※男主の友情もの?です。笠松先輩の弟が誠凛に入ったらいーなって話です。オリキャラで友人が複数人出てきます。
※黒子くんたちは2年生になりました。木吉先輩は部活に口だけ出します。





仮入部届を出した翌日の放課後に体育館に集まった1年は僕を含めて17人。うち1人以外は全く覚えのない顔触れだった。たった1人の顔見知りにそろり、と近付けば向こうも知った顔でよう、と片手を挙げてきた。

「ひさしぶり。WC以来か?」
「あ、皆本じゃん。そーだね。でも県違うし引退してるから普通は会わないんじゃない?」
「にしても、オマエが誠凛とはなぁ。やっぱ普通どー考えても海常だろ、そこは」
「いいでしょ、別に。まあ、にーちゃんにはシバかれたけど」

ふん、と顔を顰めたところで、体育館が余計に賑やかになる。スキール音を引き連れてきた先輩達に、誰からともなくちす、と挨拶が漏れた。余談だけど、僕はこの挨拶が苦手だ。ちすってなんだちすって。普通にこんにちはって言えばいいのに。

ずれた眼鏡の位置を直していれば、目の前に並んだ先輩達の中から、主将の日向だ、と声がかかる。そして一際高い声で、カントクの相田リコです!と続いた。
ざわざわと、つい一昨日まで中学の最高学年だった奴らが騒ぐ。誠凛に入ってバスケ部に来たってことは去年の冬の結果ありきだと思ってんだけど、これってどーなの?な視線を流れで横に並んでいた皆本に投げればさあな、とあっさり目を逸らされた。

「じゃあとりあえず左から自己紹介お願い。名前、出身中学、入部動機、経験者の場合はポジションもね」

相田監督の呼びかけにより、俺とは反対の端から自己紹介が始まる。一瞬目が合ったと思ったのは気のせいだったらしい。基本的に東京出身ばかりで、未経験者も多い。まあ、あのキセキの世代倒したってことで名が売れてるのもあるか。
とは言うものの、皆本の他には顔と名前が一致するヤツがいない。こりゃ何人残るかね、と息巻いたところで皆本が口を開いた。

「皆本洋輔、帝光中学出身のセンターです。去年のWCの木吉さんにヒトメボレしたので追いかけてきました」

帝光の名が出た途端、静まっていた体育館に音が戻る。僕としてはその後の一目惚れ云々のが引っかかるけど、その辺りはどうやらみんなスルーの方向らしい。

「帝光ね・・・レギュラーだったの?黒子くん知ってる?」
「いえ・・・すみません」
「や、全っ然。黒子先輩いた頃は俺2軍だったし、知らなくてトーゼンっすよ」

ひらひらと手を振って否定する皆本を見て、黒子さんが小さく息を吐いた。ただ黒子さんだけじゃなく、体育館全体から同じような溜息が聞こえて、面白くなかった俺は皆本が嫌がりそうだな、と思いつつ話に割り込んでやる。

「とはいえ、最後の全中ではしっかりレギュラースタメンでしたよ。うちのシュート腹立つくらいパカパカ止めてくれたので、結局優勝持ってかれたし」
「おい!」
「なんだよ。事実だろ」
「確かに武石のシュートはかなり弾いたけど、オマエは結局最後まで止めれてねーよ。寝言は寝て言え、MVP」
「それを言わないでよね。帝光の主将のくせに」

ちょっと待って、と少しだけ低くなった監督の声に、僕と皆本は会話を止めてそっちに視線を投げた。監督の後ろでは先輩達が目をシロクロさせて、てーこーだのきゃぷてんだのえむぶいぴーだのを呟いている。
はあ、と溜息をひとつ。それから肘を軽く、皆本の腹に突き立てた。

「余計なこと言わないでくんない」
「お互い様だろ」
「後でしばく」
「おー言ってろ」

「えっ・・・と、2人は知り合いでいいのかしら?で、今の話はほんとよね」

監督の疑問に頷く。よっしゃ金の卵ゲット!とか言う大きすぎる心の声には気付かない振りをしておく方がいいんだろうな。

「聞きたいことは色々あるけど、先に自己紹介終わらせてからね!さ、どーぞ」

先を促されたときに向けられた視線で、敢えて僕が最後にされたんだとわかった。きっと、この人は僕のことを知っている。疑念が確信に変わると同時に、色々どうでもよくなった。隠すことは無理だとわかっていたはずなのに、それでも付いて回る強い兄ちゃんの影は僕にとって脅威だ。まあそれ以上に憧れているし誇りではあるけど。

「神奈川の武石中出身、笠松#name#。ポジションはシューティングガードで、」
「笠松!?!?!」
「・・・はい?」
「じゃなくて!神奈川で笠松って、」
「あ、ご想像通り笠松幸男の弟です」
「じゃなんでウチ?」
「海常の笠松ってブランドイメージ強すぎってのもありますけど」
「けど?」
「あー・・・黒子先輩のパス受けてみたいし、キセキの世代に今度こそ勝ちたいんで違うとこがよかったし、特に緑間さんとやる回数増やすには東京かなって思ったので」

それが動機です、と付け加えて口を閉じた。それに、海常の笠松はひとりで十分です。と蛇足のように小さく呟いた言葉は、先輩達の話し声に紛れて上手く空気に解けたと思ったのに。慰めるように僕の頭を2度、軽く叩く皆本の手で、こいつには拾われてしまったとわかった。くそ。

「皆本とはWC観てるときに偶然隣になって、こいつ陽泉戦で紫原さんに向かう木吉先輩にすごい声援送ってましたよ」
「しゃーねーだろ。俺、紫原さん嫌いだもん」

(150314)(なんだこれ。楽しい。続きます。)



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