ジェイドくんが俺に初めて魔法を使った日。その日以上に興奮することなんて無いと思っていたのに、今日のジェイドくんとのキスはそれ以上にドキドキして、たまらない気持ちになる。

「パスタ冷めちゃう……」
「冷めてもおいしいですよ」

 夢中になっているのが恥ずかしくなってキスの合間に思考を逃そうとしたが、ジェイドくんはそれを見透かしたようだ。

「そ、そう……?」
「ええ、なので続けても?」
「はい……」

 かれこれ十分くらい、キスをされている。舌を吸われ、口内を嬲られ、ずっと気持ちが良くてジェイドくんにしがみついていないと椅子から落ちそうだった。

「大丈夫ですか?」
「何とかね……」
「ふふ、ここも何とかしてあげたいですが、これ以上はアズールに怒られてしまいますから」
「ひっ!?」

 ジェイドくんとのキスでボトムを押し上げていたそれを、ジェイドくんが手の甲でなぞった。思わず情けない声が出てしまったが、痴漢の触り方だぞそれは!
 悔しくてジェイドくんのものに躊躇なく触ると、俺と遜色無いくらい硬くなっていた。

「っ、ルネくんったら。随分大胆なんですねぇ?」
「ジェイドくん、俺とのキスで興奮したの?」
「ルネくんこそ」
「だって気持ちいいんだもん。ジェイドくん、キス上手だね」
「……そうやって、僕を煽るんですから。どうされたいんですか?」
「ふふ、これ以上はアズールくんに怒られるんでしょ?」

 先端であろう部分を指でつまむとジェイドくんの身体がビク、と動いた。もうちょっとしたかったが、俺の方が我慢出来そうになくてだめだった。これで少しは仕返し出来ただろうか。

「パスタ冷めちゃったね」
「温め直しましょうか」
「ううん、冷めてもおいしいんでしょ?」
「ええ、もちろん」

 じゃあこのまま食べよう。ジェイドくんからフォークを受け取る。ようやく自分で食べることが出来た。ジェイドくんの言った通り、パスタは冷めても美味しかった。

「ジェイドくんの部屋に行く、とは言わないけど、部屋に来て、なら言えるよ」
「え?」
「ほら、リップサービスのやつ。本気かは知らないけど」

 今日はお互い寮に帰らなければいけないけど、明日は休みだし。

「そこならアズールくんに怒られることも無いんじゃないかな〜。うちの寮長にバレたら怒られるだろうけど、多分バレないし」
「……ルネくんの、好奇心だけで動くところは嫌いじゃありませんよ」
「やだ、そこは好きって言ってくれないと」
「これは失礼しました」

 言わなくても今日の続きをしたいんだってことは分かったみたいだ。どこまでするのかは分からないけど。

「で? 来る?」
「もちろん。伺わせていただきます」

 結局来るのかを問うと、あっさりと了承された。ジェイドくんもしたいと思っているのだろうか。だとしたら嬉しいな。

「明日は山に行く予定が、とか言われたらどうしようかと思った!」
「山には明後日行きますので」
「行くんかい」
「もちろんです。今しか見られない景色があるんですよ。一緒に行きます?」
「考えとく」
「来ないパターンですね」
「分かんないじゃん」

 明日ジェイドくんと離れたく無いような何かがあったら行くかもしれないし。

「ルネくんに振り回されるのも嫌いではありませんが、しばらくは遠慮したいですね」
「えっ、どれに怒ってるの? キスの件?」

 ジェイドくんは楽しいことが好きだから、今回のこともなんやかんや許してくれると思っていた。甘かったかな。

「それはさっきかわいくおねだりしてくれたので許しました」
「わーい、ありがと」
「おや、反省していませんね?」
「してるよ、世間体を気にした我慢なんてするもんじゃ無いなっていう反省を」

 大体、俺、というかこの学校の生徒は総じて我慢に向いてない。今回俺は我慢は身体に悪いんだな、というのを身を持って知った。友人にも物欲しそうな顔してる、とか言われたし。クソ真面目なあの子だったからそれで済んだけど、それってつまり欲求不満の顔だったってことでしょ。察しのいい誰かにバレていたら恥ずかしい。

「ふふ、我慢した後だからこそ得られる物もあったんじゃないですか?」
「あー、ジェイドくんが意地悪だって再確認したとか?」
「無自覚に煽ってくるルネくんに言われたくありません」
「そんなことして無いでしょ」
「してるんですよ。無自覚に、と言ったでしょう」

 無自覚に、を強調された。ジェイドくん、イマイチ本心が見えないから何が効くのかよく分からないのだ。俺が困っているのを見るのが好き、ということは知っているがむかつくので簡単に困ってやるつもりはない。
 とりあえず、今日の感想とか言っておけばいいのかな。

「キス気持ちよかったな。またしてね」
「明日たっぷりして差し上げますよ」

 それは楽しみだ。

200531


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Lilca