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「玉城さん!御幸一也選手と熱愛中という報道がありましたが!?」
「本当なんですか!?」

舞い散るフラッシュの中、光は照れ臭そうに微笑む。瞳がキラキラして、真っ白な肌がうっすらと桃色に色づき、ふわりと亜麻色の髪が揺れる。

「…大切な人です。」

一層強くフラッシュが飛び散って、会場がどよめいた。さらに畳みかける質問をかわしながら、光は司会者の誘導で会場を後にした…。



【悲報】玉城光・御幸一也、交際を認める

001:ちょっと樹海に行ってくる

002:高校から付き合ってるってマジかよ…………

003:イケメンで野球の天才でこんな美少女の処女を奪ったとか御幸一也を許してはならない

004:>003 イケメンだからやろ

005:前世でどれだけ徳を積めばこんな美少女の処女を奪えるんや……

006:【天使】白栄生時代の玉城光ちゃんwwwwww【降臨】(動画) この頃すでに非処女ってマ?

007:>006 はあ・・・・・・死にたい・・・・・・・

008:そういや青道と白栄って二駅隣だから近いんか

009:何この選ばれしカップル?

010:文句のつけようがなさすぎて草

011:女さん「玉城光はビッチ!」→高校時代から御幸としか付き合ってない
「野球選手と付き合いたかっただけ!」→プロ入り前から付き合ってる
「金目当て!」→実家は超有名財閥で金にこだわる理由なし
「顔目当て!」→本人も人間国宝レベルの美女
「売名目的!」→むしろ玉城光の方が一般人には有名

012:>011 ことごとく外れててワロタwwww

013:>011 一也ファンの女だけど玉城光は美人過ぎて嫉妬すら湧かない

014:むしろこの二人でよかったとか言ってるファンもいるくらいだな

015:そらそうやろ光ちゃんがクソみてえなデブのおっさんと付き合ったりしたら絶望して身投げするわ

016:ガチで非の打ちどころのないカップルやなぁ

017:高校から付き合ってんのにラブラブだな

018:>017 むしろ卒業後やっと同棲してヤリまくれるんだから当たり前よ

019:御幸腰いわすなよ

020:下世話すぎて草

021:貴重な得点源やからな

022:捕手にバッティングまで要求すんなや

023:御幸だからまあね?

024:倉持が打てや

025:倉持は走ってるから

026:代走専門チーターさんwww

027:後輩の小湊の方が打つよな 早く一軍入れりゃいいのに

028:カフェで出会って御幸がナンパしたってマ?

029:【衝撃】御幸一也、玉城光をナンパしていたwwww
…インタビューによると、二人の出会いは御幸が高校2年、玉城が高校1年の春。行きつけのカフェチェーン店で玉城とその友人たちを見かけた御幸が、友人たちに囃されて玉城に声をかけたのが始まりだという。…

029:御幸「綺麗ですね」こんなん女惚れるやろイケメン死ね

030:でも御幸って今まで浮いた噂無かったし夜遊びもしないっていうし、ナンパってのは意外だな

031:そらこんな美少女声掛けずにはいられんやろ……

032:御幸と玉城光が付き合ってることはチームメイトも知らなかったらしい

033:>032 意外と硬派なんやな

034:今まで隠してたとか好感しかないわ もっとケチ付けられるエピソードよこせや

035:>034 わかる 怒りのやりどころがなさすぎるわ



「…ん、うん、しばらくはこっちにいることにしたの…。東京に戻る日はまだ決めてなくて…」

風呂から出ると、光はソファで誰かと電話をしていた。俺は邪魔をしないよう、静かにキッチンへ行ってお茶を淹れ始めた。

「え?光臣、東京に帰ってきたの?」

ちょっと驚いたような声で、電話の相手が光臣だと知った。光がここにいる間、二日に1度くらいの頻度で光臣から電話がかかってくる。ここまでくると仲が良いって言うより…光臣の奴、本当に光を狙ってるんじゃ…。

「そうなんだ…。私?私は来週仕事で東京に行くけど…実家には寄らないから…。」

だが残念だったな。光はお前より俺と一緒に過ごす方が好きなんだ。…なんてことを思いつつこっそりとほくそ笑む。

「…あ、ねえ。光臣そろそろお休みでしょ?こっちに来れないかな?」

え!?あ、あいつを呼ぶのか?ここに?

