独白
男は得るが女は失う。吉原はそんな街だ。金に意図目をつけず古今東西から収集された女で心を満たす上流階級たちの憩いの場を、地上の人間は陰としている。原因としては表立つことはないものの売春が穢れとして彼らの深淵で差別されていること、幕府の暗部が蔦を絡めていることなどが挙げられるが、しかしそのような陰がこの街の女たちにとっては掛け替えのない場所だった。思い入れなどない。思い入れなど一切ないが、道具としての精神が根強い遊女が唯一生きていける場所だからだ。禿の時分に受けた折檻の傷が痕を成していても客を取れなくなっても子を孕んでも、遊女の持つ常識は狭く暗いコミュニティの中で独自で発展した特異でそれは地上では一切通用しない、筈であった。
のちに吉原の変と歴史に名を刻むであろう時代の変動。侍が興したあの激動の瞬間を遊女たちは墓まで忘れない。これまでの常識を覆し、道具として常夜を統べる死に雁字搦めになった女達から生の感情を曳行した英雄が塗り替えた世界が外交で僅かであるが、