天を仰いで呟くと、皆沈黙して麻生を見た。
「…なんだよ!」
「いや…ヤッたことあるみたいに言うから」
「悪ぃかよ!」
すぐに熱くなる短気な麻生をからかいながら、これを皮切りにエロ話が始まってしまった。
「つーかその前に彼女だよ彼女!」
「ほんと誰でもいいから俺と付き合ってくれ」
「誰でもいいとかひでぇ〜」
「実際選ぶ余地ねーだろ!」
「俺はやっぱ巨乳が良い!」
「あとやっぱ可愛くないと。」
「巨乳って高島先生くらい?」
「あそこまではなかなかいねぇだろ。」
「つーか胸デカくて美人って時点でほぼいねーよ!」
「…玉城さんとか?」
しん、と静まり返る食堂。お…おいおい、待て。
「いや付き合えるわけねーじゃん」
「そーだよ。どうせもうどっかのイケメン芸能人と付き合ってるよ」
「だよな〜。」
…ちょっとニヤけそう。
「あ〜でも…一度でいいから乳揉んでみてぇ」
「時速60キロの車の窓から手を出すと女の胸の感触らしいよ」
「運転無理だし!」
「二の腕が同じ感触とか言うよな。」
「どれ?…硬ぇじゃん!どこが胸だよ」
「男じゃなく女の二の腕だよ!」
「んなとこ触れるなら乳触ってるわ!」
「毎日硬球ばっか握ってると…やわらけぇもん触りたくなるよな〜」
「…関係ないだろそれは」
…俺は揉んだことがある…。見たことも。それに、それ以上も…
優越感やらなんやらで胸の奥がくすぐったい。あ〜、自慢したい…けど誰にも知られたくない。光のあんな姿。
「テメー何ニヤけてんだよ!」
「いて」
突然倉持に後頭部をぶたれ、口に運びかけた白米をポロリと落とす。
「おい、あぶねーなぁ」
「うるせぇ!勝ち誇ったようににやけやがって、テメーも童貞の癖によ!」
「ふっ…。」
ちょっと噴き出してしまい、慌てて口元を隠す。しかしそれが却ってまずかったらしく、倉持だけでなくいつの間にか注目していた麻生やノリたちまで息をのんで俺を睨んだ。
「え まさかお前……」
「ウソだろ…!?」
「はっはっはっは!さあな〜」
「!!?」
慌てる倉持達の顔が面白くて、ついついそうからかいながら飯を平らげ、席を立つ。
「あ!おい待て!」
「吐きやがれ!」
***
…つーか最後まではできてないんだって。
カレンダーを見て、ため息を吐く。
土日は部活だし…丸一日の休日なんてない。テスト期間は半日空いてるけど、なんだかんだテスト勉強と多少自主練もするからそんなに外出できないし…一応主将だからそんな頻繁にいなくなるわけにも…。
ってことは…
引退するまでおあずけ!?
夏が終わるまで…か〜…。…長い…。
ああぁ…ほんと…チャンスを棒に振った…。
そもそもやる場所っていうと光のマンションしかないし…光に招かれないと無理じゃん。あのときのこと相当怖がってたし…光から誘われるなんてもう絶望的…だよな…。
…あーもうほんと何で事前に調べなかったんだ俺!!
