「で?今日は私に何か聞いて欲しい話があるんでしょう?」


 真っ赤な果実のジャムとクリームがたっぷり入ったリコルルパイをかじりながら妖艶に微笑むレルムを前にして、ナマエは思わず口に含んでいた紅茶を吹き出しそうになった。
 先日の早上がりの手助けをしてくれた御礼にと、リコルルパイを持ってレルムの屋敷に訪れたとある休日。こんなにも初っ端から核心をつかれるような質問をされるとは思ってもいなかった。
 慌てて液体を飲み込むと、咳払いをして息を整える。ソファーに並んで座っていたレルムは青色の目を細めながら、そんなナマエの様子をとても楽しそうに眺めていた。


「・・・なんでそう思ったの?」
パイ貸し、だけじゃなくてマフィン賄賂まで持ってきてくれたんだもの。イコール、今日の女子会は長くなるってことでしょう?」


 いつの間にかパイをぺろりと食べ終えていたレルムは、皿の上にのせられた色とりどりのフルーツやナッツが入ったマフィンたちを指さした。こちらもリコルルパイに負けず劣らず彼女の好物である。観察眼の鋭い彼女の事だ。きっと殆どのことをお見通しなのだろうと、ナマエは降参するように事の顛末を語り出した。



03





 ナマエがミスルンに恋心を抱いたのがいつだったかと明確に提示するのは、非常に難しい。
 実はと言うと、自分に救いの手を差し伸べてくれた恩人といえども、ナマエは初め、常に真顔で口数の少ない彼の事が得意ではなかったのだ。
 しかし、生きる残るために必死だった当時のナマエは、目の前のミスルンに縋り付くしか方法がなかった。世話を手伝い、傍でうろつく事で、己の存在意義を守っていたのだ。
 そんなナマエを、ミスルンは良い意味でも悪い意味でも突き放さなかった。
 そして関わっていくうちに、ナマエは彼と自分は似ていると思った。暗闇を彷徨う迷子の子供。心がボロボロに傷つき、悪魔に復讐するためだけに生きている姿は、選ばなかったナマエの未来だったのかもしれない。
 自分はたまたま運が良かったのだ。命を救われ、庇護を受け、そして存在意義をなんとか掴み取った。
 恩を返すためにも、迷子の彼が少しでも孤独を感じないように、縋り付くのではなく支えになろうと考えを改めたのが全ての始まりだったのかもしれない。

 出会いから五年。魔術学校に入る頃には、少しずつではあるが、ミスルンとナマエは良い関係性を築いていっていた。
 魔術の知識や経験が豊富な彼の話はとても興味深く、色々と教えてもらうことが増えた。防御魔法以外はからっきしでも、彼はけして呆れたり怒ったりすることはなかった。
 必死に練習して、教わったことができるようになって喜んでいれば、彼はくしゃりと頭を撫でてくれた。その時僅かにあがる口角を見て、ナマエの心にぽっと灯りが灯ったような気がした。
 そしてちょうどその頃に、ミスルンの不眠を目の当たりにした事がきっかけで、ナマエは薬学の勉強に力をいれるようになった。魔術とは違って地味で地道な作業ばかりではあったが、ナマエにはとても合っていたらしい。めきめきと知識を蓄え、十六歳で薬師免許を取得するとすぐにミスルンのためにオリジナルの眠り薬を作ったのだ。
 その効果はテキメンだった。遠征先でもぐっすりと深い眠りにつけたと、帰還後穏やかな声で礼を述べてきたミスルンを見て、ナマエの心の中には春の風のような暖かなぬくもりが舞い込んだ。

