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部屋に戻ると、玉城の隣には小田が座っていた。
熊谷さんが流行りの歌を歌ってみんな盛り上がっている中、小田は玉城に熱心に話しかけている。
「えっマジ!?玉城さんもこれ好きなの!?」
「うん。」
「お〜俺も好き!ねぇメアド交換しない?」
…まただ。モヤモヤする。
「いいよ。」
「マジ!?よっしゃ!じゃ俺入力するから…」
互いの携帯の画面を見せ合う小田と玉城。小田は嬉しそうで、玉城も笑ってて、俺は一人、歌も耳に入ってこなくて。
俺…嫉妬してる?小田に紹介するために玉城を誘ったのは自分なのに。
それに、メアド交換くらい…友達なら普通なのに。でも…俺は玉城のアドレス、知らないし…。でもそれも自分が聞かなかったからで…。ああもう、自分が何考えてるのかすらわからない。頭の中がめちゃくちゃで…
「東条!」
どすん、とぶつかりながら信二が俺の隣に来た。
「いいのかよアレ。」
「え?」
「小田だよ!」
いいのかよって…言われてもな…。
「いや〜…あはは。」
「何笑ってんだよ。小田にとられちまうぞ!」
「あはは、なんだよとられるって。」
「は!?お前、玉城さんのこと好きなんじゃねーのかよ!?」
信二は小声で言ったから、俺以外の誰もその言葉を聞いていなかった。だけど俺の耳にははっきりとその言葉が響いて、何度もこだました。
「つーかさっき何話してたんだよ?」
「いや、何も…」
「何もって何だよ。玉城さんがあんなふうにお前を呼び出したんだからなんかあっただろ!?」
「いや、ほんとに…なんか玉城、俺に怒ってる?みたいでさ…何も話してくれなくて…」
「……。」
ハァ?と言いたそうに顔をゆがめて俺を見た信二が、少し沈黙して、はっと目を丸くした。
「わかった!!」
「え!?…なにが?」
「玉城さんもお前のこと好きなんじゃね?」
てん、てん、てん、と言葉を失い、俺はぽかんと口を開けた。直後に、急に顔が熱くなった。
「…え!?いや…それはないでしょ」
「いーやそうだな絶対。多分。」
「いや…まさかぁ」
「そもそも玉城さんがしゃべる男ってお前くらいだし、可能性かなり高くね?」
そういう信二の後ろでは、玉城と小田が和気あいあいとしゃべっているけど…。
「つーか何だ?その禍々しい色のジュース」
めっちゃまずそう、と顔をゆがめる信二。
「いやこれは玉城に…」
「……。」
ははーん…、と信二はニヤニヤして俺を見た。
「やっぱ両想いだろ絶対」
「え〜…?いやいや…」
「お前の気を惹こうとしてんだよ!」
「……。」
「何だよその顔!」
***
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