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「あっこれカワイイ!」
「スカート欲しいな〜。」
「ねぇこれどっちの色がいいと思う?」
「夏だしこっちじゃない?」
思い思いに服を見る私たちのあとを、玉城さんは肩を竦ませておそるおそるついてくる。
駅ビルに入ると玉城さんは、こういうところ初めて来た、と呟いたのだけど、私たちが驚くとはっとして恥ずかしそうに俯いてしまった。ちょっとリアクションがデカすぎたかなー。バカにされたと思われちゃったかな…。
「ねぇ!これ玉城さんに似合いそう。」
皐がワンピースを持って玉城さんに合わせた。似合う似合う、と悠たちも手を叩く。
「そ…そう…?」
玉城さんは恥ずかしそうに身を竦めて、苦々しくはにかんだ。
「玉城さんっていつもどこで服買ってるの?」
どういうブランドで、どういう系統の服を、という意味で望は聞いたんだろう。だけど玉城さんは不思議そうな顔で答えた。
「え?どこって…家…。」
「家?」
「…え?どういうこと?」
「もしかして玉城さんち、洋服のお店やってるとか?」
「あ〜!そういうこと?」
「え…?ううん、デザイナーさんを…」
玉城さんは私たちの顔を窺うようにしてそう言いかけ、だんだんと声が消え行って、目を彷徨わせた。
「…な、なんでもない…。」
「え!?ちょっと待って、気になるんだけど!」
「デザイナーさんって言った?今?」
「家にデザイナーさんを呼ぶってこと!?」
「ち、ちが…、ふ、ふつうに、こういうお店で…、買う…。」
玉城さんは見ているこっちが不安になるほど取り繕ってはにかんだ顔で、隣のハンガーに掛けられたブラウスを撫でて言った。誤魔化した…。私たちは玉城さんがそうしたことに気付いたけど、顔を見合わせて、そっか、と頷いた。
「…ねぇ!そろそろ水着見に行こうよ。」
「あ、そうだね!」
「ちょっと待って、これ買ってくる!」
望がTシャツを持ってレジへ向かい、私たちはそれを待って移動した。
「今年はどんな水着にしよっかなぁ〜。」
「夏だね〜!」
「夏休みさ、皆でプール行こうよ!」
「いいね〜!」
玉城さんはニコニコ笑っている。いつもそうだ。聞かれれば答えるけど、基本的に何も喋らない。答えるのも、何かいつも誤魔化しているような感じで…。
「あ!水着売り場〜。」
「悠ビキニ?」
「なんでよ!」
「せめて胸がもうちょっとあればね〜。」
「あたしは断然ワンピース。お腹出せないもん。」
「嘘だ〜司引き締まってるじゃん!」
「割れてるから嫌なの!」
「そっちかい」
「ムキムキ〜」
「ムキムキいうな!」
玉城さんがそっと棚に近寄って、白い水着を手に取ったことに気づいて、私は近寄った。
「あ、それ可愛い!玉城さんっぽい!試着してみれば?」
「え…!あ、ううん、いいの…。」
玉城さんは首を振って水着を戻してしまった。
悠が私の肩をつつき、やめときなよ、と言うように頷いた。
仲良くしたいって思って…玉城さんがどんな子なのか、気になって…声をかけてみても、なんだか雲をつかんでいるような気分。今日は初めて誘いに乗ってくれて、やっと少し心を開いてくれたかと思ったけど、結局私たちのあとをニコニコついて来ているだけで…。楽しいのかな。早く帰りたいって思ってるんじゃないのかな…、とどうしても考えてしまう。私があまりにしつこく誘うから、角が立たないように付き合ってくれたのかな。もしかしたら、いつも教室で話すのも、お昼に誘ったのも、迷惑だったのかな…。
「今年はさ、ほら、ワンショルダーとか。」
「あ〜カワイ〜。」
「司ー、ハイウエストならいいんじゃない〜?ほらこれとか可愛いよ〜」