 そして学校卒業まであと半年という頃。ナマエにとって最難関の事件が起きる。
 高いレベルで仕事をしてさらに知識を身につけていきたいと、宮廷直轄の薬師を希望したところ、成績や実績は充分なのにも関わらず門前払いをくらってしまったのだ。
 現女王は伝統主義者で、他種族を良しとしない。その考えが宮廷内でも根深く蔓延っており、宮廷で職につく者たちは、下人を除いてほとんどがエルフで構成されていた。トールマンであるナマエが己の才を生かせるような場所は、残念ながらこの国には存在しなかったのだ。
 このまま泣き寝入りかと思いきや、即座に立ち上がってくれたのがミスルンであった。ナマエの才能とひたむきに努力する姿を間近で見てきていた彼は、直談判すると直接上層部に乗り込み、あれよあれよという間に反論してくる者たちを説き伏せ、特例でナマエの宮廷入りを認めさせたのだ。
 相変わらずの真顔のまま、内定通知書を握りしめて帰ってきたミスルンの姿を見て、ナマエは初めて彼の前で涙した。
 驚いて固まるミスルンを見て、ナマエは急いで涙を止めようと試みたがなかなか上手くいかない。 しゃくりあげながら涙を拭っていれば、ふいに真っ白な手が伸びてきて、ゆっくりと彼の方に引き寄せられた。
 ぎこちない手つきながらも、背中をポンポンっと優しく撫でてくれたあの時のぬくもりを、ナマエは生涯忘れることはないだろう。


「そんなの好きにならない方が無理よ!むしろ、恋の始まりの回避ルートがあるなら教えて欲しいくらいね!!」


 ナマエの話が終わると同時、レルムは頬を上気させながら興奮したように大声をあげた。やはりエルフという種族は、長命種ゆえに常に刺激を欲しており、特に恋愛話は大好物らしい。
 爛々と目を輝かせた彼女は二個目のマフィンに手を伸ばすと、上にのったチェリーを摘み、その実をナマエの話を聞くための道具のようにして向けた。


「でもって、貴方は胸に芽生えた感情がずっと家族愛だと思ってた訳か」
「・・・うん」
「けれど何かがきっかけで異性愛だと認識した、と。えーっと確か、ミスルン隊長は昔大層おモテになっていたそうだから・・・その時の女性関連ってとこかしら?」


 当たらずとも遠からずだ。どこかで見ていたのだろうかと疑いたくなるほどの分析力にナマエが苦笑いすれば、レルムは誇らしげに笑いながらチェリーをぱくりと頬張った。


「まぁ詳しいことは置いといて・・・。本題はナマエがこれからどうしたいのかってことよ。ミスルン隊長に貴方の気持ちを伝えないの?」


 咀嚼した実をごくりと飲み込むと、先程までのおちゃらけた声色から一転して、レルムの声が一気に真剣味を増した。
 真っ直ぐに向けられた問いかけの答えは、すでにナマエの中で決まっている。長い話の間に冷めてしまった紅茶のカップの淵をなぞりながら、ナマエはゆっくりと口を開いた。


「想いを伝えるつもりはないの」
「それは、どうして?」
「答えは分かっているから。それに・・・私は、ミスルンと一緒に居られるだけで幸せなの。関係を壊してまで、彼の傍にいられる権利を失いたくない」


 復讐心以外の欲を失った彼にとって、今や愛や恋などは雑念でしかないだろう。負け試合に臨むつもりなどさらさらないし、物語の主人公のように奇跡を起こす力もない。
 独りよがりな感情をぶつけて終わりを迎えてしまうくらいなら、想いは心の奥底にしまい込んで、今まで通り彼の傍にいられる未来を選びたかった。


「貴方たちエルフの寿命で考えたら、この先共に過ごせる期間はほんの一時のことかもしれないけれど・・・。少しでも彼の力になれるよう、これからも傍で支えたい。そして彼の記憶の中に、私の事がわずかでも残ってくれてたらいいかなって」
「・・・そうね。そういう愛のカタチも、悪くないと思うわ」


