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「テメーのせいで昨日は最悪だったんだぞ!!」
「へー。」
ロッカーにタオルを放り込んで、倉持の声を聞き流しながら、俺はスポーツドリンクを勢い良く飲んだ。
「御幸が帰った後、女の子たちみんな帰っちゃってなー…」
「結局全員御幸目当てだったってことだよな…」
「あーあ、ミカちゃん…」
項垂れている先輩達に、ハァすいません、とだけ言うと、心が籠ってないと怒られた。めんどくせえ。
「御幸!今日合コン来てくんね?」
と、そこへやって来る別の先輩。
「玉城光が来るなら。」
「来るわけねーだろ…」
「じゃあ行きません。」
「はあ…?」
顔を歪める先輩に、倉持は肩を竦めてやれやれと首を振った。
「お前なぁ…玉城光なんて高望みはやめろ。」
「そーそー。野球選手との合コンなんか来るわけねーんだから。」
「そもそも誘うあてもねーしな。」
「……。」
確かに、高校の時付き合ったのだって奇跡に近かった。でももう、光以外に考えられないんだよ。
あんなに可愛くて健気で、素直で純粋で、俺の心を揺さぶるのは、光しかいないんだ。
「だから今日の合コン付き合えって!お前が来るなら行くって言ってる子がいるんだよ!」
「行きません。」
「…頑固な奴…」
***
「アイスティーひとつ。」
「かしこまりました。300円になりまーす。」
カウンターで飲み物を受け取り、奥の席に座る。駅の近くのチェーン店。遠征で都内に来た時は、必ず寄る店。…光と初めて出会った場所だ。今日は試合が終わって、明日は一日オフ。先輩たちの飲みを断って、こいつは都内に来た時はいつも一人で消えるんすよ、と倉持に野次られながら、そそくさとここへ来た。
…まさか光に会えるかも、なんて思っちゃいないけど…。
…いや、ちょっと思ってる。
連絡も取れなくて、どこにいるかもわからなくて、きっとあの家へ行っても門前払いだろう。光臣が光をがっちりホールドしてるからな…。3年前、あの電話以来、あの番号は何度かけても光にも光臣にもつながらなくなった。光臣が何かしたんだろう。だから、光とのつながりは…期待を持てるのは、思い出に頼ることだけなのだ。柄じゃないけど…。
けれどこんな試みを始めて、もう2年が経つ。やっぱり馬鹿馬鹿しいよな…、ドラマじゃあるまいし。
夜のカフェチェーン店など、ほとんど客もおらず、俺の他には買い物袋に囲まれた女二人組と、疲れ切った背広を着たサラリーマンがひとり。それだけだ。
俺は外のビル街を眺めながらアイスティーを無意味にストローでかき混ぜた。
と、その時、一人の女性客が自動ドアから入ってきた。
黒いシャツワンピースに黒いキャップ、淡いピンク色のマスクをして、ほとんど顔を隠しているその女の子に…俺は目を奪われた。
「ミルクティー…ひとつ、お願いします。」
「かしこま…。」
一瞬店員が固まって、ごほん、と咳払いをする。見ると、客の女の子がこっそりと、人差し指をマスク越しに口元にあてていた。
「あっ…。か、かしこまりました!さ、300円です。」
会計を済ませると、店員は飲み物を渡した後、こっそりと何かを頼んで、女の子はそれに応じ、渡されたボードにサラサラと何かを書いて、店員に返した。店員はバックヤードにとびこんでいき、他の店員と押し殺した悲鳴を上げて盛り上がっている。
女の子は涼しい顔で受け取った飲み物を持って踵を返した。空席だらけの店内を、何かを――誰かを探すように顔を巡らせて、すぐに俺の方を見た。
「……。」
「……。」
キャップのつばのしたの、陰になっている目が…深い青色の目が、大きく瞬いた。
女の子はこっちに歩いてくる。俺たちは見つめ合ったまま、女の子が歩いて来て――俺の向かいに、グラスを置いた。白い手がゆっくりと、マスクを外した――。
「…覚えてる?」
泣きそうな声で、目で、光は言った。
「…覚えてるよ…」
***
滞在中のホテルに光と二人、目深にかぶった帽子で顔を隠しながら、それでも手は繋いだまま入った。人目を避けて俺の部屋へ入って、やっと帽子とマスクをとって、3年ぶりに…光の顔をちゃんと見た。
「…光…」
