004
花城光…。
花城…光…。
モヤモヤと、花城の顔が思い浮かぶ。
なんだか…自惚れでなければ、友達とのやり取りを見た感じ、俺に気があるっぽい…。
いや、でも、あんな美女がまさか。たいして知り合ってもない俺に惚れるか?
ああ、モヤモヤする。
ウジウジ悩むのは性に合わない。まして、他人のことでなんて…。
そもそも野球に高校生活を捧げた身。うかうかと恋愛する暇なんてないし。
だけど…。
あの子…可愛かったなあ…。
「御幸!」
ガタンと目の前の椅子が揺れ、クラスメイトの速水が腰かけた。
よく焼けた肌に、端正な顔。さわやかな短い茶髪。女子からモテモテの、サッカー部エースだ。
特に仲がいいわけではないが、速水は快活で気さくな男。突然話しかけられて驚きはしたが、特に不思議には思わず、俺は気の抜けた目で速水を見た。
「…何?」
「いや、えーと…って、何これ?」
自分から話しかけてきたくせに、速水はなんだか言いづらそうに口ごもって、俺の手元のスコアブックを見つけると、さっそく話をそらした。
「…スコアブック。部活の…試合の記録表だよ」
「へー、野球ってこんなのあるんだ…全然わかんねーや」
へらりと人懐こい笑みを浮かべて、速水は頭をかいた。
「で…何?」
「え?あ…、あー…」
へらへら、そしてどこか恥ずかしそうに、速水は周りに聞かれていないか確認して、身を乗り出してきた。
「あのさ…1年の花城さん…知ってる?よな?」
ひそめられて低い声は、ズンと俺の頭の中に響いた。
「…なんで?」
「この前、廊下で話してただろ?」
「…あー…まあ…で、それが?」
「いや、あのさ…」
速水はもじもじ口ごもり、落ち着かなく頭をかいたり、そわそわ腕を組んだりした。
「…何、速水、花城のこと好きなの?」
そうとしか思えなかった。ちょっと白けた目で見やると、速水はわかりやすく赤面した。
「いやっ…!好き…ってか……。…う、うん。」
…まだ入学式から数週間だってのに…。
無意識に白けた目を向けると、速水はぎこちなく苦笑いを浮かべた。
「そんな顔するなよ。でさ、御幸…あの子と仲いいの?」
「…別に。」
「なんだよ、教えてくれよー」
なんだか…
素直に教えてやるのは悔しくて嫌だ。
「…じゃ、御幸はあの子のことは、その…別に、なんとも思ってない感じ?」
「……。」
窺うような速水の目が俺を見つめる。その視線から逃れるように、俺はスコアブックに視線を落とした。なるべく、いつも通りの表情を装って。
「思ってねーよ。」
「なんだ、そっか。」
速水は急に安堵したような笑顔になって、立ち上がった。
「わかった、ありがとな!」
さわやかな笑顔を残して立ち去る速水。
…なんだか、後から後悔が襲ってきた。
花城…光…。
モヤモヤと、花城の顔が思い浮かぶ。
なんだか…自惚れでなければ、友達とのやり取りを見た感じ、俺に気があるっぽい…。
いや、でも、あんな美女がまさか。たいして知り合ってもない俺に惚れるか?
ああ、モヤモヤする。
ウジウジ悩むのは性に合わない。まして、他人のことでなんて…。
そもそも野球に高校生活を捧げた身。うかうかと恋愛する暇なんてないし。
だけど…。
あの子…可愛かったなあ…。
「御幸!」
ガタンと目の前の椅子が揺れ、クラスメイトの速水が腰かけた。
よく焼けた肌に、端正な顔。さわやかな短い茶髪。女子からモテモテの、サッカー部エースだ。
特に仲がいいわけではないが、速水は快活で気さくな男。突然話しかけられて驚きはしたが、特に不思議には思わず、俺は気の抜けた目で速水を見た。
「…何?」
「いや、えーと…って、何これ?」
自分から話しかけてきたくせに、速水はなんだか言いづらそうに口ごもって、俺の手元のスコアブックを見つけると、さっそく話をそらした。
「…スコアブック。部活の…試合の記録表だよ」
「へー、野球ってこんなのあるんだ…全然わかんねーや」
へらりと人懐こい笑みを浮かべて、速水は頭をかいた。
「で…何?」
「え?あ…、あー…」
へらへら、そしてどこか恥ずかしそうに、速水は周りに聞かれていないか確認して、身を乗り出してきた。
「あのさ…1年の花城さん…知ってる?よな?」
ひそめられて低い声は、ズンと俺の頭の中に響いた。
「…なんで?」
「この前、廊下で話してただろ?」
「…あー…まあ…で、それが?」
「いや、あのさ…」
速水はもじもじ口ごもり、落ち着かなく頭をかいたり、そわそわ腕を組んだりした。
「…何、速水、花城のこと好きなの?」
そうとしか思えなかった。ちょっと白けた目で見やると、速水はわかりやすく赤面した。
「いやっ…!好き…ってか……。…う、うん。」
…まだ入学式から数週間だってのに…。
無意識に白けた目を向けると、速水はぎこちなく苦笑いを浮かべた。
「そんな顔するなよ。でさ、御幸…あの子と仲いいの?」
「…別に。」
「なんだよ、教えてくれよー」
なんだか…
素直に教えてやるのは悔しくて嫌だ。
「…じゃ、御幸はあの子のことは、その…別に、なんとも思ってない感じ?」
「……。」
窺うような速水の目が俺を見つめる。その視線から逃れるように、俺はスコアブックに視線を落とした。なるべく、いつも通りの表情を装って。
「思ってねーよ。」
「なんだ、そっか。」
速水は急に安堵したような笑顔になって、立ち上がった。
「わかった、ありがとな!」
さわやかな笑顔を残して立ち去る速水。
…なんだか、後から後悔が襲ってきた。