 ナマエの言葉を聞いて、レルムは噛み締めるように呟いた。
 寿命が長く、貴族や名家など階級制度が根強いこの国では、身分の差はもちろん、家同士の軋轢や種族の違いで涙を飲む者も多いと聞く。きっと、エルフたちがこぞって愛憎劇が好きなのも、そんな恋物語を多く目の当たりにしてきたからだろう。
 悲しげな色を瞳に宿すレルムの姿を見て、ナマエは暗い雰囲気を吹き飛ばそうと、努めて明るい声を上げた。


「突然こんな話を聞かせてしまってごめんね。でも、貴方に話したことで気持ちが随分と楽になったわ。ありがとう」
「いいえ、いいのよ。これで貴方の心が少しでも晴れるなら、私はいつだって話を聞くわ」
「・・・レルム」
「でもね、ナマエ。これだけは覚えていてちょうだい」


 そう言うと、レルムの指先が伸びてきて、ギュッと膝の上で握られていたナマエの手に優しく触れる。
 夜明けの空に現れるブルーモーメントのような深い青色の瞳が、真っ直ぐとこちらに向けられていた。


「何十年という時間は、確かに私たちにとってそんなに長い期間ではないかもしれない。けれど、大事なのは長さじゃないわ。現に私と貴方は二年しか共に過ごしていないけれど、こんなにも仲良くなれたでしょう?」


 レルムの真っ直ぐな想いに、ナマエは思わず込み上げてきた涙をこらえながら頷いた。
 学校を卒業後。無事に薬師になったナマエではあったが、トールマンなうえに異例の宮廷入りを果たした事情もあり、職場では当然腫れ物扱いであった。
 上司からのパワハラ、同僚からの嫌がらせの連続の日々。しかし自分のために戦ってくれたミスルンの顔に泥を塗るわけにはいかないと、ナマエは折れることなく日々仕事に励んでいた。そんな時に、出会ったのがレルムだった。


『綺麗な髪をしてるわね。貴方、お手入れは何を使ってるの?』


 別の班で関わる機会がなかったのにも関わらず、いつも一人でランチを食べていたナマエに声をかけてきたレルム。驚きのあまり固まっていれば、彼女はナマエの隣に腰をおろすと、そのまま髪の毛に鼻を近づけた。


『ケルピーの油とシャンリルの花の蜜・・・それに何かしら、少しまったりとした植物性の匂いが混ざってるわね』
『その二つにリネネの種子油を混ぜた髪油を使ってるの』
『へぇ!リネネの種子油で髪がこんなにもサラサラになるだなんて知らなかったわ。いいこと教えてもらっちゃった。ありがとう、ナマエ』
『いえ、どういたしまして。えーっと・・・』
『一班のレルムよ。よろしくね』


 金色の長い髪を揺らしながら、にこやかな笑顔で握手を求めてきたレルムの手を、ナマエはおずおずと握りしめる。そこから二人の関係が始まった。
 彼女は貴族の産まれながらも、自由奔放で柔軟な考えの持ち主だった。魔術の才能もあり、父親からカナリア隊に行くように言われたのにも関わらず、「潮風で肌と髪の毛が痛むのが嫌」と言う理由から命令を跳ね除けたらしい。

『在学中に新薬を制作して女王から直々に功労賞も賜ったし、薬師免許も満点で合格したから、父も何も言えなかったみたい』


 魔術師より地位が低いといえども、薬師免許を満点合格する者は、年に一人いるかいないかくらいの割合である。それほど秀でた彼女を、当時のカナリア隊もさぞかし欲しがった事だろう。
 そして彼女は自分の優秀さを一切鼻にかけず、種族や地位などではなく個人を見てくれる人格者でもあった。仕事で共に切磋琢磨し、プライベートでも馬があった二人はいつか親友と呼べる関係性になっていた。
 だからこそ、彼女からの言葉はいつもナマエを勇気づけてくれる。



「私は貴方のことを生涯忘れない。それはきっと、ミスルン隊長も同じだと思う・・・。だから、悲しい顔はしないで。陽だまりのように暖かく寄り添ってくれる貴方の笑顔が大好きよ」



