I Remember
涼「龍友くんどうしたん?今日気合入っとるな」
『ん?今日はな、特別やねん』
涼「地元公演だからか」
『いや…、』
涼「あれ、彼女いたっけ」
『彼女ちゃうわ、幼なじみ』
涼「ああ、花子ちゃんか」
『おん、』
涼「だからそんなに気合い入っとるんやねえ」
『まあ…』
花子は特別。別に恋人ってわけじゃない、友達以上恋人未満的なアレ。
『俺、歌手になりたい』
「そっか…、じゃあ私が龍友のファン一号やね」
『応援してくれるん…?』
「当たり前やん、何があっても応援し続けるよ』
『うん…。ありがとう、俺も絶対歌手になる』
「ん、じゃあいつか武道館に連れてってね」
『お前一人で東京来れるん?笑』
「うるさい!!はい、約束ね」
『うん、約束』
そう言って指切りをした。
地元を出るときに、泣きそうな顔をしながらも最後まで笑顔で見送ってくれた。
そして、俺の夢をずっと応援してくれていた。
辛くなって何度も諦めようとした、でもそんな時に花子はいつも『龍友は一人じゃないよ』と励ましてくれた。
デビューが決まって、仕事やライブもたくさんあって、自分を見失いそうになっていた時に『悩み相談するための私でしょ』と優しく声をかけてくれた。
多分花子なしではここにはいない。
涼「ふふっ、花子ちゃんのこと考えてる時だけ龍友くんが優しい顔やな」
『おい、俺はいつも優しい顔しとるわ笑』
涼「今日はバックステージ呼ぶん?」
『ん〜…、今日もええや』
涼「約束ってやつ?」
『うん、やっぱり武道館に連れて行くまでは…な』
涼「そっか、龍友くんらしい。でもデビューしてから一度も会ってないんでしょ?」
『まあ…、会えてないな』
涼「そんなんだと取られちゃうよ、あんなに可愛くて良い子、他の男がほっとかないって」
『別に花子はそういううんちゃうから』
涼「どうだか」
まあ実際のところ花子のことは好き。多分両思い。
でも今の俺じゃ花子に合わせる顔がないし、花子も会ってくれないと思う。
夢を叶えるまでは…
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ライブが始まれば、すぐに見つかった。よくそんなに良い席取れたな。
俺の歌を聴いて涙を流す姿は最後に会った時よりグッと大人っぽくなっていて、ちょっと焦る。
終わるころには花子の顔は涙でグシャグシャになっていて、つい笑ってしまった。バレたのか、少しムスッとしてる。可愛い。
涼「じゃあ最後、龍友くん一言」
『えっと…、いつも応援ありがとうございます。俺、絶対夢叶えます。約束も守ります。皆さんを、今泣いている人たちを笑顔にできるように、頑張ります。
じゃあ、また会いましょう』
花子の方を見れば「またね」と手を振っていて、振りかえす。
"いつもありがとう、俺絶対約束守るから"
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