あれからいろいろ調べて、前より知識だけはあるけど…何と言っても時間が無い。光のマンションが近いことは不幸中の幸いだけど、外出するにも限界があるし…数時間留守にしたらどこ行ってたか怪しまれる…。
かといってぱっと行ってぱっと済ませて帰ってくるなんて絶対無理だし。マンションに行く口実ができたとして、またあの流れに持っていくのは…。それにお互い初めてなんだ、そう簡単にいくわけないし、簡単になんて済ませたくない。
もっとちゃんと、時間をかけて…。
……。
……あ〜…
……ヤリてぇ…
***
「真面目だな〜」
昼休み。いつもの場所に行くと光はいつも通り参考書を読んでいて、俺の声に気が付くと顔を上げた。
「まだテスト先なのに。」
「…一応奨学生だし、勉強しないと」
ああそうか…本当なら、光は今頃結婚させられて…。
……。
なんか…ヤリてぇとかしか考えてなかった昨日の自分が恥ずかしい。
光は大変な思いをしてこの学校に来てるのに…。
「…何の教科?」
「漢文。漢字はまだちょっと苦手で」
「帰国子女だもんなぁ。何歳くらいからイギリスにいたんだ?」
「6歳から。」
「そりゃ漢字苦手にもなるわ」
その代わり英語は得意なんだろうけど。そこは羨ましいとこだな。
少し眺めていると、光は参考書を閉じた。
「いいよ、気にせず勉強してて」
「ううん。キリがついたし、それに…帰ってからでもできるし」
「……。」
…可愛い。
「……。」
「……。」
「…ふ…」
静かな時間が流れる。すると、光が口元を抑え、ちょっと堪えるように笑った。
「…何?」
「ふふ…一也先輩って…」
「なんだよ?」
「普段廊下で会うとお喋りなのに、ふたりきりだと静かだなって」
「……。」
確かに…。
「いつもの俺の方がお好み?」
「……。」
からかうように言うと、光はちょっと顔を赤くしてはにかんだ。
「…どっちも好き」
「……。」
からかったのに、その言葉で顔が熱くなって、俺は苦笑して顔を背けた。
初めは光に間違いなく嫌われてて…目も合わせてもらえなくて…なのにいつ、なにがきっかけで俺のことを好きになったんだろう。
……。
…もうすぐ予鈴鳴るな…。
ちらり、と隣の光を見る。キスしたい…。できればディープの方。欲を言えば胸も触りたいし、なんかもう、とにかく光に触れたい。っていうかヤリたい。
視線に気づいたように俺を見上げた光の表情のなんと無垢なことか。…俺が考えてることなんて思いもしてないんだろうな。
「…な…何?」
とはいえじっと見つめていると光は顔を赤くしてはにかんだ。
顔を近づけると、光はちょっと驚いたように息を飲んで、だけど受け入れるようにぎこちなく唇を閉じた。思い切ってその唇をすぐに奪うと、光は身を固くしてキスに応じる。せめてキスくらい、自然にできるようにならないと…ちゃんと最後までヤるなんて、夢のまた夢だ。
多分もう光から家に誘ってくれることなんてないだろうし…もっと積極的にいって意識させるべきかな…。
軽く触れていた唇を少し開き、舌で光の唇を舐める。ぴくり、と柔らかな唇に一瞬力が入った。
その気にさせないと…。まずはキスに慣らして、それから触り合いっことかして…セックスするにも段階を踏まないといけないのかもしれない。俺の勃起したブツを見て相当動揺してたし…免疫がなさ過ぎて、そういう気分になるより前に戸惑いの方が大きいんだろう。…一人でしたこととかねーのかな。
気持ちいいか聞いたら、よくわかんないって言ってたっけ…。もしかしてオナニーの知識とかない?今時…でも女ってそうなのかな。
舌を絡めながら、どうすれば光をその気にさせられるかばかりを考えていて、突然予鈴が鳴った時俺はぎくりとした。…忘れてた。時間無いんだった。
名残惜しく唇を離すと、光は真っ赤な顔で息を上げていた。
「…じゃあ…またね」
「…また」
俺と目を合わさず、真っ赤な顔のまま逃げるように行ってしまう。まだ…次のステップは無理そうかな…。
って、俺も人のこと言えないけど…。
あ〜、どうすっかなコレ…鎮まってくれ…。
***
「おい!お前まさかヤッたことあんのか!?」
「うるせ〜な〜…」
あれから倉持がしつこい。他の3年達も聞き耳立ててるし…
「なんでお前に俺の初体験を教えなきゃなんねーんだよ。」
「気持ち悪ィ言い方すんな!」
「じゃー訊くなよ…」