「…あ!うん!見てみる!」
望に駆け寄って青い水着を受け取って、ほんとだ可愛い、と笑い合って…。
だけど私はなんだか、悲しみが胸の奥に広がるのを感じた。
結局玉城さん以外の皆は水着を買って、カフェで小休憩して解散することになった。カフェに向かう途中、皐がアクセサリー店の前で立ち止まり、ブレスレットを手に取った。
「ねぇこれカワイイ!ほら見て!」
「あ、ほんと〜。皆でお揃いで買う?」
「いいねー!ちょうど5色あるし!」
「皐はピンクでしょ、私は緑が良いな〜。望は?」
「私青。司は赤だね。」
「良く言われる〜。玉城さんは絶対白!」
「わかる〜!玉城さんは純白だよね!」
はい、と白い石のブレスレットを手渡すと、玉城さんはちょっと躊躇いながら受け取った。
「どうしたの?」
「玉城さん買わないの?」
「えー今日何も買ってないじゃん〜。せっかくお買い物に来たのに。」
玉城さんの顔に困惑が滲んだ。
「…まぁまぁ!こういうのは好みもあるしさ…、」
「う、ううん!可愛い!…私、これ、買う…!」
かばおうとした私の言葉を遮って、玉城さんが声を上げた。
「皆とお揃いだし…。」
ね、と私たちを見渡して微笑む玉城さん。…いいのかな、本当に…。
「そうだよ〜!お揃いお揃い!」
「仲良し5人組だねー。」
「うん…。」
だけど玉城さんは嬉しそうに微笑んでいるように見えたから、私もそうだね、と頷いた。
皆でお揃いのブレスレットを買い、ビル1階のカフェチェーン店に入った。カウンターで注文をして会計し、席までお持ちいたします、という店員からプレートを受け取り、窓際の席に皆で座った。
「もうすぐ中間テストだねー。」
「その話やめない?」
「今始まったばっかじゃん」
嫌なのぉ〜…、と皐はテーブルの上に項垂れたので放っておいて、私たちは今日買った物の話を始めた。
「望が買ったTシャツいいよね〜。私も色違い買おっかなぁ〜」
「買いなよ買いなよ。まだあったよ。」
「じゃー帰り寄ってもいい?」
「おっけ〜」
「この水着、今更不安になってきた…ウエストが…」
「なんでよ、夏までまだあるんだから痩せればいいじゃん」
「簡単に言うなよ〜〜」
「お待たせいたしましたー。」
店員が全員分の飲み物を運んできて、会話を中断した。皆同じ、春季限定さくらんぼティーラテ。さくらんぼ風味のティーラテの上に、生クリームとさくらんぼチョコレートのチップが振りかけられた可愛らしい飲み物だ。
悠と皐はそれを写真に撮りはじめ、その隣で望は構わずクリームをスプーンですくった。
「え〜望撮らないの?」
「もったいな〜。」
「撮ってもあとで見ないし、早く飲みたいからね。」
「花より団子ね。」
「それでも女子〜?」
「女子でーす。」
玉城さんは運ばれてきた飲み物をじっと見つめ、スプーンで生クリームをつつき、ピンク色のラテを掬って不思議そうに目を瞬いた。
「毒なんて入ってないよ。」
悠がからかうと、玉城さんは注目されていること気付いて赤くなった。それから誤魔化すように笑って、クリームを掬って舐めた。
「ね〜そういえばさ、私見たい映画があってさ〜」
皐が急に起き上がって、鞄から携帯を取り出した。
「これ!!青い春!」
「あー今CMやってるよね」
「ケンタ君が主演なの!!ねっ皆で見に行こうよ!」
「いいよ〜じゃ明日?」
「時間ある?」
「明日はね〜18時からのがあるよ!」
「ちょうどいいじゃん。」
「しかも明日は学割で千円!」
「いいね〜。」
「玉城さんも行ける?」
えっ、と玉城さんが顔を上げた。
「あ、明日…。…明日…は…」
「無理?」
「えっと…。」
玉城さんは必死に何かを考えているように目を彷徨わせ、口ごもった。