 本来ならば、ナマエはミスルンへの気持ちを誰かに打ち明けるつもりなど毛頭なかった。しかし人間とは弱いもので、心に傷を負えば悲しみを癒すためについ誰かに頼りたくなってしまう性分らしい。
 幼い頃から変わらない己の弱さに情けなくなる一方で、心の痛みが少し取り払われた事をナマエは実感していた。心情を言葉にして吐き出すことで、今後も道を間違わぬようにと、きちんと心の整理がてきたのかもしれない。
 告解する相手に彼女を選んで本当に良かったと、ナマエは「ありがとう」も呟きながらレルムの優しい手を握り返した。



***


「・・・私がですが?」
「そうだ。女王様の養子であるミグメラ様に呼吸器の病気があるのはお前も知っているだろう。ミグメラ様専用の薬を精製するための材料に、アビスパパラチアの花が必要なのだ」


 レルムと休日を共に過ごした数日後。普段通りに仕事をしていれば、突然執務室に来るようにと上官に呼びつけられる。室長であるナユマンの前に立ちながら、ナマエは話に出てきたミグメラの事を思い出していた。
 女王の遠縁で、確か五年ほど前に養子として王宮入りしたというまだ幼い少女だ。彼女は真の王族の証と言われる黒い黒曜石のような肌と銀色の美しい髪、赤い瞳を持っており、当時ミグメラのお披露目として王都で盛大なパレードが行われたため、ナマエは遠巻きにその姿を目にしていた。
 そんな彼女は生まれつき呼吸器の持病がある。女王の命令によって、宮廷お抱えの薬師たちがミグメラの病気を治すために昼夜薬の研究に励んでいた事は界隈でも有名な話だった。そして一昨年ようやく完成した薬を服用させたところ、症状に改善がみられ、女王が大層お喜びになったという事も風の噂で聞いていた。
 しかしまさかその薬に、"深淵の宝花"と呼ばれるアビスパパラチアが使用されていたとは知らず、ナマエは思わず目を丸くする。王族関連の薬に関しては、情報が厳重に管理されており、ナマエたち一般の薬師には製造方法や原料が明かされてはいないからだ。
 アビスパパラチアは迷宮の深層部にしか咲かない貴重な花で、花びらが鉱石のように固く、砕くと密のような桃色の液体が出てくる。その蜜は肺の病に効く効能があるのだが、いかんせん一時間以内に精製をしないとすぐに酸化してしまい効力がなくなるやっかいもので、薬師泣かせの花としても有名であった。


「ミグメラ様の薬を作る際、カナリア隊同伴の元で薬師が迷宮に潜り、その場で薬を精製してきておる。薬のストックが残り半年分を切ったため、今回お前に白羽の矢が立ったという訳だ」


 そう言いながら渡された薬の製造方法が書かれた紙にナマエは目を通す。なるほど、材料は細かく指定されてはいるものの、そこまで複雑な工程ではない。宮廷お抱えの薬師たちの手にかかればすぐに精製できるレベルだろう。しかし、派遣場所が迷宮となれば話は別だ。
 女王直々の命令で薬を精製しているといえども、危険を伴う場所に上官たちは進んで赴かない。しかし一般の薬師たちは貴族や名家出身の者が多く、権力のある彼らの親兄弟からの圧力もあってそうやすやすと派遣することはできない。そんな中でトールマンである自分は万が一が起きたとしても大して問題にならないと、様々な思惑から指名されたということを、ナマエは瞬時に理解した。
 しかしこれはチャンスでもある。この件を成功させれば箔が付くし、何かあった際にここで恩を売っておけば今後上手く立ち回りやすくなるかもしれない。そう思い、ナマエは面を上げるとナユマンの方へ真っ直ぐと向き直った。