練習場までの道すがら、倉持は鼻息荒くついてくる。あー鬱陶しい。けどここまで食い下がられて、全く経験ナシってわざわざ嘘吐くのもなんか癪だし。
「テメェ本当はしたことねーんだろ?つい見栄張っちゃったんだろーがよどーせ!今正直に吐けば恥ずかしくな…」
「……。」
「…なんだよ」
俺が急に立ち止まって振り返ると、倉持も意表を突かれたように立ち止まった。他の3年達もちょっと離れて様子を窺っている。
「お前ヤるヤる言うけどさ、それってどこからのことを言ってるわけ?」
「は……?」
「裸で寝たら?チンコ挿れたら?それともイッたら?」
「…なっ……」
「そんなことよりさ…そういうことすんの、女にはすげー負担なんだぜ。すげぇ無理して勇気も振り絞って…そういうことを軽々しく勲章みたいにすんの、カッコ悪くねぇ?」
「……!!?」
口をパクパクさせて顔を赤くしたり青くしたりする倉持の顔を見ていたら溜飲が下がった。ちいさくフッと笑みを残し、踵を返す。
「さーて沢村!降谷!お前らもう上がれ、投げすぎ!」
「げっキャップが来やがった!」
「まだ足りません…」
「ダーメ。風呂入って来い!ちゃんとあったまれよ」
沢村たちのケツを叩き、練習を切り上げさせて、倉持達を振り返る。
「あれ?お前らいつまでそこ突っ立ってんの?自主練は?(笑)」
「…お…まえ……マジで……!」
本気で悔しそうな倉持ににっこり笑って、一言。
「ま、俺も童貞だけど!お前と同じ(笑)」
「…人をおちょくんのもいい加減にしろ!!ぶっ殺すぞ!!」
天気予報を伝える夜のニュース番組。誰かが呟いて、ちらほらと男共が頭を上げる。
「え?そう?」
「白いスカートの方。」
「よくわかんねぇ」
「後ろ向いた時わかるよ」
くだらねー…。パンツだったら、俺なんて…。
…いや、今思い出すとヤバイからやめとこ。
「あ〜〜…ヤりてえ〜」
「……。」
「……。」
「……。」
麻生が天を仰いで呟くと、皆沈黙して麻生を見た。
「…なんだよ!」
「いや…ヤッたことあるみたいに言うから」
「悪ぃかよ!」
すぐに熱くなる短気な麻生をからかいながら、これを皮切りにエロ話が始まってしまった。
「つーかその前に彼女だよ彼女!」
「ほんと誰でもいいから俺と付き合ってくれ」
「誰でもいいとかひでぇ〜」
「実際選ぶ余地ねーだろ!」
「俺はやっぱ巨乳が良い!」
「あとやっぱ可愛くないと。」
「巨乳って高島先生くらい?」
「あそこまではなかなかいねぇだろ。」
「つーか胸デカくて美人って時点でほぼいねーよ!」
「…玉城さんとか?」
しん、と静まり返る食堂。お…おいおい、待て。
「いや付き合えるわけねーじゃん」
「そーだよ。どうせもうどっかのイケメン芸能人と付き合ってるよ」
「だよな〜。」
…ちょっとニヤけそう。
「あ〜でも…一度でいいから乳揉んでみてぇ」
「時速60キロの車の窓から手を出すと女の胸の感触らしいよ」
「運転無理だし!」
「二の腕が同じ感触とか言うよな。」
「どれ?…硬ぇじゃん!どこが胸だよ」
「男じゃなく女の二の腕だよ!」
「んなとこ触れるなら乳触ってるわ!」
「毎日硬球ばっか握ってると…やわらけぇもん触りたくなるよな〜」
「…関係ないだろそれは」
…俺は揉んだことがある…。見たことも。それに、それ以上も…
優越感やらなんやらで胸の奥がくすぐったい。あ〜、自慢したい…けど誰にも知られたくない。光のあんな姿。
「テメー何ニヤけてんだよ!」
「いて」
突然倉持に後頭部をぶたれ、口に運びかけた白米をポロリと落とす。
「おい、あぶねーなぁ」
「うるせぇ!勝ち誇ったようににやけやがって、テメーも童貞の癖によ!」
「ふっ…。」
ちょっと噴き出してしまい、慌てて口元を隠す。しかしそれが却ってまずかったらしく、倉持だけでなくいつの間にか注目していた麻生やノリたちまで息をのんで俺を睨んだ。
「え まさかお前……」
「ウソだろ…!?」
「はっはっはっは!さあな〜」
「!!?」
慌てる倉持達の顔が面白くて、ついついそうからかいながら飯を平らげ、席を立つ。
「あ!おい待て!」
「吐きやがれ!」
***
…つーか最後まではできてないんだって。
カレンダーを見て、ため息を吐く。
土日は部活だし…丸一日の休日なんてない。テスト期間は半日空いてるけど、なんだかんだテスト勉強と多少自主練もするからそんなに外出できないし…一応主将だからそんな頻繁にいなくなるわけにも…。
ってことは…
引退するまでおあずけ!?