「紹介したい人がいて…。…う、うん。そう。…テレビ見たの?」

俺のこと話してる…。な、なんか緊張する。

「…うん。付き合ってる…。」

じわりと顔を赤くして頷く光…。
……。…やべえええ!光、可愛すぎ…。

「…光臣?…何?黙って…」
「……。」
「…え?あ、そうなの…?…うん、じゃあまた…。」

電話を切った光は、まだ少し赤い顔で俺を見上げて恥ずかしそうにはにかんだ。

「従弟?」
「うん…。一也君のこと紹介したかったんだけど…仕事で忙しいから、しばらく無理だって…。」

残念そうに口を尖らせて、光は俺の傍に来て腕を絡ませた。
仕事で忙しい…ね。つい最近、ここに来たばっかだけどなー。俺とよろしくするつもりがないってことなんだろう。

――ピリリリリ、ピリリリリ
着信音が鳴り響いた。カウンターの上に置かれた俺のスマホを、光が手を伸ばして取り、俺に差し出した。

「非通知だって。」
「え…誰だろ。」

確かに画面には非通知設定と表示されていて、俺は首を傾げながら応答ボタンを押し、スマホを耳にあてながらティーポッドを傾けた。

「もしもし?御幸ですが」
『今すぐ一人でバルコニーへ出ろ。』
「………。」

この…不躾で愛想の欠片もない声は……もしかしなくても……。

「…ちょっと待ってくださいね〜」

ティーポッドを置き、光に目配せして、俺はベランダに出た。

「光臣だな?」
『光は傍に居ないだろうな。』
「いたら名前言えねーって…」
『いつ光と別れるんだ。』
「別れねーよ。何言ってんだ…」
『お前に光は分不相応だ。』
「3年前はあんなに協力的だったくせに。」
『事情が変わったんだ。』
「どんな事情?」
『言う必要ない。』
「お前もしかしてさぁ…」
『何だ。』
「光のこと好きなんだろ?俺と別れさせて、自分が付き合おうってつもり?」
『……。』

しばらく沈黙が流れて、図星かと思ったが、はっ、と小さく噴出す声が聞こえた。

『見当違いも甚だしいな。』
「強がっちゃって…」
『俺は光と付き合いたいなんて思っちゃいないさ。身分を弁えてるのでな。』
「……はぁ?」
『お前には想像も及ばない事情だ。取り返しがつくうちに、彼女から離れるんだな。』
「何?光と付き合ってたら暗殺者にでも狙われるわけ?」
『……。』
「ま、別れねーけどな。やっと再会して、堂々と付き合えるようになったんだ…結婚も考えてる。絶対に別れない。」
『……。』

きっぱりと言い切ると、光臣はしばらく沈黙した。やっと諦めたかと思ったら、低い声で話し始めた。

『仕方ないな…。いいか、よく聞けよ。』
「何だよ。」
『これは光自身も知らないことだ。』
「だから何?」
『…スイスの南にある、険しい山岳地帯に囲まれた、現代でも王政が敷かれている小さな国…ラルムエルフシュテン王国という国を知ってるか。』
「はぁ……?聞いたことないけど。」
『小さな国だからな。』
「……で、それが?」
『現在の王、ラドルフ=クロン・エルフシュテン5世には、二人の娘と一人の息子がいた。王位継承権は、王子が第一位、長女が二位、そして次女が三位。しかし王子は幼くして病で亡くなり、去年、長女であるテレーシア王女も同じ病で倒れ、余命少ない。そこで王は、20年以上前に日本に嫁いで王位継承権を放棄した次女エリーシアを呼び戻そうとした。』
「…はぁ。」
『しかしその次女は人知れずすでに病で…日本で亡くなっていたことが分かった。』
「……。」
『王は大変悲しんだが、その次女には一人の娘がいることがわかった。』
「……。」
『…それが光だ。』
「……。」

肌寒い夜風に体はすっかり冷やされ、俺は身震いして、ぼーっとベランダの手すりの錆びた模様を眺めていた。
王位…?王女?病?光が…よくわからないヨーロッパの国の王女の…娘?ってことは…光は…

「……何の冗談?」
『冗談じゃない。去年、ラルムエルフシュテン王国から、玉城家現当主である俺に手紙が届いた。光にぜひ国に来て、王位継承者として統治を引き継いでほしいとな。』
「…いやいやいやちょっと待って…」
『だが光は母親のことすらよく知らない。光の父も、まさか妻が王女だとは知らずに結婚したらしいしな。どうも光の母は、何か事情があって王位継承権を放棄し、国を出ていたらしい。』
「……。…だ、だけど…そんなこといきなり言われたって、光も困るだろ…」
『当たり前だろ。だからまだ伝えてないんだ。わからないのか?』
「……。」
『だけど、これでわかっただろ。光はお前とは…お前たちとは、住む世界が違うんだよ。』
「……。」
『本当なら出会うはずもなかったんだ。付き合うなんて、おこがましいんだよ。』

…だけど…俺たちは出会ったんだ。あの店で…2度も…。会いたいと互いに願い、探し求めてきた…。そして再会した今、離れたくないと思っている。

「…けど…

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