「分かりました。お受け・・・」
「ナユマン室長。お言葉だが、ナマエは迷宮について知識不足なうえに、攻撃魔法に関してはからきしだ。もう少し適任の者が他にいると思えるが」


 ふいに飛び込んできた冷たい声がナマエの言葉を遮る。ナマエと同じく執務室に呼びつけられ、部屋の隅で今まで大人しく話を聞いていたミスルンの鋭い目がじとりとナユマンを睨んでいた。


「・・・ミスルン、そのためのお前たちだろう」
「無論第一優先で警護はする。しかし、迷宮に絶対はない。昨年こちらの静止を無視した薬師の者を守ろうとしたカナリア隊の隊員が、ダイアウルフに食われて帰らぬ者となったのをお忘れか」
「そ、それは・・・」


 ぐうの音も出ないとはこのことだろう。ミスルンより何十歳も年上のはずのナユマンは、萎縮した猫のように縮こまってしまった。
 ナマエはトールマンといえども、書類上今はケレンシル家の者という事になっている。カナリア隊への依頼も兼ねて、前もってミスルンへ打診をした方がいいのではとの意見もあり、彼もこの部屋に呼ばれたのは明白であった。


「それにナマエはまだ子供だ。迷宮に近づくべきでは無い」


 いつも通りであれば、ナマエは絶対的にミスルンの意見に従っていたであろう。ナマエの過去を一番よく知るミスルンが、辛い思い出しかない迷宮に近づけさせないようにかばっていると、本来ならすぐにその真意に気づいていたはずだ。
 しかし何もかもタイミングが悪かった。彼に子供扱いされたということが、ナマエの胸の辺りに巣食っている感情を激しく揺さぶった。


「私はもう子供じゃありません。トールマンは十六で成人ですから。エルフとは違います」


 自分でも驚くほどの冷たい声が口から飛び出る。ミスルンの方に顔を向ければ、反論されるなどと露ほども思っていなかった彼は、目を見開いて固まっていた。
 じくじくと、胸の奥が悲鳴をあげる。どう足掻いたって自分は彼の横に並ぶ権利はないと言われているようで、やるせない気持ちがふつふつと湧き上がってきた。一緒にいられるだけで幸せだと、どの口が叩いていたのだろう。自分の弱さがほとほと嫌になる。
 そんな汚い感情を何とか払拭させようと、ナマエは己を落ち着かせるように深く息を吸い、改めてミスルンの黒い瞳をしっかりと見据えた。


「確かに攻撃魔法は初歩的なものしかできません。けれど、防御魔法に関してはそれなりに自信があります」
「・・・」
「そして私なら絶対にミスルンの命令に背むくことはありません。そのことは貴方が一番よくご存知でしょう?」


 今度はミスルンが押し黙る番だった。しばらく思案するように視線を下に向けていた彼は、ふーっも深いため息をついた後、ゆっくりと面を上げる。


「分かった。お前を信じよう」
「・・・ありがとうございます」
「ただし、無茶はするな。そして私が無理だと判断した場合は、お前と言えどもすぐに強制送還させる。いいな?」
「はい。心得ております」



 彼の瞳には未だ少し不満気な色が滲んでいた。しかしこれ以上押し問答したとて、どの道薬師の中から誰かが迷宮に行かなければならない仕事である。
 ミスルンからしても、言うことを聞かない扱いにくい者が来るよりも、ナマエを連れて行った方が良いと総合的に判断したのだろう。少なからず、彼はナマエの防御魔法の精度の高さと薬剤師としての腕を認めているし、自分に逆らうことがないということを理解している。


「で、では・・・よろしく頼むぞ、ミスルン」


 事の顛末を静かに見守っていたナユマンが、ほっと胸を撫で下ろしながら安堵の声を漏らす。そのまま何も言わずに颯爽と部屋を出ていく銀色を見送りながら、ナマエは掌の中の紙をぎゅっと握りしめた。


 
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