白ひげとエースの墓を前に、不死鳥からの礼を受ける。いや、不死鳥だけではなく、彼の息子全員からの、か。
気にするな、と声を掛けてマントを翻す。弔いは俺の役目ではない。対岸に着けたレッドフォース号にもどるために一歩踏み出した、そのとき、急速にこの島に近付くひとつの気配に気付いた。
もう一度二人の墓に向き合い、ちらりと不死鳥を見やる。無言で首を振ったところを見ると、心当たりはないってことか。じゃあ、誰だ?海賊、海軍、世界政府、意外なところで革命軍。今更白ひげをどうこうしても利がないこの状況で、何がしたい?
答えは出ない中、気配はもうすぐそこまで来ている。他にも読めたらしいヤツらが騒めきだしたのを隊長格がいなし、不死鳥の指先に青い炎が揺らめいて、俺がカトラスの柄に手を添えたすぐ後、墓の後ろに黒い影が翻った。
見た顔じゃないな。でもあの黒服に月歩とくりゃ結論はひとつだ。
「・・・サイファーポールが何の用だよい」
俺が口を開く前に不死鳥が低く問い、既に利き腕全体を炎に変えた背後には得物を抜いた隊長格が控え立つ。
女ひとりに対して余りある歓迎だとは思うが、今はこんな時だ。墓を暴くっつーなら、俺も考えがある。が、しかし。
「何って、お墓参りに」
「サイファーポール、が?」
「今辞めてきたからもうCP4じゃないわ」
片手に花。酒瓶。網に入った盃。そして泣き腫らした赤い目と鼻声はどんなものよりも説得力があった。
放つモノはそのままに不死鳥の腕が人間のそれに戻る。それを確認した後、白ひげ一味の殺気も気にせずに地に降りた女は迷うことなく、エースに向かい合った。
俺としちゃちと物足りないがサイファーポール特有の身体の線が出る黒服に負けないスタイルにすらりとした脚。風に揺れるブロンド。白ひげ一味の殺気と軽くしてるとはいえ俺の覇気にも怯まない根性。こんなとこじゃなきゃ口説くんだがな、とカトラスから手を離した。
「・・・エースの女かよい?」
「火拳と会ったのは一度だけよ」
「じゃあ、」
「妹が兄のお墓参り、しちゃいけないの?」
ざわり、とどよめいた。海賊王の血は他にも残っていたのか、と。でもこう言っちゃなんだがロジャー船長には到底似てないし、何より計算が合わない。エースより後にはもうあの血筋は産まれないはずだ。
「もちろん、義理のだけど」
自分の兄が行方不明だった間にエースとルフィと義兄弟の契りを交わしたこと、その兄が両親に家に連れ戻されてから再び居なくなる数日間の間にそれを聞いたこと、そしてその兄は既に死んでいることを淡々と話しながら、エースの墓に花を供え、四杯の盃を並べる。
「あのまま家にいたらどこかの貴族に嫁ぐしか道がなかったから、兄さんが死んでしまった後に、親に掛け合ったの。世界政府で働いて世界貴族に見初められたいなんて思ってもないこと言って、サイファーポールになるために家を出て、そのときに家を捨てたわ。元々家族は兄さんしかいないと思ってたから寂しくなんてなかった。けど、任務中に火拳に会ったの。こっちは、身構えてるのに、軽い調子でお前、サボの妹だろ?って話し掛けてくる、の、よ。思わず、頷いたら、メシ、行こーぜ、とか。兄ちゃんが、奢ってやるって。サボと義兄弟、だから、そのサボの妹のわたしは、自分の、妹、だって。ばかみたいに、明るくて、当然、の、ように笑って、ほんとうに、うれしかっ、たんだから」
堪えるように途切れ途切れにエースに話し掛けてとくとく、と四つの盃に酒を注いだ#name#は涙を拭ってありがとうおにいちゃん、と呟く。その頃には不死鳥たちの殺気はすでに収まっていた。
「ルフィは何があってもわたしが守るから。だから、エースはサボと見てて。もしルフィがそっちに行きそうになったら追い返してよ」
くるり、と振り向いたその金の瞳に射抜かれる。涙で濡れた睫毛が、煽る。ああ、やべぇな、こりゃ。めちゃくちゃイイ女だ。
「赤髪さん、エースを弔ってくれて本当にありがとう」
「いや。俺も、船長にも白ひげのおやっさんには世話になったからな。あー、なんだ。お前、」
「#name#」
「あー、#name#。俺の船乗らねえか」
恐らく#name#にとったら突然の誘いなんだろう。さっきまでの凛とした表情が見事に剥がれ落ち、訳が分からないといった風な顔に変わる。
俺は海賊だ。どんな手でも欲しいものは手に入れる。だから#name#に乗らない、と言われる前に最後のカードを切ってやる。
「・・・革命軍のNo.2の名前、確かサボって言うらしいんだ。死んだはずのお前の兄貴と同じ名前っえ、こりゃあ偶然だと思うか?」
「え、」
「俺んとこの副船長がそーいうの詳しいんだ。だから、」
来いよ、と続く言葉は#name#がずい、と差し出した酒瓶に遮られる。
「お代はイーストブルーのお酒でいいかしら?」
「そりゃあいい。それに、」
声と手が震えているのには気付かない振りをして#name#の手を取った。もう逃さねえよ。
「足りなきゃ違うもん貰うから大丈夫だ」
「セ、セクハラ!」
(150120)
途中からマルコが空気な件wwそしてこの後、#name#ちゃんを船に連れ帰ったお頭は幹部みんなにセクハラだのロリコンだの変態だのと好き勝手に虐げられます。
サボの妹。エースの一つ下。
この設定が気に入ってるので、これでコラさんも書きたい。コラさんver.はサポート系の能力者で、コラさん死後は若に捕まって利用されてる。(ハートのイスにぐったりと座ってたらいい。)勿論、コラさんスキーのローくんは助けたくて仕方ない。そしてうっかり好きになって悶々とするも、死して尚ロシーに一途なため絶対に報われない。そして囚われの#name#ちゃんを助け出すのは死んだと思っていた兄のサボ。ローくんドンマイ。