「…ねぇ、無理なら無理でいいんだよ?」
すると痺れを切らしたように悠が言って、玉城さんの表情が固まった。
「興味ないならないでさぁ、言えばいいじゃん。別に無理して合わせなくていいんだから。」
「ちょ…、悠…。」
「何?だいたい、今日もさ、司が話しかけてるのにつまんなそうにしてさ」
「そんなことないって!玉城さん、気にしないで…」
「悠、やめよーよー…」
「別に怒ってるわけじゃないって。ただ嫌ならはっきりそう言ってほしいわけ。玉城さんが無理してるなら、うちらだって無理に誘いたくないよ。」
「悠!」
「……。」
玉城さんが俯いた。唇が震えていて、泣いてるように見えた。
「…ごめん…」
玉城さんは震える声でそう呟いて、バッグを肩にかけた。
「ごめん…。私…、帰る。…ごめんなさい。本当に…」
「えっ、ちょっと待って!玉城さん!」
「悠言い過ぎだよ!」
玉城さんは制止を振り切って店を飛び出して行ってしまい、私たちは慌てて後を追いかけたけど、ビルを出ると玉城さんの姿を見失ってしまった。
「どーする…?」
「玉城さん泣いてたよ…。」
「……。」
悠もさすがにばつがわるそうに黙り込んだ。たちつくす私たちの上に、しとしとと鬱陶しい霧雨が落ち始めた。
「雨降ってきたし…」
玉城さんは傘を持ってなかった。私たちもだけど…。
この雨の中をひとり、泣きながら帰っているのかと思うと胸が痛んだ。
「…明日謝ろうよ。」
皐が悠を宥めるように言って、それしかないね、と望が頷いた。
***
「…えー、今日は玉城さんは風邪でお休みです。」
翌日、朝来たら後ろの席に玉城さんの姿が無く、不安が過ぎったけど、朝礼の担任の言葉でそれは現実となった。
風邪…。本当に?もし、来辛くて来れなかったのだとしたら…。
「鷹野さーん、配布物届けてくれる?」
「え?…あたしですか?」
「?いつも玉城さんとお昼食べてるわよね?」
そっか…。先生から見たら、玉城さんと一番仲が良いのは、私なんだ…。
「は、はい。いいですけど…」
「ありがとう。じゃあ放課後、職員室に寄ってね。」
いいの?と望が目配せをしてきた。私は悠を振り返って、微笑んだ。
***
「あら、皆で行ってくれるの?」
放課後、私と悠、望、皐の4人で職員室に行くと、担任は嬉しそうに言った。
「じゃあこれお願いね。提出期限すぐだから、どうしても渡してほしいのよ〜。」
「せんせー配るの忘れてたんでしょ。」
「助かったわ〜。」
「せんせー…。」
担任の先生、通称モモちゃんはちょっとドジだ。百川あゆみ先生。まだ20代の、若い、可愛い先生だ。
「玉城さんの家はどこか知ってる?」
「知らないでーす。」
「学校のすぐ近くらしいの。先生も行ったことはないんだけど…。」
先生はプリントアウトした地図を差し出した。
「ほらここ。裏門から出て、道を2つ渡って、橋を越えて、左に曲がったらすぐだから!」
「はーい。」
「駅と反対方向かー。」
「玉城さん風邪で熱が結構出ちゃって辛いみたいだから、お家の人に渡して長居しないようにね。」
「せんせーは行かないの?」
「先生は中間テスト作りで忙しいの…」
「うわあリアルなやつ!」
「せんせー今日残業?」
「毎日残業よ。」
きゃははは、と皐が笑って、笑い事か?と望が突っ込んだ。
「じゃあ行ってきまーす。」
「せんせ〜さよーなら〜」
「気を付けてねー。」
職員室を出て、私たちは玉城さんの家に向かった。
***
「…ねー、まだぁ?」
「いや、この辺のはずなんだけど…。」
地図を頼りに道を進むこと20分。橋を渡って左折してから、もう結構長いこと歩いている。地図ではこの道の右手側に玉城さんの家があるはずなのだが、右手には延々と煉瓦の塀が続いているだけ…。左手は公園だ。
