04 好き?
「ただいまー疲れたー。」
ふぅっとため息をついて、玄関の戸を開けた。一松が「お帰り」と私の背中を撫でると安心する。
「……プレゼンは?」
「まぁ、なんとか。でも、いろんな部署の人が褒めてくれたよ。」
「大分力入れてやってたもんね…。」
「うーん、私だけの力じゃないけどね。家族とか友達もいて、後ろから支えてくれたから。」
「……うん。」
「いつもありがとう、一松。」
名前がにこっと笑う。その唇に柔らかいキスをした。何度か優しく啄ばむようにキスをすると、「くすぐったい」とけたけた笑った。
「くるみは?」
「寝てるよ」
「今日は何かあった?」
「保育園のたくみくんと喧嘩してお迎えの時に大泣きした。でも帰り道、夕飯の魚を買い物してたら、魚屋のおじさんからおまけしてもらって喜んでた。」
「ははっ、そっかあ。」
眠る愛娘の額にキスをして、名前が抱き締めたら寝てるくるみはにこにこ笑った。「かわいい。」と名前は呟く。寝巻きの紫色のパーカーが娘に似合ってると名前は言った。
「……夕飯食べる?」
「うん、お腹空いた。」
「……今日は鱈買ったから、野菜あんかけにしてみた。」
「えっ、美味しそー。」
「おまけしてもらったから、残りの鱈はトマトとじゃがいものスープ……。」
「私全部好きだよ、一松。」
名前が幸せそうに笑うから、「何それ、告白?」と言うと、名前は「うん。」と照れずに幸せそうに頷いた。名前は俺のこと、よくわかってる。俺が不安にならないように、毎日毎日名前は「好き」と言う言葉を伝える。言葉もそうだけれど、態度も。そんな名前を見て育ったから、愛娘も「好き」と言う言葉をほぼ毎日俺に投げかけるのだろう。
「ね、一松は?」
「え?」
「私のこと、好き?」
そんなの、決まっている。
「……さあね。」
「えっ、ずるい!」
…好きに決まってるよ。俺は名前を抱き締め、キスをしたら、名前はゆっくり目を閉じて、もう一度とキスをねだった。
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