頬を両手で挟んで、柔らかな髪ごとくしゃくしゃに撫でた。光は涙を滲ませて俺を見上げていて、何も言葉にならないというように首を横に振って、唇を震わせた。
その唇を、奪った。
何度も、何度も、しつこく――強く。
甘く柔らかい光の唇。吐息は熱く、光の手は俺の腕にしがみついてくる。
「…せん、ぱ…っ」
苦しそうに俺を呼ぶ声も――全部――。
…光。光だ。…光…。
「…会いたかった…。」
そう囁くと、光も頷いた。そして俺たちは、ベッドに横たわった――。
「ま、待って…」
「シャワー?」
被せるように聞くと、光ははにかんで、ちょっと考えて、頷いた。
「ダメ。」
「…えっ!?」
問答無用でシャツのボタンを外していく。光は慌てて襟元を手繰り寄せて胸を隠した。
「ちょっ、ま、待ってってば…!」
「もう3年待った。」
「で、でも…」
光は困惑気味に俺を見上げる。
「…まだ何も聞いてない…」
「え?」
俺は光を押し倒した格好のまま、目を瞬いた。
お互いにお互いのことを思っていて、今日、二人が初めて出会った店で再会して、お互い涙ながらに再会を喜んで、ホテルにまで来て…これ以上に分かりやすい言葉なんてないと思うけど…。
「…愛してる。」
ずっと…。忘れることなんてできなかった。
「…ほんとに…?」
涙ぐんだ光の、胸元を覆う腕を掴んだ。
「あのなー…俺、あのカフェに2年通ったんだからな!」
「え…?」
「…だから…、…光が来るかと思って…」
きょとん…、と目が瞬いて、ふっ、と笑みがこぼれた。
「…そうなの?」
「そーだよ…、だから観念しろよ。」
「ちょ…、なんかずるい…。」
光はなおも抵抗し、シャツを脱がされてからも白いブラジャーを付けた胸を腕で覆って隠した。
「隠すなよ。」
「やだ…」
「…したくないってこと?」
「……。」
真っ赤な顔を背けて、光はぽそぽそと呟いた。
「…あんまり大きくない…から、…恥ずかしい」
「……。」
「あ…!ちょっと…!」
問答無用で腕を退かせ、下着をずり降ろした。外し方わかんねーし…ホック背中だし…。
「……。」
光は腕を押さえられて、真っ白な胸を曝け出した格好で、真っ赤な顔を背けている。控えめになだらかな、けれど耽美な曲線を描く乳房の、桜色の蕾を見て、ごくり、と喉が鳴った。
「あ…あんまり見ないで…。」
「すげー綺麗…」
「何言って…」
あ…、と光が息を飲む。俺の手が胸を撫で始め、鼓動が手のひらを伝わってきた。
すげー柔らかい…。こんなに柔らかいのか、胸って…。女の子って…。…光って。
胸も、腕も腰も太腿も、どこもかしこもすべすべで滑らかで柔らかい。いつまでも触っていたい…。
「……っ」
はっ…、と吐息を飲み込む光。俺の指先が乳首を撫でると、ピクリと体が反応する。
「……。」
光はやがて乳首を撫でられるたびに吐息を吐いて、もじもじと腰をもどかしげに動かした。…すげーエロい…。
こんな姿…、俺以外の奴に見せたのかな…。俺が光を思ってうじうじしている間に、光はいくつ恋をしてきたんだろう。言い寄ってくる奴は、掃いて捨てるほどいただろうし…。
「…ん…っ」
ついに甘い声が漏れて、俺の鼓動が高鳴った。光が感じてる…。俺で…。大丈夫…、俺、ちゃんとできてる…よな。
「光…、」
「ふ…っ」
もじもじと足を組む光に覆いかぶさって、深く口づけをしながら手を下へとずらしていく。その太腿の間に手を滑り込ませ、下着越しに秘部に触れると、俺の手を挟む柔らかな太腿がピクリと反応した。
「……。」
光はちょっと緊張した様子で俺の腕にしがみつき、息を荒げた。
下着越しには…少し濡れている。つっても、経験ないから多分だけど…濡れてる…よな?感じてることは間違いない…はず。
手をずらして、今度は下着の中に滑り込ませる。ゆっくり、ゆっくりと。
光は何も言わない。いいんだ…俺にこんなこと、されても…。
「…ま…、…まって…」
しかしそこでか細い声が上がった。俺はしぶしぶ下着から手を引き抜いて、光の潤んだ目を見つめた。
「…何?」
まさか、やっぱりヤダ…とか…。
「ご…ごめん…」
しかし光は、真っ赤な顔でいっぱいいっぱいの様子で、戸惑いながら言った。
「…あの…私…」
「……?」
実は…、と何かを打ち明け始める光。どうやらお断りではなさそうだけど、この状況で改まって言う事って何…?