夏が終わるまで…か〜…。…長い…。
ああぁ…ほんと…チャンスを棒に振った…。
そもそもやる場所っていうと光のマンションしかないし…光に招かれないと無理じゃん。あのときのこと相当怖がってたし…光から誘われるなんてもう絶望的…だよな…。
…あーもうほんと何で事前に調べなかったんだ俺!!
あれからいろいろ調べて、前より知識だけはあるけど…何と言っても時間が無い。光のマンションが近いことは不幸中の幸いだけど、外出するにも限界があるし…数時間留守にしたらどこ行ってたか怪しまれる…。
かといってぱっと行ってぱっと済ませて帰ってくるなんて絶対無理だし。マンションに行く口実ができたとして、またあの流れに持っていくのは…。それにお互い初めてなんだ、そう簡単にいくわけないし、簡単になんて済ませたくない。
もっとちゃんと、時間をかけて…。
……。
……あ〜…
……ヤリてぇ…
***
「真面目だな〜」
昼休み。いつもの場所に行くと光はいつも通り参考書を読んでいて、俺の声に気が付くと顔を上げた。
「まだテスト先なのに。」
「…一応奨学生だし、勉強しないと」
ああそうか…本当なら、光は今頃結婚させられて…。
……。
なんか…ヤリてぇとかしか考えてなかった昨日の自分が恥ずかしい。
光は大変な思いをしてこの学校に来てるのに…。
「…何の教科?」
「漢文。漢字はまだちょっと苦手で」
「帰国子女だもんなぁ。何歳くらいからイギリスにいたんだ?」
「6歳から。」
「そりゃ漢字苦手にもなるわ」
その代わり英語は得意なんだろうけど。そこは羨ましいとこだな。
少し眺めていると、光は参考書を閉じた。
「いいよ、気にせず勉強してて」
「ううん。キリがついたし、それに…帰ってからでもできるし」
「……。」
…可愛い。
「……。」
「……。」
「…ふ…」
静かな時間が流れる。すると、光が口元を抑え、ちょっと堪えるように笑った。
「…何?」
「ふふ…一也先輩って…」
「なんだよ?」
「普段廊下で会うとお喋りなのに、ふたりきりだと静かだなって」
「……。」
確かに…。
「いつもの俺の方がお好み?」
「……。」
からかうように言うと、光はちょっと顔を赤くしてはにかんだ。
「…どっちも好き」
「……。」
からかったのに、その言葉で顔が熱くなって、俺は苦笑して顔を背けた。
初めは光に間違いなく嫌われてて…目も合わせてもらえなくて…なのにいつ、なにがきっかけで俺のことを好きになったんだろう。
……。
…もうすぐ予鈴鳴るな…。
ちらり、と隣の光を見る。キスしたい…。できればディープの方。欲を言えば胸も触りたいし、なんかもう、とにかく光に触れたい。っていうかヤリたい。
視線に気づいたように俺を見上げた光の表情のなんと無垢なことか。…俺が考えてることなんて思いもしてないんだろうな。
「…な…何?」
とはいえじっと見つめていると光は顔を赤くしてはにかんだ。
顔を近づけると、光はちょっと驚いたように息を飲んで、だけど受け入れるようにぎこちなく唇を閉じた。思い切ってその唇をすぐに奪うと、光は身を固くしてキスに応じる。せめてキスくらい、自然にできるようにならないと…ちゃんと最後までヤるなんて、夢のまた夢だ。
