こちらはエレヤン企画の妹サイドになります。そこまで関連性はありませんが、氷室側短編を読んで頂いた方がわかりやすいかもです。
顔がイイ子が好きなわけではない。たまたま彼女になるほど惹かれた子が、ものすごく可愛かっただけであり、顔を好きになったわけじゃなく。
私の恋人は内面まで魅力的だと思う。
「ねえねえ、玲央」
「なぁに名前」
「んーん。何でもないの。呼んだだけー」
「何よもう、可愛いわね」
休み時間になるとすぐ私の席に来て彼女はぺったりと私にくっつく。
今は少し私を窺いながらして机の下から覗き込んできて、返事をすれば猫のようにすり寄ってきた。本当に可愛い。
真っ白な頬を撫でればさらさらなのにしっとりとした感触。
ああ、やはり女の子って細胞から違う。
この柔らかい肌を守ってあげたいし、華奢な肩を抱き寄せて壊れないよう盾になりたい。
「もうすぐお昼だね」
不意にそう言った彼女の瞳には仄暗い、けれど甘い輝きが灯っていて、これはまたあのコか、と思う。
氷室辰也はこのコのメールを無視するだろうし、あのコが崩れかけても上手く丸め込んで、さらに己に堕ちるようにするんだろう。
そしてアイツが私をあてにしているのも知っている。確かに他人ならば面倒くさいが、恋人となれば話は別だ。
名前は携帯を取り出してタッタッと細い指先が動いて、すぐに制服のポケットにしまった。
「俺といるのに他のヤツにメール?」
「ううん、違うよ。いつもの」
「それも嫌だって言ってるでしょ」
そばにいる時くらい俺だけを見て
彼女の手首を舐めながら言う。
ここまで言えば名前は氷室辰也やあのコにちょっかいは出さない。こういう従順なとこも可愛い。
名前を呼んで唇をねだってくるから、それに応えるために赤くてやわらかい、独特なぬめりをもったそれに口付ける。
甘くておいしい。
このコの関心を大きく奪う彼女と同じ顔を持つあのコが憎いほどに羨ましいが、なんせこの愛おしい恋人と同じ顔であり、さらに本人がその存在を大切にしているのだから、悪く言えない。
「そんなにお姉さんが大事なの?」
「玲央はいつもそれきくね」
「だって」
私より?って言いそうになって口を閉ざす。
「玲央が一番だよ。誰よりも何よりも玲央が一番なの。だけどね、今までそばにいたお姉ちゃんがとられるのも、おもしろくないなぁって」
それだけ。とむすっとした顔で彼女は私の肩に頭を預けてきた。
ワガママな子だから、きっと自分に内緒であのコが秋田に行ったことも、プライドが許さないのだろう。
あのコは真面目だから割と深刻にしているけれど、名前は思いの外心身共に元気だ。
先ほどのように私とどっちがいいの?と問えば迷わず私をとってくれる。
名前は依存性が強いのだと思う。
私がいればあのコに依存しない。
逆に言えば私がいなければこのコは壊れる。
「…どうしたの?玲央。顔が笑ってるよ?」
「ふふっなんでもなーい。ご飯食べに行きましょ?」
「ねえ、私以外に笑顔向けたら、ヤダよ?」
手を引いていつも昼食を取る場所へ、と思って立ち上がれば、くいっと腕を引っ張られて甘く暗く囁かれる。
ああもう、そんな余裕ないってば
名前の肩を抱え込んで、膝下から持ち上げる。突然のお姫様抱っこに驚いてこちらを見上げる眼差しに、これまた欲情する。
「どこ行くの」
「わかってるくせに」
「玲央、大好きだよぅ」
離さないって約束してね
誰も使わず、且つ内鍵のついている空き教室を頭の中で探していれば名前がつぶやく。
その手が私の心臓辺りを握りしめるものだから、きゅうと胸の奥深くが鳴いた
今日の部活で私は使いものになるかしらと懸念して、この華奢な体を組み敷きかき乱す。
「……今度、東京に行く?」
喘ぐのに忙しくて彼女は答えられないが、あの二人と出掛けるのも悪くないかと、柔らかい胸を揉みながらぼんやり思った。
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