「…し…したこと、なくて…」
「……。」
「だから…、こ…こわくて…。」
「……。」
「…や、やっぱりなんでもない…。」
ごめん…、とまた謝る光。戸惑いのあまり制止してしまったらしい。
…って…し、したことないって…言った?今?
「…したことない!?」
「えっ…?」
う、うん…、と赤い顔で頷く光。え…、だって…え?光が?こんな可愛い女の子が?…処女?
「え、誰かと付き合ったり…は?」
「し、してない…。」
「…なんで?言い寄ってくる奴いっぱいいただろ?」
「…だって…」
もじもじと、光は真っ赤な顔で打ち明けた。
「先輩…のことが…ずっと好きだったんだもん…。」
「……。」
「ひゃ…!?ちょっと…!や、やだ…!」
可愛すぎるあまり胸に顔を埋めると、必死に抵抗された。…柔らかくてめちゃくちゃいいにおいした…。
つーか、じゃあ…光は俺の為に…ずっと…恋人も作らずに…!?
「…幸せすぎて死にそう…」
「…え…。」
「これ夢?光、本物?」
「本物だよ…。」
呆れたように、でもはにかんで言う光に俺も笑って、軽くキスをした。
「つーか俺もしたことないけど…。」
「え…!?」
「…そんなに驚かないで…。」
顔を引きつらせると、光は優しくはにかんだ。
「だって、嬉しくて…」
「……。」
はにかみ笑いを交わして、俺は身を起こして光の下着に手をかけた。
「痛かったり嫌だったら言って。」
「…うん…」
ゆっくりと下着を脱がし、俺もシャツとズボンを脱ぎ捨て、息を飲んで見つめる光の足を開かせ、間に自分の身体を割り込ませた。指先でゆっくりと、やさしく、秘部を撫でながら乳首を舐めたり、首筋にキスをしたりした。
「…ん…。」
光はとろんとした目を閉じて、俺に身を委ね始める。
よしよし…。ちゃんと気持ちいい…みたいだし。なんか、ぬるぬるしてきたし…。そろそろ指入れてもいいかな…?
光の様子を窺おうと視線を上に上げると、ふと、光が不安気に俺を見ていることに気付いた。
「…何?」
何かおかしかっただろうかと冷や汗をかきながら尋ねると、光は口ごもりながら言った。
「…ほ、ホントに…初めてなの?」
「え?」
「…だって…なんか…。…な、慣れてる…。」
…えぇ?
「いやいや…めちゃくちゃ戸惑ってるけど?」
「…じゃ、じゃあ、なんで…わかるの?」
「ん?」
「…どういうふうに…するのか、とか…」
「…えー……AV…とか、観るじゃん、普通」
「え…AV?」
きょとん、と光の目が瞬いて、しばらく迷って、はっ、と止まった。
「あ…。エッチなビデオ…。」
「……。」
改めて言われるとすげーはずい…。
「先輩見るんだ…そういうの…。」
「いや皆見るだろ…男は」
「そ…そうなの?」
そーだよ、とまた首筋にキスをしながら秘部を撫で、ゆっくりと手探りで挿れる場所を探した。中指で軽く押しながら、挿入る場所を探して――ぬる、と少し沈む場所を見つけた。すごくキツイ。俺の指がぴったりと包まれて、ぎゅうぎゅう締め付けられる。ここ…でいいんだよな?身を起こして目で確認しながら挿入を続けていると、第2関節程まで入ったところで、光がちょっと顔を顰めた。
「…い…。」
い…痛い…のか?