「おっ、ここだってよ。」
携帯の地図アプリを開いていた望が声を上げて立ち止まり、私たちは一斉に右を向いた。
「…いや嘘でしょ?」
そこには大きな鉄の門が構えられていて、黒いスーツの男の人が門の両側に立っていた。
並木道の向こうにはお城のような建物の屋根が覗いている。
「ここ何?」
「結婚式場か何かじゃないの?」
「でも地図だとここだよね?」
「モモちゃん間違えたんじゃないの〜…?」
私たちは顔を見合わせ、立ち尽くした。
「お困りですか?」
すると黒いスーツの男の人が一人歩み寄ってきて、優しい眼差しでそう尋ねてくれた。
「え、あ、あたしたち、友達の家を探してて…。」
「この辺のはずなんですけど…。」
「なんというお名前の御宅ですか?」
「玉城…さんっていうんですけど…」
知ってるかなぁ…、と心配しながらその名前を出すと、男の人は上品に微笑んだ。
「玉城光様のご友人ですか?」
「え?」
さ…様付け…!?
や、やっぱり玉城さんってすごいお嬢様…!?
「は、はい。」
「学校から伺っております。配布物をお届けにいらして下さったとか?」
「は、はい。」
「それはそれは、ありがとうございます。お嬢様はお休みになられておりますが、屋敷の者が対応いたします。どうぞ中へ。」
…な、なんかすごいところに来ちゃった…。
私たちは促されるままに門をくぐり、ご案内いたします、と進み出てきた別の男の人に車に乗せられ、並木道を進んだ。ふかふかの椅子に、広い車内。リ、リムジン初めて乗った…。
「ねぇ…、玉城さんの家って…。」
「うん…。カラオケ知らないのも無理ないよね…。」
「……。」
悠は静かに口を噤んだまま、車窓の外を眺めていた。
車が停まると、そこはお城みたいな洋館の前だった。広いロビーは映画に出てくるお城そのもので、ヨーロッパの貴族が住んでいるみたいな内装で、皐は目をキラキラさせていた。
私たちは客室と呼ばれる豪華な部屋に通され、そこで貴族のお茶会のようなティーセットと洋菓子を振る舞われた。
「なんかさ…、これ、夢?」
「わかる〜…。現実じゃないよここ…。」
望と皐が笑い合う中、悠がばつの悪そうな顔で呟いた。
「…なんかさ…玉城さん、何も喋らないのはさ…、わからないから…」
「言えなかったのかもね。」
私が頷くと、悠は口を噤んで、頷いた。
「それではどうぞ、ごゆっくりお過ごしくださいませ。」
お茶を淹れ終えた女の人が恭しく頭を下げて退室しようとした。め…メイドさん?かな。
「あ、あの!すみません。」
慌てて呼びとめると、女性はにこやかに振り返った。
「はい?」
「これ…、玉城さんに渡してほしいんですけど…。」
「申し訳ございません。私にはお嬢様の私物をお預かりする権限が与えられておりませんので、後程別の者が預りに参ります。」
「へ?あ、そ、そうなんですか…。」
女性は恭しいお辞儀を残して部屋を出て行った。私たちはもう言葉もなく、互いに丸くなったままの目で視線を交わした。
「…いけません!お嬢様!」
するとそのとき突然、ドアの向こうから声と足音が響いてきた。
「まだお熱が下がっていないんですから、お部屋におられませんと…!」
「だって…!どうして中に通したりしたの!こんな家だって知られたくなかったのに!」
「お嬢様お願いですからお休みになってください!お体があまり丈夫ではないんですから!また肺炎になってしまいますよ!」
「大丈夫だってば!」
「だめです!そもそも昨日、迎えの運転手を撒いて遊びにお出かけになられたこと、まだ許してませんからねっ!そんなことをするから雨に濡れて風邪を引くんです!」
「迎えはいらないって言ってるでしょ!そんなの皆してないのに!」
