ゴールラインの向こう、頂点を獲った巻島に駆け寄っていく巻島の妹を追いかけるように近寄れば、なんで連れてきたのかという文句がこれでもかと押し込められた視線を優勝者から投げられる。いつも飄々としている巻島が急に兄貴風を吹かしたせいで、思わず我慢できない笑いが溢れた。

巻島#name#。一つ下の巻島の妹については、総北のすぐ近くにある進学校に通う女子高生ということくらいしか知らない。
髪の色を含めた見た目もなにもかも、全く違う二人のくせに、こうしてカメラ片手に兄貴のレース見に来るくらいだから兄弟仲は良好なんだなと思う。妹に向けられるレンズを手で遮りながらボトルを煽る巻島を見れば、そんな二人に近付く不穏な影が一つ。

ヒルクライムのレース。白地にブルーとイエローが鮮やかなサイジャー。白のリドレー。とくれば、もう一人しかいない。

「巻ちゃん!悔しいが今日は俺の負けだ。これで公式戦では14戦7勝7敗だな!」

なんだかややこしくなりそうなヤツが来たな、と計らずも巻島とアイコンタクトで分かり合ってしまって、また笑いが溢れた。

(20150520)



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