「……。」
しかし我慢するように唇を噛む光に、俺は迷った挙句に声をかけた。
「…痛かったら言えよ?」
「……。」
光は思い出したように息を飲んで、それからまたちょっと迷って、口を開いた。
「…い…いたい…。」
…うん。だよな。
「抜く?」
「…ん…大丈夫…」
「動かすと痛い?止めてるとどう?」
「う 動かさなければ…大丈夫…」
じゃあ…ちょっとこのままにして…。
慣れるまで指を入れたまま、俺は胸の愛撫を始めた。
「…ん…。」
ここは気持ちいいみたいだ。乳首を舐め、光がまたとろんと目を閉じたところで、秘部の小さな蕾を軽く撫で始めた。
「…っ…」
ふるっ…、とお腹のあたりを震わせて、光は首を動かした。ここは敏感なようだから、優しく…。撫でるたびに、挿入している中指がきゅっと締め付けられる。やばいなー…、ムラムラして…そろそろ我慢が…。
挿入している指で、前後に動かすのではなく小刻みに左右に擦ってみる。少し中を解すように。このままでは指もこれ以上挿入らない。
光の呼吸が荒くなっていき、俺はそれに煽情感を昂らせながら、根気よく中を解していった。少し慣れてきたところで焦れてきて、指を引き抜いて、今度は薬指と揃えて二本の指を挿入し始める。
「…っ」
顔を顰めて声を殺した光に胸がチクリとしながらも、俺は指を推し進めた。もう限界だった…早くここに…肉棒を挿れたい…。
「…っ、ん…。」
甘い声を漏らしているからきっと大丈夫、と、俺は同じように中を解すように愛撫し続けた。愛液が指を濡らし、白い太ももを流れてシーツを濡らした。
「光…、大丈夫?」
「…ん…、」
俺はずるい。
「…大丈夫…。」
光がそう答えるのを知っていて…訊くなんて。
指をゆっくりと引き抜いて、俺は肉棒を取り出した。さっきホテル前のコンビニで買ったばかりのコンドームをつけ、光の不安気な視線に見つめられながら、そこに肉棒をあてがう。
ついに…。
俺は光を、抱く…。
「…あ…っ」
光の顔が苦痛に歪んだ。俺はそれを覆い隠すようにキスをして、もがく光の手に指を絡ませて繋いで押さえつけ、締め付ける秘部へと肉棒を押し込んだ。うわ、やばい、意識飛びそうなほど気持ちいい…。
「んっ…!ん、う…っ」
苦しそうな光の声を聴きながら、罪悪感と自己嫌悪と、快楽と幸福感と――いろんな感情でめちゃくちゃになりながら、肉棒を根元まですっかり沈ませて、身を起こした。
光は涙を目尻に流していて、俺はそれを見てやっと、まずい、と思った。
「ごめん、光、大丈夫か?今…」
「大丈夫…。」
光は気丈にそう言ったけど、慌てて見た秘部には血が滲んでいて、シーツに小さな赤い染みが落ちていて、俺は自分がしたことの愚かさを思い知った。
こんな…乱暴にするつもりは…。
「本当に大丈夫だよ…。」
光はそんな俺に気付いたのか、手繰り寄せるように俺の腕を掴んだ。
「痛いけど…嬉しくて」
そう言って目尻を拭って、光は微笑んだ。
「やっと…できたね…。」
彼女の言葉に、俺は昔のことを思いだしながら――確かに長かった、と思った。
それから俺たちは熱を抱き合って、何度も何度もキスをしながら、やがて果てて――
一緒にシーツにくるまって、抱き合って――眠りについた。
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