「一般の私立校に行くことを旦那様はお許しになられましたけど、お嬢様は玉城家のご息女であられることに変わりはないんですよ!おひとりで出歩かせるわけにはまいりません!ご自覚なさってください!だいたいなんですか、昨日はあんなに人の溢れかえった場所へお出かけになって。あのようなおもちゃと変わらないブレスレットなんて買って。社交界にでもつけていかれるおつもりですか?」
「!…勝手に見たの!?」
「お嬢様が身につけられるものは私が管理する義務があります。玉城家の息女としてふさわしい装いを…」
「うるさい!欲しかったの!ほっといてよ!」
言い争う声を聞きながら、玉城さんへの疑問が一つ一つ解けて行った。
すぐに口を噤むのは、私たちとあまりに違う家の事を知られて浮きたくなかったから。
昨日不自然に「職員室に行ってくる」と私たちを先に行かせたのは、別の門から出て迎えの人から隠れるため。
買物をせず、ブレスレットを買うのも躊躇ったのは、お屋敷の人に注意されるから。
いつも放課後の誘いに乗らず、映画の誘いも困ったように俯いたのは、許されてないから、嘘を吐いて抜け出さなきゃならないから…。
「…お嬢様も大変なんだねぇ…。」
「…皐、空気読んで」
ガチャッ、とドアが勢いよく開いて、私たちは振り返った。驚いた顔で踏みとどまった玉城さんは、赤い顔をして涙ぐんだ顔で、はっと息をのんだ。
「…皆…。」
さっきの言い争いを聞かれたと思ったのか、後ろの中年の女性を振り向いて苦々しい顔をした玉城さんは、女性を廊下に残したまま部屋のドアを閉めた。
「…あの…。」
さっきまでの勢いはどこへやら、ドアを背に俯いて、口を開いた玉城さんは、いつもの内向的な玉城さんだった。
「昨日は…ごめん…。」
そう絞り出して、玉城さんは目元を拭った。すると悠が立ち上がって、玉城さんに歩み寄った。
「私のほうこそ、ごめん。」
「え…。」
「玉城さんのこと何も知らずに責めて。…玉城さんは何も悪くないよ。ほんとにごめん。」
「……。」
ぽかんとした玉城さんの青い瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれた。
「…よし!仲直り!」
私は手を叩いて立ち上がり、先生から預かった封筒を持って玉城さんに歩み寄る。
「これ、届け物。」
「…ありがとう。ごめんね、わざわざ…。」
涙を拭いながら封筒を受け取る玉城さん。
「いいよー、友達じゃん!」
「てかこのお城何!?ビビったんだけど」
「私もここに住みた〜い」
「どうして隠してたの?」
悠が訊ねると、玉城さんは重たい口を開く。
「だって…。…みんなと違う…し…」
「そんなの気にすることないのに。確かに驚いたけどさ…、通りで納得したって言うか」
「え…?」
「そーそー、玉城さんお嬢様っぽいもん。」
「気品が隠しきれてないのよ。」
「普通って言い張る方が変だよ〜。」
「玉城さんは玉城さんのままでいいんだよ。」
「……。」
玉城さんは口を噤んで、またぽろぽろ涙を流して、顔を両手で覆って俯いた。
「…うん…。…ありがとう…。」
皐と望も傍にやってきて、皆で笑い合った。
「てかさ〜、そろそろ光って呼んでもいーい?」
「あー皐ずるい!あたしがそれ聞こうと思ってたのに」
「ずるいって何だ?」
「ずっと思ってたんだけどさ〜、司、光のこと好きすぎだよね〜。」
「ね〜。」
「ねーぇ。」
「なによ、いいじゃん!ねぇ光…、って光あっつ!熱何度あるの!?」
「え…、えっと…さっきはさんじゅう…はち…くらい」
「寝てなさい!!!」
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