多分もう光から家に誘ってくれることなんてないだろうし…もっと積極的にいって意識させるべきかな…。
軽く触れていた唇を少し開き、舌で光の唇を舐める。ぴくり、と柔らかな唇に一瞬力が入った。
その気にさせないと…。まずはキスに慣らして、それから触り合いっことかして…セックスするにも段階を踏まないといけないのかもしれない。俺の勃起したブツを見て相当動揺してたし…免疫がなさ過ぎて、そういう気分になるより前に戸惑いの方が大きいんだろう。…一人でしたこととかねーのかな。
気持ちいいか聞いたら、よくわかんないって言ってたっけ…。もしかしてオナニーの知識とかない?今時…でも女ってそうなのかな。
舌を絡めながら、どうすれば光をその気にさせられるかばかりを考えていて、突然予鈴が鳴った時俺はぎくりとした。…忘れてた。時間無いんだった。
名残惜しく唇を離すと、光は真っ赤な顔で息を上げていた。
「…じゃあ…またね」
「…また」
俺と目を合わさず、真っ赤な顔のまま逃げるように行ってしまう。まだ…次のステップは無理そうかな…。
って、俺も人のこと言えないけど…。
あ〜、どうすっかなコレ…鎮まってくれ…。
***
「おい!お前まさかヤッたことあんのか!?」
「うるせ〜な〜…」
あれから倉持がしつこい。他の3年達も聞き耳立ててるし…
「なんでお前に俺の初体験を教えなきゃなんねーんだよ。」
「気持ち悪ィ言い方すんな!」
「じゃー訊くなよ…」
練習場までの道すがら、倉持は鼻息荒くついてくる。あー鬱陶しい。けどここまで食い下がられて、全く経験ナシってわざわざ嘘吐くのもなんか癪だし。
「テメェ本当はしたことねーんだろ?つい見栄張っちゃったんだろーがよどーせ!今正直に吐けば恥ずかしくな…」
「……。」
「…なんだよ」
俺が急に立ち止まって振り返ると、倉持も意表を突かれたように立ち止まった。他の3年達もちょっと離れて様子を窺っている。
「お前ヤるヤる言うけどさ、それってどこからのことを言ってるわけ?」
「は……?」
「裸で寝たら?チンコ挿れたら?それともイッたら?」
「…なっ……」
「そんなことよりさ…そういうことすんの、女にはすげー負担なんだぜ。すげぇ無理して勇気も振り絞って…そういうことを軽々しく勲章みたいにすんの、カッコ悪くねぇ?」
「……!!?」
口をパクパクさせて顔を赤くしたり青くしたりする倉持の顔を見ていたら溜飲が下がった。ちいさくフッと笑みを残し、踵を返す。
「さーて沢村!降谷!お前らもう上がれ、投げすぎ!」
「げっキャップが来やがった!」
「まだ足りません…」
「ダーメ。風呂入って来い!ちゃんとあったまれよ」
沢村たちのケツを叩き、練習を切り上げさせて、倉持達を振り返る。
「あれ?お前らいつまでそこ突っ立ってんの?自主練は?(笑)」
「…お…まえ……マジで……!」
本気で悔しそうな倉持ににっこり笑って、一言。
「ま、俺も童貞だけど!お前と同じ(笑)」
「…人をおちょくんのもいい加減にしろ!!ぶっ殺すぞ!!」